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ラァールクロウス  作者: 八朔日 暦
第一章 記憶喪失
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第一章9 赤い館

第一章 記憶喪失

「お、おい、本当に大丈夫なのか。」

「それは私も思うわ」

ラムを見て青ざめる宇宙に珍しく共感するシャルト。これは誰が見たってきっと心配になるに違いない。

「主食が塩・・・」

ぽつりとステラが呟く。まだ確実な情報が無いからラムの言葉を頼りにしているが流石に主食が「塩」というのはどうもおかしい。塩が主食とはいえ、甘い物・辛い物が好物のようだ。しかし塩を口にする事が最も多い。

本当に大丈夫なの・・・確かに情報が少ないから何ともいえないけれど・・・。

ステラも心配している様子だ。

「ラム?」

心配そうに見るステラと青ざめるシャルト、宇宙をきょろきょろ見渡す。本人は何故こんなにも自分を見るのか疑問で仕方が無いようだ。

「まぁ仕方が無い。しばらく様子見る事にしよう。」

トュリは冷静にそう言う。

「本当にこんな険しい森にラァールクロウスの契約者がいるの。まったくいると思えないんだけど。」

怒っているのか眠いのかただ元からそういう表情なのか、ともかく表情や感情が感じ取れない雪乃。

完全に顔の筋肉が死んでいる。

「あぁ、間違いない。ラァールクロウスが近くにいたりすると僕はすぐ気配を感じ取るからな。」

「何で近くにいるのにここに来なかったの?」

ステラの一言でその場が静かになる。それに構わずラムは岩塩をガリガリと固い音を立てながら食べる。

「近くにいる事が分かったのは最近の話なんだ。」

「最近・・・?」

「お前が目覚める前まではラァールクロウスの契約者を一応探してたりはしてたんだ。でもまったく検討も付かなくてな、おまけに気配、匂いすら感じ取れなかった。」

目覚める前という事は・・・


「_私が目覚めた瞬間にラァールクロウスの気配を感じ取れるようになったって事?」


何となくで言ったがステラの言葉にトュリは頷く。やはり今回の事はステラと関係している。

 ステラが目覚めた時、ラァールクロウスの悪魔の気配が感じ取れるようになった。まるで何か仕組まれているような、封印が解けたようなそんな感じがした。

「ともかくお前の目覚めに関係している事には間違いない。だからさっそく一刻と何かが起こる前に契約者を集めるんだ。」

「なるほど」

ステラは納得する。

「でも案外近くにいたわよね。」

ウィリアムズ研究施設=トュリ達が就いている所の近く、アウル森の何処かに契約者がいるとは思いもしなかった研究員達。

「悪魔の罪の情報も感じ取れれば便利なのにな」

うんうんと宇宙が顎に手を添える。

「そうね」

「まぁ何処にいるのか分かるだけでも十分_」

トュリが言いかけたとき雪乃が口を挟む。

「あれ何」

雑談を一旦中止し雪乃の言葉に前を向く皆。

「え、どこ」

宇宙は目を細めながら雪乃に聞く。こうみえて目が悪いんだね。

「あそこ、ほら」

雪乃が目的の物へ指差すとあぁと見つけたのかその建物をじっと見る。

「こんな所(アウルの森)に家なんてあんのかよ」

迷いの森とも呼ばれる危険な森に家を建てたいとは思わないはず。なら妖精か誰かが住んでいるのか。

「もう少し近づく。」

「頼む」

「ラム!!!ラム!ラムラム!」

トュリが雪乃に頼んだ次にラムが暴れだしステラから離れ窓ガラスにべったりとしがみつく。何かを感じたのかラムは必死に「契約者!イル!」とステラに伝える。

「ラムが契約者がここにいるって言ってる。」

「ラムも感じ取れただと?やはりラァールクロウスと何か関係しているようだなラムも。」

トュリはラムを見つめる。

「ラム!」

「イル!」とトュリの言葉をスルーし必死に騒いでいるラム。

「トュリ、どうなの?」

「あぁ、ここに一人、いや二人・・・」

どうやら曖昧のようだ。

「二人だって」

ラムの言うとおりにトュリに伝えるステラ。

「二人か。雪乃ここでおろしてくれ」

コクリと頷き、険しい地面に合わせた車のタイヤが蜘蛛の足のようになっていた。その蜘蛛みたいな足は変形し元のタイヤの形に戻る。

 まったく気配があるのか分からない、ただ一つ分かる事といえば・・・


「赤い屋敷_」


薔薇の棘と絡み合う薔薇の花が赤い屋敷を囲むように四方八方。少々幽霊屋敷のような要素あり。とても大きな屋敷で入り口付近には一つのお墓があり、薔薇の赤い花が水と一緒に綺麗に添えられている。屋敷の敷地はかなり広く芝生で埋め尽くされ動物一匹すらいなくただアウル森の木が円を描くように囲んでいる。

 雪乃以外の皆は車から降りその大きな屋敷を眺める。

「間違いない此処だ。」

トュリは確信するように言う。

「今から屋敷の周りを少し調べる。敵の気配はないが十分に注意しろ」

トュリの言葉に全員が唾を飲み警戒する。

敵の気配が無いという事は契約者二人は屋敷内にいるということ、昨日トュリが言ってた通りかならず契約者が見方とは限らないから十分に注意しようと目を鋭くするステラ。

 その途端、大きな黒い扉がギィと音を立てゆっくりと開く。ラムはステラの腕の中、トュリはすぐさまステラの近くへ駆け寄り前へ立ち塞がる。シャルトも宇宙も一歩下がり警戒する。

「・・・」

中から姿を現したのは_

「あら、お客様ですか。これは珍しい」

肌がとても白く髪はくるくると巻いたツインテールに白髪。髪を結ぶ赤いリボンが実に可愛らしく特徴的。フリフリとした黒いお嬢様のような服装もまた特徴的だ。一度見たら忘れられないくらいだ。

 しかし無表情で淡々と喋る彼女。その人形のように顔が整った表情にはとても勿体無く感じる。

「私は攻撃したりしません。敵でもまた見方でもありません。どうぞお入りください。」

丁寧に迎え入れてくれたのは有難いが全員予想外の言葉に更に警戒心が高まる。

「どうしたのですか?」

屋敷内に入ろうとしていた彼女が振り返り無表情で全員に問う。「大丈夫です」と彼女は言い警戒しつつも中に入るステラ達であった。


「_邪魔者が来た」

暗い部屋で小さい光が射す窓から覗き、ステラ達を睨む謎の少女であった。

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