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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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誕生日の出来事 2

綾子の実家の前を通ると

「奏、おまえの家通り過ぎてるぞ」

とさっちゃんが言った。

「え?…あぁ、俺さ自分ん家に戻ったんだ。だから、今日からはこっち」

と奏は自分の家の門を指差した。

「こっちって…」

と言ったあと奏の指差す方向を見て、琳たちはエーッ!と驚きの声をあげた。

「おまえの家って隣だったの?」

と琳が驚くと

「そんなことより、このバカみたいにデカイ家?3階建て?」

と勇次郎も驚き

「豪邸じゃん」

とさっちゃんも驚きの声をあげた。

「豪邸ってほどの家じゃないよ。琳とこみたいに庭無いし、家がちょっとデカイだけだよ」

と奏が言うと

「でもさ…。なんかいろんな意味で緊張してきた」

とさっちゃんは言った。

「俺も…」

と勇次郎が言ってると

「おい、おまえら人の家の前で何やってんだ?」

と深めにキャップを被った誠が話しかけてきた。

奏たちが振り向くと

「あ、なんだ。奏か?ギター持ってるからわかんなかったよ」

と誠は笑ったが、琳たちは突然現れた誠に驚いて身動きが取れなくなっていた。

「…おまえの誕生日だって言うのに出掛けてたのか?おまえ、まだ反抗期なの?」

と誠は言うと

「反抗期なんかじゃないですよ。母さんにも出掛けることはちゃんと話してきてるし」

と奏が言うと、誠は奏の側で緊張で立ち尽くしている琳たちを見て

「…誰?」

と聞いた。

「俺の友達。ばあちゃんが誕生日に来いって誘ってさ。来てくれたんだよ」

と奏が恥ずかしそうに言うと

「…そっか。おまえの友達か。良かったな」

と誠は奏の頭をクシャクシャと撫でてから

「だったら友達も一緒に早く家に入ってもらった方がいいんじゃない?綾子たち待ってるだろ?」

と言って誠は先に門の中に入っていった。

誠に続いて奏も門の中に入ると、琳が誠のシャツ引っ張って

「ちょっ…ちょっと待てって。何で誠までいるの?」

と小声で聞いた。

「何でって言われても奏は俺たちの子どもだからね。みんなで祝うって昔から決まってるんだよ」

と誠が笑うと

「俺たちの子どもって、勘違いされたら困るような言い方しないでよ」

と奏は言った。

「だって本当のことだろ?それに奏の誕生日は昔からずっと祝日と同じで仕事はオフでみんなで祝うって決まってるだろ?」

と誠が言うと

「え…?他にも誰か来るの?」

と勇次郎は奏に恐る恐る聞いた。

「まぁ…」

と奏が返事に困ってると

「そんな緊張することないよ。今日来るのはみんな気さくないい人ばかりだしさ」

と言って誠はインターホンを鳴らした。

琳たちは何の前触れもなくインターホンを鳴らす誠に、ちょっと心の準備をさせて欲しかったと思ったが言える訳もなく奏と誠の後ろに緊張で震えながら立っていた。

「はい」

と綾子の声がインターホン越しに聞こえると

「あ、誠だけど。家の前で奏に会ったから一緒に来たんだけど」

と誠は言った。

「今、ドア開けるからちょっと待っててね」

と言う綾子の声が聞こえると

「琳、綾子がドア開けるって言ってたぞ」

と勇次郎が緊張した顔で言った。

「わ…わかってるって…」

と琳がブルブル震えながら言うと

「そんな緊張することないだろ?本当、普通のおばさんだから」

と奏は言った。

「いや、それでもさ…。奏の母さんって言うのもわかってるけどさ…。綾子だよ?俺、めちゃめちゃファンなの知ってるだろ?」

と琳が言ってると家のドアを開ける音がした。

「!」

「!」

「!」

琳たちは心臓が飛び出てしまうのではないかと思うほどドキドキしながらドアが開くのを待ってると

「よう、遅かったな。もうみんな来てるぞ」

と言って相川がドアを開けた。

「…」

「…」

「あ…。この前の…」

と琳たちが呆気にとられた顔をしていると

「ん?どうした?」

と相川は言った。

「綾子が出てくると思って期待してたら相川さんが出てきて残念だったみたいだすよ」

と誠が笑いを堪えながら言ったので

「はぁ?綾子?中にいるけど?」

と相川は意味がわからないって顔をした。


「お邪魔します」

琳たちは広々とした玄関で靴を脱ぎながら、緊張した声で言った。

「そんな緊張することないから」

と誠が言うと

「いや…はい。…でも」

と勇次郎は誠に話しかけられた緊張で手を震わせて言った。

「奏、おまえの友達おもしろいな」

と言うと誠は相川と一緒に大きなドアを開けて部屋に入っていった。

「奏、おまえの家スゴい玄関広いな」

と勇次郎が言うと

「そんな事ないよ。一階は玄関とダイニングキッチンとリビングしか部屋無いし」

と奏は言った。

「そうなの?じゃ、こっちのドアは?」

と突き当たりにあるドアを指差して琳が言うと

「それは地下に行く階段だよ」

と奏は言った。

「地下?」

と琳が聞き返すと

「うん。地下に父さんと母さんの仕事用のスタジオあるんだけど、鍵が掛かってて俺も勝手には入れないんだ」

と奏は言った。

「地下にスタジオ…スゴいな」

と琳が言うと

「おい!おまえらいつまでそこにいるんだ?早くこっちに来いよ」

とリビングのドアを開けて相川が言った。

「すみません、今行きます」

と奏がドアの方へ行くと

「ちょ…ちょっと待てよ」

と言って琳たちが奏の後ろを緊張で真っ赤を通り越して真っ白な顔をしてついてきた。

奏たちがリビングに入ると

「奏、遅かったな。待ちくたびれたぞ」

と隼人が言い

「おい、おまえギターなんて持って、何?音楽やってんの?」

とタケが言った。

「あ…うん。まぁ…」

と言ってる奏の後ろで琳たちはSperanzaとボレロが集まっているのを見て固まっていた。

「で?そっちが奏の友達?」

と由岐が言うと

「うん。そう…」

と奏は琳たちの方を向くと

「おい、大丈夫か?」

と琳の身体を揺すって言った。

奏に揺すられて我に戻った琳が

「あ…うん。大丈夫…」

と言うと

「ほら、そんなところに立ってないで早くこっちに来なよ」

と由岐は言った。


奏と由岐に促されるままソファーに座った琳たちは緊張で何も言えずただ座ってるだけだった。

キッチンでは男の人たちがせっせと料理を作ったりダイニングテーブルに料理を並べたりしていたので

「由岐ちゃん、あの人たちは?」

と奏は由岐に聞いた。

「あー、あれは奏に食べさせてやりたいからって、清雅が良く利用するレストランのシェフに頼んでケータリングサービスしてもらったんだって。一応、清雅さんからの誕プレらしいよ」

と由岐が言うと

「清雅さんはやることがいちいちカッコいいと言うか、ランプ亭のケータリングなんて一般人じゃ出来ないことやるよな」

とカンジは言った。

「ランプ亭ってそんなにスゴいんですか?」

と奏が聞くと

「ミシュランガイドで三ツ星のうえ、予約なんて何ヵ月も先までいっぱいだよ。そんな店のシェフをケータリングに使うなんて…ねぇ?」

とカンジがキッチンで料理をしているシェフに言うと

「いや、ちょうどお店休みだったし清雅さんの頼みじゃね。こうゆう経験ないし、こっちも楽しませてもらってるよ」

とシェフは笑った。

琳たちがますますスゴいところに来てしまったと言うような顔をして固まってることに気付かない奏は

「由岐ちゃん、母さんたちは?」

と由岐に聞いた。

「あー、綾子は和の服を取りに寝室に行ってて、和はさっき起きたばかりでシャワー浴びてる」

と由岐は言った

「そういえば父さん、朝まで仕事してたって母さん言ってたけど」

と奏が言うと

「和のやつ、新曲の歌詞がまだ出来てないんだよ。オケ終わって和の歌入れなんだけどさ。本当、作るの遅いんだよ」

と相川は言った。

「でも、さっき見せてもらったらだいたい出来てたみたいだし、明日には歌入れ出来そうですよ」

と由岐が言うと

「あいつはいっつも切羽詰まってからじゃないと出来ないから仕方ないですよ」

とカンジは笑った。

琳たちが身体を強ばらせて話を聞いてるのに気づいたカンジが

「奏、友達が変なおっさんたちに囲まれて固まってるだろ?自己紹介でもしたら」

と言うと

「あ…そうだね。じゃあ、こっちから渉さんタケさん隼人さん相川さんカンジさん誠さん由岐さん…。由岐ちゃんは俺のおじさんでばあちゃんの息子」

と奏は言った。

「おい、多分おまえの友達は俺たちのことは知ってるだろ?逆に友達の砲を紹介しろよ」

とカンジが言うと

「ごめん。じゃ、俺の隣が吉田琳」

と奏が言うと

「初めまして。よろしくお願いします」

と琳は頭を下げた。

「で、隣が鈴木勇次郎」

と奏が言うと

「初めまして。よろしくお願いします」

と勇次郎も頭を下げた。

「で、向こうが小林さ…」

と言ってから奏は琳に小さな声で

「さっちゃんってなんて名前なんだけ?」

と聞いた。

「さとるだよ」

と琳が小声で言うと

悟志さとしです。よろしくお願いします」

とさっちゃんは頭を下げた。

「さっちゃんって悟志って言うんだ…。初めて知った」

と奏が言うと

「俺は勝手にさとるだと思ってた」

と琳も言ったので

「おまえら、友達の名前も知らなかったの?なんだよそれ?面白いな!」

とタケは笑った。

「小林悟志君ね。俺、絶対に忘れないわ。って言うか友達のフルネーム知らないとか奏も和に似て何か抜けてるんだな」

とカンジも笑うと

「悟志、奏のこと責めないであげてね。奏のこうゆうところは親の遺伝だから」

とタケも笑った。


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