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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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デビューの日 3

食事が終わりほろ酔いになった相川は

「で、みんなは奏のCD聴いてどうだった?カップリングは清雅の曲と同じで夏休みに作った曲だけどいい曲だったろ?」

と聞いた。

「すみません…実はまだ聴いてなくて…」

と勇次郎が言うと

「聴いてないの?あっ…CD買ってくれたって言っても家に帰らんと聴けんもんな」

と相川は言ったあと立ち上がり

「じゃ、今から奏のCDの観賞会するか?」

と言って大きなサイドボードからCDを取りだしオーディオにセットした。


曲を聴き終わると相川が

「どう?なんか感想ある?」

と琳たちに聞いたので奏は琳たちが何て言うのだろうとドキドキした。

「Sad loveもいいけど、カップリングもいいですね。明るくて奏が作ったって感じで」

と勇次郎が言うと

「だよな。清雅さんの曲もそうだけどSad loveだけ聴くと奏が遠くに行っちゃったって言うか俺たちがやってた奏の曲とあまりにもレベル違って遠い存在になっちゃったって感じるけど、カップリングは奏の曲って感じで聴いてて嬉しくなりますね。でも、Sad loveも好きですよ。聴いててゾクゾクしてきますもん」

とさっちゃんは笑った。

「ゾクゾクか…」

と相川は笑ったあと

「良かったな。俺に怒られて泣きそうになりながら歌ったかいあったな」

と言ったので

「泣きそうになんてなってません」

と奏が渋い顔をすると奏のスマホが鳴った。

スマホを見て奏が

「あっ…石井さんからだ。ちょっと向こうで話してきますんで、相川さん余計なこと言わないで下さいね」

と言った。

「わかってるって。ほら、早く出ないと石井にまた怒られるから」

と相川が言うと奏は

「もしもし?奏ですけど」

と電話に出ながらスタジオを出ていった。

「休みでも電話ですか?」

と勇次郎が聞くと

「まぁ、多分デビューしたのが嬉しくて電話してきたんだろ。石井は奏のことが大好きだから。まあ、俺の奏への愛には敵わないけどな」

と相川は笑った。

「へぇ…愛ですか」

と琳が言うと

「そういえば、琳たちはクリスマスの予定あるのか?」

と相川は聞いた。

「残念ながら誰も予定なしです。でも、クリスマスに仕事する奏に比べたらまだマシかなって…」

と琳が苦笑いすると

「あれ、聞いてないのか?奏、クリスマスは札幌行くんだぞ」

と相川は言った。

「札幌?」

と琳が驚いた顔をすると

「ああ。奏が本当スゴい頑張ってるからご褒美に俺が札幌一泊旅行プレゼントしてやったんだよ」

と相川は笑った。

「知らなかった…」

と琳が呟くと

「予定無いお前たちに申し訳なくて言えなかったのかな?ツインの部屋とってやったから彼女とお泊まりデートだよ。ああ、でも失敗したかな。奏が大人になるってなんか寂しいな…」

と相川は言った。

「お…お泊まりデート。札幌で…」

と琳が言うと

「なんだかんだ言って奏のやつキチンと付き合ってるんじゃん。好きじゃないとか言ってたのは、照れからか?」

と勇次郎は言い

「だったらデビューすることだって話せばいいのに。ナナさん、喜ぶよ」

とさっちゃんは言った。

「でもさ、奏からしたらナナさんがポロッとユイナちゃんとかに言っちゃうかもって心配してるのかもしれないし…」

と琳が言うと

「それは無いな。多分、違う理由だよ」

と相川は言った。

「それは無いって、どうして言えるんですか?」

と勇次郎が聞くと

「奏の彼女ってお前らと同じで両親のことも知ってるけど誰にも言わず黙っててくれてるだろ。多分、奏のことだって黙っててくれるよ」

と相川は言った。

「えっ、ナナさん知ってるの?」

と琳が驚いた顔をすると

「そうだよ。北海道で3人でいるとこ見られてるし知ってるよ。けどほら、奏がそうゆうの嫌なの知ってるからお前らと同じで誰にも言わないで秘密にしてるし、東京で会った時もお前らに何も言わなかったんだろ」

と相川は言った。

するとさっちゃんはジップの前で奏が二人の息子じゃないかって言われた時にそんなわけないって言ってたことや駅で別れる時に奏はナゴミに似てないって話してたのを思いだし

「そっか…。だからあの時、奏は似てないって言ってたんだ…」

と呟いた。

「彼女、和にバグされて鼻血出すほどナゴミが好きなんだよ。奏からしたら自分がナゴミに似てるって言うか…息子だからって気持ちは少なからずあると思うんだよ。その上、自分もミュージシャンになったなんて言ったら彼女はますます本当の自分を見てくれなくなるんじゃないかって気持ちもあるじゃないか」

と相川は言った。

「自分を見てくれない…」

と琳が聞くと

「あとは、これ以上自分の秘密を彼女の負担にさせたくないってとこかな?本当なら、私の彼氏はナゴミの息子なのよって自慢したくなる子もいるだろ?それを秘密にさせてるし、その上自分がミュージシャンだってことまで秘密にさせるって言うのは気が引けるんじゃない?」

と相川が言ってると奏がスタジオに戻ってきて

「石井さん、デビューしたからって浮かれるなですって。あと、明日学校遅れないように早く寝ろって…小学生かって。本当、あの人いちいちうるさい。母さんより母さんみたい」

と言った。

「まぁ、そう言うなって。石井は村上さんにも奏のことを何度も相談して本当に奏のことを一生懸命考えてくれてるし良いパートナーになると思うよ」

と相川は笑ったあと

「でも、和と綾子のことはまだ話して無いんだろ?知った時々驚くだろうな」

と言った。

「だって、自分から二人の息子ですって言うのも変だし村上さんも言うの忘れてたから言うタイミング無くなったって言ってるし…」

と奏は言った。

「Speranzaチームもボレロチームも知ってて黙ってるんだろ?」

と相川が言うと

「そうなんですよ。マネージャーさんたちが普通に話しかけてくれるし普段通り気を使うなって言うからいつも通りに話してたら石井さんが後から新人なんだからマネージャーさんにも気を使って礼儀正しくしろって言うし、相川さんと清雅さんと飯行ったじゃないですか?その時も大先輩なんだからもっと遠慮して緊張感持って話すれって怒られたし…。で、最後のセリフがいつも同じなんですよ。いつもは出来るのになんで大事な場面で礼儀正しく出来ないかなって言ってため息」

と奏は言った。

「仕方ないさ。芸能界は挨拶と礼儀が一番だから。まずはそこから躾ないとって石井は石井なりに考えてるんだよ」

と相川が笑うと

「だとは思うんですけどね。ああゆう時ってどうしていいかわかんないですね」

と奏は言った。

「別に事務所とかなら普段通りでいいんじゃない?現場だと他の人の目もあるから上下関係はキチンとした方が良いってのはみんな理解してるし、事務所の中で普段通りって言われたら素直にそうすればいいよ。普段通りって言われてるのにかしこまって話されると相手も嫌だろう」

と相川が言うと

「ですよね…。でも、石井さんが」

と奏は言ったが

「まぁ、明日は村上さんと石井と事務所で打ち合わせなんだろ。明日はSperanzaやfateも事務所で打ち合わせや仕事って言ってたしちょうどいいんじゃない。村上さんに話してもらえよ」

と相川は笑った。

「…Speranzaとfateもですか。いろんな意味で嫌な予感しかしないんですけど」

と奏が言うと

「まだボレロよりいいだろ。ボレロは大変だぞ。カンジとタケは騒ぐだろうし由岐は過剰に心配するだろうし…」

と相川は笑ったあと

「そういえば、明日事務所来たら結城さんが奏に和と綾子の家での様子聞きたいみたいなこと言ってたぞ。なんかあったんか?」

と聞いた。

「よくわかんないけど、ケンカしてたみたいですよ。まぁ、仲直りはしたみたいで今はバカップル全開ですけど」

と奏が言うと

「バカップルか…。まあ、あと10日すれば奏も彼女と会えるんだし我慢しろよ」

と相川は言った。

「あっ… 相川さん。その話は…」

と奏が困った顔をすると

「奏、聞いたよ。クリスマスに札幌行くんだって。お泊まりで」

と琳は言った。

「いいよな。リア充…。お泊まり…。ちゃんとゴム用意してけよ。なんならデビューのお祝いに俺がプレゼントするか?」

と勇次郎が言うと

「ゴム?」

と言った。

「ゴムってわからない?コンドームのことだよ」

と勇次郎が笑うと

「そんなのいらないよ。使わないし」

と奏は言った。

「おい、奏。そうゆうのはキチンとしないとダメだぞ。コンドームはエチケットだし相手への優しさでもあるからな」

と相川が言うと

「違いますよ。別に使うようなことしないって言ってるんですよ。だいたい、俺は軽い気持ちでそうゆうのしたくないって知ってるじゃないですか」

と奏は言った。

「…一緒に泊まるのにしないの?」

と琳が聞くと

「しないよ。何度も言うけど付き合ってるって言っても好きで付き合ってるわけじゃないんだからお互いに。それにツインの部屋だけど泊まる?って聞いたけどナナさん考えておくとしか言わないし…」

と奏は言った。

「そりゃさ、考えておくとしか言えないだろ。泊まるなんて言ったら奏にする気満々だなって思われんじゃないかって思うだろうし」

と相川が言うと

「別に思わないけど…」

と奏は言ったが

「それに、そこは奏が一緒に泊まろうって誘えよ。する気ないなら断られてもダメージ少ないだろうし、部屋でギター練習してればいいんだから」

と相川は言った。

「でも、泊まろうって言われたら逆に断りづらいんじゃないんですか?泊まろうなんて言ってその気でこられてもこっちも困るし、何もしないから一緒に泊まろうって言うと、本当はその気のくせにわざとらしいとか思われそうだし…。このまま放っておいてその話は無しって感じの方がよくないですか?」

と奏が言うと

「まあ…それも有りだけどな。でもさ、正直なことろ本当にそうゆうのは全然考えてないのか?これっぽっちも?」

と相川が聞くと

「はい。考えてませんよ」

と奏は言った。

「…性欲とか興味っての無いの?」

と相川が聞くと

「それはあるけど、軽い気持ちでするといずれ後悔するときがくるって父さん何度も言ってるし…。興味本位ですることじゃないような気がするんですよ」

と奏は言った。

「でもさ、相手がその気なのに断ると自分には女としての魅力が無いのかって傷付けることになるみたいだよ。俺、それが原因で別れたことあるもん」

と琳が言うと

「そうだな。こっちは彼女のことを大事にしたいからって思っても、それが相手に上手く伝わらないとな。据え膳食わぬは男の恥じって言う言葉もあるし、女の子がアプローチしてきてるのに受けないのってのは相手に失礼だし恥をかかせることになるからな」

と相川は言った。


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