クリスマスの終わり 2
店の前で順番待ちをしていると奏が
「あっちの回転寿司スゴいね。入るまで何分かかるんだろう」
と呟くと
「本当だね。うちらは次に呼ばれるからあっという間だけど、あんなに待ってたら奏君、お腹空きすぎて倒れるんじゃない?」
とナナは笑った。
店内に案内されると昨日同様に奏可愛ナナをエスコートして椅子に座らせてから自分が座ったので案内してくれた女性店員は顔少し顔を赤らめて奏を見たので
「どうしました?」
と奏が聞くと
「あっ…。いえ、ご注文お決まりになりましたらお呼び下さい」
と店員は去っていった。
「はぁ…女ったらしだね」
とナナが嫌味っぽく言うと
「何が?」
と奏はメニューをナナに見せながら聞いた。
「その顔で自覚無しって本当たち悪いよ」
もナナが言うと
「だから何が?意味わかんない」
と不思議そうな顔をして奏はメニューを指差し
「ねぇ、エゾシカ肉って書いてあるけどエゾシカって鹿だよね?北海道の人って普通に鹿食べるの?」
と聞いた。
「食べないよ」
とナナが言うと
「だよね。鹿肉って美味いのかな?」
と奏は言った。
「さあ?私、食べたことないしどうだろ?頼んでみたら?」
とナナが言うと
「いや…俺はオススメって書いてあるチキンでいいや。ナナさん食べてみたら?」
と奏は言った。
注文して少しするとライスとカレーが運ばれてきた。
「美味そう」
と奏が嬉しそうな顔をすると
「そうだね。ここのスープカレー久しぶり」
と言ってナナは両手を合わせていただきますをすると一口食べて
「んー、空港で食べても同じだ。美味しい」
と笑った。
「本当美味しそうに食べるね」
と奏が笑うと
「だって美味しいんだもん」
とナナは言ったあと少し間を開けて
「あのさ…。聞きたいことがあるんだけど…」
と言った。
奏がカレーを食べながら
「なに?急にかしこまって」
と言うと
「あのさ……。…私たちって…付き合ってるんだよね?」
とナナは聞いた。
すると奏は何を言ってるんだと言わんばかりの顔で
「でしょ?違うの?」
と聞いた。
「違わないけど…。昨日の夜と様子が全然違うから。もしかしたら都合の言い夢見てただけで、付き合ってるのは変わらないんだけど今までと同じでフリで付き合わせてるのかな?って…それだったら勘違いしないように気をつけないとなって…」
とナナが言うと
「勘違い?何を勘違いするの?」
と奏は聞いた。
「それはその…奏君も…私のこと…同じように想ってくれてるって…」
とナナが言うと
「それ、勘違いじゃないし夢じゃないよ」
と奏は言った。
ナナが安心した顔で
「良かった…」
と呟くと
「そんなこと気にしてたんだ。早く聞けば良かったのに」
と奏は笑った。
「聞けないよ…。もし、本当に夢だったとしたら困るし。…だって、奏君に本当のこと言ったら付き合うのやめるって言われると思ってたから。それに、昨日の奏君と今日の奏君がちょっと違う感じするし」
とナナが言うと
「違う?どこが?」
と奏は聞いた。
「なんか、スゴい余裕あるって言うか。いつも電話で話してる奏君だと言えばそうなんだけど、昨日の奏君と全然違って…」
とナナが言うと奏は
「それは昨日がダサダサだったから今日はキチンとして男らしいとこ見せようって思っただけ」
と言ったあと
「ちょっとぐらいカッコつけさせてよ。…ほら、ドリンクも大人っぽくコーヒーにしたんだから」
と笑った。
「そんな無理しなくてもいいのに。…そうだ、札幌でも有名なケーキ屋さんのショップがあるんだよ。そこのチーズタルト美味しいから買ってったら?」
とナナが言うと
「へぇ。じゃ、父さんたちに買ってこうかな?」
と言ったあと奏は目頭に涙を浮かべてるナナに気づいて
「ナナさん?」
と聞いた。
「ごめん。なんか、ホッとしちゃって。…もしかしたら、夢だったのかな?って思ってたから…」
とナナが涙を浮かべて笑うと奏はペーパーナプキンをナナに差し出して
「ほら、せっかく時間かけたメイクがぐちゃぐちゃになるから」
と言ったのでナナはペーパーナプキンを受け取り目頭を拭くと
「ペーパーナプキンって…せめてティッシュちょうだいよ。それに、時間かけたメイクって余計なお世話よ」
と言った。
「ティッシュ持ってないし仕方ないじゃん。メイクに時間かけてたのも本当でしょ?おかげで朝飯行くの遅れたし長すぎ」
と奏が笑うと
「仕方ないでしょ。女の子はいろいろ大変なのよ」
とナナは言ったが奏が
「だいたい、そんなにメイク頑張らなくても充分可愛いから大丈夫なのに」
と笑ったのでナナは顔を少し赤らめて
「本当、そうゆう恥ずかしいことサラッと言える奏君スゴいわ。お姉さん、本当に奏君の将来が心配だよ」
とため息をついた。
「心配?さっきから意味わかんないことばっかり」
と奏が言うと
「…そうゆうこと他の人に言ったらダメだよ」
とナナは笑った。
「そうゆうこと?」
と奏が聞くと
「可愛いとか他の人に簡単に言わないでよってこと」
と言ってナナはカレーを食べた。
すると奏はニヤッと笑い
「言うわけないでしょ」
と言ってナナの髪をクシャクシャっと撫でるとナナはまた目に涙を浮かべたが奏はあえてその事にふれず
「さっき、ソフトクリームの店もあったよね?デザート代わりに食べて行こうよ」
と笑った。
するとナナが涙をこらえながら笑い
「本当、奏君は甘いもの好きだね。それで太らないの羨ましいよ」
と笑ったので
「まあね。でも、身体鍛えたりもして太らないようにもしてるからね」
と奏は言った。
「鍛えてるの?」
とナナが聞くと
「そりゃね。太ると服着れなくなるでしょ?おさがりももらえなくなるし父さんと同じ体型を維持しようって鍛えてるよ」
と奏は言った。
「お父さんと同じ体型って…腹筋割れてたりするの?」
とナナが聞くと
「なんでそんなこと知ってるの?」
と奏は驚いた顔をした。
「えっ、ファンクラブの会報とか雑誌で見たことあるから」
とナナが言うと
「雑誌…。そっか、ナナさんはナゴミに抱かれたい人だもんね。もしかして、ナゴミの腹筋見て妄想とかしちゃうの?」
と奏は笑いながら聞いた。
「そ…そんなことしないよ。ただ、キレイな腹筋だなって見てるだけだし」
とナナが言うと
「ふーん…。あっ、そうだ。俺さ、たまに二人で風呂入ったりするけど羨ましいとか思っちゃう?」
と奏は笑った。
「そ…そんなこと思わないよ」
とナナが焦って言うと
「本当?ナゴミ、全裸だよ」
と奏は笑ったが
「全裸…。いや、羨ましくない」
とナナはムキになって言った。
「ハハッ。そんなムキになって否定しなくてもいいのに。逆に羨ましいと思ってるみたいだから」
と奏が笑うと
「ひどいな…。私がナゴミのこと大好きなの知っててわざとでしょ。…そう言えば、前に清雅が出した新曲知ってる?」
とナナは聞いた。
「新曲?」
と奏が聞くと
「そう。ナゴミが歌詞書いたやつ。あの歌詞がスゴい良くてさ。清雅じゃなくてナゴミが歌えば良かったのに」
とナナは言った。
すると奏は驚いた顔をして
「ナゴミが歌えば良かったって思ったの?」
と聞いた。
「うん。絶対ナゴミだよ。あれって曲に惚れ込んだ清雅がナゴミに歌詞を書かせたって言ってたけど、絶対歌詞がいいから曲が良く聴こえるんだよ。なんたっけ?カエデとかって新人の作ったのだって言ってたけど、そんなのどうでもいいよ。ナゴミが歌詞書いたならナゴミが歌えばいいのに」
とナナが一人で熱く語ってるのを見て奏が笑うと
「なに?おかしいこと言った?」
とナナは聞いた。
「いや、ナゴミ愛がスゴいなと思ってさ」
と奏が笑うと
「そりゃそうよ。小学生の頃からファンなんだから。語りだしたら長いよ」
とナナは笑った。
すると奏は笑いながら
「ナゴミが作詞して清雅が惚れ込んだカエデね…。俺もチェックしてみようかな?」
と奏は言った。
「私は興味ないから聴いたことないけど、ユイナは絶対人気出るって言ってるしデビュー曲はエンドレスに使われてるらしいからね。聴いてみたら?」
とナナが言うと
「そうなんだ」
と奏は言ったあと
「ナナさんはずっとそのままでいて欲しいな」
と笑った。
「そのまま?」
とナナが聞くと
「ナゴミが一番だって言ってて欲しいってこと」
と奏は笑った。
「それが嬉しいの?」
とナナが聞くと
「嬉しいって言うか…ナゴミの話してるときのナナさんは目がキラキラして本当楽しそうだからね」
と奏は言った。
「そうなの?」
とナナが聞くと
「うん。本当、好きなんだなってわかるよ」
と奏は笑った。




