二十三体目 仲間にしてほしければ脅迫すればいいじゃないっ!
「よおテメエら!楽しんでるか!!」
グンノルさんたち四人と別れた後、今度はミャーちゃんとサバシルちゃんが近付いてきた。
「おかげさまでな。コイツらも無事に助けられたし、最高の気分だ。ありがとな、サバシルちゃん、ミャー…………ちゃブルガリアッ!!」
ミャーちゃんに全力のビンタを食らう。
「テメエそこまで我慢したなら耐え切れよ!!」
まだ親密度は足りてないのか。
「いちちちち……でもまぁホント、お前らがあそこで登場してくれなかったらゲームオーバー間違いなしだった。礼を言うよ」
念願のナデナデ。サバシルちゃんの頭上のお団子がバインバインと跳ねる。気持ちいい。
「むっ……あー、そういや、アテクシらは色々とプロフィールを明かしたっちょけど、オメさんの素性は何も聞いてないっちょね」
同い年に撫でられて反応に困ったのか、ぽってり唇をキュッとすぼませてサバシルちゃんが恥ずかしそうに言った。タメに見えねぇんだよな、どう見ても。
「ん?あぁ、そうだったな。俺はカタカゲ アマネ。こことは違う世界からやってきた輝かしいイケメンだ!謝るから殴るのはやめてくれ!んでコイツは妹のヒカヤ。そっちはヤンヤン=マリユス。俺がこの世界で最初に出会った女の子だよ」
「アマネ……んじゃ、アマ公でいいな!んでヒカ公に、つけ公だな!」
「何故!?珍しくアマネさんがちゃんと本名で紹介してくれたのに!何で必ずどこかしらにヤンヤンつけボウへの落とし穴があるんですかあっ!!」
ミャーちゃんは“~公”って呼ぶジンクスがあるらしい。サバシルちゃんも“サバ公”呼ばわりだったし。
「同い年だからアマネでいいっちょね。そっちも“ちゃん”づけとか他人行儀なことせずに、サバシルでいいっちょ。ミャーちゃんはミャーちゃんでいいっちょ」
「殺すぞサバ公っ!!あーっと、まあ自己紹介も済んだことだし、これからよろしくな、アマ公!」
ミャーちゃんが小さな手を差し出してくる。
「いや別にいいけどさ。俺、いつまでもこの町にいるつもりないよ?元の世界に帰る糸口を見付けなくちゃいけないし、いつまでもウカウカしてらんねぇよ」
「わーってるよ!だから“よろしく”って言ってんだ!!」
俺は“しょぼん”のような顔でミャーちゃんを見た。漫画だったら頭上はクエスチョンマークだらけだろう。
「何でここまで言ってもわかんねぇんだよ!!アタシらもテメエらと一緒に連れてけって言ってんだ!!」
「い……いやいや、何で?今回お前らは俺たちに助けられたから協力してくれただけで、もう貸し借りナシだろ?」
「貸し借りなんて面倒くせぇ理由じゃねぇ!テメエといると退屈はしなさそうだから、アタシらも連れてってくれ!!一緒に戦ってお分かりの通り、アタシらは貴重な戦力になるぜ!」
んな子どもじみた理由で……。
「いやいや、俺のブチギレ見てビビッちまうようなか弱い女の子、連れていけなヨヴォチッ!!」
「ビッ……ビビってねぇよ!!ぶん殴るぞアマ公!!」
もうぶん殴ってるべさ。
「つか、サバシルの意見も聞いてやれよ。絶対イヤだろコイツは、そういうの」
「……………まぁ、ミャーちゃんが行くならアテクシも連れていってほしいっちょ。確かにアマネには不思議な何かを感じるっちょ。冒険も、ちょっとしてみたい……っちょ」
満更でもないんかい。アグレッシブなんだな意外に。
「どうするの、兄さん?」
「はあ………まっ、俺たちだけでも心もとないし、多い方が俺の仕事も減るしな」
年齢も近いしヒカヤの友達にはもってこいか。
何よりもさっきからミャーちゃんが、握手を求めていない方の手で俺の喉に長槍の先端を向けて、ニコニコ顔で脅迫してくるし。
友好関係は脅しで結ぶものではないと思いまーす、どうぞー?
俺は色んな理由により納得したので、ミャーちゃんの手をパシッと取る。
「決まりだな!改めて……ミャーリタス=リグレット!長槍使いだ!ヨロシクな!」
サバシルが空いた俺の手をギュッと握りしめてきた。
「サバシル=キャップニッソス……軽いからというだけの理由で小刀を使うっちょ。気が向いたら戦線に出るタイプなんで、くれぐれも期待しすぎないように。ヨロっちょ~」
こうして正反対な二人組が新たに仲間になった。
「よっしゃ!じゃあダチにもなったことだし、一緒に色んなところ回ろうぜ!ヒカ公!つけ公!」
「………え、あちきは?」
「ああん!?女の子たちが友情を深め合おうとしてるってのに、男が入る気かよ!?」
至極まっとうな理由でハブられた。傷付いたのにぐぅの音も出ねぇ。
まぁ、ミャーちゃんとサバシルに任しときゃ大丈夫だろ。それにここは人が多い。なんかあったらすぐに分かる。
俺も腹減ったし、一人でリフレッシュしたい気持ちもなきにしもあらず。
しゃあない、どっか適当に回るとするかね。




