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ラァールクロウス  作者: 八朔日 暦
第一章 記憶喪失
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第一章1  記憶が無い

第一章 記憶喪失


-「うっあぁぁぁぁぁ!」

ー嫌な夢にうなされ目が覚めた。


・・・うっ。酷い汗だ、目から涙が零れ落ちている。

そして


「_ここはどこ?」


 目を覚ますと病室であろうか、白い壁に白い床。

窓の外は太陽から出た眩い光が射し小鳥がチュンチュン

鳴いている。両腕には赤黒い液体が詰まった点滴に

入院服を着せられている。まさになんじゃこりゃ状態。

何でこんな格好をさせられてここにいるんだろ?

 目覚めたばかりだというのに容赦なく責めかかって

来る疑問がベッドの上にいる私を苦しめる。

考えれば考えるほど頭痛が襲う。

しかし何も覚えていない、ん?あれ、名前は?私は誰?

名前、自分の事を何も覚えていない。ただ覚えているのは


_あの嫌な夢だけだ。


私は怪我でもしたのかな?と思い足や手、顔などあちこち

ぺたぺた触ってみたりする。特に異常は無い!包帯などそれらしきものも巻いてもいないし絆創膏すら貼ってもいない。


「ここは病院かな?部屋出ても大丈夫かな?」


独り言をぶつぶつと呟いて考えていたがやはり、何も覚えてない上に点滴ぶら下げてる患者がうろうろしてたら何か騒ぎになりそうな気がした。この病室で大人しく人が来るのを待つことにした。

 約5分くらい何も考えずぼけ~としているとガラガラとスライド式のドアが横に動いた。

ドアを開けた人物は白く横に広がり伸びたロングの髪に、全てを見透かしているかの

ような冷たく目つきの悪い青い目、青いYシャツに黒いネクタイ。暖かそうな青いマフラーに白衣。背は平均の男性より高い。

そしてかなりのイケ面だ。男も女も惚れるほどの美貌。

その先生らしき人はその死んでる目を見開き驚いた顔をしてこちらへ向ってくる。


「ぐえっ」


「ステラ!やっと目を覚ましたのか!?」


急に強く抱きしめられ苦しくて情けない声を出してしまった。

苦しいと言い、背中をばんばん叩いた。「あぁすまない」と素直に離れてくれた。

何なんだろうこの人。とりあえず今一番疑問な事があるから色々と質問する事にした。


「げほっげほっ、_あのここ何処ですか」


真っ先に口から出た言葉はそれだった。


「・・・?_ここは研究医療室だ。ステラ体調は?大丈夫なのか?」


研究医療室?病院とは少し違うようだ。研究、てことは実験か何か?

私は実験体なの?私は少し警戒した。それに私が質問したいというのに・・・。タイミングが中々つかめない。


「大丈夫ですけど、ステラって?研究医療室って?」


先生らしき人はまた驚いた顔をして、少し黙って、口を開いた。


「ステラはお前だろう?覚えていないのか?自分の事を何か話してみてくれ」


研究医療室の質問にも答えて欲しかったけど、自分の事も分からないままじゃ

何も分からないままだよね。私は考えた。名前は、この人が言ってるステラ?

胸は大きいから性別は多分女、でも自分だというのに自分の

顔はわからない。好きな物、覚えてない。

嫌いなもの、覚えてない。趣味、覚えてない。親は_?

考えようとすると急にまた頭痛が走る。


_まるで私に考えるなといってるかのように。


そして考えるのをやめた。本当に何も思い出せない。

私は先生の顔をジッと無言で見つめた。


「・・・まさか覚えていないのか?」


「はい。」


「名前は?」と聞かれたが分からないので素直に分からないといった。

先生は私の名前を教えてくれた。「ステラ=ウィリアムズ」というらしい。

何だか懐かしい気持ちになるけれどよく思い出せない、でも違和感が無いので多分

これが名前だ。そう信じておこう。

 先生は記憶喪失かもしれないと言った後、また考え事をし始めた。しばらく沈黙が続いていたがおなかの虫が微妙なふいんきを壊した。


「おなかすいた」と先生に言うと先生は今まで笑顔一つ無く真面目そうな表情をしていたが

苦笑いし「あぁそうだな」と言って私の点滴を外し横抱きに軽々と持ち上げ、病室を後にした。重くないかな?

 廊下に出るとシンとしていて誰一人いない、横抱きにして貰いながら色々話をしていた。よく見ると白くて長いまつ毛。

機械のヴーという音が静かに廊下に響きわたりちょうど良い涼しさに窓一つ無い白い世界が

広がる所だった。廊下は迷路のようになっていて部屋もたくさんある。私が今見た限り覚えている部屋は

「医務室」「精神科」「クローン室」「機械管理室」「水槽部屋」などたくさん。

きっと私ひとりでは迷子になってしまう。少しだけ何故か

怖くなってしまい先生の白衣をギュッと握ってしまった。

ここはさまざまな生命体の実験をしたり、

造ったりしているらしい。後で色々見せてくれるって言ってたな。動物や熱帯魚、子供が

たくさんいると言っていたのでとても楽しみ。研究所といえば私は怖いイメージがあったけど他の所とは

違い酷い扱いはしないらしい。此処に人はたったの約30人くらいしかいないといっていた。

その話をしている間にどうやら「食堂」というところについた。グゥ~というおなかの虫の効果音がなる。


「確かステラはプリンが好きだったな、後

チャーハンが好きだった。チョコも・・・」


「うーんよく覚えて無いけどそんな気がします」


不思議な事に先生が言ったとおりプリン・チャーハン

・チョコなど好きだった気がする。懐かしい。

_懐かしい?何が?懐か_


ーねぇお姉ちゃんご飯まだー?


ーまだだよ。もう少し待っててね。


「_テラ」


お姉ちゃん?私には家族がいる?


「ステラ!」


「あ、はい!!」


「どうした?ボケーッとして、ほらご飯できたぞ。

まさか食事の食べ方まで忘れたわけじゃないよな」


まさかそんなのことはない。ちゃんと食べれる。

いただきますと言い出来たてホカホカのチャーハンを

そっと口に運ぶ。口の中にチャーハンを熱した暑さと

ほっぺたが落ちるくらいの美味しさである。

美味しい・・・この人はイケ面で料理上手。

何もかも完璧なんじゃない!?

 食事を一切とっていなかったせいか一杯分の

チャーハンをあっという間に食してしまった。

先生はおかわりならあるぞといい器に先ほどよりも

倍の量を盛った。

どれくらい口に物を入れていなかったのだろう。

喉も渇いている、スプーンの隣にあった牛乳を

口に含み喉を潤わす。


「美味しいか?」


もぐもぐとたくさん食べながら頷く。

ここの食堂は研究員、先生の班、6人専門の

食堂らしく他の実験体達の専門の食堂はもっと広く

ここの食堂はそれに比べて小さいらしい。でも私から

みたら十分に広い気がする。

ここは真っ白な部屋ばかり、でも食堂だけ違って

カラフルである。此処にきてから初めて白以外の色を

みたきがする。

 そして先生は向かいに座って手を顎に乗せてジッと

こちらを無表情で見ている。何故だろう、この人。

どこかで・・・会った。


ー私はこの人を知っているー


「__ッ」


ガチャン!


何かを思い出そうとした瞬間、先ほど病室で起きたのと同じ

頭痛だ。さっきより強い痛みで唐突にスプーンを手から

離し頭をおさえた。

異変に気付いた先生はすぐ立ち上がり隣に駆け寄る。

この人知ってる。聞かなきゃ。


「ッもう大丈夫です。あの先生、私達どこかであった

事があるきがする。貴方の名前は?此処にきてから

先生のこと何もきいてないです。」


「僕の事も忘れてしまったのか_」


先生は悲しい顔をした。その表情に釣られ

心が無意識に痛んだ。


「僕はトュリ=ウィリアムズ。お前の兄だ。そして僕はここの研究員、

そして精神科の医療も行っている先生でもある。」


「えっ」


驚いた。まさかお兄さんだったなんて。

そこから少しの間だけ沈黙が続いた。


でも私に父や母、このトュリと名乗る私の兄以外に

兄弟がいたりしたのかな?聞きたかったけれど

聞いてはいけないような気がした、そして

私も家族の事を思い出そうとするとまた心が痛む。

涙が溢れてしまいそうになる。今は考えるのは

やめておこうと思う。今この現時点で分かった事は

私には兄がいるという事、ここは研究所、名前。

だけだ。でもいつから私は寝ていたんだろう。

きいてもいいのかな。いつから寝ていたのか色々と

聞こうとしたら、その沈黙を打ち消す

人物が来た。


「おっ~す!トュリ_ってあれ?あれ!?あれれ!?

妹さん目ェ覚めたの!?」


私が目覚めた時、トュリに抱きつかれた力よりは弱かったが

また同じように抱きつかれた。見る限り明るい人っぽい。

そしてトュリはめんどくさそうな嫌気さした表情をして

目をそらしている。この人の事がきらいなのかな?

トュリがやっと口をひらいた。


「あ、あの・・うるさいです」


「何!その言い草は!せっかく妹ちゃん目覚めたんじゃ

ないかぁ~!ねっ?」


「あ、はい!(?)」


反応に困ったのでなんか適当に返事をした。

この人はシャルトと名乗った。皆からは「マスター」

と呼ばれているらしい。他にも何人かメンバーが

いるらしいので後でまた紹介してくれる。

私は何年も植物状態だったらしく今日始めて会って

話をした。

シャルトさんはここの一番上のお偉いさんらしい。

綺麗な赤いロングの髪がとても素敵で兄に負けないくらい

誰もが魅力するんじゃないかな・・・。

背はトュリより低いけれど

女性からしたら高身長で勿論私よりも背が高い。

見た目は冷たくで怖そうでトュリよりはマシだけど

めつきは悪くて声もやや低いが普通に優しくて

明るい良い人だ。とても話しやすい。


その後私専門の部屋を用意してくれてた。

床は白のフローリングの上に赤いふわふわした

四角い絨毯じゅうたん。壁は白いコンクリートで出来ている。

部屋は私一人が住むにはかなり広いものである。

小さな窓が二つあり、大きな窓が一つ、その大きな窓の下には暖房。上にはクーラー。

左側にピンクのベッド、右側には大きな

白い机。その上にどっさりと綺麗に整頓せいとんされた

本があり更に上には綺麗なガラス細工の小物が並んでいる。

そして入り口の少し右の壁には大きな棚などがある。衣類など

が入っていた。

左の壁には更に部屋があってお風呂、トイレ、洗面上などが

ある。完璧にそろえてある。しかも私好みである。

シャルトさんに聞いた話によるとトュリが全部色々合わせて

くれたとのこと。さすが私の趣味までしってる兄だ。

今気が付いたけれど私の好きな色は赤。


シャルトさんは何か必要なものがあれば遠慮なく私にいってと

いい部屋を出て行った。そういえばこの後、脳の検査、

健康検査をするとかいってたな。

今はその機械の準備をしているからその間自室で

待っていてと言って出て行った。

そういえばシャルトさんは私が記憶喪失だということを聴いた瞬間兄と

同じように悲しい顔をしていた。


私は考え事をしているうちに深い深い眠りについた_




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