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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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二人の始動

新曲のレコーディングが終わると、ボレロのメンバーは雑誌の取材やテレビやラジオ出演などの仕事をしてい

「はぁ、休み欲しいな…」

と和が言うと

「何言ってるんだよ。一昨日休んだばかりだろ?」

と村上が言った。

「違うよ。綾子と一緒の休みですよ。全然休み合わないんだもん」

と和が言うと

「向こうもツアー始まったから忙しいみたいだもんな」

とタケは言った。

「ベストアルバムを世界発売したみたいでツアーの合間には海外行ってるし…過労死しますよ」

と和がブツブツ言ってると

「まぁ、ワールドツアーも決まってるし積極的にPR活動しなきゃならないからな」

と村上は言った。

「そうなんだけどさ。なかなか一緒の時間が無くて綾子が不足して俺はおかしくなりそうですよ」

と和が言うと

「何言ってるんだよ。来週からは一緒に仕事するだろ??少しは我慢しろよ」

と村上は言った。

「来週?それ仕事だよ。プライベートで会いたいよ」

と和はふてくされると

「来週?Speranzaと一緒の仕事なんて入ってるました?」

とカンジは聞いた。

「いや、和と綾子のユニットが動き始める事が決まってエンドレスってアニメ主題歌を作ることになったんだよ」

と村上が言うと

「へぇ、エンドレスってめちゃくちゃ人気の漫画ですよね?。一曲目からタイアップ付くなんてさすがだな。で、マネジメントは村上さんがするんですか?」

とカンジは聞いた。

「俺じゃなくて結城さん」

と村上が言うと

「えっ!結城さん!マジっすか?あの人、副社長になったんじゃないんですか?」

とタケが驚きの声をあげた。

「そうなんだけど、今回は結城さんがどうしても自分でプロデュースもマネジメントもやりたいって言ったらしくて」

と村上が言うと

「結城さんが、どんなワガママでも聞いてやるから遠慮するなって言うから結構ワガママ言ってるんだけど、大丈夫大丈夫って全部聞いてくれてさ…。あの人本当スゴいよ」

と和は言った。

「ワガママってどんな事を言ったの?」

とタケが聞くと

「さすがに無理だろうと思いながらもサポートメンバーには和樹と直則と蒼太を入れたいって言ったら、すぐに向こうの事務所に掛け合ってくれて

了解してもらってくるしさ」

と和は言った。

「マジ?あいつらそれぞれ他のミュージシャンのサポートもしてて忙しいんじゃないの?」

と由岐が言うと

「そうなんだけどさ。やっぱり結城さんは違うよ」

と和は言った。

「他には何か言ったのか?」

とタケが聞くと

「歌詞は英語で書きたいとか、初めての曲は二人の事を伏せてfateって名前だけで出して世間の反応を見たいって言ったら、面白そうだから全部やってみようって言うしさ。あの人、無理とかダメとか絶対言わないんだよ」

と和は言った。

「結城さんは、それだけお前たちを信頼してるんだよ。絶対に成功するって思ってるから何でも許すし…。fateが始動するのが楽しみだって張り切ってるからな」

と村上が言うと

「ユニット名、fateにしたの?spiralにするんじゃなかったの?」

とカンジが言った。

「うん。spiralだと頭文字がSperanzaと一緒だからやめた」

と和が言うと

「は?それだけの理由?簡単だな」

とカンジは笑った。

「そんな事を言ってたらボレロだってそうじゃん。名前なんて何でも良いんだよ」

と和がふてくされると

「でもさ、和と綾子が組んだらスゴいのが作れると思うけど、夫婦でユニットとか…良く思わないファンもいるんじゃない?」

とタケは言った。

「確かにな。お互いに人気あるしな。そのうえ夫婦で組んでまで稼ぎたいのか?って言う奴も出てくるよな」

と由岐が言うと

「それは覚悟してるよ。今まではそんな風に言われるのがボレロやSperanzaの活動にも影響したら困るって思ったから一緒に仕事してこなかったし…。でもさ、ここ一年ぐらいはもうそろそろ二人でやってもいいんじゃないか?って思うようになって社長に話をしたらボレロもSperanzaもそんなこと影響するわけ無いのにって笑われたよ」

と和は言った。


次の週、和と綾子は結城と一緒にアニメ制作会社に向かっていた。

結城が長年築いてきた人脈を使い、fateが和と綾子のユニットだと言うことは伏せて今度デビューする大型新人にアニメのテーマソングを作らせて欲しいと頼み込んで取ってきた仕事だった。

制作現場側からすると、原作漫画も大人気のものでやっとアニメ化にこぎ着けた物だったので、上の意見で聞いたことも見たこともないfateと言うミュージシャンの曲を起用するには少なからず不満は上がっていた。

打ち合わせの行われる会議室には、既にアニメ制作側のスタッフが集まっていた。

「fateなんてミュージシャン、名前も聞いたこと無いのに大丈夫なんですか?エンドレスは人気ある漫画だし映画化も決まってるんですよ。それを無名の新人がテーマソング作るとか…」

とスタッフの一人が言うと

「仕方ないさ。上の意向だし、ボレロやSperanzaがいる事務所にどうしても使って欲しいって頼み込まれたらしいから仕方ないんだろ?ここで恩を売っておけば、いずれはボレロやSperanzaも起用出来るようになるかもしれないし…。とりあえずどんな奴らか会ってみてさ。そいつら無理そうだったら、俺が上に掛け合ってみるから、とりあえず今日は会ってみよう」

とプロデューサーの佐々木は言った。

「それにしても遅いですね。こっちだって忙しいのに」

とスタッフが文句を言ってると

「まず社長に挨拶してから来るらしいよ。ほら、新人は権力ある人に媚び売らなきゃなんないから」

と佐々木はバカにした笑みを浮かべた。


社長室では和と綾子と結城とアニメ制作会社の社長前田が談笑していた。

「無名の新人を結城さんがマネジメントするって言うのも驚いたけど、どうしてもエンドレスのテーマソングをその子達に作らせたいって言うからさ。どんな子達を連れて来るかと思ったらナゴミ君と綾子ちゃんだったなんて驚いたよ。二人には何度か曲の提供してもらってこっちの方が世話になってるのに、何で初めから言ってくれなかったの?結城さんも意地悪だな」

と前田が言うと

「すみません。でも、二人でユニット組むのは初めての事ですし新人と同じですから」

と結城が言うと

「またまた、日本代表する二人がタッグ組んで何が新人だよ。こっちこそ、二人に作ってもらえるだけでも話題性あるし本当嬉しいよ」

と前田は笑ったが、和が少し難しい顔で話を切り出そうとした。

「実はお願いがあって…」

と和が言うと

「ん?何?何でも言っていいよ」

と前田は機嫌良く笑いながら言った。。

「実は…」

と和と綾子が顔を見合わせていると結城が

「前田社長には昔からいろいろワガママを聞いてもらってきてて、これ以上ワガママを言うのもどうかと思うんですが…」

と前田の顔をジッと見た。

「何?どうしたの?」

と前田が笑顔から真面目な顔になると

「実は、CD発売までfateが和と綾子のユニットだと言うことを伏せたいんです」

と結城は言った。

「えっ?何で?」

と前田が驚くと

「二人の名前を出せば話題性があるのは分かってるんですけど、私たちはナゴミと綾子と言う名前を出さずfateと言う新しいユニットの名前だけで世間がどんな反応をするか知りたいんです。CD発売日まではマスコミにも二人のユニットということは伏せますしプロモにも二人は出す予定はありません。どうでしょうか…」

と結城は言った。

「んー…。元々、新人を起用するって事だしうちは問題無いけどね。世間の反応ね…。誰が歌ってるかも分からないってのもミステリアスで面白そうだし、発売と同時に二人のユニットって知った時の反応も面白そうだし…いいんじゃない?うちのスタッフにも固く口止めしておくよ。その代わり、スゴい曲を期待しても良いんだよね?」

と前田は笑った。

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