クリスマスの終わり 1
チェックアウトの手続きをした奏とナナはフロントに荷物を預かってもらい札幌駅に行った。
「お土産なに買うの?」
とナナが聞くと
「とりあえず決まってるのは琳たちに熊出没注意グッズ」
と奏が笑った。
「熊出没注意グッズ?あれ、可愛くないじゃん」
とナナが言うと
「でも、インパクト大きいじゃん。夏休みにファイル買ってったら大ウケだったよ。だから、今回も熊出没注意グッズ」
と奏は笑った。
「あんなのもらって使うの?」
とナナが聞くと
「使わないのが面白いじゃん。なんでこんなの買ってくるんだよってのがさ」
と奏は言ってお土産売り場にあるペンを見て
「ねぇ、これスゴくない?6色じゃないペンだって。6つとも全部黒ってのが無意味でスゴいよ。これ、琳たちに買ってこう」
と言った。
「えっ、本当に買うの?」
とナナが驚いた顔をすると
「うん」
と奏は当たり前と言うような顔をした。
その後も次々とお土産売り場で買い物をした奏がホテルに戻りスーツケースにお土産を入れてると
「本当にお土産のために大きいの持ってきたんだ…」
と驚いた顔をした。
「そうだよ。お菓子の箱ってがさばるし手に持つのも面倒じゃん」
と奏が言うと
「奏君ってさ、面倒って言うの口ぐせなの?」
とナナは聞いた。
奏がスーツケースを閉めながら
「口ぐせ?そんなこと言われたことないけど…面倒って言ってる?」
と奏が言うと
「結構言ってるよ。面倒だとか面倒くさいとか」
とナナが笑うと
「…興味ないこととか面倒だからつい言っちゃうのかな?」
と奏は言った。
「興味ないこと?」
とナナが聞くと
「うん。興味ないこととかどうでもいいこととかするの面倒だよね。そんなことする時間あるなら違うことに時間使いたいし」
と奏は笑ってから
「じゃ、行こうか?」
とナナに言った。
駅に着くとナナは
「何時の飛行機で帰るの?」
と聞いた。
すると奏はバックからチケットを取りだし
「4時だね。空港には3時過ぎには着きたいから…」
と言ってスマホを検索して
「2時過ぎの電車に乗れば間に合うかな」
と言った。
「そっか」
と言ったナナが別れの時間が近付いてきてることを考えないように考えないようにと明るく振る舞ってると
「どうしよう?1時間あるし何か食べる?」
と奏が言ったので
「奏君、食べることばっかりだね」
と笑った。
「そう?でもさ、もう1時だし腹減らない?」
と奏が聞くと
「ちょっとね。でもさ、雪降ってるし荷物持って歩くのも大変だから空港行って食べようか?」
とナナは言った。
「えっ、空港までついてきてくれるの?」
と奏が聞くと
「違うの?」
とナナは聞いた。
「いや、雪降ってるし電車止まってナナさん家に帰れなくなったら困ると思ってたんだけど」
と奏が言うと
「このぐらいの雪で電車止まらないでしょ」
とナナは笑った。
「そっか。さすが雪国だな」
と奏が笑うと
「東京は雪に弱すぎなのよ。だいたい、雪のない冬なんて冬じゃないじゃない」
とナナも笑った。
新千歳空港行きの電車に乗った奏は曇った窓を指先で拭いて
「スゲェ。綿みたい」
と外を眺めて言った。
「綿?」
とナナが聞くと
「綿みたいな雪じゃん。なんか美味そうじゃない?」
と奏は笑った。
「奏君、話すことが食べ物ばかりだよ。そんなにお腹空いてるの?」
とナナが笑うと
「空いてるよ。ああ、おむすびでも買ってくるんだった」
と奏は言った。
「奏君、おにぎり好きだもんね」
とナナが笑うと
「…そんなこと言った?そんなに好きじゃないけど」
と奏は言った。
「好きじゃないの?ライブの時にたくさん食べてたじゃない」
とナナが言うと
「そうだったかな?…腹減ってたからじゃない?」
と奏は言った。
「そっか。そういえば、昨日も話したもんね。ハンバーグが好きなんだよね?」
とナナが言うと
「まあね。…ナナさんは何が好きなの?」
と奏は聞いた。
「私?私はなにかな?パスタとかピザ好きだよ。あとはスープカレーも」
とナナが言うと
「あっ、今回何か忘れてると思ったらカレー食ってないじゃん。くそっ…1ヶ月先まで食えないのか」
と奏は悔しそうな顔をした。
「1ヶ月?」
とナナが聞くと
「修学旅行で北海道来るからね。…ってか、修学旅行って名前のスキー合宿みたいなもんだけど」
と奏は言った。
「そうなんだ。修学旅行ってどこ行くの?」
とナナが聞くと
「富良野で2日ぐらいスキーかスノボして、そのあと札幌らしいよ。みんな、この寒さに絶対驚くよ」
と奏は笑った。
「富良野のスキー場だと美味しいカレーのお店あるよ。札幌はこの季節どこ行くの?」
とナナは聞いた。
「どこだろ?班のやつが行くとこリサーチしてくれるって言ってたけど半分は自由行動だから琳たちと昨日行ったカフェのジャンボパフェに挑戦しようかな」
と奏は笑った。
「あのデカいやつ?4人で食べれるかなぁ」
とナナが笑うと
「4人は無理でしょ。ナナさんとユイナさんにも手伝ってもらわないと」
と奏は笑った。
「私とユイナ?」
とナナが聞くと
「そりゃそうでしょ。あっ、男と出掛けたらユイナさんの彼氏に怒られるかな?でも、俺たち高校生だし大丈夫かな」
と奏は言った。
「私たち、一緒してもいいの?」
とナナが聞くと
「別に自由行動だしいいんじゃない?…嫌だった?」
と奏は言った。
「そんなことないけど」
とナナは言ったあと嬉しそうに笑い
「そっか。1ヶ月たてばまた会えるんだ」
と呟いた。
「そうだよ」
と奏が言ったあと鼻歌を歌い出すと
「それ、誰の曲?」
とナナは聞いた。
「えっ…。ああ…俺」
と奏が笑うと
「俺って奏君?奏君、本当に歌作るんだ」
とナナは驚いた顔をした。
「本当にって、話したことあった?」
と奏が聞くと
「前に琳君たちが言ってたの。奏君は勉強もスポーツも出来るし曲もギターも歌も上手いって」
とナナは笑った。
「なにそれ。俺の知らないところで何話してるんだよ」
と奏が言うと
「あとね、唯一奏君に勝てるのはゲームだって言ってたよ」
とナナは笑った。
「ゲーム…。確かにゲームは弱いな」
と奏が笑うと
「でも、動画見たら本当にギターも歌も上手いよね?そのうちスカウトされてプロになっちゃったりして」
とナナは笑った。
「プロ…?」
と奏が聞くと
「うん。でもな、奏君がプロになったら絶対人気出ちゃうだろうからな。そうなるとなんか遠くの人みたいになっちゃうし、やっぱりこのままがいいかな」
とナナは笑った。
「…そうだね」
と奏が言うと
「でも、奏君の作った曲は聴いてみたいな」
とナナは言った。
「俺の曲?…たいした曲じゃないから聴かなくていいよ」
と奏が言うと
「そんなことないよ。もし、たいした曲じゃなくても上手いって誉めてあげるから」
とナナは笑った。
「たいした曲じゃなくても誉めるってひどくない?それの方が落ち込むよ」
と奏は言うと
「いつかナナさんにお世辞じゃなくて本当に誉めてもらえるような曲がもしも出来たら聴かせてあげるよ。だから気長に待ってて」
と奏は笑った。
新千歳空港駅に電車が到着すると奏とナナは空港に向かい飛行機のチェックインをして荷物をカウンターに預けた。
「やっと荷物から解放された」
と奏は笑ったがナナは顔を曇らせ
「そうだね。スーツケース大きかったもんね」
と無理に笑って言った。
「ほとんどお土産だけどね」
と奏は笑ったあと
「よし、飯食いに行こう」
と言ってナナの手を握った。
「えっ」
とナナが驚いた顔をすると
「空港のなかは暖かいし素手で握れるでしょ」
と奏は言ったのでナナは嬉しそうに笑った。
たくさんある店を見て歩きながら
「どうしよう。ラーメンもいいけど海鮮丼も捨てがたいな。ナナさんは何がいい?」
と奏が聞くと
「奏君の好きなのでいいよ。ほら、私はいつでも食べれるし」
とナナは笑った。
「…そっか。そうだよね。…じゃあさ、さっきあったスープカレーの店にしようかな」
と奏が笑うと
「スープカレー?そんなに好きなの?」
とナナは聞いた。
「なんかさ、女の子と二人でラーメンってのもあれだし、海鮮丼も魅力的だけどそれは修学旅行でいいかなって気もするしね」
と奏が言うと
「私はラーメンでもいいよ」
とナナは言った。
「いや、ラーメンだとすぐに食べ終わんないとダメみたいな感じするじゃん。ゆっくり食えるカレーの方がいいな。…あっ、ナナさんがラーメン食べたいならラーメンでもいいけど」
と奏は言った。




