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最愛の人
「なぁ、潤、フラミンゴってなんでいつも片足で立ってるか、知ってるか?」佐伯はいつもようにどうでも良いような知恵袋をひけらかす。
「そもそも生で見た事ねぇし、知らねぇよ。」いつもながら潤は佐伯に返答した。
「両脚を川の中に入れると寒いかららしいぞ」本当っぽい嘘みたいな答えを誇らしげに話した。
もうあの日から8年が経った。潤はあの日から仕事のない日は海岸沖のテトラポットに座り、ハルの帰りを待っていた。
「お前ってさ、この場所好きすぎるだろ。いつも何考えてるんだ?」
「何も考えてねぇよ。ぼけっと海眺めてんだから邪魔すんなよ。」
命の恩人である佐伯への感謝も8年経てばだいぶ薄らぐ。いつも人を斜め上から見てくる佐伯だが、本当は誰よりも優しく純粋であることを8年経った今では潤が一番知っている存在だった。