プロローグ
2022年
アメリカの粒子科学者であったオードリー・アーロン博士が「ガイーシャ」と呼ばれる論文を発表した。
その内容について博士は以下のように説明した。
「全ての人間は自然と融合するための粒子(H粒子)を持っている。しかしH粒子が作用するには自然界に存在する粒子(N粒子)の中からその人間のH粒子と作用し合うN粒子を見つけなくてならない。
私の書いた論文は私の発見した粒子がどのような性格を持っていて、どの粒子と結合するかが示されている。
仮に人類がこの粒子を完璧に解析できれば、人間が自然界に干渉出来る世の中となるだろう。それが現在の世界の破滅へと繋がるのはごく自然なことである」
その後、米連邦政府はガイーシャを参考に人間と自然との融和を体現する新しいシステムを構築した。これを皮切りに世界中で開発競争が行われていくこととなる。
一方、このシステムについてはアーロン博士の発言をもとに、「Ruin」と呼ばれることとなった。
RuinはH粒子とN粒子を結合させるものであり、これによって自然界に干渉できるようになる。
結合できるN粒子を持つ者は全世界の約5%であり、その中でも特殊H粒子を持つ者は世界でたった72人とされている。
その特殊H粒子を持つ者は常人とは比べ物にならないほどの力を手にしてしまうため、各国家により管理されることとなった。
そして論文発表から8年後、日本においてRuinを扱う者の育成のために作られた日本防共学校に一人の編入生が入ることとなる。