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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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可愛い綾子

楽屋に戻ったメンバーはシャワーを浴びに出たが、綾子は伊藤や長間などに手伝ってもらい編み込みをはずしていた。

「綾子が武道館ライブのお祝いに何をプレゼントしようか考えたんだけど」

と長間が言うと

「お祝いなんてもうもらったよ」

と綾子は言った。

「だって、本当はみんなで頑張って作ったライブなのに、私たちだけがあのステージからスゴい景色を見させてもらったもん。あんなに嬉しいプレゼント無いよ」

と綾子は笑った。

「でもね…。実はもう用意しちゃってて…」

と言うと長間は大きなショッピングバックを部屋の隅から持ってきた。

「これね。私と長間さんからのプレゼント。絶対に似合うと思うから、シャワーのあとこれに着替えてね」

と長間が綾子に渡すと

「その後は、今日は髪をかなり痛めることしたから、念入りにケアしてやるから綾子の着替え用に使ってる部屋に来いよ」

と伊藤も言った。

「別にここでも…」

と綾子が言うと

「いや、あいつらがいると邪魔で出来ないようなスペシャルケアするから、あっちの部屋で俺と伊藤さんで待ってるから必ず直行しろよ」

と伊藤は言った。


綾子はあまり意味が分からなかったが、二人の気持ちが嬉しかったので長間から渡されたバックを持ってシャワーを浴びに行った。

シャワーを浴び終わり、バックの中から服を取り出すと、今まで綾子が着たこと無いようなとてもフェミニンな感じのスカートなどの服が一式とその服に合う靴が入っていた。

「私、大丈夫かな?」

と綾子が心配そうに服を眺めていると

「綾子、入るよ」

と言って長間がやってきた。

「長間さん、私こうゆうの着たこと無いんだけど…」

と綾子が言うと

「大丈夫、仕事がらスカートとか履かないけど、スタイル良いし絶対似合うから」

と長間は言ったけど、綾子はまだ着るのをためらるのを見て

「綾子、今まで私が綾子に合わない服なんて選んだこと無いでしょ?絶対大丈夫だから。信じてみてよ」

と長間は言った。


長間に促されるまま、服を着た綾子は伊藤の待つ部屋に向かって長間と歩いていた。

スタッフと会うたびに、チラッと振り返られるのを感じた綾子は

「やっぱり変じゃないですか?みんなチラ見してるし…」

とタオルで顔を隠した。

「大丈夫、ほら伊藤さんも待ってるし楽屋も綾子のこと待ってるから早く行こう」

と長間は嬉しそうに言った。


綾子が来ると伊藤は

「このあと、メンバーだけで打ち上げ?」

と聞いた。

「あ…あと、相川さんとボレロのみんなが来てくれるみたいで」

と綾子が言うと

「じゃ、せっかく可愛い服を着てるし、ちょっとだけヘアメイクもしようか?」

と言った。


伊藤にヘアメイクをしてもらい、3人で部屋を出ようとしたとき

「やっぱり似合わないんじゃないかな?」

と綾子は恥ずかしそうな顔をした。

「そんな事無いって。綾子はSperanzaのメンバーだからっていつもクールな感じのメイクしてるから違和感かるかも知れないけど、元がいいからこうゆう柔らかい印象のメイクも似合うんだよ。楽屋に戻ったら他のメンバー全員綾子に惚れるよ」

と伊藤が言うと

「そうだよ。意識し過ぎて明日からのSperanzaの関係性がギクシャクしちゃったりして」

と長間は笑った。


「ごめんごめん、遅くなった」

と長間が楽屋のドアを開けて綾子と伊藤と一緒に入ると、一瞬楽屋の賑やかさが消えたので、綾子は恥ずかしくなり俯いた。

「え?綾子…だよね?」

と隼人が言うと

「だよな。一瞬誰か分からなかった。綾子、めちゃくちゃ可愛いんだけど」

と渉が言って

「俺、超好み。って言うか綾子に本気で惚れる」

と誠が言った。

「ほらね。言ったでしょ?」

と長間が言うと

「綾子、そんなところに立ってないで、こっちに座れよ」

と相川は綾子に自分の隣に座るよう促したが

「ちょっと、相川さん。オッサンの権力使って綾子を隣に座らせようとかズルいよ」

と渉は綾子の手を引き、メンバーのいるソファーに座らせた。

「って言うかさ。お前一番卑怯じゃん。どさくさに紛れて手とか握って」

と誠が言うと

「あ、バレた?」

と渉は笑った。


その後も移動までに時間があるので、楽屋でくつろいでいると、ボレロのメンバーがやってきた。

Speranzaのメンバーはすぐに立ち上がり、

「今日は来て頂きありがとうございました」

と頭を下げた。

「そんないいから。俺たちも楽しませてもらったし」

とタケは言ったあと

「それにしても、今日の綾子は驚くばかりだな」

と言った。

「だよな。ステージに出たときは一瞬綾子かどうか分からなかったよ…。スゴいインパクトあって男か女か分かんない妖しさと格好良さ。で、今はめちゃくちゃ可愛いんだけど。和なんてやめて俺と付き合わない?」

とカンジが言うと

「バーカ。綾子はお前なんて相手にしないよ。って言うかお前じゃ俺が許さないな」

と由岐が言った。

「出たよ。シスコン。本当、綾子はもう二十歳越えてるって言うのに…。どんだけ大事なんだよ」

とカンジは言ったあと、何も言わずにいる和を見て

「和、随分静かじゃん。何か言えよ」

と言った。

「あ…。今日のライブ、俺も1人の客としてスゴい楽しませて貰ったし清雅さんもスゴい誉めてたよ。俺たちも追い越されないように頑張んないとってスゴい思ったし…」

と言った。

「何、かしこまった事言ってるんだよ。和らしくないじゃん。いつもみたいに綾子綾子って抱きついたりしないのかよ」

とタケが言うと

「いや、何か…。綾子が可愛過ぎて…恥ずかしくて側に行くどころか目が合うだけで死にそうで…無理」

と顔を真っ赤にして和は俯いた。

「はぁ?何今さら。バッカじゃないの?だったら俺が代わりに綾子に抱きつくわ」

とタケが綾子に腕を伸ばすと

「ダメダメ!綾子に触るな!汚れる!」

と和は焦った顔をして言った。


Speranzaのメンバーはボレロが開いてくれた内輪だけの打ち上げのために、ボレロが用意してくれた店に行った。

二十歳を越えてお酒を飲んでるSperanzaのメンバーを見て

「3年前はジュース飲むにもスゲェ緊張してたのに、今じゃビールとか普通に飲むようになったんだ…」

とカンジが言うと

「本当、いろんな意味で大きくなったなって思うわ」とタケもしみじみ言った。

「篠田に聞いた話だと、休みの前とかメンバーで飲みに行ったりもするんだろ。本当にお前ら仲いいよな」

と村上が言うと

「はい…まあ。お互い友達少ないから…」

と隼人が恥ずかしそうに言った。

「ねぇねぇ、綾子も行くの?」

とタケが意地悪そうに和をチラッと見てから隼人に聞くと

「和さんと休みのスケジュール合わない時は行ったりもしますよ」

と隼人が言ったので

「そうなんだ。で?飲むと綾子はどんな感じ?」

とタケが楽しそうに聞いた。

「綾子は、メンバーの中で一番飲みますね。でも…」

と隼人が話をしていると

「隼人、もう言わなくていいから。タケさん、昔はスゴく優しかったのに意地悪になりましたね」

と綾子は話を遮って恥ずかしそうな顔をして言った。


その後、両メンバーは最近の近況や音楽の話、これからの事など話していたが、お酒の弱い和はいつものように綾子に膝枕してもらい、二人はうたた寝を始めた。

「この姿、俺たちが武道館やった時にも見たな…」

とカンジが言うと

「あの時、いろんな事を知ってスゴい衝撃受けたけど、今日も…何か和さんが普段よりキチンとしてるからか?綾子が女の子な格好してるからか分かんないけど衝撃的で、見ちゃいけないものを見てる感じが…」

と渉は言った。

「でもさ、この3年ボレロもSperanzaも目まぐるしく環境が変化したけど、この二人の姿を見てると変わらないものもあるんだなって安心するよ」

とタケは言うと

「二人の事は、業界では有名…まぁ和が綾子綾子うるさいから知られてる話だし、お互いに相手の名前は公表してないけど付き合ってる人がいることは初めから公言してるし、ファンの間では多分綾子と和が付き合ってるって噂もあるし…。写真撮られてないのが奇跡的だよね」

とカンジが言うと

「奇跡的って言うか、普段の和の格好だとナゴミだなんて誰も思わないから撮られないよ。綾子はバレても綾子と一緒にいるのが誰かってどこの出版社も特定出来てないから記事にまでならないし…」

と由岐は言った。

「でも、もしもバレたらどうするんですか?別れさせるんですか?」

と渉が心配そうに聞くと

「別に?まぁ、アイドル見てる感覚でファンやってる子は離れて行くかもしれないけど、ボレロもSperanzaも音楽を好きだっていってくれるファンがほとんどだから影響は少ないと思うし…それに綾子と別れさせたら和は絶対にダメになるって俺たちも分かってるから別れろとは言わないよ。それに相川さんがいつも言ってるように、良い恋愛すると良い音楽作れるんだよ。だから、俺もボレロのメンバーには恋愛するなって言わないし」

と村上は笑った。




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