3 エナ
とりあえず、どんどん見て行って、気になったものはメモに残して後から確認するか。
<クリーニング:1>
・機能レベルは1です。
・実行することにより体についた汚れを落とすことができます。
・レベルが上がると常時ONも可能です。
・装備など、体以外の汚れは取ることができません。
<暗視:1>
・機能レベルは1です。
・暗闇でも見ることができます。
・レベルが上がるほど明るくはっきりと見ることができます。
次は、AIサポート。
<AIサポート>
・マップ
・情報解析
・表示レイアウト
<マップ>
・AIが蓄積したマップを表示します。
・一度通ったことがある場所であれば大きさや形も含めて正確に表示できます。
<情報解析>
・AI辞書などのAIの記憶から検索、解析、統計など情報を表示できます。
<表示レイアウト>
・指定したステータスなどの情報を邪魔にならない範囲で目の前に常に表示することができます。
次、EP。
<EP>
・EP:104/104
・EPとは、エナポイントのことを言います。体内にどれだけのエナを蓄えているかをポイントで示します。
・エナは、エネルギーの一種と考えられています。
・現在のエナは104、EP最大容量は104です。
・エナは、体を維持するためと、機能を利用する場合に使用し、使用した分が減ります。
・エナを使用したことによって減少した場合でも、現在のEP最大容量までは休むことで自動回復します。
・EPは、周囲の魔力や、摂取した食物などをエナに変換することで生成されます。
・EPが0になると機能停止します。
・EP最大容量は、一日におおよそ140ポイント増加します。
このエナが俺の動力源ってことだな。
次は自己診断。
<自己診断>
・異常なし:機能低下、欠損などの異常はありません。
最後にステータス。
<名前:(なし)>
・名前はまだ決まっていません。
・名前を決めることができます。
名前を決めれるのか。町とかに行くと必要そうなので、後から決めるか。この世界でもおかしく無い名前がいいだろうな。
<種族:人間/クォーターエルフ>
・主な種族は人間です。
・エルフの血が4分の1混ざっています。
そういう設定だな。でも何故エルフを混ぜたのだろうか。それが一般的なのかな?
《一般的では無いですが、いない訳ではありません。少数派ですね》
<性別:男>
・性別は男です。
まあ、その通りか。
<年齢:21歳>
・年齢は21歳です。
・誕生日は不明です。
21歳か。前世よりも10歳若返って得した感じがするな。
ただ、誕生日が不明って。今日が誕生日っていう訳でも無いのか?
《私も停止していたため、今日が何年なのか、何月何日なのかは分かりません。なお、製造年は、1200年です》
なら、誕生日に1200年と出ても良さそうだけどな。
《21歳に合わせるために、現在の年から逆算されて設定されることになります》
そう言うことか。今はいったい何年なんだろうか。
<職業:(なし)>
・職業はありません。
プー太郎ってことだな。
<レベル:9>
・レベルは9です。強さを数値で示しています。平均的な人間の9歳と同等の強さです。
ま、これからだな。
<HP:18/18>
・HPは18です。平均的な人間の9歳と同等です。
・一般論ではHPが減ると動作困難になり0になると死亡となります。
まあ、そんなところか。
<MP:9/9>
・MPは9です。平均的な人間の9歳と同等です。
・一般論ではMPが減ると動作困難になり0になると行動不能となります。
俺もMPが0になったら動けなくなるのか?
《いいえ、動けます。エナの方が重要です》
すると、エナが0になると動けなくなるのか?
《その通りです。行動不能になります》
ん~、よくわからんがメモしてまた後から聞くか。
ん? そうするとレベルも重要じゃ無いのか?
《いえ、レベルは人間のレベルとほぼ同等の意味を持っていて、強さの指標になります》
鍛えれば上がるってこと?
《その解釈で概ね合っています》
レベルが上がった時に何か変わることがあるのか?
《特に変化が有る訳ではありません。ただの指標ですので》
でも、レベルが上がるんだから何かあるだろ? 例えばその瞬間に能力が飛躍的に向上するとか。
《特に無いです。レベルがポンと上がる訳ではありませんので、そのレベルに到達したと言う方が適切な表現かもしれません》
ああ、なるほど…… 納得はしたが少し残念だな。
<スキル:(なし)>
・使えるスキルはありません。
<魔法:(なし)>
・使える魔法はありません。
ま、……これからだな。
スキルとか魔法とかの単語はなんかワクワクするなぁ。
というか、スキルとか魔法とか俺も取得できるもんなのか?
《取得できません》
えっ、機能で代用ってこと?
《機能で代用ってことです》
ちょっとした生活魔法とかなら?
《不可能です》
……
マジかー。
《マジです》
なんか寂しいね。
《どんまい》
次は、俺の容姿を確認したいのだが。
鏡とかないかな? 部屋の中を探そうとするが、鏡どころか何も無いのを思い出し探すのを諦める。
AI! 俺の全身を表示できるか?
《可能です》
次の瞬間、目の前に一人の人間の3D画像が表示された。
《設計図と現在の状態から正確に再現し表示しました》
これが俺か。意外とよさ気だ。
目の色は青い。人間で青いのは普通か?
《普通です。青以外にもいろいろな人がいます》
耳は少し尖っているように見える。エルフの耳なのか?
《人間の耳よりも若干尖っていますが、エルフほどではありません。クォータエルフの設定なので、尖り具合いが控えめになっています》
確かに若干って感じだな。
《注目を集めるほどでは無いレベルです。尖っていると言われなければ気づかない人の方が多いでしょう》
注目ね……
髪は金髪で、髪型は短くカットされていて上を向いている。
全体的に良い顔だと思うが、一般的な顔か?
《一般的な人間の感覚では良い顔の部類に入るようです》
あ、声はどうだろ?
「声はどうだ? 俺の声はおかしくないか? うまく喋れてるか?」
《特に問題はありません》
《どちらかと言うと良い声だと思います。勇者でもおかしく無い声質です》
……
ほんとかよ。煽てても何も出んぞ。
ところで勇者って? 居るのか? 居たのか?
《ただの例えです。架空の話には出てくるようです》
なんだ、そう言うことか。
体を見る。
裸で表示されているので、体型や筋肉のつき方とかが良く解る。
肩幅はそれなりに有って、若干細いが意外と鍛えているのかもという感じだ。
《標準体型よりも細めの設計です》
股間を見る。普通に付いている。
《キャッ》
えっ?
今キャッって言ったよな? AI!
本当にそう思ったのか? ウソつくなよ。元々お前が表示したんだろっ!
《点点点》
点点点って声に出して言うか普通。
ったくー。何考えてんだか。
あとは、手とか足も見るが普通に人間のようだ。
AI? 全体的に見た感じで普通の人間と異なっているところはあるか?
《耳が少し尖っている以外は普通の人間のようです》
まーそれなら人前に出ても大丈夫そうだな。
《股間も普通です》
あーはいはい。わかったわかった。
さっきメモしたものを確認していくか。
メモを表示してくれ。
表示されたものをざっと見て、エナについては確認したが、それ以外はまだなので1つずつ確認するか。
AI! 取り敢えずエナについてはさっき確認したので、そのメモは削除してくれ。
《承知しました》
《メモを全て削除しました》
えっ!
全部削除してどーすんだよっ! アホかー復元しろーっ! 復元っ!
《ウソでした。エナに関する項目のみを削除しました。てへっ》
こ、こいつっ。
しかも、てへって。壊れてんのかこいつ。
……
まあ、いい。
まずは、そうだな魔力の正体を聞こうか。
<魔力>
・魔力の説明の前に魔素を説明します。
・魔素は、マナとも呼ばれます。一般的にはマナと呼ぶ方が多いかもしれません。
・魔素はあらゆる生物や物質に存在します。空中にも存在します。ただし、生物や物質毎に魔素保持量の大小が異なります。
・魔素は世界を構成する元素の1つと考えられています。物理的なものでは無いため見ることはできませんが、感じたり制御したりすることはできます。
・体内に保有している魔素量をMPと読んでいます。
・この魔素を感じる力、制御する力、また、魔素自体のことを総称して魔力と呼んでいます。
・スキルや魔法を具現化する際に必要とし、魔力を多く込めることで大きな現象を発生させることができます。
・魔力は空中では散在しますが、体内や物質内では散在しません。空中に放出するスキルや魔法では散在しないよう如何に制御するかが重要になります。
・魔力はゆっくりとながら下に降りていく性質があるため、ダンジョンなどでは地下に行くほど魔力が多く溜まっています。
・魔力が多く溜まる場所では魔物が自然発生することがよくあります。
・魔力は地表から地中へ土の僅かな隙間を縫って潜って行きますが、地中深くへは浸透しないようです。
分かったような、分からないような。
とにかく説明が長過ぎるんだよ。
何れにしろ俺には魔力は使え無いらしいので、聞き流す程度でいいか。必要になった時にもう一度聞くことにしよう。
次はHPとMPについて聞くか。俺のHPとかMPにはどんな意味があるんだ?
《HPは体の欠損状態を相対的に表します。HPの最大値には意味が無く、欠損が全く無い時を満タン、全て消滅すると0として割合で表示します。
そもそも全て消滅することは無いはずですので、HPが0になることは無いと思います》
仮に消滅して0になったらどうなる?
《よく分かりませんが、なんとかなるんじゃないでしょうか》
適当だなー。ホントになんとかなんのかよ。
まあいい。じゃー次はMPだな。
《MPは体に留まっている魔素の量を相対的に表します。MPの最大値には意味は無く、この体に留まっている魔素量が最大の時に満タン、無くなると0として割合で表示されます》
ほう。魔法が使えないのに一応MPはあるのか。
俺のMPは何に使えるんだ?
《使い道は有りません。魔素がただ単に体に留まっているだけです》
なんだそれ。
じゃあ、0になるとどうなる?
《この体では、魔素は必要としないため全く影響はありません。
ある意味、HPとMPは飾りですね。さっきも言いましたが、この体で重要なのはエナですので》
なら、エナが0になるとどうなる?
《強制的に行動不能状態に遷移し、エナ充填を再優先で行います》
ということは、HPもMPもEPも、全部0になってもどうにかなるってことか?
《その通りです》
やっぱよくわからんな。不死身みたいに聞こえるんだが?
《その解釈で合っています》
……
簡単に言ってくれるなぁ……
次のメモは、ん~どれにするか。プログラムは後日でもいいや。
どれにするか、そうだ、名前だな。名前を決めよう。
ん~何にしようか。
なかなかいいのが思いつかない。
AIなら何がいいと思う?
《え、私が決めてもよろしいのですか?》
とりあえず言ってみて。
《では、アースとかどうでしょう?》
考えるの速いなぁ。でも、なかなかいいかも。やるなぁ。
俺も考えてみるか。
《え、アースじゃダメですか?》
いや別にダメじゃないけど。別のも考えてみようかと。
《私はアースが良いです。絶対、絶対、絶対、アースがいいです》
やけに押してくるなぁ。
……
もしかして、決められるっていうのはウソで、既に名前って決まってるんじゃないのか?
《ギクッ》
……
ギクッって……
……
分かったよ。アースでいいよ、もう。
《わー、ありがとうございまーす。じゃー、登録しちゃいますよー? 後から変えられませんよー。後悔しませんねー?》
どうせ、アースしか登録できないんだろ? いいから登録しなよ。
《はーい。 じゃー、登録ー。ポチッ》
ポチッて……何押したんだよ。いったい。
《登録完了でーす。 見ますか? 見ますよね? じゃじゃーん》
<ステータス>
・名前:アース
・種族:人間/クォーターエルフ
・性別:男
・年齢:21歳
・職業:(なし)
・レベル:9
・HP:18/18
・MP:9/9
・スキル:(なし)
・魔法:(なし)
《わー。パチパチパチ。やったねー。ウフフ》
なんかAIほっとしてないか?
《え、そんなことないでふゅよ》
噛んでどうすんだよ。有りえんのか普通。
わかったわかった。登録完了ー。イエーィ。
《イエーィ》
《これからもよろしくね。アース》
……
ああ、よろしく。
さあ、名前も決まったし。
ん、そう言えば、AIも名前をつけるか?
《え、私にも名前をつけて頂けるのですか?》
ああ、そうだな。名前をつけた方が呼びやすいしね。
《是非お願いしまーす》
実は決まっているとか?
《いえ、私はマジで決まっていません》
……
マジでって。
やっぱ俺のは決まってたんだな……
じゃー何にするかな? 希望はあるか?
《いえ、アースが決めてください》
やっぱ、なかなか思いつかないな。名前つけるセンスないのかね俺。
なんか名前らしきものとかついて無いのか?
《バージョン番号とかならありますが》
言ってみ。
《R7型とあります》
R7か。
ん~そうだなー、ルナ、にするか。
《ルナ。いいですねー。ものすごくいいと思います》
じゃ、決まりだな。
登録しておきなよ。
《はーい。ポチっと》
だから、さっきから何押してるんだよ。
《改めまして、よろしくね。アース》
ああ、こちらこそよろしく。ルナ。
《ウフフ》