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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日も雨だ。

作者: てるてる坊主のテノ

ここは駅だ。それだけは今でもわかる。

だが、名前は忘れてしまった。

確認すればいい、そう思うだろう。

だが、それは出来ない。何故なら、私の視界は、




歪んでしまっているからだ。



1年、いや、2年ほど前だろうか。私はここで、


死んだ。

正確には自ら命を捨てた。自殺である。

理由は覚えていない。覚えているのは、


私には愛する人がいたこと。

その人が自殺の理由ではないこと。


このくらいだ。あとはわからない。

まぁ、理由を思い出すことなんてないだろうが。

そして、私は自縛霊となったのだろう。

成仏も出来ず、誰かに見られることもなく、

ただ、そこに佇んでいる。それだけである。





――――――最近、人が来るようになった。


前までここは1日に人1人が使うか使わないかと言うほどに使用率の少ない駅のはずだったが、

最近は、1日に何十人もの人が来ている。


最近は、そんなにも、

罪を犯す人間が増えたのだろうか?

そんなことを考えながら電車を眺めていると、

1人、私の視界の中でもはっきりと見える人がいた。




あの人だ。

あれ程来てはいけないと言ったのに。



あの人も、過去に罪を犯したのだろうか。

あの人は何故か私が見えているようだ。

近づいて来る。

駄目だ。来ちゃいけない。踏切の音が近い。

なんとかしたいが動けない。動かない。

私は()()目を伏せた。

……………また死んだ。何回目だろう。

また思い出した。私の「罪」を。

私の罪、それは、



数えきれない程浮気をしたことだ。

そしてその罰として、今まで付き合ってきた男達が

死ぬところを見せられていたのだ。

この男達に罪は無い。だが、私への罰のために殺される。その罰として、私この男達が殺されるのを見せ続けられている。つまり私は、


永遠に終わらない罰を受け続けているのだ。


ずっと罰を受け続けてしまえば、狂ってしまうからか、罰が終わるたびに記憶が置き換わる。

あともう少ししたら、また置き換わるのだろう。

そしてまた死を見なければならないのだろう。


意識が薄れていく。

その中で見た景色を見て最後に思った。




今日も雨だ。






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