若狭君の彼女
部屋に戻る途中
「琳の元カノに殴られるかと思った…」
と奏が言うと
「いや、殴りまではしないでしょ」
と琳は笑った。
「マジで怖かった」
と奏が笑うと
「西川が久美子のことを止めに入るとか、どっちが告白した方なんだよって感じだったな」
と琳は笑ったあと
「でも、あの場にナナさんいたのは焦ったよ。奏が告られてるのなんて見たくないだろうし遠ざけたかったんだけど久美子もいたし…。寿命縮まる思いだったよ」
と琳は言った。
「俺もびっくりした。ナナさんも泊まってたんだな」
と奏が言うと
「風呂のあとに逢い引きですか?学校行事中に彼女とね」
と琳はニヤニヤした。
「逢い引きっていつの言葉だよ。向こうも仲間と来てるんだし会うかどうかわかんないじゃん」
と奏が言うと
「でも、会いたいとは思ってるんだろ?」
と琳は笑った。
「そりゃ…少しは…」
と奏が言うと
「なんだよ。ずいぶん素直じゃない?そこは面倒くさいって言わないんだな」
と琳は笑った。
高校生で混みあう脱衣室で服を脱いでるナナたちは
「高校生いっぱいですね…」
と言った。
「本当だね。時間ずらせば良かったかな」
と青木が言うと
「先輩、ナナはこのあと予定あるから今のうちに入っておかないとなんないんですよ」
とユイナは笑った。
「予定?なにあるの?」
と青木が聞くと
「彼氏ですよ。彼氏」
とユイナは笑った。
「そういえば昼に一緒に食べたんだって。なんで私も誘ってくれなかったかな。友だちもイケメン君ばかりだったんでしょ」
と青木が笑ってると
「ほら、やっぱりそうだって。あの人だよ」
と言う声が離れたところから聞こえてきたので青木が声のする方向を見ると話をしていた奏と同じ学校の生徒は目を反らせた。
「…なんか感じ悪い」
と青木が言うと
「先輩、どうしました?」
とナナは聞いた。
「あっちにいる高校生がうちらのこと見てなんか言ってるからさ」
と青木がチラッと生徒を見て言うと
「あっち?」
とナナも青木が見てる方を見て
「…なに?」
ジロッとナナを見て睨んでる女の子にナナが驚いていると
「ね、感じ悪いしょ。うちらが何したって言うの。ナナ、あんなの無視して早くお風呂行こう」
と青木は言った。
大浴場に入りお湯に浸かるとユイナは
「若狭君って奏君のことだったんだね。まあ、離れて暮らしてるし変な噂流れてたみたいだけど気にするんじゃないよ」
と言った。
「大丈夫、気にしてないよ」
とナナが笑うと
「でもさ、ナナの手を引っ張って俺の彼女だって言い切ったしょ。あの場で普通はなかなか言えないよ。嫌われたかもって心配してたけど、全然そんなことないじゃん」
とユイナは笑ったあと
「ほら、やっぱりそうだって。お昼に一緒にいるとこ見たし…」
と言う声が聞こえてきたので驚いた顔をした。
「さっき、売店の帰りに若狭君たちと一緒にいたの見たよ…」
「こっちは修学旅行で来てるんだって。遊びじゃないんだから…」
「常識ないんじゃない」
「話し方違うし地元民なんじゃない?だったらこっちで男見つけろよって感じだよね」
「ほら、若狭君格好いいし頭も良いからキープしておくみたいな?なんか可哀想…」
「だいたいどうやって若狭君のこと落としたのよ。身体?…たいした身体してる訳じゃなさそうだけど」
「それ言っちゃダメじゃん」
次々と聞こえてくる声に奏とナナのことを言ってるんだと気付いたユイナがナナを見たがナナは全然気にしてないような顔をして
「言いたい人には言わせておけばいいんだよ」
と言った。
いつもなら落ち込んだり傷付いた顔をするはずナナが気にしてない顔で落ち着いている姿にユイナが驚くと
「いちいち気にしてたって仕方ないしょ。奏君がモテるんだろうなってことは初めからわかってたんだし」
とナナは笑った。
「そう…?…そうだよね」
とユイナが言うと
「モテる彼氏を持った宿命ってやつ?参るよね」
とナナは笑っていたが湯船の中で拳を強く握りしめていた。
「…ナナ」
ユイナがその拳に気付くと
「ふん。なに、あの余裕。ムカつく」
と言う声が聞こえてきた。
「いい気になるなよ。オバサンのくせに」
と近くで湯船に浸かっていた生徒が言うとナナは
「オバサンだって?」
と言った。
「あら、聞こえた?ごめんなさいね。でも、オバサンにかわりないじゃん」
と生徒の1人が笑うと
「そうね。でも、そんなオバサンが良くて付き合ってるのはあんたたちがキャーキャー騒いでる若狭君だけどね」
とナナは言った。
「なっ…なによっ」
と生徒が言うと
「ちょ…ナナやめなよ」
とユイナは止めに入った。
「本当だよ。ナナ、大人なんだから言われたこと気にするんじゃないよ。みんな上がろう」
と青木が湯船から出るとユイナも湯船から出て
「またあとで入りにこよう」
と言った。
「はい…。すみません」
とナナが湯船から出て脱衣室に向かって歩いていると
「ふん、どうせすぐに捨てられるんだから」
と1人の生徒はナナに向かって言った。
脱衣室で着替えをしてると
「なんまら感じ悪い子ばっかりだね。ムカつくわ…」
とサークル仲間の1人が言うと
「すみません」
とナナは謝った。
「ナナが悪いわけじゃないじゃん。あんなのただのひがみでしょ?本当、ムカつく」
とユイナが言うと
「でも、ナナの言う通りだよ。イケメンの彼氏持った宿命だと思って聞き流しておきなよ。余計なこと言うと火に油注ぐようなもんだから。こうゆうのは冷静になってる方が勝ちだよ」
と青木は言った。
「…はい。でも、まだ二十歳ですよ。なんでオバサンって言われなきゃなんないんですか?」
とナナが言うと
「ナナが怒ってたのってそこ?」
とサークル仲間の1人が言った。
「だって…」
とナナが言うと
「はいはい、大丈夫だって。まだオバサンじゃないから」
と青木は笑った。
本当はオバサンと言われたことじゃなくて奏とのことを言われたことでナナが我慢していたのをわかっていたユイナは
「仕方ないのよ。あの子たち他に勝つとこないんだもん」
と笑った。
ナナたちが着替えて終えて脱衣室を出ようとしてると琳の元カノと詩織が入ってきた。
「あっ…」
とナナとユイナがばつの悪そうな顔をすると元カノと詩織は目を反らせた。
するとナナをたちの後ろからやってきた生徒が
「ああ、最悪。詩織可哀想じゃん」
と言った。
「本当だよ。詩織の前で俺の彼女だとか言ったんでしょ?若狭君もあんまりだよね」
と1人の生徒が言うと
「本当だよ。詩織の気持ちも考えてあげて欲しいよね?」
と他の生徒も言った。
「ちょっと、黙って聞いてればさっきから随分と言いたいこと言ってくれんじゃない」
と青木が言うと
「なによ、オバサン」
と生徒は言った。
「オバサンだって?ふざけんじゃないよ。だいたいね、ナナが何したって言うの?あんたたちの大好きな若狭君と付き合ってるからってなんでそんなこと言われなきゃなんないの。つうか、若狭君は誰とも付き合っちゃダメなわけ?」
と青木が言うと
「先輩、やめましょう」
とナナは言った。
「なに言ってるの?こいつらナナが黙ってるのをいいことに言いたい放題じゃん」
と青木が言うと
「本当のことじゃない。地元民なら地元で男見つけたらいいじゃない。なんで、若狭君なのよ。あんたみたいなのが若狭君の彼女なんて許せない。さっさと別れてよ!」
と言って生徒はナナの肩を押した。
押された拍子にナナが後ろに倒れかかると
「ちょっと何してくれてんのよ。奏君に相手にされないからって八つ当たりもいい加減にしなさいよ」
とユイナも怒りだした。
「八つ当たりじゃないわよ。詩織の気持ちも考えてみなよ。ずっと若狭君好きで、やっと告白したら彼女紹介されて?どんだけなのよ。詩織も久美子も黙ってないで言ってやりなよ」
と生徒が言うと詩織と元カノは困った顔をした。
「ちょっとなに黙ってるのよ。ムカつかないの?」
と生徒が言うと
「あんたさ、文句言う相手間違ってるんじゃない?文句言うなら奏君に言いなよ。ナナは彼女だって紹介しろなんて一言も言ってないし、そっちの子が彼女がいるならみせてみろって言ったから奏君はナナを会わせたんだし」
と言ってユイナは
「先輩、もう行きましょう。こんな子たちと話しててもムカつくだけだし。ナナも行こう」
とナナの手を引っ張っり歩きだした。
「ちょっと待ちなさいよ!逃げる気?」
と生徒は言っていたがユイナたちは無視してどんどん歩いていたが1人の生徒が
「だいたいあんたおかしいのよ。自分の彼氏の前で他の男に頭撫でられて笑ってるなんて何様なのよ。男なら誰でもいいんじゃないの?」
と言った。
するとそれまで黙ってたナナが振り返り
「誰でも良いって誰が言ったのよ。そんなに奏君取られて悔しかったらうちから奪ってみればいいでしょ。あんたたちの方が近くにいるんだからいくらでも奪うチャンスあるしょ」
と言うと
「な…何よ、本当ムカつく!」
と言って生徒の1人がナナのことを突き飛ばしたのでナナは後ろに倒れてしまった。
「ちょっと、なにしてんのよ!」
とユイナが言いながらナナに手を貸そうとすると奏がナナの身体を支えて
「大丈夫?」
と声をかけた。




