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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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ゴールデンウィークの予定

ナナとゴールデンウィークに会う話をしてから数日後、奏は満開の桜の写真をInstagramに載せるといつものようにスタジオに向かった。


「おはようございます」

と奏が元気よく挨拶をしてスタジオに入ると

「奏君、4月からのスケジュール出たよ」

と石井がニコニコして言った。

「本当ですか?」

と奏が嬉しそうに言うと石井はホチキスで止められた予定表を渡し

「良かったね。奏君の希望通りゴールデンウィークに連休あるよ」

と言ったので奏はプリントをめくり5月の用紙を見て

「3日から5日まで休みだ」

と嬉しそうに呟いた。

「良かったね。春休みには会えなかったし彼女に会いに行ってくるの?」

と石井がニコニコして聞くと

「今回は彼女が来るんです」

と奏は嬉しそうに言った。

「そっか。でも、ゴールデンウィークだからね。早く飛行機取らないと埋まっちゃうよ。彼女に早く連絡してあげたら?」

と石井が言うと

「そうですね」

と言って奏はスマホを持ったあと

「…あの、石井さん。相談って言うか…お願いがあるんですけど」

と言った。

「相談?」

と石井が言うと

「2泊2人で宿取りたいんですけど、今から取れるところってあります?」

と聞いた。

「2泊で?ゴールデンウィークって高いよ」

と石井が言うと

「ですよね?…10万は越しますか?」

と奏は聞いた。

「…奏くん。簡単に10万とか言うけど高校生が出す金額じゃないよ。それに10万あったら彼女のところに一回行ってこれる値段だよ。こっちに来て遊ぶのにもお金かかるんだし自分の家に泊めてもいいじゃない。それかラブホとかなら安いし」

と石井が言うと

「ラ…ラブホってやる気満々みたいで嫌じゃないですか」

と奏は焦った顔で言った。

「だってどこ泊っても二人で泊まるなら同じでしょ?それが嫌ならお父さんとお母さんに話して家に泊めてあげたら?まぁ、親のいるところでイチャイチャは出来ないだろうけど。まぁ、とりあえずは彼女に休みとれたこと連絡してあげたら?」

と石井が笑うと

「…はい」

と言って奏はlineを送った。


その日の夜、ナナと電話をしている奏は

「早いね。もうチケット予約したの?」

と驚いた声で言った。

「だって、ゴールデンウィークだからチケット取れなかったら困るでしょ」

とナナが言うと

「そうだけどさ」

と奏は言った。

「で、奏君の方は?泊まるとこ取れそう?もし無理なら自分でパックで取るし無理しなくていいんだよ」

とナナが言うと

「…それなんだけどさ」

と奏は気まずそうに言った。

「なに?」

とナナが聞くと

「反対されてさ」

と奏は言った。

「反対?」

とナナが聞くと

「ゴールデンウィークの高い時期にホテルに泊まるなんて贅沢なことするなって反対されてさ。ホテルに2泊も泊まる金あるなら時期をずらせば安いパック旅行で北海道に泊まりで行けるだろうって…」

と奏は言った。

「…そうだけど。じゃ、チケットキャンセルする?」

とナナが聞くと

「…じゃなくてさ。やっぱり俺ん家に泊まれって父さんも母さんも言ってて」

と奏は言いづらそうに言ったあと

「3日の日は二人ともいるけど次の日は仕事で朝から出掛けて帰って来ないんだって。だから気兼ねしないで泊まれって…。それに、ナナさんにも会ってみたいってうるさくて…」

と奏は言った。

「…でも」

とナナが言うと

「もし、気まずいなら琳たちにも来てもらってもいいし、飯とかも外で食べてきて寝るだけに帰ってくるって思えば父さんたちにも会わないし…。それでも嫌だって言うなら…渋谷とか池袋とかのラブホとかになるけど…いい?」

と奏は聞いた。

「…ラブホでいいって聞かれて、いいよとはいろんな意味で言いづらくない?」

とナナが言うと

「あっ…そうだね。…ごめん。やっぱりキチンしたホテル探してみるよ」

と奏は言った。

「…いいよ。どうせ、インターンシップに行くときはお世話になるかもしれないんだしね。図々しい子だって思われるかも知れないけど奏君のお家にお世話になるね」

とナナが言うと

「いいの?無理してる?」

と奏は聞いた。

「そんなことないよ。ただ、緊張するって言うかさ。奏君のお家ってだけでも緊張するのに、ナゴミと綾子のお宅訪問ってなるとどんな大豪邸なんだろうって心臓バクバクだよ」

とナナが笑うと

「豪邸なんかじゃないよ。普通の家だしなんも面白いことないし」

と奏は言った。


次の日、スタジオに入った直則は和と綾子があまりにも機嫌がいいので

「和と綾子、なにか良いことあったの?」

と奏太に聞いた。

「奏の彼女がゴールデンウィークに家に来るらしくて、綾子が上機嫌なんですよ。それにつられて和さんも機嫌良くて」

と奏太が笑うと

「奏の彼女…えっ!いつの間に彼女出来たの?俺は彼女とか欲しくないしとか言ってた奏に彼女?」

と直則は驚いた顔をした。

「らしいですよ。それも和さん顔負けのマメさで連絡取ってるとか」

と奏太が笑うと

「うわぁ…奏が和みたいになっちゃったの?俺、軽くショックだわ」

と直則は言った。

「血は争えないって言うかさ。あんなに自分の親のことをバカップルとか言ってても結局のところ奏も同じなんだって」

と和樹が言うと

「マジ…?奏は絶対に和みたいにならないと思ってたのに…。でさ、彼女ってどんな子なのか聞いた?」

と直則は奏太と和樹に聞いた。

「3つ年上の大学生らしいですよ」

と奏太が言うと

「女子大生かぁ…。まぁ、高2で小学生好きだとか言ってたロリコンに似なくて良かったよ」

と直則は笑った。

「誰がロリコンだって?」

と後ろから和が言うと

「さぁ?誰だろうねぇ」

と直則は奏太に聞いた。

「えっ!俺っすか?」

と奏太が慌てると和はソファーに座り

「何度も言ってるけど、俺はロリコンじゃないから。だいたい似なくて良かったとかのりちゃん失礼だよ」

と言った。

「それはともかく、奏に女子大生の彼女出来たんだって?どこ大通ってるの?やっぱり有名大学なの?」

と直則が聞くと

「H大らしいよ」

と和は言った。

「H大?…北海道の?」

と和樹が驚いた顔をすると

「そう。でさ、俺のスゴいファンらしくてさ。fateのライブも札幌で2回、最終日の東京にもわざわざ北海道から来たんだって」

と和は嬉しそうに笑った。

「ナゴミのファン?それって奏的にはどうなの?」

と直則が言うと

「それも気になるけど遠距離なのってはどうなの?」

と和樹も言った。

「どうなの?って言われてもさ。俺のファンだって言うのは良いんじゃない。遠距離ってのだって別に本人たちが気にしなきゃ良いだけだし。俺と綾子だって近くにいたってすれ違い生活で遠距離みたいなもんだったんだし」

と和が言ってると、綾子がやって来て

「なに話してるの?そろそろ始めるって斎藤さん言ってるよ」

と言った。

「綾子、奏の彼女が遊びに来るんだって」

と直則が言うと

「みんなで奏の話してたの?」

と綾子は聞いた。

「そうだよ。奏に彼女とかって母親的には寂しくないの?」

と直則が笑うと

「全然寂しくないよ。むしろ嬉しいかな」

と綾子は言った。

「嬉しい?」

と直則が聞くと

「嬉しいでしょ?だって息子の彼女だよ。どんな子かなとかなに食べたいかな?とかいろいろ考えてたら楽しくて」

と綾子は本当に嬉しそうに笑った。

「でも、ナゴミのファンなんでしょ?ちょっと心配だったりしないの?」

と直則が言うと

「別に心配なんてないよ。…あっ、あるとしたらナゴミのイメージが崩れたらどうしようってことぐらいかな?…なっちゃん、奏に恥をかかせないようにしっかりした姿見せてあげてよ」

と綾子は言った。


5月2日、授業が終わり奏が掃除をしていると

「奏、ついにナナさん来るの明日だな。ナナさん、初めて奏の家に行くし緊張してるんじゃない?」

と勇次郎は話しかけてきた。

「うん。でも、ナナさんよりヤバイのがいるからさ」

と奏が言うと

「ヤバイの?誰それ?」

と勇次郎は聞いた。

「母さんと由岐ちゃんだよ。母さん、ナナさんにってあれこれ買ってきたりしてるし、由岐ちゃんは明日仕事終わりにナナさんに会いに家に来るとか言ってるし…。二人とも張り切り過ぎだって父さんも呆れてるよ」

と奏が言うと

「和さんは違うんだ」

と勇次郎は言った。

「母さんと由岐ちゃんに恥ずかしい姿見せないようにしろってしつこく言われてうんざりしてるみたいだよ」

と奏が言うと

「俺は普段の和さん好きだけどな」

と勇次郎は言った。

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