ユメミグサ
にごたんと言うお題企画で二時間半で書いたものです。
お題は、パラダイムシフト 妄信的崇拝 夢見草の3つです。
パラダイムシフトによって、《《アンドイド》》化が可能となり、平均寿命が150年に伸びた。
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「お父ちゃん、怖いよ、もっとそっと投げて!」
リノンは、取り損ねて、転がったボールを父親のカールに、投げ返す。
「そうか、ほらよ」
またしても、びゅっと風を切ってボールは飛んでいく。
中高と野球をやっていたカールには、2人の子供相手だとしても、手加減して、緩いボールは放れないのだ。
今度は妹のリオンが、顔のそばに来たボールをグローブで叩きおとしていた。
「怖いよー!もっとそっとだって!」
リオンもキイキイ声をあげる。
「そっかあ、じゃあ終わりにするか」
父親のカールはちょっと残念そうに言った。
▽
「「お父ちゃん!しっかりして!」」
「リノン、リオン。夢見草ってのがあってな。アンドイドの俺たちでも、その花の蜜を吸うと、夢を見ることが出来るんだ。お父ちゃん、夢見草の蜜を吸って夢を見るのが夢だったんだ。もう叶いそうもないがな」
カールはそう言ってから息をしなくなった。
「お父ちゃん!わぁーん!」
妄信的崇拝をしていた父親を失った妹リオンは、カールの胸にすがりついて泣きじゃくる。
「リオン、私たちで夢見草を探して、花の蜜を吸って夢をみましょう。きっと、お父ちゃんも夢で蜜を吸えるわよ」
リオンは、涙をぬぐって「出来るの?」と姉に聞く。
「出来るの?やるのよ」
姉のリノンは、パソコンを立ち上げて、夢見草を検索する。
夢見草
アンドイドも夢を見ることが出来る花の蜜を生み出す。年々、夢見草の枯れ死により、花の蜜は手に入りずらくなっている。
「それじゃ、困るのよ」
リノンのスカートの裾を引っ張る気配に眼をパソコンの画面からはなし振り向く。
「過去に行けばいいじゃない。おうちにタイムマシンあるでしょ?」
「タイムマシンで過去へ行ってはいけない決まりでしょ?タイムパトロールに捕まるわ」
「捕まったら、ごめんなさいすればいいの。それに、タイムパトロールって人手不足って聞いたわ」
姉のリノンは、しばらく考えた。
「それしか方法はないわね。じゃあ、過去へ行くわ」
▽
リノン、リオンは、二人乗りの自転車のタイムマシンに乗る。クラッチを100年過去にセットして、自転車を漕ぎ出した。
▽
二人は、自宅から初めての電車にワクワクしながら乗り、上野公園についた。あたりは、人でいっぱいだ。
「どうしよう?」
「猫に変形しよう」
二人の姉妹はたちまち二匹の猫に代わる。二匹は夢見草の幹をよじ登って枝の花にたどり着く。
アンドイド猫でも夢を見ることができるかしら?ええい、ままよ。
リノンとリオンは、顔を寄せ合い花の蜜をすすった。
▽
「お父ちゃん、怖いよ、もっとそっと投げて!」
「そうそう。そっとよ」
「そっかあ、わかった」
父親のカールは、ボールを大きく弓なりに放った。
ユメミグサは桜の異名です。アンドイドはアンドロイドの打ち間違いだったのですが、まあ、近未来SFだし、アンドイドでもいいかと思い直しませんでした。




