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彼女が作れなければ造ればいいじゃないっ!  作者: 箒星 影
二章 リゾート地ミーナリア
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三十八体目 リトライしたければ二人で土下座すればいいじゃないっ!

時間空けてすみませんでした!

カオス小説、懲りずに再開です!困難にも挫けず張り切っていきまっしょい!!



「アンタら………はぁぁぁ……本当にアンタらって奴は……はぁぁぁぁぁ……」


 ミラ姐さんが牛乳を拭いた雑巾に群がるゴキブリを必死に研究するマッドサイエンティストにこき使われている助手がこぼした牛乳を拭いた雑巾を見るような目で、鼻から赤黒い滝を流している俺とザダルダさんを見つめる。


 やめて!あまりに呆れて罵倒の言葉が何も思い付かなくて溜め息しか出ないみたいな感じやめて!!


「おいミラ!何で初っぱなからラスボス連れてくるんだよ!采配ミスだろ!!」


「そうだそうだぁ!!こんなもん完全に大将の器じゃないっすか!先鋒のポテンシャルではないでしょ絶対に!!」


「勝負ってのはなァ、初太刀が重要なんだ。最初の一撃で相手を沈めなければ自分(テメエ)が死んじまうんだよ……このアマちゃんが」


 こんな汚泥みたいな勝負なのに武士道精神えげつなっ!!


「だからって……だからっていきなり他人の夢を打ち砕くなんて……ミラ姐さんはそれでも人間ですか!!鬼!悪魔!ちひろ!」


「じゃかあしい!!敗者がガタガタ騒ぐんじゃないよ!とにかく“みずのとおるくん”は生産中止だ。分かったらとっとと店に戻んな腐れ変態ども」


 髪をかき上げて帰っていくミラ姐さんに、ザダルダさんが今日だけで何度目になるか分からない土下座を披露した。


 国語辞典で“土下座”って調べたらこの画が出てきそうなぐらい完璧なフォーム。俺もぜひ見習いたくない。


「ミラぁぁぁ!!いやミラさまぁぁぁ!!あともう一度!あともう一度だけチャンスをくれ!!いやください!!もう鼻血は出しませんから!!ほれアンちゃん!オメエもやれ!!」


 見習いたくないって言ったばかりなんですけど。


「…………膝に砂とか付くしイヤです」


「理由が乙女!!オメエこの野郎!!ノーベル賞を勝ち取ろうっていう俺たちの固い誓いはどうなったんだよ!!」


 ザダルダさんが凄い剣幕で俺の胸ぐらを掴み、グワングワンと揺さぶってくる。


「だってミラ姐さん怖いし……ザダルダさん汚いし」


「精一杯の気持ちを込めて頼めば、きっとミラにも通じる!コイツは根はいいヤツなんだ!汚いは傷付くからやめて。つか関係ないじゃん」


「確かにこのままじゃ諦めきれませんけども。ごめん」


 しかしセンナの目もあるし、こんなところで土下座は出来ればしたくな


「あぁもうラチがあかねぇ!!」


「うぇっ?ちょっと、何するんでキルミーベイベー!!!」


 ザダルダさんは俺の頭を鷲掴みにし、物凄い勢いで地面に擦り付けた。


「ちょちょちょ、ザダルダさん!?どしたのワサワサッ!?」


「黙ってナーミン!!ほれミラ!このアンちゃんもここまでしてくれてるんだ!見捨てるのはさすがに残酷すぎるってもんだろ!!ほれ、アンちゃんももっと地面に顔押し付けろ!!」


「ぎゃあああああ!!砂がおめめにぃぃぃぃ!!つか熱いぃぃぃぃ!!熱いぜ辺ちゃぁぁぁぁん!!!」


 地獄でごわす。俺が砂アレルギーにでもなってしまったのではないかと思えるぐらいの苦痛。顔の上で子どもたちが石焼ビビンバで積み木してるみたい。


 ミラ姐さんの歩みが止まった。


「本当に……本当にこれでシメェなんだな?」


 ミラ姐さんは後ろを振り向かずに確認する。


 こっ、これはリトライ成功フラグか!?


「あぁ、男に二言はねぇぜ!一滴でも鼻血出したら“みずのとおるくん”は諦める!!」


「なるほど、こんなに熱い砂に顔面押しつけて頼むんだ。よほど“みずのとおるくん”を完成させたいみてェだな」


 そういえば二人が当たり前のように“みずのとおるくん”っていう意味不明なワード使いこなしてるのすげぇシュール。


「面ァ上げな。ラストチャンスだ」


「ミッ……ミラぁぁ!!」


「ミラ姐さん!一生ついていきます!!」


 俺たちはお互いの顔を見て頷き合い、勢いよく頭を上げた。



 おれ、もう負けたくないです。



 センナの胸はデカいしビキニは早速俺のトコ狙われるし、正直ビビる。前なら萎縮してた。


 でも――――今は隣にザダルダさんが控えてる。すごく頼もしい。



「しゃあ!行くぜアンちゃん!!」


「はい、ザダルダさん!!さぁミラ姐さん!次鋒をお願いしますっ!いつでも構わないっすよ!!」


 ミラさんは未だに前を向いたままで、こちらに顔を見せてくれない。


「あぁ分かった。じゃあ今からゲーム再開だ。だが次鋒を連れてくる前に………後ろを見てみな」


 後ろ?後ろってセンナがいる方じゃないか。確かにここまで完全に空気だったからそろそろ触れてあげなくちゃ可哀想だけども。


「いやいやミラ姐さん?あの、さすがに同じものを二度見て興奮は……」


「いいから見てみな。見りゃ分かる」


 俺とザダルダさんは眉を潜めながら渋々立ち上がり、ゆっくりと後ろを振り返った。


 するとセンナは絵の具で塗りつぶしたような真っ赤な顔で、目に涙を浮かべて俺たちをチラリと見て、すぐに目を反らした。



「なっ……なんやねん……はずかしいからこっち向かんといてぇや……あほぉ………!!」




「ブピャーーーー!!!」

「グピャーーーー!!!」




 ゲームセット。


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