初めての経験
奏の部屋のドアをノックしても返事がないのでナナはもう一度ドアをノックしてからドアノブに手をかけ
「奏君…開けるよ」
と言ってドアをゆっくり開けた。
「奏君…?」
と声をかけたナナは奏がベッドに横になって寝息をたててるのを見て持ってきたお土産の袋を机の上に置くと奏を起こさないようにと、そっとベッドに座りゆっくりと奏の髪に手を伸ばした。
「気持ちいい」
とナナが嬉しそうに呟きながら奏の髪を撫でてると
「うぅ…ん」
と奏は寝惚けたような声をあげてナナの腕を引っ張るとその拍子にナナは
「キャッ!」
と声をあげて奏の隣に倒れた。
奏を起こしてしまったんじゃないだろうかとドキドキしながらナナがゆっくりと奏の方を見ると、奏は何事も無かったように寝息を立てていたのでナナはホッとしたのと少し残念だったのが半分半分の気持ちで奏を見つめ、奏の眉に触れまつ毛を撫でていたが、悪戯心に火がついたナナが奏の鼻をキュッと押さえると
「んん…」
と言って奏は眉間にシワを寄せたのでナナはクスクスと笑っていたが、いつまでたっても奏が口呼吸をしないので心配になり鼻から手を離そうとすると奏はパチッと目を開けて起き上がったかと思うとハァハァと呼吸をして
「死ぬかと思った…」
と言った。
「だい…大丈夫?」
とナナも起き上がり慌てると
「大丈夫じゃないよ。まつ毛で触られるのだってくすぐったいの我慢してたのに鼻を塞ぐとかさ。苦しそうな顔した普通やめるでしょ」
と奏は言った。
「ゴメン…。やめようと思ったら奏君が目を開けたから」
と言ったあとナナは
「あれ?…まつ毛って起きてたの?」
と聞いた。
「起きてたよ。ナナさん、どうやって起こすかな?って思ってたらずっと髪触ってるし。じゃなくても腕引っ張ってあんな声をあげられたら普通起きるよ。なのに、人の顔で遊んで…」
と奏が言うと
「だって起こしたら悪いかなって思ったんだもん」
とナナは言ったが
「だったら鼻を塞いだりしないでしょ?めちゃくちゃ苦しかったんだから…。ナナさんもやってみる?」
と奏はナナの鼻を掴んで笑った。
「いひゃい…いひゃいって…。ごめん。ゆるじで…」
とナナが言うと
「もうこんな悪戯しない?」
と奏はナナに聞いた。
「じない。じないがらゆるじで…いひゃいから」
とナナが奏の手を払おうとジタバタすると奏は手を離して
「そんな痛いわけないじゃん」
と笑った。
するとナナは
「奏君みたいな立派な鼻じゃないから痛いんです」
と言ったが
「立派とか立派じゃないとか関係あるの?」
と奏は笑いながらナナの鼻に自分の鼻をくっ付けて擦ると
「じゃ、本当はこれも痛いの我慢してるの?」
と聞いた。
「これは…痛くないよ」
とナナがこたえると奏はギュッと鼻をくっ付けてグリグリして
「これは?」
と聞いた。
「鼻折れるよ」
とナナが笑うと
「こんなんで折れないよ」
と奏は笑いながらナナの唇にキスをするとナナを自分の前に座らせ腰に腕をまわし抱き締めたが、そのあとすぐにナナの肩に顎をのせてため息をついた。
「…な…なに?」
ナナが奏を見ると、奏は顔を赤くして視線をナナからはずし
「抱っこしてみたは良いけど恥ずかしいくない?…マジでこんなことしてるやついるのかな?…騙されたんか?…騙されたんだよな。うちの親がやってるような事だし…普通しないよな」
と一人でブツブツと呟いた。
「なにそれ。誰の情報?」
とナナが聞くと
「石井さんと加藤情報。女の子は抱っこすると喜ぶって言うからやってみたけどさ…」
と奏は言った。
するとナナは
「そう?私は嬉しいけどな。抱っこされるのって守られてるみたいで安心するし奏君にくっついていられるし嬉しいよ」
と奏に寄りかかった。
「…まぁ、ナナさんが喜んでくれるなら良いけど…」
と言って奏はナナの肩から離れると
「でもさ、倒れないようにって頑張ってると背中疲れるんだよね。…ねぇ、壁に寄りかかってもいい?」
と聞いた。
するとナナは奏から身体を離すと笑いながら
「もう、それ言わなきゃいいのに」
と言ったあと
「ほら、移動移動。壁に寄りかかったら私が寄りかかっても重くないんでしょ。早く、抱っこ抱っこ」
と言った。
「…」
奏が顔を赤くしながらベッドの壁際に移動するとナナは奏の前に座り奏の腕を自分の前に持ってくると
「なかなか、良い座り心地」
と言いながらヘヘヘッと言うような顔をして奏を見たが、奏が何も言わず視線をずらしているとナナも奏につられて少し恥ずかしくなり前を向いた。
「…」
「…」
二人にはなんとも言えない間が生まれ沈黙が続いていたが、奏は自分に寄りかかっているナナから香ってくる甘い香りにドキドキしていた。
シャンプーやボディソープに似たような…でも、今まで嗅いだことのないような甘く優しい…自分とは違う女性の香り。
「…奏君?」
無意識にナナの頬に顔を寄せた奏にナナが声をかけたが、奏はその何気ない声さえも五感を刺激する官能的な声に聞こえてきた。
ナナの耳元に唇を持っていき
「キスしたい…」
と奏が呟くとナナの身体がピクッと動いた。
「…こっち向いて」
と奏がもう一度ナナの耳元で囁くとナナはゆっくりと顔を奏の方へ向けた。
唇と唇が触れ合うだけの優しいキスから愛を確かめあうキスをしながら奏の手がナナの腰から徐々に移動し奏には無い胸の膨らみをとらえようとしたとき、ナナは咄嗟に奏の手を掴んだ。
「…ダメ?」
奏がナナの瞳を見て聞くとナナは一瞬何か考えたような顔をしたあと、ゆっくりと奏の手を離し
「ダメ…じゃない…」
と顔を赤らめて言った。
ナナの恥ずかしそうに顔を赤らめる顔がとても愛しく思えた奏はナナに優しくキスをしながらパジャマの上からナナの胸にそっと触れた。
柔らかいナナの感触をもっと感じたい…もっとナナを近くに感じたい…ナナを自分だけのものにしたい…。
パジャマを脱ぎ奏の前であらわになったナナの身体はとてもしなやかで柔らかく、奏が強く抱きしめると壊れてしまうのではないかと思うほど華奢で、恥ずかしそうな顔をするナナは奏の中の征服欲と庇護欲を刺激した。
自分の手に身体をよじらせ甘く切ない吐息を吐くナナをもっと気持ちよくさせたい気持ちと、これ以上触れるとナナを壊してしまうのでは無いかと言う気持ちと、壊してみたいと言う気持ち。
「…もう…ダメ。あっ…あぁ…」
と身体を反らしこわばらせたナナは次の瞬間には全身の力が抜け、まるで全力疾走をしたあとのような浅い呼吸を繰り返した。
「…」
奏はベッドの下に隠しておいたコンドームを取りだしズボンを脱ぎコンドームを着けたるとナナの足を広げ焦点を合わせるとゆっくりとナナの中に入った。
「奏君…」
とナナが吐息混じりに奏を呼ぶと奏は
「スゲェ…ナナさんの中…。暖かくて気持ちいい」
と呟いたあと
「大丈夫?…動いてもいい?」
とナナに聞いた。
コクコクとナナが頷くと奏はゆっくりと腰を動かしていたが、もっと奥まで深く挿れたい気持ちが我慢出来なくなりグッと腰に力を入れてナナの中の深いところを突いた。
「ぁうっ…あぁ…」
とナナが腰を浮かせると
「ここ?」
と奏が更に突くとナナは
「いゃ…あぁ…」
と、とてもエロチックな声をあげた。
ナナの反応を見て奏がナナの気持ちのいいところを何度も何度も突くとナナは
「いゃ…なんかキテる」
と言って奏の背中にしがみつき身体をよじらせた。
「ナナさん、そんなに締めないで。ヤバいって…」
と奏が腰を動かすとナナは首を振りながら
「…奏君、なんかキテる…。こわい…こわい…。もう、やめて…」
と何度も何度も呟いた。
「ごめん…。無理…止まれない…」
と奏が腰を動かしながらナナの唇にキスをすると
「もう、本当…こわい……。やだぁ…」
とナナは涙を浮かべて奏の舌に自分の舌を絡ませた。
「…ごめん…。も…で…そう…。あぁ…ナナ…ナナ…」
と奏がナナの中で起きる締め付けに切ない声をあげながら更に激しく腰を動かすとナナは腰を浮かせて奏に力いっぱいしがみつくとギュッと目を閉じて
「いやいやいやいゃ…。あぁ……んん…」
と切ない声をあげると同時にナナの中の締め付けがより強くなり奏も
「ナナ…んん…ん…ん…ぁあ…」
ととても切ない声をあげナナの中で果てると倒れ込むかのようにナナの胸に顔を埋めた。
「ハァ…ハァ…」
と浅い呼吸を繰り返しながら奏が顔を上げると、ナナは奏と同じように浅い呼吸を繰り返しなが涙を流し脱力した身体をまるで痙攣を起こしているかのように震わせていた。
奏がナナにチュッとキスをして抱き締め
「ごめん…」
と謝るとナナは首を横に振った。
どうゆう意味でナナが首を振ったのかがわからなかった奏はもう一度ナナを優しく抱き締め髪を撫でると
「ごめん…。無理やりしてごめん…。本当ごめん」
ともう一度謝った。
すると呼吸の整ってきたナナは奏にギュッと抱きついて
「怖かったんだよ…」
と言った。
「ごめん…」
と奏が言うと
「こんなの初めてで……スゴい怖かった…」
と言ったナナは
「こんな気持ちいいの知らない…。死んじゃうかもって思った…」
と奏の胸に顔をくっ付けて言った。
「ごめん…」
と奏はナナの髪を撫でたあと『ん?』と言う顔をしてナナの顔を見ると
「嫌だったんじゃないくて、気持ちよかったの?もしかしてイッた?」
と聞いた。
「…知らない」
とナナが奏から視線を外して言うと
「どこでイッたの?指で外?それとも中?」
と奏は聞いた。
「…知らないって」
とナナがもう一度言うと
「なんで知らないの?自分のことでしょ?ねぇ、ねえ」
と奏は聞いた。
「じ…自分のことでも知らないの。中でイッたことないから知らないし、これがそうなのかわかんないの」
とナナは顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言った。
「でも、初めてじゃないんだよね?」
と奏が驚いた顔をすると、ナナは顔を赤くしたまま今度は
「初めてじゃなくてもわかんないの」
と開き直って言った。
「そっか」
と奏が笑うと
「笑うと思った…。しょうないしょ。わかんないんだもん」
とナナは恥ずかし過ぎて泣きそうな顔をしたが
「そっか。俺が初めてか」
と奏は嬉しそうに笑いキスをした。
唇と唇が触れあうようなキスを何度も何度も繰り返したあと奏が鼻と鼻をくっ付けてナナを抱き寄せると
「ねぇ、もう一回しよ」
と奏は言った。
「えっ…」
とナナが言うと奏は
「忘れないうちに復習したい」
と言った。
「ふ…復習って。勉強じゃないんだから」
とナナが言うと
「勉強と同じだよ。ねぇ、…もう一回、ナナの中に入りたい」
と言って奏はナナにもう一度キスをした。




