RIZIN
【味はいいが欠点が多過ぎる。レッドブルやモンスターエナジーはイメージ戦略だけで成功した訳ではない。効能が期待出来ないエナジードリンクに存在意義はあるのか?】
ややショッキングな見出しを付けさせていただきましたが、今回はリニューアルして大失敗がほぼ目に見えている「RIZIN」シリーズをご紹介します!
RIZINシリーズは、日本のみならず世界のエナジードリンクに多大なる影響を与えている栄養ドリンク、「リポビタンD」で天下を獲った、鷲のマークの大正製薬が開発・販売を行っている、国産エナジードリンクの堂々たるメインストリーム商品。
レッドブル、モンスターエナジーの大ヒットを受け、国産メーカーとしてはかなり早い段階で発売された初代RIZINシリーズは、エナジードリンクの定番エナジー成分であるカフェイン、ビタミンB群、アミノ酸に加えて、強力なショウガ抽出物が配合されていました。
このショウガ抽出物と切れのいい強めの炭酸がマッチし、内容量は185㎎と少な目ながらも、ジンジャーエールを濃い口にした様な、甘さを抑えた大人のエナジードリンクとして人気を博します。
亀梨和也さんが出演していたCMも格好良かったですよね。
その後RIZINシリーズは、幾度のマイナーチェンジを行いながらも、「平均的なエナジー成分をカバーする美味しさの、ジンジャーエール強化版」として、爆発的なヒットとまでは行かなくとも、強固なファンベースを築いて来ました。
……ところが、今年になって全面リニューアルされたRIZINシリーズは、これまでのエナジードリンクの概念を打ち破ってしまったのです!
①全商品カフェインレス。代替のエナジー成分に、カフェインと似た覚醒作用があると「言われている」、エネキストラを配合。
②全商品シュガーレス、ゼロカロリー。ブドウ糖を発酵させて作った甘味料「エリスリトール」と従来の人工甘味料を併用する事により、ゼロカロリーながら砂糖に近い後味を実現。
【テイスト】
RIZINシリーズの問題点は、これから先の紹介で次々と明らかにさせていただきますが、3種類用意されたテイストに関しては、従来のエナジードリンクとは一線を画していながらも、非常に魅力的なものでした。
オレンジ色の缶に入った「ハードジンジャー」は、その名の通りショウガ抽出物のテイストを効かせたジンジャーエール強化版。
ブルーの缶に入った「フルーティーサンダー」は、メロンとバナナの中間の様な、爽やかさと芯のある美味しさを両立させたライトな飲み口。
ピンクの缶に入った「スウィーティーレッド」は、ベリー系の甘酸っぱさが女性にも楽しめるリフレッシュ炭酸系。
ショウガ抽出物による効能なのか、身体が温まる様な感触もありますし、この3種類のテイストが、エナジードリンクという名目ではなく、「新世代リフレッシュドリンク」として、245ml・1本130円で販売されていれば、もっと人気商品になっていたと思います。
【効能】
新しいRIZINシリーズの最大の問題点は、斬新なイメージやシュガーレス・カロリーゼロという事実を、「ヘルシー」という概念に置き換えてしまった事による、「エナジードリンクの無力化」です。
まずはRIZINシリーズ最大の売りであると思われる、「エネキストラ」についてですが、この新素材はカフェインに似た覚醒作用があると「言われている」だけであり、科学的に効能を証明した資料は存在していません。
また、このエネキストラは、イチョウ科の植物でショウガに近いと「言われている」、ガランガルの中に含まれていると表記されています。
RIZIN1本には、1035㎎のガランガルエキスが含まれており、その中に150㎎「相当」のエネキストラが含まれていると、曖昧な表記がされており、更に注釈が付けられ、「製造行程中に配合」とされています。
これはつまり、「これだけ入れたけど、商品から検出されるかどうか分からない」と言っているに等しいのですね。
エネキストラの効能を証明するには、まだまだ時間がかかるという事なのです。
植物から覚醒作用のある成分が発見されれば、確かに過剰摂取による実害が報告されているカフェインよりはヘルシーかも知れませんが、実証されていません。
まあ、覚醒作用は曖昧でも、エナジードリンクならではの成分や効能が他に期待出来ればいいよ、というユーザーも存在するでしょう。
245mlの炭酸飲料に200円を支払う価値があるかどうかはユーザーの判断ですが、実際、飲んでみれば美味しいのですからね。
RIZINシリーズには、エナジードリンクの定番成分であるビタミンB群やアミノ酸も含まれてはいますが、成分表示に記載されていません。
エナジードリンクにとって価値を高める成分である、ビタミンB群やアミノ酸の含有量が記載されていないという現実は、これらの成分が効果を発揮するだけの必要量に達していない事を表しているという事でしょう。
人工甘味料のパンチのある甘味とのバランスを取る為の、苦味成分として使用しているだけだと考えられます。
「エネキストラ」の宣伝しか頭に無かったのかも知れませんね。
この時点で、RIZINシリーズにはカフェインの様な、確実な肉体の覚醒作用は期待出来ず、更にビタミンB群やアミノ酸による回復系・持続系の効能も期待出来ないと考えられます。
更に加えて、シュガーレス・カロリーゼロというメーカー側の狙いが、ブドウ糖だけを栄養にしている脳にも作用しない、「頭の覚醒も期待出来ないエナジードリンク」を生んでしまった事になりますね。
エリスリトールはブドウ糖を発酵させて作った甘味料である為、ブドウ糖の効能もあるのではないか?と調べたのですが、残念ながらエリスリトールは、血液中では代謝されず、殆どが尿として排出されてしまうとの事です。
皆様ご存知の通り、食物の栄養は胃や腸といった消化機関で吸収されてから血液を通して全身に回ります。
食べた食物が欠片のまま、ずんずんと脳に登って行ったりはしませんよね(笑)。怖いですよね(笑)。
覚醒作用、回復作用、持続作用、その全てが期待出来ないとなると、RIZINシリーズは「それなりに美味しい、1本245mlで200円のプレミアム炭酸飲料」でしかありません。
ゼロカロリーだし、カフェインゼロなんだから、妊婦さんや糖尿病の方も毎日飲めるんじゃないの?という望みも探りましたが、過剰摂取による健康被害が懸念される人工甘味料、「アセスルファムK」も配合されており、ヘルシーとは言い切れませんね。
新しいRIZINシリーズは、確かに人工甘味料の炭酸飲料としては美味しいですが、それ以外にプラス要素は無く、エナジードリンクの名を語るのであれば寧ろマイナス要素しか無い、「失敗作」だと思います。
リポビタンDを生んだ大正製薬がここまでの失態を踏んだ背景には、恐らくレッドブルやモンスターエナジーの大ヒットが、イメージ戦略に弱い若者のみに支えられているとの早合点があったと考えられますね。
40代の、冴えない素人オッサンの私にも分かる欠点分析をされてしまってはダメです(笑)。
国産メーカー、頑張って下さい!




