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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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なっちゃんと村上さん

「綾子だぁ」

と突然声をかけてきた和に驚いた綾子は

「なっちゃん!村上さんも。どうしたの?」

と聞いた。

「せっかくの休みだったのに、突然呼ばれてさ」

と和が言うと

「大事な打ち合わせあったの忘れてたんだよ。悪かったな」

と村上は言った後、綾子を見て

「久しぶりだね。元気だったかい?」

と不敵な笑みで言った。

「…」

「…」

「…」

「…」

香住たちがいかにも怪しい和と村上を見て固まっていたが、そんな事に全然気付いてない和は

「綾子、何の話してたの?」

と綾子に聞いた。

「あ、再来週の土曜日にライヴあるから、その話をしてたの。なっちゃん、トリで出るんだよ」

と綾子が嬉しそうに言うと、和は綾子に抱きついて

「スゴいじゃない!由岐と一緒に絶対見に行くよ」

と大喜びしたが

「残念ながらお前も由岐も再来週は札幌だよ。ほら、綾子ちゃんから離れろ」

と村上が和を綾子から離そうとしたとき、綾子たちのテーブルの上にボレロの特集記事のページを開いた雑誌を見つけて

「ほら、若者の邪魔するんじゃない!俺たちはあっちの席に座るぞ」

と言って和を引っ張って歩き出した。

村上に引っ張られながら

「綾子、早く仕事終わらせるから一緒に帰ろうね」

と和は言った。


和と村上が少し離れた席に座るのを見届けた香住は

「綾子、あれ誰?」

と恐る恐る綾子に聞くと

「絶対にヤバい人達だろ?」

と健太も聞いた。

「いや…普通の人達だけど」

と綾子が言葉に困ってると

「いや、あれはヤバいだろ。あのオッサンは絶対に裏社会で生きてる顔だよ。笑顔がめっちゃ怖かったもん」

「それに、もう一人の人も何なんだよ。こんな夜なのに寝癖だし、髪の毛で目が隠れてるクセに眼鏡かけてるし、しゃべり方も力が入ってないって言うかふにゃふにゃ~ってしてるし。あれって寝起きそのままだろ?ダサすぎってレベルじゃないよ」

と健太と隼人が言った。

「…」

綾子が黙ってると

「あの男、この前俺が会った綾子の隣に住んでる不審者だよな」

と渉が綾子に聞いた。

「え?そうなの?」

と香住が驚くと

「うん…。お隣さん」

と綾子は言った。

「…そっか」

と言ったあと、隼人たちは次の言葉が見つからなかった。

しばらく沈黙が続いたあと

「まぁ、お隣さんと綾子がって事が絶対になさそうだって事は皆も分かっただろうけど、もう一人のあのオッサン、ヤバくない?」

と渉が心配そうな顔をして言った。

「何が?」

と綾子が不思議そうな顔をすると

「お前のお隣さん、あのオッサンと仕事に打ち合わせって言ってたよな?何かいいように利用されてヤバい事に手を出してるんじゃないの?」

と渉が小声で言うと

「あー、何か騙されてそうだよね」

と香住も言った。

「あー、それはないよ。うちのお兄ちゃんも一緒に仕事してるし」

と綾子が言うと

「お前の兄貴、あんな怪しい二人と一緒に仕事してんの?お前の兄貴もヤバい系の人なの?」

と隼人が言った。

「いやいや、ヤバい仕事じゃないから。…職人だから怪しく見えるけど全然そうゆう人じゃないから」

と綾子が苦し紛れに言うと、

「そっかぁ。職人ね」

「職人って変わった人多そうだもんな」

と言って何故かみんな納得した。


綾子たちから少し離れた席に座ってる和は

「綾子の隣に座りたかったなぁ」

と村上に言った。

「ダメだ。だいたい、家の近所のファミレスで打ち合わせしたいってお前が言うからわざわざ来たのに、綾子ちゃんの側じゃお前真面目に話聞かんだろ?」

と村上は冷たく言った。

「そんな事無いよ。俺はやるときはやる男なの知ってるでしょ?」

と和は綾子といるときとはまるで違い、しっかりとした口調で言った。

「…そりゃ分かってるけど、綾子ちゃんの側はダメだ。あの子たちはボレロのファンだろ?もしもバレたりしたらどうすんだよ」

と村上が言うと

「大丈夫、絶対分かんないよ。ほら、あの子たちの会話聞いてみなよ。俺の事、不審者って言ってるよ。失礼だよね」

と和はふてくされたように口を尖らせて言った。

「まぁ、オンとオフではまるで別人だもんな。オーラも無ければ色気もない。それどころか、言われた言葉が不審者だよ。頼むから警察に捕まったりしないでくれよ」

と村上が言うと

「俺の事ばかり笑えないよ。村上さん、裏社会の人で俺が騙されてるって言われてるよ」

と和が言った。

「は?俺が騙してる?こんなにお前たちのために働いてるのに?どっちが騙されてるんだよ」

と村上はため息をついた。

「まぁまぁ、いいじゃん若旦那。早く打ち合わせしましょうよ」

と言って和はバッグからパソコンを取り出してテーブルの上に置いた。


しばらくの間、和と村上はパソコンと村上が持ってきた資料を見ながら話をしていた。

「まあ、細かいスケジュールは村上さんに任せるけどさ。やっぱり明後日の雑誌の撮影は嫌だな」

と和が言った。

「何で?」

と村上が聞くと

「俺、モデルじゃないし裸なんて見せたくないよ」

と和は言った。

「でもさ、女性モデルとの絡みもあるし」

と村上が言うと

「村上さんは裸の女がいれば俺が何でも受けるって思ってるんだぁ。俺はそんな奴じゃないし、どこの誰が俺とモデルの裸で抱き合ってる写真見たいんだよ」

と和はジュースを飲んだ。

「でもさ、抱かれたい男1位なんて言われたらやっぱりさ。俺も抱かれたい男に選ばれて見たいよ」

と村上が話をしていると和は突然、

「そうだ。この撮影さ、モデルの顔が映らないように背中だけって出来ないかな?それだったら俺やってもいいよ」

と言い出した。

「は?」

と村上が意味が分からないって顔をすると

「どうせ抱かれたい男になったんなら、写真見て俺に抱かれてる気持ちになって欲しいじゃん。モデルの顔が映らないようにして絡めば、女は自分が俺に抱かれてる妄想しやすくない?」

と和は言った。

「…確かにそうかも。ちょっと待て。カメラマンは山やんだから分かってくれるとは思うけど…。撮影は明後日だから今担当者に聞いてみるよ」

と言って村上はスマホを持ってファミレスの外に行った。

1人席に残った和は少し離れた綾子の方を見たが楽しそうに話をしているので、側に行きたい気持ちを我慢して村上の持ってきた雑誌の資料を見ていた。

「抱かれたい男は俺が1位か。理由は…一夜限りでもいい。忘れられないようなスゴい体験しそう。あの声で耳元で囁いて欲しい。ふーん…まぁね。…あれ?彼氏にしたい男2位がユキなんだ。理由は…優しそうに見えるけどいざというときは守ってくれそう。可愛い顔なのに以外と男らしくてリードしてくれそう。ふーん…」

と独り言を言いながら資料をペラペラめくっていると、綾子たちの席から声が聞こえてきた。


「やっぱりナゴミ最高だよね」

と香住が言うと

「だよな。俺、ナゴミになら抱かれても悔いは無いな」

と渉が言った。

「お前、何度もナゴミになら抱かれてもいいって言うけど、本当はそっちの奴なのかよ」

「俺も狙われてるのか?」

と健太と隼人が言うと

「マジ違うって。だけど、ナゴミならいいって事だよ」

と渉は言った。

「渉は別としても、女としては一度の遊びでもいいからナゴミに抱かれてみたいって誰でも思うんじゃない?」

と香住は言うと

「そうゆうもんなの?綾子も抱かれてみたい?」

と健太が綾子に聞いた。

それを少し離れた席で聞いてた和は綾子がどんな返事をするのだろうとドキドキしていた。

「…」

綾子は返事に困ってしまった。

話を合わせて自分も抱かれたいと言うべきか…。でも、近くに和がいるのにそんな恥ずかしいことを言える訳がないし…。

でも、抱かれたくないって言えばこの場がシラケるような気もするし…。

「…私は」

と綾子が言うと、和は身を乗り出してより一層聞き耳を立てた。

「あー、無理無理」

綾子が話そうとすると横から香住が話を始めた。

「あー、無理無理。綾子はナゴミじゃなくてユキがタイプだから」

と香住は言った。

聞き耳を立てて聞いてた和はガクッと肩を落として俯いてしまった。

「そういえば、前に言ってたよな?」

と渉が言った。

「え…。あー、まぁね」

と綾子が困った顔で笑うと

「綾子はギャップ萌えか?」

と健太が言った。

「え?なにそれ?」

と綾子が言うと

「顔は可愛いのに、ドラム叩くとスゲーじゃん。それにこの二の腕」

と健太は雑誌のユキを指差して

「顔に似合わずめっちゃ筋肉質だし。実はスゲー男らしかったりして」

と言った。

「そうかもね…」

と綾子が言うと

「でもさ、綾子ってユキの似てるよな」

と隼人が言ったので綾子はドキッとした。

「え?どこが?」

と綾子がドキドキしてるのを知られないように普通を装って聞くと

「ライブになると別人になるところだよ」

と隼人は笑った。

「なにそれ?」

と綾子が言うと

「確かに別人だよな」

「男に負けない位スゲーもんな」

と渉も健太も笑った。

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