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7 村

 村の様子がおおかた目視できそうな所まで来た。出入り口らしき所に門番だろうか、革鎧装備の男が2人立っている。手には長い槍らしき武器を持っている。

《人がいますね》

 うんうん、ほんとに人がいる。当たり前のことなんだろうけど、なんか嬉しい。

《大きさ的には村のようですけど。町のように綺麗な建物が並んでいますよ》

 そのようだな。

 しかしあの門番には違和感があるな。周りの塀が低いのにあの門だけ見張っていて何か意味が有るのか?

《アース、塀は低い訳ではない見たいですよ》

 ルナに言われて見てみるが、まだ遠過ぎて俺には分からない。それでも目を凝らしてよく見ていると、だんだん見えるようになった。

《望遠機能が解放されました》

 塀は白色をしており、高さは1mに満たないように見えるのだが、その上にはさらに透明な塀が続いていて、実は3mほどの高さの塀になっていたのが分かった。

 ガラスか?

《材質はなんとも》

 防衛と見通しを両立させているということか。凄いな。


 そうこうしている内にどんどん近づいて行く。ほらほら、ボロボロの服を着た怪しい野郎が近づきますよー。


 目の前まで近づくと、門番の一人がこちらに向かって声を掛けてきた。見た目腰の低そうな人だ。ちなみに、もう一人は怖そうだ。


「ようこそロネス村へ。入村ですか?」


「は、はい」


「では、身分証の提示をお願いします」


 やっぱり必要だったか。

「身分証は持って無いのですが。ダメでしょうか?」


「鑑定石板で確認させて頂ければ仮身分証を発行できますよ。レベルまで見えてしまいますが、どう致しますか?」


 え、鑑定石板? これはまずいか?

《大丈夫。ステータスが表示されるだけです》

 ルナのお墨付きを貰ったので大丈夫だろう。

「では、それでお願いします」


「仮身分証の発行に手数料として銀貨3枚、つまり3000エルが必要になりますが。よろしいですか?」


 これもやっぱりかー。

「お金もありません」


「そうですかー。それは厳しいですねー」


 困った。なんとか負けてもらえるよう頼むか。

《アース、魔石が売れると思います》

 お、そうだな。交渉してみよう。


「ゴブリンの魔石で払えませんか?」


「ゴブリンの魔石ですと、1つ400エルぐらいですので、えっと……8つぐらい必要になりますが」


「そのくらいは持っています」


「お持ちですか! それでは、こちらへどうぞ」


 え、どう見ても持ってないだろ。手ぶらだぜ。どこに持っているか聞かないのか普通。

 言われるまま付いて行き、門のすぐ横の小さな小屋に入る。


「まずは、鑑定致します。この鑑定石板に手を置いてください」


 手をそっと置く。一瞬白く光って消えた。その後、手をどけるよう言われた。

 手をどけて石板を見ると、俺のステータスが表示されている。


「アースさん、21歳、レベル24、犯罪歴なし。ですね。問題有りませんね」

 そう言うと、横のほうから手の平ほどの大きさのカードを取り出し、石板に載せる。するとそのカードが一瞬白く光って俺の名前がカードに表示された。

 おおー。


「これが仮身分証になりますが、お支払いがまだなので、まだお渡しできません。魔石の換金に行きましょう。こちらです」


 そう言って、一旦小屋を出て、暫く歩き別の小屋の前に行く。

 案内所ってかいてある。小さなタバコ屋みたいな構造だ。カウンター越しに若くて可愛らしい女性が一人座っていて、こちらに笑顔を向けている。


「ここで魔石を換金することができます。アンナさん、魔石の換金をお願いします」


「はい。それでは魔石をここに並べてください。品質を確認して換金します」


 ここでか。イキナリ手に現れると驚かれるだろうし。

 ボロ服の穴が開いたところから、右手を懐にそっと入れる。ルナ、魔石を5つだ。

 懐から5つの魔石を取り出し、並べる。

 特に驚かれていないし、大丈夫そうだ。もう5つ取り出し並べる。これは厳しいか。しかし、案内員のアンナさんは笑顔のままだ。


「この10個でよろしいですか?」


 えー、どう見ても懐にその量は入ってるように見えなかっただろ?

「えっと」

 さらに、追加で5つ並べる。

 まだ笑顔だ。

 それならばと、顔色を伺いながら次々と出して、合計、ゴブリン75個、オーク15個を出して並べた。と言うより、山積みだ。

 ハアハアハア。これでどうだ。気疲れした。残りは端数のゴブリン3個とオーク1個があるが、もういいだろう。

 って、笑顔だし。

 どっから出したんですかーこんなに沢山!ってツッコんでよ。


「以上でよろしいですか?」


「は、はい」


「それでは品質確認しますので、お待ち下さい」


 そう言って、目の前で何やら先程の鑑定石板に似たものに1つずつかざし始めた。1つかざす度に石板が一瞬光る。

 なんか、スーパーのレジのようだ。



 ふと横をみると、先ほどの門番は山積みの魔石を見ながら驚いた顔をしている。

 あー、こっちの人はまともそうだ。だが、やり過ぎたか。怪しまれそうだ。


 門番が声を上げる。

「良くそんなに沢山溜めましたねー」


「え、ええ、まあ」

 って、そっちか。

 どこから出したか聞かないのかよ。


「ポケットも無さそうだし、どこに持っているのかなーと思っていましたが、マジックバッグは懐にいれてたんですね」


「え、ええ、まあ」

 マジックバッグ? 何それ?


 ルナ、マジックバッグって何? 知ってる?

《亜空間収納袋ですね。私が知っているのは大掛かりなもので、とても人が持ち運べるものではありませんでした。進歩して小型化されて一般的になったんですかね》

 なんかカルチャーショックだ。もしかして俺って田舎者なのか? 確かに半月前に山から出て来たばかりなんだけど。


 唖然としていると、アンナさんが声を掛けてきた。


「確認終わりました。品質が良いのがそろっていましたよ。合計4万8223エルです。どうでしょうか? よろしいですか?」


「はい、それでお願いします」


 金貨4枚、銀貨8枚、それと大きさの異なる銅貨を2枚、2枚、3枚と渡された。。それぞれ、10000、1000、100、10、1の刻印がある。

 大きさやデザインはそれぞれ違うが、大きくても2cmほど、薄さは1mmに見たない。ルナにも見てもらったから間違いない。

 その内の1000の刻印のある銀貨3枚を門番に渡す。


「確かに受け取りました。それではこの仮身分証をお渡し致します。アースさん、ようこそロネス村へ」


「ありがとうございます」


 身分証を受け取り、手に持つと、白く光り、名前が表示された。

 すげー。


「身分証は仮ですが、正式な身分証と同じくサイフ機能が付いてますので、ご利用ください。ただし、正式版と違い20万エルまでしか入りませんのでご承知ください」


「え? サイフ?」


「サイフ機能です。知りませんか?」


「身分証を持ったのは初めてなので」


 そう言うと、門番は身分証の説明をしてくれた。

「身分証は、本人が持つと白く光り名前が表示されます。犯罪履歴がある場合は赤く光ります。よって、これで身分証明になります。また、このロネス村では入出を管理する関係上、入出時に門に設置している石板にかざして頂く決まりになっていますのでご承知ください。なお、正式版は町など大きな所でないと発行できません」


 サイフ機能については、門番自身の身分証を取り出して実演してくれた。それを見ながら俺も自分の身分証で同じようにやって見る。

 閉じたノートを開くように身分証を開くことができ、開いた中には袋状の立体的な空間が広がっていた。

《亜空間ですね》

 そこにお金をじゃらじゃらと入れることができ金額も表示される。閉じれば、もとの薄っぺらいカードで、重量もただのカードだ。本人しか開けられないとのこと。

 その亜空間にはなぜかゴブリンの魔石らしきものが1つ入っていた。身分証と亜空間の機能維持に魔力が必要なのだそうだ。普通に使う分には1年ほど持つらしく、魔石の効果が切れると警告が表示されるが数日は使えるのでその間に取り替えれば良いとのこと。ただし、開けたまま放置すると1日持たないので注意が必要だ。身分証の機能だけなら本人の魔力だけでも使えるらしいが、俺には無理そうだな


 さらに、店にもよるそうだが、石板にカードをかざすことで支払いもできるとのこと。その場合は、支払いとお釣りが自動でやり取りされるそうな。偽造貨幣には反応せず偽造貨幣防止にもなるのでほぼ全ての店で導入されているという。

カルチャーショック過ぎて死にそう。寿命無いけど。



 こうして、俺はショックを受けながら初めての村に入ることができた。村の名前はロネス村、新たな地名がマップに追加された。



 あれ? ボロボロな服は特にツッコミ無しだったなぁ。





 さあ、お金も入ったし、まずは服を買いに行くか。ボロボロだし。

 そう思い、周りを見渡すがどの建物が服屋なのか分からない。

《綺麗な建物が一杯並んでいますね》


 案内所のアンナさんに服屋の場所を聞いてみるか。

「すみません。服が欲しいのですが、服屋ってありますか?」


「え、服屋はありますけど……、今から行くんですか?」


「そうしようかと思いますが、問題ありますか?」


「失礼を承知で言いますが、身なりがかなり汚れていますので、そのまま行かれるのはちょっとどうかと思いますよ」


「……ですよね。でも、この服しか無いのでどうしようもありません」


「ん~と、宿とか決まっていたら、そこで取り敢えずシャワーとか浴びて、服を貸してもらってから行かれてはどうですか?」


 確かにその手があったな。しかし。

「宿は決まってませんし、この身なりだと宿屋にも断られる可能性が……」


「じゃあ、ちょっと待っててもらえますか?」


 そう言って、アンナさんは小屋の奥に入って行き、1分ほど待つと戻って来た。

「お待たせしました、アースさん。この道を真っ直ぐ行って、突き当りを右に曲がるとすぐに宿屋がありますので、そこの宿にしませんか? 話をしておきましたので断られることはありませんよ。服と靴も貸してくれます」


「え、ほんとですか。ありがとうございます。じゃあ、早速行きます。ありがとうございました」

 話をしたって、電話とかもあるのだろうか。


 取り急ぎその宿に向かう。そんなに長い距離じゃないが、やはり身なりが変なのだろう人にジロジロ見られる。周りの景色を楽しむ余裕は全く無く、下を向きながらちょっと小走りで宿に向かう。

 突き当りを右に曲がると聞いていた宿屋の名前が見えた。ここだな。

 宿の扉は開いていたので、急ぐように飛び込んだ。

「すみませーん」

 と、目の前に女将さんらしき人がいた。

「いらっしゃいませ…… えっと、アースさんですよね。話は聞いてますよ」

 女将さんはちょっと驚いた顔をしたが、こんな泥だらけの俺にも丁寧な態度で接してくれた。


「よろしくお願いします」


「お手続きを先にお願いしますね。何泊しますか? 1泊4000エルで朝食夕食付ですよ」


 何泊? 考えてなかった。お金の残りを考えると、えーと。

「じゃあ、5泊でお願いします」


「はい。5泊ですね。ちょっと待ってくださいね。では、こちらで2万エルで前金でお願いしますね」


 女将さんがカウンターの中に入った後に手で指し示された先には石板がある。

 お、これがさっき言ってた石板だな。懐から身分証を出してかざすと一瞬光った。身分証には【出金:2万エル】と表示された。


「確かに2万エル頂きました。では早速お部屋に案内しますね。お二階になりますのでこちらへどうぞー」

 女将さんについて階段を上り、部屋の前まで案内してもらった。

「こちらです。分からないことはいつでもお尋ね下さいね。それではごゆっくりー」

 俺が無事に部屋に入るのを見届けてから女将さんは戻って行ったようだ。部屋まで案内してくれたのは、親切心というより、不審者の連行みたいなものなのだろう。まあ、こんな身なりの俺が一人で宿内をうろうろしていると完全に怪しすぎだもんな。


 今日から暫く住むことになるこの部屋の中を一通り確認してみる。

 部屋はワンルームで、ベッドと机、椅子があり、シャワールーム、トイレ、冷蔵庫がある。照明も普通にある。

 貸して貰えることになっていた服と靴とそれに下着までもが綺麗に畳まれた状態で机の上に用意されていた。


 壁は白っぽく、床にはグレーの絨毯が敷いてある。

 何年も経っているためか、ところどころ汚れているところは有るが、全体的に小奇麗というイメージだ。

 まあ、この部屋で一番汚いのは俺だな。


 さて、まずはシャワーを浴びよう。湯船は無く、ちょっと広めのシャワールームがあるだけだ。

 クリーニングがあるので要らないかとも思ったが、部屋でクリーニングを使うと泥が部屋に落ちるので、シャワールームで行うことにした。


 シャワールームの中で汚れた装備を下に置き、服や靴も脱ぐ。続いてクリーニングで体の汚れを落とすと思った通りシャワールームが泥だらけになった。

 シャワーの取手部分にダイヤルがあり、それを回すとお湯が出て来る。このダイヤルで水量も調節できるようだ。

 シャワーで床に散らばった泥を流したが、試しにと思い備え付けの液体石鹸で俺自身を洗いシャワーで流してみた。う~ん、クリーニングの方がサッパリ感がいいなぁ。

 ついでに汚いボロボロの服と靴を石鹸で入念に洗った。木刀、剣、木製スコップも水洗いした。


 武器などはシャワールーム内に立て掛けて、洗った服を部屋の中に干した後、借りた服に着替える。

 少しゴワゴワしている生地でできていて、袖が肘までの前合わせ型の上衣と、ゆったりとしたズボンだ。

 色合いは少し地味で、簡素な感じだが、宿の中や近所をうろつくぐらいなら問題なさそうだ。

 懐を使ってルナと異空間の物をやり取りするので前合わせの上衣だったのはありがたい。

 靴もピッタリだ。


 ベッドに横になり、ちょっとのんびりしてみる。久しぶりのベッドだ。ふかふかで気持ちいい。

 部屋の大きさは、ベッドをもう一つ置いても問題なさそうなくらいで、意外と広く感じる。



 さあ、服屋にでも行くか。って、服屋の場所聞くのを忘れていた。

 女将さんに聞くか。

 木刀、剣、スコップは残したまま部屋を出てロビーに向かう。


 ロビーに行くとアンナさんがいた。アンナさんは女将さんとなにやら楽しそうに話しをしていた。


「あれ、アンナさん」


「え、あ、アースさん?」

 何故かびっくりしたような顔だ。

 ちょうど良かった服屋の場所を聞ける。


 女将さんも少し驚いたような顔をしている。

「これは驚いたわねー。さっきは泥だらけで分からなかったけど、綺麗にするといい男じゃないの。アンナは見る目があるわねー」


「何言ってんのよ、母さん!」


 アンナさんと女将さんはどうも親子らしい。


 女将さんの勧めでアンナさんに付き添って貰って服を買いに出掛けた。歩いて10分ほどのところにあるらしい。



 道中、俺はキョロキョロと村の様子を見る。

 道は適度に広く、レンガだろうか綺麗に敷き詰められていて歩きやすい。

 周りには大小の民家や商店が立ち並んでいる。木で出来た家や、レンガ作りの家など様々だ。ほとんどが2階建てだ。生前に見ていた街並みとそれほど変わらない。

 家の周りに花を植えていたり飾ったりと綺麗にしている。

 すれ違う人も結構いて、皆、身だしなみは綺麗だ。さっきまでの俺はどう考えても浮きまくりだったことだろう。時々アンナさんは行き交う人と挨拶を交わしていた。宿屋の娘ということで知人が多いのだろう。

 街灯も設置されているようで、治安もしっかりしていそうだ。

 ただ、背景には山が大きく見えており、塀で囲まれた村だということを思い出させる。



 街並みに感心しながら10分ほど歩くと、服屋に到着した。

「ここですよ」

 扉はガラス張りで、中の様子が伺える。アンナさんが扉を開けて入り、俺もそれに続く。

 この服屋では、普段着を主に扱っているようだ。いろいろ売っているが、俺は安いものを希望した。

 試着をさせて貰えたので、こっそり服にもエナが流れるか確認。エナが流れ易いのを優先し、あとは値段と形だ。

 服にエナを流すのは単なる思い付きだったのだが、イザという時、エナさえ流せるなら安物でも破れることは無くなるだろうという考えだ。


 結局選んだのは、お腹あたりに両サイドから手を入れることができるポケットのついた袖が肘までの上衣と、ジーンズのような生地の裾が若干細いズボン。それにベルト代わりの紐と、ローブーツを購入。

 木刀を背負ったり、剣を腰にぶら下げたりするので、予備も含めて紐は3本購入。

 アンナさんはすごく似合っていると言ってくれたけど、まあ社交辞令だろう。

 下着は同じものを3セット購入した。俺の体質上汚れることは無いので1セットでも良かったのだが、毎日同じだと白い目で見られそうだし。まあ、実際には1セットしか使わないだろうから後は予備だな。


 お金に余裕ができた時に服も後2着ぐらい買っておくようにしよう。服はずっと同じだとばれるし、いくら綺麗でもだめだろう。

 全てエナが流れ易い素材だ。若干負けてもらって合計8000エル、安かったと思う。

 購入した一式は、この店のロゴが入った綺麗な紙袋に詰められて手渡された。

《下着は試着しなくて良かったのですか?》

 当たり前だ!



 さて戻るかと、店を出たところでアンナさんが「ぅわっ!」と何かに驚いたような声を出した。

「え?」

「あ、ごめんなさい。ポタメです。アースさん、ちょっと待ってもらっていいでしょうか」

 ポタメ? なんだポタメって?

《さあ、何でしょう?》

 そう言うと、アンナさんは、バッグから何やら取り出した。スマホ? どう見てもスマホだ。

 アンナさんはそのスマホらしきものを見ながら何やらぶつぶつ言っていて、暫くするとスマホをバッグに仕舞った。

「お母さんから買い物を頼まれちゃいました。すぐ買って来ますのでちょっと待ってってもらっていいですか?」

 そう言い再度店に入っていき、少し待っていると戻って来た。

「お待たせしました。じゃあ帰りましょうか」


「そのポタメって何ですか?」

「えっと…… 持ってませんか?」

「はい」

「んと、遠くの人と話ができたりする装置なんですよ。正式名称は、確かポータブルメッセンジャーだったと思います」

「へー、便利な物が有るんですね」

 やっぱスマホか。

「呼び出しがあったり、メッセージが届くと音で知らせてくれるんですよ。さっきは音を大きくしていたのを忘れててびっくりしちゃいました。すみません」

「いえいえ。でも、俺には音は聴こえませんでしたね」

「え? ああ、その音は本人にしか聴こえないようになっていて、あと話をする時も念じるだけなので会話も漏れることは無いんですよ。でも私ってつい声に出してしまうことが多くて……ダメですねー」

 そう言いながらアンナさんは笑っていた。

「……それは凄い装置ですねー」

「ええ、まあ凄いかどうかは分からないのですが、便利ですよ。みんな持ってますし」


 スマホの超進化版か! この分だと、ポタメには他にもいろんな機能が有るんじゃないか?

 かなり興味が湧くなぁ。というか欲しいぞ。

《アース?》

 ん?

《スマホってなんですか?》

 ……そこからか。




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