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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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渡辺の秘密

相川に連れられて奏とナナが機材席の方へ歩いて行くと

「やぁ、奏君。一年ぶりだけど、また背が伸びた?」

と舞台監督の石井が側に来て言った。

「お久しぶりです。また、お邪魔させてもらいすみません」

と奏が頭を下げると

「いやいや、いいんだよ。奏君はメンバーだけじゃなくて、僕たちにとっても癒しみたいなもんだからさ。今、夏休みなんだろ?どうせなら毎日通えばいいんじゃない」

と石井は笑った。

「石井さん、それは無理ですよ。奏は受験生ですから勉強頑張ってもらわないと」

と相川が笑うと

「わかってるよ。…ところで、奏君はどこ狙ってるの?」

と石井は聞いた。

「…一応、受かるかどうかはわかりませんけどT大とK大を目指してて」

と奏が恥ずかしそうに言うと

「そりゃスゴいな…。そういえば、和がT大で由岐がK大だもんね。どっちに似ても頭の良い遺伝子受け継いでるんだなぁ」

と石井が感心したように言った。

「そうなんですよ。しかも、良いとこ取りと遺伝ですからね。和や由岐の頭の良さと綾子の音楽的センスと才能。顔だってこの通りだし粗を探す方が大変って言う本当に嫌なヤツで…」

と相川は笑った。

「ハハッ。確かにそうですね」

と笑う石井が奏と相川の少し後ろに立ってるナナをチラッと見ると

「ああ、すみません。紹介するの忘れてました」

と言って相川はナナを自分の隣に立たせると

「さっき話をしていたインターンシップ生の田口さんです。明後日またお世話になるんでよろしくお願いします」

と言ったのでナナは慌てて頭を下げると

「相川さんにお世話になってます田口ナナです。よろしくお願いします」

と言った。

「fateの舞台監督をしてる石井です。先ほど、相川さんから話は聞いてました。こちらこそ、よろしく」

と石井は言ったあと

「ジェネラインでインターン受けてるんだよね。だったら、僕よりも彼に紹介した方が」

と言って薄暗い機材席の方を見て

「ナベ!ちょっと」

と手でこっちに来いと合図をした。

「はい。今、行きます」

と聞き覚えのある声がすると機材席の方から一人の男性が歩いてきた。

「えっ!」

と男性を見てナナが驚いた顔をしてると

「ナベのこと知ってるんですか?」

と石井も驚いた顔をした。

すると、石井の隣に立った男性…渡辺は

「はい、今ちょうどジェネラインで研修させてもらってて彼女とも一緒に仕事してるんで」

と石井に言った。

「…研修?…えっ?…イン…ターンも研修だ…けと」

とナナが動揺を隠せない様子で相川を見ると

「ああ、実は…」

と言ったあと渡辺をチラッと見た。

すると渡辺は持っていたバックから名刺を出し奏に差し出しすと

「初めまして…じゃないけど、自己紹介が遅れてすみません。ゾロレコードでfateの海外プロモーションを担当してる渡辺です」

と言った。

「海外プロモーション?」

と呟き渡辺から受け取った名刺を奏は見た。


『ゾロレコード 宣伝部 海外戦略部門 A&R 渡辺大雅』


奏の持ってる名刺を覗き込んでいたナナが更に驚いた顔をして渡辺を見ると

「騙してて申し訳ないけど…僕は学生じゃないんだ。ごめんね」

と渡辺は言った。

「…A&R」

と奏が呟くと相川は渡辺の肩を叩いて

「渡辺はカナデの海外プロモーションも担当してるんだぞ」

と言った。

「えっ、カナデ君のも?」

とナナが驚いた顔をして知ってたの?と言いたげな顔で奏を見ると

「いや、俺は何も…」

と奏は驚いた顔をした。

「奏は学校もあるし時間に制約があるから渡辺とのやり取りは俺がやってたから会うのはこの前の飲み会が初めてだったよな?」

と相川が言うと

「そうですね。資料は頂いていましたしご両親から話も伺っていたのでどうゆう子なのかって言うのは知っていましたけどね。…もちろん、彼女のことも」

と渡辺はナナを見た。

「えっ…?」

とナナが驚いた顔をしている隣でムッとした顔をした奏は

「じゃ、あなたは僕が彼女と付き合ってると言うことを知っていて彼女とじゃれあったりとか仲良さげな態度をとっていたんですか?それって、あまりにも無礼じゃないですか?」

と渡辺に聞いた。

「それは…まぁ、すまないと思うよ。けど、資料や人づてに聞くだけじゃなくて君がどうゆう子なんだろう?と知ることが必要だったからね。特に君は女の子に対する免疫があまりにも無いって聞いたし色恋ごとに流されて仕事が出来なくなるようだとこっちも困るからね」

と渡辺が言ってると

「渡辺、そのことについては村上さんがキチンと話をしたから…」

と相川は話を遮った。

「…余計なことを言ってしまいました。すみません」

と渡辺が相川に謝ると

「奏君、彼女出来たの?誰も言わないから知らなかったよ。なになに、同じ学校の子?」

と石井は興味津々な様子で聞いてきた。

「えっ…いや…あの…」

と奏が困った顔をして相川を見ると

「石井さん、奏は恥ずかしがり屋だから彼女のことを俺にも詳しくは教えてくれないんですよ。それなのに、今ここで石井さんに簡単に教えるなんて…俺、今夜泣きながら寝なきゃなんなくなっちゃいますよ」

と相川は笑った。

「そうなんですか?…でも、ナベは知ってるんだよね?」

と石井が渡辺に聞くと渡辺は苦笑いをして

「話してしまうといろんな意味で僕のクビか危なくなりますので…」

と言った。

「そうなの?やっぱり正体明かさないことも含めてジェネシスとゾロの重要機密か?」

と石井が言うと

「それもありますけど、ご両親が怖くて…。まだまだ業界で働きたいですし、あの二人に睨まれることはしたくないなと」

と渡辺は言った。

「そうだよな。俺だって嫌だもん」

と相川が言うと

「確かに…俺も嫌ですね」

と石井は苦笑いした。

「じゃ、そろそろ楽屋に行ってみようか?…多分、二人とも機嫌悪そうな予感はするけど」

と相川が言うと

「悪いと思いますよ。和さんもだけど綾子さんがスゴい怒ってましたからね」

と渡辺は苦笑いした。

「そんなに?」

と相川が聞くと

「機材の調整悪かったみたいでギターチェンジの度に怒ってましたからね」

と渡辺は石井を見て笑った。

「いやいや、笑い話になんないから。このあと、何を言われるかと考えてるとみんな胃が痛くなってると思うよ」

と石井が苦笑いしてると

「そっか。じゃ、綾子の雷が落ちる前に俺たちは挨拶して帰ろうか?明後日だってあるし、綾子の印象が悪くなることをたぐっちゃんに与えたくないからな」

と相川は笑った。


奏たちが楽屋に続く通路を歩いていると

「お疲れ様です」

とすれ違うスタッフが頭を下げた。

「すご…」

とスタッフとすれ違う度に奏と相川の後ろで頭を下げてたナナが驚いた顔をしてると

「挨拶は社会人として当たり前のことだからね。ほら、礼に始まり礼に終わるって言葉あるだろ?それに、相川さんと奏君はスタッフにとって特別な存在だからね」

と隣を歩く渡辺はナナに言った。

「…はい」

とナナが不信感いっぱいの顔で返事をしてることに気付かない渡辺は

「こんゆう言い方は奏君に悪いけど、やっぱり奏君は二人の子どもだしfateだけじゃなくてボレロやSperanzaのメンバーにも可愛がられてることをみんな知ってるからね。それに、相川さんがあの二人にどれだけ影響力あるかってのもみんな知ってるし…。困った時の奏君頼みとか相川さん頼みって言葉がfateのスタッフで浸透してるぐらい二人は一目置かれてる存在なんだよ」

と渡辺は言った。

「おい、ずいぶんと話を盛ってるみたいだけど、そんなに誉めても何も出ないぞ」

と相川が渡辺の方を見て笑うと

「えっ、そうなんですか?今夜奢ってくれるの期待してたのに」

と渡辺は言った。

「なに言ってんだよ。お前はまだ仕事だろ?明日、遅刻すんなよ」

と相川が言うと

「渡辺さんはどうしてインターンシップなんてやってるんですか?」

と奏は聞いた。

「実はさ、内緒なんだけど」

と渡辺が話をしようとすると

「おい、あんまり口が滑るようだと二度とその口が開けないようにしてもいいんだぞ」

と相川は渡辺を睨んだ。

「こわっ…。たぐっちゃん、助けてよ」

と渡辺がナナの後ろに隠れるような仕草をすると、奏がジロッと睨んだので渡辺はナナから離れて

「冗談だよ、冗談。本当、嫉妬深いとこは和さん以上だな。こんなことでいちいち機嫌悪くするのは子ども以下のワガママだよ。もう少し、ドーンと構えておかないと」

と言った。

「ご忠告ありがとうございます。以後、気を付けます」

と奏がムッとして言うと

「ほら、そうゆうとこがダメなんだよ。だいたい、人の女に手を出そうとするほど女に困ってないから」

と渡辺は笑った。

「…渡辺、そうゆうことは俺が教えるから」

と言うと相川はfateと書かれた紙の貼ってある楽屋のドアをノックした。



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