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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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6年後

6年後、綾子と和の家には綾子の両親とSperanzaの仲間、ボレロの仲間、相川が集まっていた。

「奏、誕生日おめでとう」

と由岐が大きなプレゼントを渡すと奏は

「由岐ちゃん、ありがとう」

と嬉しそうにプレゼントを受け取った。

「俺からもあるよ」

と誠が子供用のギターを奏に見せると

「あー!パパとママと一緒だ!」

と大喜びした。

他のメンバーも子どもに大人気のキャラクターのオモチャや知育玩具等を奏に渡すと

「そんなにもらっちゃって…。奏、大事にするんだぞ」

と和が言うと

「本当に、会う度にプレゼントもらって、ごめんなさいね」

と綾子も言った。

「何言ってるの?奏にプレゼント買うために働いているんだから。なぁ、奏」

と渉は奏を抱き上げた。

「わっ君、向こう行ってゲームしよう」

と奏が言うと

「奏、今日は奏の誕生日にみんなお祝いに来てくれてのよ。ほら、椅子に座ってケーキ食べましょ」

と綾子が言うと

「えー、後で食べるよ。ねぇ、遊ぼうよ」

と奏は渉に言った。

「うーん。でもさ、せっかく美味しそうなケーキやご馳走あるんだし、食べてからみんなで遊ぼうみんなでゲームした方が楽しいよ」

と渉が言うと

「そうだよ。渉と二人だけで遊ぶなんて俺泣いちゃうよ。奏と一緒に遊びたいな」

と相川は言った。

「えー相川さん、大人なのに泣くの?」

と奏が笑うと

「泣くよ。奏のパパだって泣くだろ?」

と相川が言うと

「パパは泣かないよ」

と奏は言った。

「そうか、パパは泣かないか。でも、お仕事でお家に帰れない時はいつも奏と綾子に会いたいって泣いてるんだよ」

とタケが言うと

「嘘だぁ!」

と奏は笑った。


和と綾子の間に産まれた奏は、元気にそしてとても素直に育ち、今は幼稚園の年長になっていた。

まだ結婚していないボレロとSperanzaのメンバーは産まれた頃から自分の子どものように可愛がっていた。

自宅にあるスタジオで和や綾子が曲作りをしている傍らで一歳にならないうちから音楽に触れていた奏は、自然と楽器に興味を持ちスタジオに置いてある奏専用のオモチャのギターを使い見よう見まねで弾いてみたり、歌を歌ったりして遊ぶことが好きな子どもに育っていた。

「奏、今度ギターの弾き方を教えてやるからな」

とケーキを食べてる奏に相川が言うと

「いいよ。パパとママに教えてもらうよ」

と奏は言った。

「何言ってるの?ママにギター教えたのおじさんなんだよ」

と相川が言うと

「え?じゃあ、相川さんはギターの先生なの?」

と奏は聞いた。

「先生?うーん…。まぁ、そんな感じかな?」

と相川は言ったあと、

「奏はパパとママがどんな仕事をしてるか知ってるの?」

と聞いた。

「パパとママはお歌を作る仕事だよ。ママの曲、車の宣伝で聞いたよ。パパはテレビで歌を歌ってて由岐ちゃんが太鼓叩いてカンジくんとタケちゃんがギター弾いてたのを、おばあちゃんと一緒に見たよ」

と言ったあと奏はスクッと笑って

「パパ、お洒落して目の色も違ったんだよ。あとね、話してるとき格好つけててちょっと恥ずかしかった」

と言った。

「奏、パパのこと見て恥ずかしかったのか?」

と和が言うと

「子どもはちゃんと見てるんだな」

と相川は言った。


奏が和と渉とタケとテレビゲームをしているのを見ながら

「来年は小学生か…。早いな」

と相川は言った。

「そうですね。と言っても、私は仕事ばかりで自分で育てて無いんですけどね」

と綾子が言うと

「でも、綾子は綾子なりに頑張ってるだろ?仕事の時は幼稚園のお迎えには行けないけど、どんなに遅く帰っても朝は一緒にご飯食べていつも送ってるんだろ?」

とカンジは言った。

「お母さんが作った朝食だけどね」

と綾子が言うと

「それでも、親子のコミュニケーションは取れてるじゃん。それに和も仕事の合間をぬって自転車の乗り方教えたり、この前も仮面ライダーショー見に連れてったんだって?」

とカンジは言ったあと

「いつも一緒にいることも大事かもしれないけど、限られた時間の中でもいろんなことを共有したり思い出作ったりするのも良いんじゃないの?きっと、奏には綾子と和の愛情が届いてるよ」

と言った。

「そうかな?」

と綾子が笑うと

「そうだよ。奏見たら分かるじゃん。愛情が届いて無かったらあんなに素直な子どもには育たないよ」

とカンジは言ってから

「奏、次は俺と勝負だ。タケ変われよ」

とカンジはゲームをしている和たちの方へ行った。

「綾子、来月からの海外ツアーのこと奏に話したの?」

と相川は聞いた。

「理解出来てるか分からないけど、ママ頑張ってねって言われました」

と綾子が言うと

「Speranzaが海外ライブするようになったのは嬉しいけど、奏の事を考えるとな…。でも、奏は頭のいい子だから二人の仕事を理解してるのかな?」

と相川は言った。

「多分、理解は出来てないと思います」

と言ったあと綾子は

「幼稚園に行くときに、奏に何でうちのパパは他のお家のパパみたいにネクタイして電車に乗ってお仕事行かないの?って聞かれた事があるんです」

と言った。

「土曜日や日曜日にお昼過ぎに迎えの車が来て普通の格好で仕事に行くのが不思議みたいだし、家にずっといるときもあれば、夜遅くに帰ってきたり、何日も帰って来なかったりするのが他のお父さんたちと違うって感じてるみたいです。さっき、テレビでパパを見たって言ってたけど、両親の話だとどうしてテレビにパパが出て歌を歌ってるのかも不思議がってたらしくて…。ちなみに、奏の中ではお兄ちゃんもタケちゃんもカンジ君も誠も隼人も渉も相川さんも普通のサラリーマンだと思ってますから」

と綾子は言った。

「まぁ、Speranzaもボレロもテレビ出演てあんまりしないし、音楽の仕事をしてると言っても難しいよな…口ではママは歌を作る仕事をしててパパは歌を歌う仕事をしてると言えても、頭ではなかなか理解できないよな」

と相川は言ったあと

「もう少し大きくなってライブに連れて行ってやったら、自分の親の仕事がどんなにスゴいのか分かるとは思うけど…まだちょっと早いよな」

と言った。

テレビゲームをしていた奏が綾子のところに来て

「ママ、眠くなってきた。抱っこして」

と言って綾子に抱き付いてきた。

「はいはい。お部屋に行って寝ようか?」

と綾子が奏を抱っこすると

「なんだ、奏は甘えん坊だな。眠くなるとママに抱っこしてもらうのか?甘えん坊なのはパパにそっくりだな」

と相川が言うと

「僕は甘えん坊じゃないよ」

と奏は言った。

「そっかぁ?じゃ、今日はおじさんと寝ようよ」

と相川が笑うと

「えー、嫌だよ。僕、パパと違って甘えん坊じゃないから一人で寝れるもん」

と奏が言った。

「パパは甘えん坊なのか?」

と相川が聞くと

「そうだよ。いっつもママのお膝に頭のせて甘えてるんだよ。あとね、ママが早く仕事に行きなさいって言ってもずっとチューしてるし。夜もね、ママと一緒じゃないと寝れないんだって」

と奏は言った。

それを聞いてた誠が

「マジ?今でも、膝枕してるの?」

と綾子に驚いた顔して聞いた。

「うん。相変わらずだよ」

と綾子が言うと

「和さん、ちょっと…」

と誠は和を呼んだ。

「何?」

と和が聞くと

「和さん、もういい大人なんだし子どもの前でチューとか膝枕とかやめたらどうですか?奏の方が恥ずかしいと思うようになりますよ」

と誠は言った。

「誠、無理だって。こいつ今でも家に帰れないと綾子が足りないって文句つけるし、膝枕してもらいたいってぶつぶつ言うんだぜ。多分、一生言ってると思うよ」

とタケが笑うと

「そうだよ。俺は一生変わらないよ。それに、親が仲良くしてる姿を子どもに見せるのは恥ずかしい事じゃ無いだろ?」

と和は言った。


綾子の両親も帰り、いよいよ睡魔に負けそうになってる奏は和に抱かれて自分の部屋に行った。

「パパ。ママがね、お仕事で何日もお家に帰れない仕事が今度あるんだけど、おばあちゃんの家で留守番出来る?って言ってたんだけど、ママはどんなお仕事に行くの?」

と奏は和に聞いた。

和は昔、両親が仕事をしていて寂しい思いをしていた事を思い出し

「…奏はパパやママが仕事してると寂しいか?」

と聞いた。

「おばあちゃんもおじいちゃんもいっぱい遊んでくれるし、勉強も教えてくれたりお絵かきして遊んだりして楽しいから、全然寂しくないよ」

と奏は言ったあと

「でも、パパもママもお外でどんなお仕事してるか僕は全然分からないんだよね」

と言った。

「そっかぁ…。奏はパパやママが家で歌を作ってるのも仕事だけど、外で仕事してるの見た事が無いから奏には分からないよな…」

と和は言ったあと

「パパやママの仕事は幼稚園のお友達のパパやママの仕事とはちょっと違うかなって奏は思ってるだろ?」

と奏に聞いた。

奏は違うって言っていいのか悪いのか迷って

「…うん」

と言った。

「そりゃそうだよな。お昼過ぎから仕事行って何日も帰って来なかったり、そうかと思えば毎日仕事に行かないで家でギター弾いてばかりしてたりするもんな」

と和は言ったあと

「パパとママは歌を作るのが仕事で、パパやママが作った歌をたくさんの人に聞いてもらうのも仕事なんだよ。だから、遠くでパパやママたちの作った歌を聴きたいって言う人がいたら、そこまで行って歌ったりギター弾いたりするのが仕事で、奏には本当に悪いんだけど留守番させちゃう事が多いんだよ」

と言った。

「ふーん…。何かよく分からないけど、パパやママの作った歌を大好きだって言う人がたくさんいるんだね」

と奏が言うと

「そうだよ。奏が小学校に入ったらパパやママがたくさんの人たちの前で歌を歌ったりギター弾いてるのを見せてあげるからね」

と和は言って奏の頭を撫でた。

「パパ、明日はお仕事?」

と奏が聞くと

「休みだよ。どうして?」

と和はこたえた。

「休みだったら幼稚園に迎えに来てくれるかな?と思ってさ」

と奏が言うと

「あー、もしかして幼稚園の帰りに男同士秘密のあの和菓子屋さんに行きたいのか?」

と和は言った。

「うん。イチゴ大福食べたいんだよね」

と奏が言うと

「じゃ、明日は二人でイチゴ大福食べに行くから、今日はもう寝なさい」

と和は言った。


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