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八体目 仲良くなりたければ褒めればいいじゃないっ!

 ブットビウオうまかったなぁ。


「あの……アマネさん……」


「おん?」


 食後、楊枝を使ってシーハーしていると、向かいに座っているつけ坊が申し訳なさそうに話し掛けてきた。


「あの……すみませんでした。昨夜お母さんから、全て話を聞きました。大きな誤解はしていたものの、アマネさんはお母さんを助けようとしてくれたんですね。予想が違ってショックを受けていたのに、あんな冷たい対応して……本当にごめんなさい」


 テメエ昨夜それ聞いといてさっきイスぶん投げてあんなこと言ったのかパンダ野郎すげぇ傷付いたんだぞたとえ誰かの差し金だとしても本当に申し訳ないと思ってんなら何としても断ってただろつーことはテメエは少しでも俺にああいうことを言いたいという心が


「いいんだよヤンヤンちゃん。僕の方こそ怖がらせてすまなかったね。はっはっは!」


「ヤンヤンちゃん……?僕……?」


 とりあえずつけ坊との仲は改善できたようだ。


 あと三人。


「グンノルさん、いい飲みっぷりっすねぇ!コップ空ですよ。ささっ、どうぞどうぞ」


「おととととと……ブハハハハヒッ!!いやぁいい気分だ!アマネくんサイコー!!」


「ちょっとアマネくん!この人にこんな朝っぱらからお酒を飲ませないで!」


「しっかしご飯おいしかったなぁ!シリカさんって美人で旦那さんへの気配りもできて、そのうえ料理もできるなんて!完璧じゃないっすか!グンノルさん羨ましいなぁ!」


「もうっ!褒めても何も出ないわよおっ!うふふふふはははは!いやぁいい気分だわ!アマネくんサイコー!!」


 チョロすぎかこの一家。シリカさん気分がいいとき笑い方が尻上がりに魔王になる。


 よし、これで残るはコイツだけだ。


「ヒカヤ、小遣いだ。ホントは一円のつもりだったけど特別に十円やる」


「じゅっ……十倍!?ありがとう兄さん!!」


 これでよし。


 昨日は三枚使ったからな。何故だかなくなってたけど。残りの一枚。これで十円玉は全てなくなった。所持金558円。


 なんとか昨日の醜態は取り返せたようだ。


「あっ……ていうか気になってたんだけどさ。つけ坊、ヒカヤ……お前ら昨日はグッスリ寝てたろ?グンノルさんの特製毛布のおかげで。それなのにどうして……」


「えと……起こしてもらったんです。“シルマ王子”に」


 うええ、また新しい登場人物かぁ。覚えきれないよ。転校生増えすぎてひっちゃかめっちゃかになる学園ものか。


「そうだっ!昨日は大変だったんだからね!起きたら兄さんじゃなくて、白馬に乗った赤い髪の男の人と、何人もの兵士がいて、周りには魔物の死体がゴロンゴロン転がってたの!!」


「魔物だと!?」


 俺はテーブルをバンと叩き、身を乗り出してヒカヤに確認する。


「う、うん……それで私たちを家の前まで送り届けてくれたの!いい人だったよ!」


 なんてこった……じゃあもしもその“シルマ王子”って人たちが通りかからなけりゃ、コイツらは……。


「しっかり礼を言わねぇとな。飯も食ったことだし、会いに行くか、シルマ王子に」


「私も行くっ!昨日は眠くてちゃんと“ありがとう”って言ってなかったから!」


「お前はどうする、つけ坊?」


 つけ坊はグンノルさんをチラリチラリと見ている。


「シルマか……」


 グンノルさんが珍しく機嫌が悪そうに一人言をこぼした。


「呼び捨てにするほどの知り合いなんすか、グンノルさん?」


「シルマ王子、ちょっと一癖ある人なのよ。特に男の人からの評判が悪くて……わたくしはあまり外に出ないからよく分からないのだけれど」


「だが、アイツがヤンヤンとヒカヤちゃんを助けたのは事実。ワシはアイツのことは気に食わんから同伴せんが、お前も一言礼を言ってこい、ヤンヤン」


 ほーん、なんか色々あるんですなぁ。


「んじゃ、行きますか。腹ごなしのいい散歩になる」


 こうしてまた三人での一日が始まる。



 あら、何だろう、この胸騒ぎ。


 何かよくないことが起こる予感。


 まっ、気のせいか!出発おシンコー!ナスのよいちー!




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