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彼女が作れなければ造ればいいじゃないっ!  作者: 箒星 影
二章 リゾート地ミーナリア
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三十体目 イカれた人物が二人集まれば他者をおいてけぼりにすればいいじゃないっ!


 どこかのエラい人がおっしゃったそうな。


“他人を見かけで判断しちゃ駄目なんだぜ”と。


 その通りだった。



「コホホホホホ!!どうもどうも!自分は【何でも屋ZADA】店員のホシノ・ルリですゥゥゥゥゥフフフフフフヘヘヘヘ!ちがうかぁぁ!?自己紹介がてらソバを喰う落語家のマネしまーす………モグモグモグ……いや“ズゾゾゾゾ”のシーンやらんかい!!口に入った後の咀嚼音いらんわ!!コホホホホホホホホホホホ!!何名様ですか?」



「えっ、あっ、ご、五名様、です、ハイ」


 急に真顔になって冷静に質問されたのでシドレミドレに答えてしまう。


「ファイナルアンサー!?」


「え……えと、はい。ファイナルアンサー」


 謎の確認。



 そこから三十秒くらい、みのさんを完コピした憎たらしい顔の数々をゼロ距離で見せられる。



 しまった、これはダメな空気だ。テレフォン使っとけば良かったかな。


 やがて店員さんが、のけぞりながら大きく息を吸った。



「…………せいかぁぁぁい!!」



「やったぁぁぁぁ!!あああよかったよかった!!めっちゃうれしいんですけどぉおぉぉ!!やったぞおおおおおお!!チェケワンチェケワン!!ぐあああああ!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!! 」


「いやあ、おめでとうございます!よくライフラインも使わずに勝負に出ましたね!略して“ライたね”!!」


「はい!ライフラインは最後まで残しておきたかったので!!略して“ライので”!!」


「なるほどザワールド!!では二十円の問題をクリアされたということで、続いていよいよ大台の二十二円への挑戦でぇぇぇぇぇっす!!」


「すくなあああああ!!すっくなあああああ!!どこが大台やねん!!ハイスクールオブザデッドやで!!こんなに苦労したのにその金額はハイスクールオブザデッドやで!!」


「いやそれを言うならハイスクールフリートでっしゃろお客さん!!」


「いやハイリスクノーリターンですぞよ!!店員さんまでボケてどうするんすかああああああああ~~~イオマンテェェェ~~~!!八丈島のきょんっ!!」


「ただの料理には興味ありません!この中に干し芋、干し柿、干しイカがいたら、あたしの所まで来なさい!!」


「いやそっちのきょんじゃな…………それハルヒやんけえええ!!干し料理好きすぎるやろおおおお!!ドワーハッハッハッハッ!!」


「ミミミミミミミミミ!!」


「ミミミミミミミミミ!!」




「「ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ!!!!」」




「………うん、じゃああたしたちは別の所で食べてくるわね」


「はっ!!俺はいったい何を!?」


 センナの声と、みんなが一斉に背を向けて店から出ていこうとする姿を見て、おれはしょうきにもどった!


「ちょっ……ちょっと待ってくれみんな!ここに二人きりにしないでくれぇっ!」



 ヤベエ、これはヤベエ。



 まさか俺とタメ張れるほどのイカレ野郎がこんなところにいたとは。


 そりゃ客も来ねぇわ。こんなのいたら普通はセンナたちみたいに帰るもん。


 なんとか皆を呼び止めることができたけどさ、え、もう本当になんなのこの人!?


 普通に“二十円”とか言ってきたし!この世界の通貨って“モピル”じゃん!さっき出てきたばっかりじゃん!!最後に至っては完全に“かまいたちの夜”だったし!


 気が付いたらカオスキャラを誘発させられてしまった。おそろしい子っ!


「いやぁビックリさせちゃってすみまセンチメンタルジャーニー!なんつって!コホホホホホ!!自分【何でも屋ZADA】の店主の一人娘であります、アクラッチ=パレシアと申しますぅ!名刺があればお尻に挟んで“ケツメイシ”ってやりたかったんですけどねぇ!コホホホホホ!!」


 あ、もしかしたらこの子は俺以上の逸材かもしれない。俺だってこんなインパクト強い自己紹介したことないし、何より俺がちょっとこの勢いに引いちゃってるもん。


 大変な子に出会ってしまった。


「まぁ、立ち話も何ですのでお好きな席に座ってお待ちくだされ!今、店主の方を起こしてきますのでね!コホホホホホ!」


 店員のアクラッチさんは、俺たちに深々と一礼すると、トロットで歩いていく。犬か。


 人間国宝って案外カンタンに見付かるもんだよね。



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