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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
262/356

二人での夜

「じゃ、明日。集合時間に遅れないように」

と結城が言うとホテルのロビーで解散し各自、自分たちの部屋に向かった。

エレベーターの中でもあくびを繰り返していた和は部屋に入るとベッドに倒れ込んで

「疲れた…」

と呟いてチラッと綾子の方を見ると、綾子はすぐに荷物の整理を始めていた。

「…」

和は綾子をじっと見ていたが綾子は和に気付かず

「あっ、お湯入れなきゃ…」

とシャワールームへ行ったり荷物を出したりとちょこちょこ動いていた。

「…綾子、ちょっとゆっくりしたら?」

と和が言うと

「でも、先にやっておかないと」

と綾子が荷物を出しながら言ったので和はベッドをゴロンと転がり綾子の側に行くと綾子の服をツンツンと引っ張り

「ねぇ、ちょっとだけこっち座ってよ」

と言った。

「…ちょっとだけだよ」

と綾子がベッドに座ると和はサッと綾子の膝に頭を乗せて腰に手をまわし

「やっぱり、これが一番落ち着くよな…」

と言った。

「荷物整理したいし、本当にちょっとだけだからね」

と綾子が言うと

「わかってるよ。ちょっとだけでしょ」

と和は言ったあと

「許してくれなくていいけど…ごめんね」

と綾子の腰をギュッと抱き締めて言った。

「許さないけどね」

と綾子が言うと

「うん。それでもごめん。カンナのことを黙ってて不安な気持ちにさせたのも、約束破ったのも本当にごめん」

と和は言った。

「…」

綾子が黙ってると

「それから子どものこともごめん。綾子の気持ち考えてなかった。言っていい冗談とダメな冗談あるよな…。本当にごめん」

と和は言ったあと

「一生許さなくてもいいから、一生俺のこと愛して。俺を…捨てないで」

と言った。

綾子は和の頭をペチンと叩いて

「なに、弱気なこと言ってるのよ。そろそろお湯もいっぱいになる頃だしお風呂見てこなきゃ」

と言って和の頭を退けてベッドから立ち上がり

「先に入る?それとも後から入る?」

と聞いた。

「…一緒に入る」

と和が言うと綾子は黙ってしまったので

「冗談だよ。俺も荷物整理しなきゃなんないから後で入るよ」

と和が立ち上がると

「…早く来ないとぬるくなっちゃうからね」

と綾子は言ってバスルームに歩いていった。

「…えっ?えっ?…いっていいの?」

と和は慌てていたが

「いいってことだよな…」

と言って和は急いでスーツケースから着替えを出した。


和が綾子の後を追ってバスルームに行くと綾子は

「あれ?もう来たの」

と言ってバスタブから立ち上がろうとした。

「えっ、上がっちゃうの?」

と和が言うと

「うん。ゆっくり入りたいでしょ。シャワールームで髪洗って先にあがるね」

と綾子は言った。

「…もう少しゆっくりすればいいじゃん」

と和が言うと

「二人だとゆっくり出来ないでしょ」

と綾子は言ったが

「綾子と二人でゆっくり入りたいの」

と和はバスローブを脱いでバスタブに入ってきた。

「ちょっと、狭い…」

と綾子が言うと

「横向きに入るから狭いんだよ。同じ向きなら狭くないし…ほら、こっちおいで」

と和は綾子を自分の前に座らせると

「ほら、足伸ばせるだろ」

と言った。

「うん…」

と綾子が足を伸ばすと和は綾子の前に腕をまわして

「やっと綾子が戻ってきた」

と言った。

「大袈裟だよ。たった3日別々に泊まっただけでしょ」

と綾子が笑うと

「たった3日でも生きた心地のしない3日だったよ」

と和はため息をついた。

「なっちゃんが悪いんでしょ。ミュージカルだって見れなかったし…。誠、いいな」

と綾子が言うと

「なんで誠が出てくるの?」

と和は聞いた。

「誠、一昨日北原さんと見に行ったんだよ。スゴい良かったって言ってたし」

と綾子が言うと

「でも、一昨日はデートしたしいいじゃん」

と和は言った。

「デート?」

と綾子が驚くと

「ホットドッグ食べて美術館行って買い物して夜景見てってデートでしょ?」

と和は言った。

「デートじゃないでしょ」

と綾子が言うと

「デートだよ。そりゃ、何を言っても無視されるし手は繋げないしで悲しい気分にもなったけど、一緒にデートしたでしょ?」

と和は言った。

「勝手についてきただけでしょ」

と綾子が言うと

「でも、俺が見たい絵の前では止まってくれたし、飯だって俺が好きそうな店だったし、歩いてる時も俺が遅れ取ったら距離が出来ないようにゆっくり歩いてくれただろ?」

と和は言って綾子の肩に顎を乗せた。

「都合良く考え過ぎ。私の中でなっちゃんは完全に無の存在だったよ」

と綾子が言うと

「でも、ニット帽とマフラー買ってくれたじゃん。…って、俺のあげた手袋はどうしたの?つけてないよね?」

と和は聞いた。

「…あれね、カンナさんにもらったのと一緒に街中のゴミ箱に捨ててきた」

と綾子が言うと

「捨てたの?あれ?カンナにもらったのホテルに忘れたって言ってなかった?」

と和は言った。

「あっ…」

と綾子はしまったと言う顔をして

「荷物運び出した時に北原さんと山下君も縁起悪いから捨てた方がいいって言うから捨てちゃった」

と笑った。

「…縁起悪いって。まあ、新しいニット帽とマフラーあるしね。手袋は明日早起きして買いに行こうか」

と和が言うと

「そうだね。可愛い手袋欲しいな。前のはイマイチ可愛くなかったから」

と綾子は言った。

「俺が選んだんだけど…気に入らなかった?」

と和が聞くと

「スマホ使う時に脱がなきゃなんないタイプだったし可愛くなかったね」

と綾子は言った。

「そうなの?だったら言えば良かったのに」

と和が言うと

「高いから違うのにするってやんわりと断ったのに買ってくれるって言ったから一応気を使って言えなかったんだよ」

と綾子は言った。

「マジ?俺は欲しくても我慢してるのかと思ってた」

と和が言うと

「違うよ。本当はもっと可愛いのあったの。…まあ、いいや。新しいのは自分で選ぶから」

と綾子は言った。


和はベッドに横になりInstagramの更新をしようかとスマホで今日撮影の合間に撮った写真を選んでいると、髪を乾かし終えた綾子がベッドに座り

「なにしてるの?」

と聞くと

「ん?たまには俺もインスタ載せようかと思って。いつも任せっきりだからさ」

と和は起き上がった。

「結構、マメに更新してたんだな」

とfateのInstagramに投稿された写真を見ながら和が言うと

「記録にもなるしね」

と綾子は言った。

「そうだね。この写真とか見るとあの時バスから煙出てきて焦ったなとか、この写真の頃はちょっとやそっとのバスのアクシデントなら驚かなくなったなとか思い出すな」

と笑うと和はスマホを置いてベッドに横になると隣の枕をポンポンと叩いて

「おいで」

と言った。

「…今日はしないからね」

と綾子が言うと

「わかってるよ。明日、買い物行くしおとなしく寝るって」

と和が言ったので綾子は和の隣に横になった。

すると和が綾子に抱きついてきたので

「しないって言ったよね?」

と綾子は言った。

「しないって」

と言って和が綾子にくっついてスリスリしてると

「狭いよ」

と綾子は言った。

「狭くてもいいじゃん。暖かいもん」

と和は言ったあと

「3日一人で寝てたじゃん。ベッドはスゲェ広かったけどスゲェ寒くて丸まって寝てたんだ。でもやっぱり寒くて何回も目が覚めてさ。やっぱり綾子がいると暖かいなぁ」

と言った。

「すみませんね。子ども体温で」

と綾子が言うと

「身体が暖かいってのもあるけど、綾子が側にいる…全部俺のものって安心感で心も暖かいんだよね。」

と言って和は綾子の指を触り

「この指も」

と言って今度は自分の足で綾子の足をさすり

「この足も」

と指を触ってる反対の手で顔を撫でて

「髪も目も鼻も」

と言ってチュッとキスをして

「この唇も」

と言って今度は綾子の胸を服の上から触り

「小さめの胸も」

と言うと綾子は和の手のひらをつねって

「小さくて悪かったわね」

と言った。

「痛いなぁ。別に小さいのがダメって言ってないだろ?」

と和が言うと

「あっそ。私には大きな胸は必要ないからいいんだけど。それよりも寝るんだから手よけてよ」

と綾子は言ったが、和は綾子を無視して胸を触りながら

「…なんかさ、したいなぁって気分になってこない?」

と聞いた。

「全然ならないけど。それよりもう寝るから電気消すよ」

と綾子が言うと和はえっ?と言うような顔を一瞬ししたが

「…うん。消していいよ」

と言ったので綾子は部屋の照明を消し枕元の常夜灯をつけた。

「じゃ、おやすみ」

と綾子が和の手をどけると

「おやすみ…のチューは?」

と和は言った。

「…おやすみ」

と綾子がチュッと軽くキスをすると

「うわ。綾子からチューしてもらっちゃった。ねぇ、もう一回」

と和は嬉しそうに言ったが

「私がそうゆうの恥ずかしいって知ってるでしょ」

と綾子は和に背を向けた。

「綾子、こっち向いて。ねぇ、ねぇ」

と和は綾子の肩を揺すって自分の方を向かせると

「もう一回しよ」

と言って綾子にキスをした。

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