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エナジードリンク大全   作者: シサマ


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23/24

強者どもが夢の跡……弱肉強食エナジー・ヒストリー


 今回は番外編として、この10年を彩った印象的なエナジードリンクをご紹介したいと思います!


 とは言うものの、今回ご紹介致しますのは、オーストリアやアメリカから世界に広まった「レッドブル」や「モンスターエナジー」、はたまたフィンランドに於ける「BATTERY」の様な、所謂盤石のロングセラー商品ではありません。


 この日本で、市場の覇者となるべく有名企業が開発し、品質や広告戦略に於いても抜かりは無かったにも関わらず、「討ち死に」してしまった悲運のエナドリをご紹介するのです……いや、するのDEATHっ!!!


 まさにこの『エナジードリンク大全』にしか出来ない(やらない?)企画であります。

 早速ご紹介しましょう!

 まったくとんだクリスマスプレゼントだぜ!


 

 ①「Regain リゲイン・エナジードリンク」


 40代以上の方なら鮮烈に記憶している、「24時間戦えますか?」のキャッチコピー。

 バブル経済真っ只中の1988年、第一三共ヘルスケアから発売された栄養ドリンク「Regain」を、時流に合わせたエナジードリンクとして2014年に「進化させた」(←説明書きより)商品でした。


 バブル経済による好景気の裏で過労死などの社会問題が発生していた、80年代後半に打ち出されたキャッチコピーは賛否両論を呼びましたが、印象的なテーマソングとCMに起用された俳優・時任三郎のスタイリッシュなイメージで一世を風靡した元祖Regain。

 「ファイト一発!」のキャッチコピーで有名な「リポビタンD」や、宮沢りえ&アーノルド・シュワルツェネッガーによる「だいじょ〜ブイ」のキャッチコピーを生んだ「アリナミンVドリンク」とともに、栄養ドリンクブームを牽引していたのです。


 当然、医薬品である栄養ドリンクから、「炭酸飲料」であるエナジードリンクへの転身は、時代の流れも考慮され、イメージに若干の変化をもたらしました。


 「24時間戦えますか?」から、「あとひと踏ん張り、3〜4時間戦えますか?」というコンセプトに変化したRegainは、『うる星やつら』のラムちゃんのコスプレをしたお姉さんが、道行く働く人達を励ますというCMになり、アルバイトをする学生さんやフリーターにもターゲットを拡げにかかります。


 ……いや、ラムちゃんにした時点でオッサンホイホイですし、私を含めてエナドリが好きな人間に、真に仕事の出来る奴なんていないと思うんですけどね(笑)。


 しかしながら、時代は既にリーマンショックも経験した「労働者の犠牲ダメ!絶対」社会。

 かつてのイメージが強すぎる事に加えて、レッドブルやモンスターエナジーに対抗出来る売りをアピール出来ず、僅か1年で市場から姿を消す事となってしまいました。


 

 【テイスト&効能】


 もう飲めないエナドリの解説に、一体何の意味が……と自問自答しながらも、自宅に安らかに眠る「エナジー段ボール」(笑)を久し振りに開封。


 ありましたよ!Regainの空き缶!


 Regainのテイストは、レッドブル系の王道テイストに栄養ドリンク直系ならではの充実のエナジー成分による苦味をプラスした、現行のエナドリに例えると「アイアンボス」や「SURVIVOR」に近いもの。


 今、空き缶を見直して驚いたのですが、エナジードリンク版のRegainの開発と販売は第一三共ヘルスケアではなく、サントリーです!


 私、誤解をしていた様ですね。

 アイアンボスはRegainで培ったノウハウを注ぎ込んだものであり、アイアンボスに影響を与えたと私が考えていたSURVIVORは、むしろRegainを研究して開発されたものであるという事ですよ!


 サントリーさん、失礼致しました!


 成分の面では、エナドリでは稀少なビタミンB1に加えてアルギニン1000㎎と、この時代に栄養ドリンクばりの充実を見せています。

 覚醒作用や持続系・代謝系作用と、効能面でも期待値が高いですね!


 ……では何故、ブランドイメージもあるはずのRegainは市場で討ち死にしたのでしょうか?


 それは、190㎎で200円という価格設定により、若いユーザーをリーズナブルなモンスターエナジーから引き離す事が出来なかった点。

 そして、ブランドイメージがあり過ぎるが故に、「薬臭くてまずそう」という先入観を与えてしまった事、この2点に尽きます。


 現在のサントリーは、アイアンボスや「ZONE」シリーズで国産エナドリの覇者となりつつありますが、Regainの失敗を糧にイメージ戦略を練り直した成果と言えるでしょう。


 ちなみに現在、第一三共ヘルスケアは栄養ドリンクの元祖Regainを残して、残りのRegainブランドは健康サプリメントに引き継がれていますね。



 ②「SAMURIDE サムライド」


 キターーー\(^o^)/ーーー!!と熱狂されていらっしゃるエナドリマニアの方、お待たせしました(笑)。

 ある意味国産エナジードリンクの最高傑作、SAMURIDEの登場です!


 国内の有名メーカーがひと通り足並みを揃えて来た2015年、これまで炭酸飲料で目立った動きを見せる事の無かった重鎮食品メーカー、ハウス食品工業が突如発表したエナジードリンク。


 サムライド=侍道というコンセプトを打ち出し、忠義に全力を尽くす社畜魂を熱く演出した手法は日本のユーザーにフィットし、水墨画タッチで描かれた侍のイラストも格好良く、缶のデザインだけなら歴代エナドリNo.1だと思います!


 加えて、日本古来の生薬である八角や棗等がスパイス素材として配合されており、武士が闘志を高める為に兜に八角を焚き込んだ等、嘘でも信じたい男心をくすぐるトリビアも満載。


 ある意味、この缶を手にした時点でエナジーが補給出来ていた、凄い商品でした(笑)。


 

 【テイスト&効能】


 SAMURIDEのテイストは、やはりエナジードリンクとしては王道のものでしたが、酸味が殆ど感じられない点から見て、レッドブルをベースに研究したのではないと思います。

 むしろ「リアルゴールド」や、「デカビタC」といった栄養炭酸飲料をベースにエナドリへと寄せた開発手順を踏んでいると言えますね。


 カフェインやビタミンB群に加えて、多彩な生薬を配合している事で苦味や渋味が強くなり、その苦味を抑える為に糖質が極めて高いのが特徴です。

 糖質の高さが一部のユーザーを寄せ付けなかった可能性はありますが、正直言って、数あるエナジードリンクでも美味しさは最高峰だったと記憶していますよ!


 また、成分の面でもエナドリに必要なものは隈無く網羅しており、生薬パワーにより身体を温める効能に関しては、現在のエナドリと比較しても優れていたと記憶しています。


 ……ここまでエナドリとして理想的な完成度であったSAMURIDEですが、何と僅か半年で市場から姿を消してしまいました。

 個人的には、一部の生薬が入手困難になったとしか考えられなかったのですが、事情が語られる事も無く、当初から市場調査の為の期間限定発売だったのかも知れませんね。


 忠義に生きたサムライ達の魂が、伝染病の為に自己保身や利権の塊に押し潰される昨今、SAMURIDEの記憶を風化させてはいけないと強く感じています(笑)。



 ③WANDA POWER BLEND COFFEE


 2014年、エナジードリンクの大ブームは様々な業界に影響を与え、カフェイン入りのキャンディーやガム等、「そこまでしなくてもコーヒー飲めばええやん」的な商品が市場に登場(そしてすぐに撤退)しました。


 そんな背景の下、元祖エナジードリンクとも言えるコーヒーまで、何をトチ狂ったのかという商品を連発するのです(笑)。


 モンスタービバレッジ社が【なかった事にしたがっている】「モンスターコーヒー」や、ビタミン錠剤「キューピーコーワ」シリーズでお馴染みのコーワが、敢えてビタミン錠剤並のビタミンと生薬成分を押し込んだ「パワードコーヒー」……当然、短命に終わりました。


 そして、アサヒ飲料の看板缶コーヒーブランド「WANDA」から、遂に日本最狂の缶コーヒーが発売されてしまうのDEATHっ!!!


 それが、WANDA POWER BLEND COFFEE(←以下WPBC)。


 缶コーヒーブランドらしく、あくまで缶コーヒーとしての効能を強化したコンセプトを持つWPBCは、缶のデザインも至極まともな缶コーヒー風。

 成分的にも、カフェインの強化とエナドリ平均値程度のアルギニンを加えただけの、「缶コーヒー」でした。しかし……。



 【テイスト&効能】


 再び「エナジー段ボール」(笑)を開封し、WPBC(←国際組織みたいでカッコイイ)の空き缶を取り出します。

 6年前に飲んだ後、水洗いしていますが錆びが目立ちますね。これがスチール缶の弱点ですね。


 クエン酸、アルギニン以外は至って普通のコーヒー原材料です。


 ん……?100gあたりカフェイン94㎎……?


 1本250gあたり230㎎!!

 この値は、250gサイズの飲料としては日本建国以来最高のカフェイン量です。


 そして、缶コーヒーらしからぬ糖質の高さ。

 100gあたりの糖質が9.5gありますね!

 この糖質量に勝てる缶コーヒーは、元来甘さを売りにした「MAXコーヒー」だけじゃないでしょうか?

 

 日本の缶コーヒーのスタンダードで、売上げNo.1の「GEORGIA エメラルドマウンテンブレンド」も、冷静に味わえばかなり甘いですが、それでも100gあたりの糖質は6.7g。


 大量のカフェインの苦味を抑える為に、それだけの糖質が必要だった事になりますね。

 実際に味わった当時の記憶を辿っても、この糖質量で「ちょうどいい美味しさ」だった驚きを覚えています。


 以上の事から、このWPBCは「味」に問題はありませんでした。

 このWPBCの唯一にして最大の問題は、やはり「やり過ぎなカフェイン量」でしたね。


 缶のキャッチコピーには、「目覚めのコーヒーエナジー」と、何の悪びれも無く書かれていますが、美味しく飲んで30分後、何とも形容し難い頭痛に襲われました!


 ガンガン痛むのでは無く、テンプルをじわじわとアイアンクローされる痛みです。


 これは、眠れない。

 圧倒的拷問感……っ!


 当然、リピートは有り得ませんでしたが、この缶は武器として持っておこうと決めました(笑)。


 今、この缶より強い武器を持っている(おとこ)、出て来いやぁ!


 こっちには「ユンケルスパークリング」の空き缶もあるんだからなゴラァ!!



 ……はっ!

 す、すみません、取り乱しまして……。

 

 この様に、エナジードリンクの繁栄には、ロングセラー商品の下に眠る数多の落武者による「駆け足の青春」が必要不可欠であった事をご理解いただき、時には彼等の討ち死にを供養する心を持って欲しいと願いながら、ありがた迷惑なクリスマスプレゼントに代えさせていただきます。



 次回はいよいよ最終回、「エナジードリンク大学卒業試験」です!



 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは、凄いコレクション! 出てこいやぁ! (私は観戦席でドリトスをポリンキー。)
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