ある葬儀屋の話
葬儀屋の話
販売されている棺や墓石、様々な弔いの道具を販売する際に、例えば棺桶のサンプルなんかの中には、身代わりとなる形依が入っているのをしってるか?
そう、人のカタチに切られた紙だったりする、あれ。
まぁ、適当にぬいぐるみやマスコットキャラの人形だったりを使っちゃってるトコもあるみたいだけど。
それをさ、入れないとどうなるか、わかる?
…空っぽの棺桶とか墓石とかにさ、他のモノがはいっちゃうんだよ。
そう、その他のモノっていうのが、死んだ人の幽霊とか魂とかだっていうんだ。
そういうのが入らないようにさ、葬儀屋は先客を入れとくってわけよ。
でさ。話したい事ってのは、棺に入るっていう幽霊の方じゃなくて、その形依の方なんだ。
僕ら葬儀屋はさ、形依を、棺桶が売れる度に新しい棺に移し替えんのよ。
あっちからこっち、こっちからあっち、てね。
君は分かんないかも知れないけど、死人なんて普通に生きてりゃなかなか会わないしね、でも実は結構、人って死んでるのよ。
こんな商売だから、そりゃ毎日のように僕はそんな「お客さん」に会う訳さ。
で、そうやってお客さんに押しのけられて、何度も何度も棺桶に移し替えられていく形依って、どんな気持ちなんだろうな?
…今、君は、どんな気持ち?
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葬儀屋の話し相手は…。というオチです。
実際に日本でも、夫婦のどちらかが無くなった際に、あっちの世界で寂しくないように、身代わり人形を入れる事もあるようです。
考えてみるとピラミッドに埋葬されている人達も、身代わりの人形や生活道具や財産を入れていますね。
自分が死んだときに、棺桶に絶対入れてほしいものなんかを考えてみると楽しいかもしれないです。
きっと、今生きてて感じる自分の「大事なもの」が思いがけず分かるかもしれません。




