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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
251/356

酔いの勢いで

離れた席に座ると

「何か新しいの頼もうよ。どうしよう…ビールにする?それともバーボン?」

と綾子は誠たちに聞いた。

「…うん。じゃ、ビール」

と誠が言うと

「俺も同じでいいよ」

と渉も言い

「じゃ俺も…」

と言って隼人はウェイターに注文をした。

ビールが4つ運ばれてくると、綾子はグイグイとビールを飲んで

「ああ、久しぶりに飲んでるって気がする」

と笑った。

「飲んでなかったの?」

と渉が聞くと

「飲む日もあったけど寝酒にもならないぐらいしか飲まなかったよ」

と綾子は笑いながらもう一度ビールを飲んだ。

「明日も仕事あるんだし、もう少しピッチ落としたら?」

と誠が言うと

「明日?…でも、打ち合わせでしょ?このくらい大丈夫だよ。久しぶりに集まったんだし飲もうよ」

と綾子は言った。

「久しぶりって1ヶ月ぐらいだろ?」

と誠が言うと

「1ヶ月だっけ?もっと長いような気がするけど」

と綾子は笑った。

「この1ヶ月どうだった?」

と隼人が聞くと

「スゴい大変だった。Speranzaがデビューした時みたいな日が毎日続いてさ…。あの頃はみんなで愚痴の言い合いしてって出来たけど、fateじゃそれが出来ないからね。私とナゴミさんでチームを引っ張らなきゃならないから愚痴なんて言えないし本当に大変」

と綾子は言ったあと

「やっぱりSperanzaはいいなって実感した1ヶ月だったよ」

と笑った。

すると隼人が

「あのさ、さっきから気になってることがあるんだけど聞いていい?」

と綾子に聞いた。

「気になってること?なに?」

と綾子が聞き返すと

「なんで、和さんのことをナゴミさんって呼んでるの?」

と隼人は聞いた。

「なんでって…別に」

と綾子が笑うと

「綾子がナゴミさんって呼ぶのって仕事の時だろ?仕事とプライベートを区別するために使い分けしてるんじゃなかったのか?」

と隼人は聞いた。

「そうだよ。だからツアー出る前に決めてきて…」

と綾子が言うと

「今は仕事の時間じゃないんだし、おかしいだろ?」

と隼人は言った。

「…」

綾子が黙ってしまうと

「綾子、俺もおかしいと思うよ。日本でレコーディングしてるときもツアーまわってる時もナゴミさんなんて呼んで無かったろ?」

と誠は言った。

「それは、区切りがキチンと出来るからで。だけど、今回みたいにバスが我が家みたいになってプライベートの時間が無いなかで区切りなんて出来ないじゃない。そこでいつもみたいに呼んでたら甘えも出るしチームを引っ張っていけないからって二人で決めて」

と綾子が言うと

「でもさ、今はバスにも乗ってないし仕事の時間じゃないだろ?それに、マネージャー以外は明日帰国するんだよな?チームに気を使って呼ばなかったのかもしれないけど、それはヨーロッパに渡るまで必要ないんじゃない?和さんだっていい気しないと思うよ」

と誠は言った。

「でも、ずっと呼んでたらそっちの方が自然と口から出るって言うか…クセになって…」

と綾子が言うと

「あとさ、あの女は誰なの?奏太が嫌いだって言ってた意味わかるわ」

と渉は言った。

「カンナさんはナゴミさんの昔の友だちだよ」

と綾子が言うと

「友だち?何の友だちだよ」

と隼人は呆れたように言った。

「本当だよ。あれは無いわ」

と渉が言うと

「本当だよ。常識ってのが無いのか?和さんも相手選べよな」

と誠も言った。

「正直に生きてるってだけで悪い人じゃないよ。別に何かされた訳じゃないし」

と綾子が言うと

「されてるじゃん嫁さんの前でベタベタしたり昔話もするか普通?一緒に聞いてる俺たちが気分悪くなるわ。和さんも和さんだよ。あんな女に構わないで放っておけばいいのに」

と渉は言った。

「それは…ほら。特別な友だちだったから」

と綾子が言うと

「特別?なにそれ?」

と隼人は聞いた。

「ナゴミさんがナゴミじゃなくて若狭和として心を開いていた特別な人だから…」

と綾子が言うと

「意味わかんない。だから何?だから、嫁さんの前でベタベタしてもいいわけ?」

と渉は言った。

「それは…わかんないよ。でも、きっといい人なんだよ」

と綾子が言うと

「何を見てそう思うわけ?」

と隼人は聞いた。

「だって嘘は言わないもん」

と綾子が言うと

「綾子さ…。本当、大丈夫?そのうち、詐欺にでも合うよ」

と隼人は呆れたように言った。


店を出てまだ飲みに行くと言ってるスタッフ陣を見送り解散しようと話をしていると

「えっ、誠たち帰っちゃうの?もう一件行こうよ」

と綾子は言った。

「そんなに酔ってたら途中で寝ちゃうだろ?誰がおぶって帰るんだよ」

と隼人が言うと

「そりゃ、隼人でしょ?ねぇ、行こうよ」

と綾子は笑った。

「綾子、隼人たちも困ってるだろ。帰ろう」

と和が言うと

「今日は朝まで飲むの。…ナゴミさんはカンナさん送ってあげて」

と綾子は言った。

「綾子ちゃん、私は近くだし一人で帰れるから大丈夫だから和と帰ったら?」

とカンナが言うと

「ダメだよ。こんな夜道に一人で帰るなんて危ないでしょ?私は隼人たちともう少し話したいから、ここからは別行動」

と綾子は言ったあと

「昔みたいに朝まで語り合ったら?カンナさんの部屋に泊まってきてもいいし、私は戻らないからホテル使ってもいいし」

と笑った。

「…綾子、飲み過ぎだよ。帰ろう」

と山下が言うと

「本当だよ。わけのわからんこと言わずに帰ろう」

と和が綾子の腕を掴むと綾子は思いっきり腕を払って

「別に私に気を使う必要ないから。20年ぶりに再会したんだしつもる話もあるでしょ?ほら、膝枕してもらって夢でも語り合ったら?」

と綾子が言うと

「はあ?何言ってるんだ?」

と和は顔色を変えたので

「和、落ち着け」

と直則と結城は和を止めた。

「和、綾子は酔って言ってるだけだ。気にするな」

と結城が言うと

「そうだよ。綾子だって本気で言ってる訳じゃないんだし。綾子、ちょっと言い過ぎだぞ」

と直則は言った。

「言い過ぎ?だって本当のことでしょ?のりちゃんだってナゴミさんとカンナさんの過去知ってるんでしょ?」

と綾子が言うと

「それは…」

と直則は言葉に困ったが

「綾子ちゃん、私と和は綾子ちゃんが思ってるのと違うのよ」

とカンナは言った。

「違う?そんなわけないじゃない。私、覚えてるもん。ナゴミさんが私と村上さん間違ってカンナさんのところに送ってって言ってたじゃない。そうゆう仲だったんでしょ?別に隠さなくてもいいから」

と綾子は笑った。

「違うのよ。誤解だから」

とカンナが言うと

「綾子、怒るぞ」

と和は綾子の腕を掴んだ。

「和、本当落ち着けって!ほら、和と綾子離すの手伝って」

と結城が言うとメンバーやマネージャーが和と綾子の二人を離して

「二人とも落ち着けって…」

と言った。

すると和はたため息をついて

「落ち着いてますよ…」

と言って和樹と直則の腕を払った。

「綾子、何でカンナにこだわるんだ?俺が綾子とカンナを近付けないようにするからか?カンナの挑発に乗るからか?それを勘違いしてるのか?」

と和が言うと

「そんなことじゃない。それに勘違いじゃない。カンナさんはナゴミさんにとって特別な人だったんでしょ?遊んでただけの女の人たちとは違う」

と綾子は言った。

「…何で、そんな風に思うんだ?」

と和が聞くと

「ナゴミさんがナゴミを演じてることも膝枕が好きなことも…本当は子どもがいっぱい欲しかったこともカンナさんは知ってるじゃない。…今までナゴミさんと関係のあったら女の人と何人も会ったけど誰も知らなかったことをカンナさんは知ってるじゃない。それってカンナさんは特別だからでしょ?」

と綾子は言った。

「綾子ちゃん、それはね」

とカンナが言うと

「カンナ、黙ってろ」

と和は言ったあと

「綾子。俺はさ、綾子がそうやってやきもちやいてくれるの嬉しいよ。いつも俺ばかりがやきもちやく方だから、逆にこうやって焼きもちやいてくれるのは本当に嬉しいよ。それに俺は過去には女と遊んでたのは事実だし勘違いされても言い返せないよ。けどな、1つだけ言わせてもらうと…」

と言うと和は拳を握りしめて

「そのナゴミさんって言うのやめろよ。クセになったとか見え透いた嘘つくな」

と言った。

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