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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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修学旅行へ

次の週、奏は修学旅行に出発するために集合場所の羽田空港に向かった。

先週、ナナと話をしてからも何度かはlineのやり取りはしたが忙しさもあり挨拶以上のことは何も話さなかった。

修学旅行で札幌に行った時に会おうと約束したこともお互いに忘れたいわけではなかったが話を切り出すタイミングが見つからず過去の約束になってしまった。

空港に着くとクラスメイトと話をしていた勇次郎が

「よう、奏やっと来たか?」

と話しかけてきたので奏は

「制服ってあんまり着ないから、うちの学校の奴がどこにいるかわかんなかった」

と学ランの詰め襟を触りながら言った。

「だよな。制服面倒だよな。コートもモコモコして太って見えるし」

と勇次郎が言うと

「靴もさ、ローファーってどうなの?雪に埋まるんじゃね?」

とクラスメイトは笑った。

「でもさ、女子の制服は良いじゃん。3割増って言うかさ…。普段は普通の子が可愛く見えて普段も可愛い子は更に可愛く見えて…」

ともう1人のクラスメイトが言うと

「確かにな」

と勇次郎は笑った。

「だろ?それにさ、うちの学校って修学旅行がスキー場メインじゃん。そこでカップルになって札幌で初デートってのがかなりの数いるとかって先輩に聞いたぞ」

とクラスメイトが言うと

「マジ?」

と勇次郎は笑った。

「マジマジ。女子の中ではスキー場でカナの彼女になって札幌でデートするんだって気合い入ってる奴も多いらしいよ」

とクラスメイトが笑うと

「俺、彼女いるって言ってるじゃん」

と奏は言った。

「でも、カナの彼女を見たことある奴がいないからあれはフェイクだって女子は思ってるらしいよ」

とクラスメイトが言うと

「俺、見たことあるし知ってるよ」

と勇次郎は言った。

「それさえも、口裏合わせてるんじゃないかって噂。ちなみに勇次郎もかなり狙われてるらしいし、軽音は4人していつもモテモテで羨ましいよな」

とクラスメイトが奏の背中を叩くと

「何言ってるんだよ。お前、3組に彼女いるくせに他の女にまでモテたいのか?彼女にバラしてくるぞ」

と奏は笑った。


飛行機に乗った奏は隣に座った勇次郎とナナの話をした。

「ナナさんとケンカしたんだって」

と勇次郎が聞くと

「えっ?」

と奏は驚いた顔をした。

「昨日、ユイナさんと話したときに言ってたから。ナナさん、かなり落ち込んでるって」

と勇次郎が言うと

「…だよな」

と奏は苦笑いをした。

「だよなって、なにしたの?」

と勇次郎が聞くと

「俺のこと知りたいってうるさいから、子どもの時から今のことまで全部話したんだよ」

と奏は言った。

「全部って?」

と勇次郎が聞くと

「全部だよ。中学生の頃にまわりに言われてたこととか、家に帰らないでばあちゃん家にいたこととか、その頃に何を考えてたかとか。今やってることとか」

と奏は言った。

「…そしたらなんだって言われた?」

と勇次郎が聞くと

「もう話を聞きたくないって言われたよ」

と奏は言ったあとため息をついて

「まぁ、そう言われるのは想像してたしいいんだけどさ。ムカついてて余計なことを言っちゃったからさ。多分、それで落ち込んでるって言うか嫌われたんじゃないかな」

と奏は言った。

「奏が怒ったの?珍しくない?」

と勇次郎が驚くと

「自分でもそう思うよ。なんで、あんなことで怒ったのかなって…」

と奏は言った。

「まぁ、奏は俺たちに話するまでも半年かかったし話すのって奏にとっては勇気いることだってわかるし、過去や環境じゃなくて自分を見て欲しいって気持ちわかるよ。けどさ、ナナさんって俺たちと同じでそうゆうの気にしない人だと思ってたんだけどな…」

と勇次郎が言うと

「それもあるけど、多分俺のこと嫌になったのは違う理由だと思う」

と奏は言った。

「なに、またからかったの?お前さ、小学生じゃないんだから…」

と勇次郎が呆れた顔をすると

「いや、そうじゃなくて…」

と奏は言った。

「じゃ、なに?」

と勇次郎が聞くと

「元カレのこと聞いた…。いや、聞くつもりはなかったんだよ。けど、自分は俺と違ってなんでも話せるみたいなこと言うから頭にきて」

と奏は言った。

「元カレ?元カレの何を聞いたの?」

と勇次郎が言うと

「セフレってどんな付き合いしてたんだって…」

と奏は言った。

「セフレ?ナナさんがそんなことしてたの?信じられない…」

と勇次郎が言うと勇次郎の逆隣に座るクラスメイトが

「ちょっと話に加わって悪いけど、もし逆の立場でカナが同じこと聞かれたらどうこたえるの?」

と言った。

「だよな…」

と奏が言うと

「だよなじゃねぇだろ。だいたい、そうゆう女を選んだのはカナなんだろ?…そうゆう過去が許せないのか嫉妬なのかわかんないけど。…もし彼女が今、真面目にカナと付き合ってるなら、そんなこと言われたら落ち込むと思うよ」

とクラスメイトは言った。

「そうだよな。過去ってどうやっても変えれないんだもんな。で、奏はそのこと謝ったの?」

と勇次郎が言うと

「謝ったし向こうも気にしてないって言ってたけど…。それからlineも挨拶ぐらいしか続かないって言うか。あんまりしつこく謝ると余計に向こうも気にするかな?って気もするし」

と奏は言った。

「で、会う約束は?」

と勇次郎が言うと

「してない」

と奏は言った。

「してないの?なんで?」

と勇次郎が言うと

「何かタイミングが…。それに、向こうは会いたくないんじゃないかなって気もするし…」

と奏は言った。

「それはないでしょ。まぁ、約束してなくても明日には…」

と勇次郎は呟いたあと

「とりあえず俺たちも一緒に遊ぶってことになってるんだし、キチンと待ち合わせの時間とか決めてくれよ。今日中にな」

と言った。

「今日中?」

と奏が言うと

「そうだよ。予定入って無理とか言われたらどうすんの?絶対に連絡しろよ」

と勇次郎は言った。


その日の昼過ぎ、ナナは部室で武志にスノボのメンテナンスをしてもらっていた。

「田口さ、前日になってやっと板持ってくるとかどうなんだよ。自分で手入れしてるのかと思ったじゃん」

と武志が言うと

「一応、ワックスは塗ったよ。スプレーだけど…」

とナナは笑った。

「スプレーって…シューって塗っただけで削ってもいないし、この板で滑ろうって考えてたってのが驚きだよ」

と武志がワックスをかけながら言うと

「ごめん…」

とナナは謝った。

「ちょっと武志、ナナいじめるんじゃないよ。そうゆうやつは明日は連れてかないからね」

と青木が言うと

「いじめてないじゃないですか。ワックスまでかけてあげて、めちゃくちゃ優しくしてるじゃないですか?」

と武志は言った。

「そう?うちは武志がワックスがけが好きでやってると思った。ついでに私の板もかけておいてよ」

と青木が笑うと

「えっ、自分のもまだかけてないのに…」

と武志は言った。

「大丈夫。ユイナの合わせても4枚でしょ?夕方までに終わるって」

と青木が言うと

「夕方って…。俺、明日の準備してないから早く帰ろうと思ってたのに…」

と武志はブツブツ言った。

「武志君、ごめんね」

とナナが謝ると

「いいのよ。なんだかんだ言って武志はそうゆうの好きなんだから」

とユイナは言ったあと

「ちょっと元気になったみたいだね。奏君と仲直りした?」

とナナに聞いた。

「仲直り…って言うか。ケンカしてないし」

とナナが言うと

「でも元通りにはなったんでしょ?」

とユイナは笑った。

「…」

ナナが黙ってると

「まだ仲直りしてないの?…もしかして札幌に来た時の約束もまだしてないとか言わないよね?」

とユイナは聞いた。

「奏君も忙しいみたいで、そうゆう話する暇なかったんだよね」

とナナが笑うと

「嘘でしょ?だって奏君って今日から北海道来てるしょ?」

とユイナは言った。

「えっ、今日から来てるの?」

とナナが聞くと

「それも知らなかったの?なんで?」

とユイナは聞き返した。

「…なんでかな。怒らせちゃったし嫌われたのかな」

とナナが笑うと

「昨日、武志と一緒に勇次郎君とこに電話したんだけど勇次郎君はナナと奏君がケンカしてることも奏君が怒ってることも知らなかったみたいだよ」

とユイナは言った。

「それはそうだよ。奏君、あんなこと他の人に言えないと思うもん」

とナナが笑うと

「ねぇ、何があったの?言えないようなことなの?」

とユイナは聞いた。

するとナナはため息をついて

「うちが間違ってたの。奏君のことをもっと知りたい知りたいって欲張って聞いたから。…誰だって人に話したくないこととか知られたくないことってあるのに奏君の気持ち考えないでしつこく聞いたから…。嫌われても仕方ないよ」

と言った。


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