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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
261/356

空港で…

次の日の午後、綾子は荷物を持って空港にきた。

少し先に来ていたSperanzaのメンバーは綾子と山下の荷物の量を見て驚いた顔をした。。

「スゴいリュックだな…。登山でもするのか?」

と渉が言うと

「仕方ないのよ。バスにスーツケースは乗せちゃダメって言われてたから」

と綾子は言った。

「へぇ…。でも、二人とも多くない?」

と隼人が言うと

「旅を甘く考えられちゃ困るよ。いつどこで洗濯出来るかもわかんないから荷物は増えるんだよ」

と山下は言った。

「そうだよ。のりちゃんなんてもっと大きいリュック持ってきてたよ」

と綾子が言うと渉は綾子のリュックを持ち上げて

「うわっ、重すぎじゃない?こんなの背負ってたら背が縮むぞ」

と渉は言った。

「どれ?そんなに重いの?」

と誠もリュックを持ち上げて

「こりゃ重いわ…。なんか綾子小さくなった気がしてたけど重さで身長縮んでたんだな」

と笑ったあと

「和さんとは仲直りしたの?」

と聞いた。

「仲直りって言うか…」

と綾子が言うと

「俺、昨日二人が歩いてるの見たよ。買い物してただろ?」

と渉は言った。

「そっか。じゃ、良かった」

と誠が笑うと

「夫婦ゲンカは犬も食わないって言うけど、本当だな。俺たち何度振り回されてるんだよ」

と隼人も笑ったので

「いつもいつもすみません…」

と綾子が苦笑いしてると和がやってきて

「なに、綾子に頭下げさせてるんだ?」

と言った。

「あっ、和さん。おはようございます」

と渉が言うと

「おはよう」

と和は言ったが誠は和たちの荷物も見て

「和さんたちもスゴい荷物ですね」

と言った。

「観光半分で来てるお前たちとは違うんだよ」

と和が言うと渉は少し離れたところに和を連れていき

「でも、昨日はおのぼりさんデートしてきたんですよね?」

と笑った。

「おのぼりさんデート?」

と和が聞くと

「綾子、和さんと初めてニューヨーク行くからって日本にいた時から計画してましたからね。タイムズスクエアで写真撮ってホットドッグ食べてメトロポリタン美術館行って…」

と渉が言うと

「前にみんなで行った時にモネの絵を見て絶対に和さんはこの絵好きだから一緒に見たいって言ってたもんな。和さん、やっぱりモネの磔刑好きなんですか?」

と側に来た隼人が笑った。

「あっ…ああ」

と和がマネージャーたちと話をしている綾子をチラッと見ると

「夜景は絶対に見たいから晴れて欲しいって言ってたんですよ。昨夜は天気良かったし最高だったんじゃないんですか。良かったですね」

と渉は笑った。

「うん。そうだな。キレイだったよ」

と和が言ってると

「そろそろ移動するぞ」

と結城が呼びにきた。


チェックイン、セキュリティチェックを終えセキュリティゲート内に移動した和や綾子をはじめとするパリ行き組はSperanzaのメンバーをはじめとする日本帰国組はそれぞれにショップを覗いたり食事をしたりと出国までの時間を過ごした。

和たちよりも先に飛行機に搭乗するSperanzaのメンバーを見送る時

「いいな…。私も帰りたい」

と綾子は言った。

「あと2週間も無いんだし頑張れよ」

と誠が言うと

「そうだよ。12月になったし向こうはクリスマスムードでキレイだぞ」

と渉も言った。

「…キレイでも見てる時間ないもん」

と綾子が言うと

「なに贅沢なこと言ってるんだ。背筋伸ばしてシャキッとして日本だって負けてねぇぞってところを見せてこいよ」

と隼人は言った。

「そうだぞ。奏に綾子の様子どうだったか聞かれたらどうするんだよ。おまえの母さん日本に帰りたいって泣き声言ってたぞって言っていいのか?」

と誠が聞くと

「それは…」

と綾子は言った。

「だったらシャキッとして。奏におまえの母さん、頑張ってたぞって言えるような姿しておけ」

と誠が言うと

「そうだね。胸はって日本に帰れるように頑張るよ」

と綾子は笑った。

「おい、行くぞ」

と北原が言うと

「じゃ、日本で待ってるからな」

と誠は言い

「頑張ってこいよ」

と隼人が言い

「あの重いリュックに潰されるなよ。余計チビになるからな」

と渉は笑った。


Speranzaのメンバーを見送ったあと、パリ行きの飛行機に乗った綾子は外を眺めながらこの1ヶ月を振り返っていた。

期待に胸を膨らませやってきたアメリカで現実は甘くないと思い知らされた。

けど、思い返すといいこともたくさんあった。

初めは静まりかえってた会場がラストの曲を演奏するときには熱気で溢れていた時もあった。

ライブを見てくれたと言う人がパブでスコッチを奢ってくれたこともあった。

自分たちのファンが入待ち出待ちしてくれた日もあった。

バスが故障してライブ開始時間までに会場に入れないんじゃないかとみんなで焦った日もあった。

寝ても寝ても外を見ると同じような景色が続く道をひたすら走ってるだけの日もあった。

カンナと出会って自分にこれほど醜い嫉妬心があったことを知った。

絶対に人前では騒がないって決めてたのに感情の抑えが利かず大騒ぎを起こして迷惑かけた。

和が約束を破ったのを見た時に、もう終わりだと確信した。

…でも、今また隣には和が座ってる。

…今も代わらず隣で笑ってくれてる。

「あっ…!」

と綾子が慌てた顔をすると

「どうした?」

と和は聞いた。

「カンナさんにもらったストールとキャップ、ホテルに忘れてきた」

と綾子が言うと

「カンナ?…別にいいんじゃない。アイツは下心込みで渡したんだろうしいらないだろ」

と和は言った。

「でも、せっかくもらったのに」

と綾子が言うと

「大丈夫。昨日、綾子が買ってくれたのに綾子の分も入ってたろ?手荷物で持ってきたから、パリに着いたら渡すよ。一緒に使おう」

と和は笑った。

飛行機が動き出すと

「ああ、アメリカも終わりだな…」

と綾子は呟いた。

「もっと居たかった?」

と和が聞くと

「思い返すとツアーも夢みたいな時間だったからね。でも、次が待ってるし」

と綾子は笑った。

「あと5公演。今度は飛行機で移動だけどまたハードスケジュールだな」

と和が言うと

「そうだね。ねぇ、向こうのスケジュール聞いた?行ってすぐに雑誌の撮影と取材入ってるみたいだよ」

と綾子は言った。

「マジ?ツアー先でも撮影とかするんだろ?働き過ぎだろ…」

と和がふてくされた顔をすると

「撮影入ってるから飛行機で移動出来るらしいし仕方ないよ。バスよりいいんじゃない?」

と綾子は笑った。

「まあね…」

と言った和はCAにブランケットを2つもらい

「着いたら朝だからね。ゆっくり寝ておかないと」

と綾子に1つ渡した。

「ありがとう」

と綾子が受け取りブランケットをかけると和も同じようにブランケットをかけてブランケットの中で綾子の手を握った。

「ちょっ…。何してるの?」

と綾子が言うと

「ん?いいじゃん、誰にも見えないし」

と和は笑った。

「嫌だよ…」

と綾子が言うと和は綾子の耳に顔を近付けて

「じゃ、ここで膝枕してくれる?昨日、明日って言ってたよね?」

と言った。

「…」

綾子がムッとした顔をすると

「ね?膝枕に比べたら手を繋ぐぐらいたいしたじゃないでしょ」

と和は綾子の指を撫でた。

「調子に乗らないで下さい」

と綾子が和の手を叩くと

「…はい。すみません」

と言って和は綾子の手をギュッと握ったので

「寝るんで話しかけないでね」

と綾子は目を閉じた。


和と綾子はパリに着くとすぐに車に乗り郊外へ移動して雑誌の撮影をしてパリに戻りインタビューを受け終えたあとは日本から到着したチームfateのサポートメンバーとスタッフと交えた食事会に参加した。

「時差がキツいな…」

と和があくびをすると

「俺たちよりいいんじゃない?昼夜逆転生活ばっかりで身体もびっくりしてるよ」

と直則は言った。

「でも、日本に帰ったんだしいいだろ。久しぶりの我が家は楽しかったか?」

と和が聞くと

「ずっと寝てばかりだったよ。昼間も時差で眠いし夜は夜で暗くなるから眠くなるし」

と直則は言った。

「なんだ。嫁さんとヤりまくりかと思ってた」

と和が聞くと

「和たちとは違うから。…って言うか、綾子にさっき謝りにきてだけど仲直りして良かったな」

と直則は言った。

「まあ…ね」

と和が言うと

「まあねってなに?仲直りしたんだろ」

と直則は聞いた。

「そうだけど、ニューヨークは思い出したくないことばかりだよ」

と和が言うと

「なに?あのあとも揉めたの?まぁ、酔いの勢いもあったかもしれないけど綾子があんなに怒るなんて初めて見たし心配はしてたんだよ」

と直則は言った。

「すまんな。でも、とりあえず解決したからさ」

と言って和はまたあくびをして

「マジで眠いわ。早く帰って寝たい…」

と言った。

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