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ラァールクロウス  作者: 八朔日 暦
第一章 記憶喪失
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第一章6 長い話

第一章 記憶喪失

コンコンと扉を小さくノックする音。そしてギィと扉の開く音がしステラは扉の方へ視線を向ける。


「今日の朝お前に大事な話があるんだ。起きたらでいいから下の方へきてくれ。おやすみ」


と深夜の2時、トュリはステラが就寝する前に声を掛けていた。ステラは少しうとうとしていて何となくでトュリの話を聞いていた。今回の件で疲労していたせいかそのまま布団も掛けずに深い眠りについた。


 「ふあぁぁ」


小さな手を口に当て「うー」と背伸びし可愛らしい生あくびをし、ダンゴ虫のように丸まっていた体をゆっくりと起こす。


「・・・あー起きたら下に来いって言ってたっけ・・・シャワー浴びてから行こ」


 身だしなみが無いか全身鏡を確認し身支度を整えてトュリの元へ行こうとしたが肝心な事にステラは気付いた。


 「・・・下って何処行けばいいの?リビング?」


目を点にする。廊下へ出る前にどうしようと入り口の前でうろうろし、動きを停止し悩むステラ。とりあえず廊下へ出ようと決心し部屋を出ると何と目の前には雪乃がいた。


「あ、雪ちゃんおはよう」

「・・・おはよう、下いくよ」


相変わらずの冷静さ。ナイスタイミング!!ステラはそう心の中でガッツポーズを取る。きっとまだ道を把握していないステラの為にトュリがあらかじめ雪乃に頼んだのであろう。


「有難う」


ステラは優しく微笑んでお礼を言ったにも関わらず雪乃はそれに無関心。冷めた表情をして、スタスタと廊下を歩く。


「・・・着いた」

「あらステラちゃん、おはよう」


雪乃に道案内をして貰ったステラはお礼を言おうとしたが雪乃は奥の部屋へとさっさと消え去ってしまった。

 ステラは少ししょんぼりしたがシャルトに何処か違和感を感じた。その原因はいつもの白衣を着ておらず赤いシンプルなエプロンを身につけ、赤く綺麗な長い髪をポニーテルにしてフライパンを持っていた。シャルトを知らない人達から見ると背が高いめちゃくちゃ美人なご婦人だ。ステラは思わずうっとりした。


「おはようございます。」

「今朝ご飯作ってるから待っててね」

「え、いいんですか」

「当たり前じゃない~ステラちゃんは私達の家族じゃない。その前に私は毎日こうやってご飯作ってるのよ。」


「家族」という言葉に照れ臭くなるステラ。(シャルトさんがご飯を作っているんだ・・・)


どうやらウインナーを焼いているようだ。木製で白色で着色した机の上には二人分の茶碗とコップとお箸、野菜が詰まったボウルに美味しそうなおかずが沢山ある。一人分はステラだが二人分は予想だとトュリのだろう。

_そしているはずのトュリがいない。


「あのトュリは?」

「トュリ?そういえばまだ見かけてないわね。いつも寝坊してくる子だから後で起こしに行くわ。」

「・・・起こしにいきますか?」

「あ、いいのいいの。トュリはね、ここでは結構熱心に働いてくれててね~色々事情があって結構疲れてるのよ。ゆっくり寝かせてあげて。さぁ出来たわよー」


色々事情があると言う発言に少し気になる。いつも無表情だし何考えてるかわかんなかったけどそんなに大変だったんだ。ゆっくり寝かせてあげよう。

 机の上にシャルトが料理を並べ、茶碗にご飯を盛りステラに渡す。そしてコップに牛乳を入れる。空腹なステラはその美味しそうな料理を食べたくてしょうがなかった。


「有難うございます。頂きます」

「どうぞー」

「_そういえば他の皆さんは?」

「もう地下で研究してるわよ。」


ここの研究員は24時間交代制で起きているらしい。

 聞きなれた足音が聞こえた。


「あら!早いじゃない。珍しいわね、おはよう」

「おはようございます、ステラもおはよう」

「お、おはよう!」


トュリが来た。相変わらずの癖っ毛。やはりシャルトさんはトュリの分も作っていて茶碗にご飯を盛り、机の上に置く。トュリは向かい椅子に座る。


「飯を食べながらで悪いが急を急ぐから僕が忘れないうちに言っておく。」


?何だろう。私は静かにきいた。トュリはステラに分かりやすいように話した。

 1つ目、自分達ステラとトュリの種族についての話だった。ステラは真吸血鬼しんきゅうけつきという種族らしい。特徴として白髪、目の色は透き通るような紅色と混ざる赤、おまけに低体温だ。そして全ての種族よりランキング3位に入るくらい最強く、絶滅危機の種族らしい。

 2つ目、今まで話してきた中で一番重要であった。ステラとトュリは九の大罪ラァールクロウスという悪魔契約をしている。その契約の事で今回の黒い少女と天から落ちてきた謎の小動物はこのラァールクロウスに関係しているとトュリは昨日の夜シャルトと話してる際に考えた。恐らくこの小動物が何か大きな鍵を握っている、そしてその小動物を襲ってきた黒い少女は黒魔術を使うほどの強者であり、またいつかこの小動物を狙って奇襲してくるであろう。最後に・・・ステラの目覚めと共に起こった今回の出来事は偶然ではない。

_これから何かが起き始めるであろう、とトュリは嫌な予感がしていた。その出来事が起きる前にラァールクロウスと契約している者達を集める事にした。

 それだけではないステラは悪魔契約をしているはずなのに何故かどういった訳か、ステラの体内に悪魔がいないのだ。そしてステラは記憶喪失、もしかしたら悪魔がステラの記憶を盗んだ可能性が高い。何らかの理由で契約破棄したのではないかと考えステラの身に何かが起きる前に、一大事となる前に、ステラの悪魔を探す事となった。ちなみに小動物のことは何処の書にも書かれて無く、謎の小動物に関する情報が一切無かったのだ。それも一つの理由として契約している人達を集め何か情報を聞こうと思っていると話した。


「ということだ、探し出す契約者達の手掛かりは1つある。一つは契約者同士が放つ悪魔の匂い_。もしくは、魔法を発揮する際に少量放出される闇属製=黒魔術要素の匂いを辿る。契約者は契約者同士、お互いが何処にいるのかが分かる。それを頼りに探す。そして悪魔の種類は9つある。

_傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、暴食、色欲、怠惰、正義、そのうち僕が契約しているのは憤怒だ。」


トュリは息を呑み、次の言葉を話す。


「_しかしステラの悪魔が分からないんだ」

「え」


思わず裏返った声を出すステラ。


「・・・まぁ、契約者を探しているうちにステラと契約してる悪魔の事も分かる。心配するな。」

「う、うん」


自分の悪魔が分からないとなると少し残念そうに肩を落とすステラ。そして話の内容は分かりやすいが長すぎてまったく頭に入らない。契約者の探索・私と契約した悪魔探索・小動物の情報集め。と簡単に略して再び脳内に記憶する。

 

「明後日の午前中に出発する。ステラは何も準備しなくていいぞ、むしろ何もいらない。夜になったら一旦ここにまた戻ってくる予定だからな。」


と、言いながらごちぞうさまを加えトュリは食器を片付ける。ステラも食事を終えごちぞうさまと言い食器を片付ける。


「ステラちゃんどうだった?美味し_」


シャルトが言おうとした時だった。誰かが物凄い速さでリビングまで息を切らしながら走ってくるのが分かる。そしてその息を切らしている人物は見覚えのある人物であった。


「マスターッ!ハァ・・・ハァ・・・」

「ど、どうしたの、そんなに息切らして」


尋だった。何かあったのだろうか?またあの黒い少女が来たのではないかとステラは不安になる。


「あ、あの!小動物が、目を覚まして!それで今!」


この場にいる尋以外の皆が目を見開き、席を立ち、尋の来てくださいという言葉に釣られながら別室の研究室まで走った。

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