たわいのない話
「ただいま…」
と奏は玄関のドアを開けて自宅の中に入ったが、家の中は真っ暗で静まりかえっていた。
「そっか…。二人とも遅くなるって言ってたっけ?」
と言って奏は洗面所に行き鏡の前に立った。
鏡に映る左耳にシルバーボールのピアスが光ってるのをジッと見てから耳たぶを触り裏側を見て
「裏側も血が出てないんだ…」
と呟いた。
綾子の用意してくれた夕食を食べて部屋に戻った奏はPCを立ち上げながらSad loveを聴きギターを弾いた。
「♪~♪♪」
メロディーを口ずさみながらギターを何度も弾いてサビを考えてみた。
「どうしよう…」
と呟きながら奏は間奏の部分をギターで弾いていたが
「ん?」
と何かひらめいた顔をしてギターをもう一度弾いた。
「あっ、…これだ」
と奏は笑うとすぐにPCに向かってサビの作り直しを始めた。
サビを作り直した奏はSad loveの入ったファイルを相川のPCに送り
『サビを作り直してみたのでPCに送りました。時間のある時に聴いてみてもらけますか?』
と相川にlineを送ると部屋を出た。
風呂から上がり部屋に戻った奏が勉強をしているとスマホが鳴った。
琳から
『ナナさんにピアス開けたこと連絡した?』
とlineが入っていたので
『してない。した方がいいの?』
と奏は返した。
すると
『そりゃ、向こうも彼氏ネタ欲しいだろうしさっき撮った写真つけてline送ってやれよ』
と琳から返事がきた。
「…面倒だな」
奏が呟いてると
『面倒がらないで送れよ』
とlineが来たので
『わかったよ』
と奏が返していると今度は
『曲、明日聴くから。それから明後日の土曜は急に仕事入ったから俺の家は無理。日曜日に早めに奏の家に行って曲の話する』
と相川からlineが送られてきた。
「今週ダメなんだ…」
と奏が呟くと
『火曜日にエンドレスとの打ち合わせに一緒に行くから学校終わりに迎えに行く』
『月曜日までに1曲作っておくこと』
と次々とlineが送られてきたので
「月曜日まで?」
と奏は驚いた顔をして椅子から立ち上がるとベッドに横になり
「金土日…」
と指折り数えてから
「あっ、ナナさんに連絡しなきゃなんないんだった」
と言って
『今日、勇次郎たちと4人で耳に穴開けたよ』
とlineを打って奏の写真と4人で撮った写真を送ってスマホを枕の横に置いて目を閉じてあくびをした。
契約の話もまとまり和たちや琳たちにもキチンと話をしてホッとした途端に疲れが出てきて睡魔が押し寄せてきた。
「ねむっ…」
と奏がゴソゴソと動き布団に潜り込み目を閉じて眠りにつこうとしているとlineの着信音が鳴った。
「ん~。誰だよ」
と呟き枕の横のスマホを手に取ると
「もしもし?」
と眠そうな少し不機嫌な声で言った。
『もしもし?ごめん、もしかして寝てた?』
とスマホからナナの声が聞こえてきたので
「寝てないよ…。寝ようかと思ってただけ」
と奏はこたえた。
『そっか…。じゃ、おやすみ』
とナナが言うと
「えっ、何かあって電話してきたんじゃないの?」
と奏は聞いた。
『特に何も無いけど…みんなでピアス開けたって言ってたから』
とナナが言うと
「うん。初めは俺だけ開けるつもりだったんだけど、勇次郎も開けるって言い出したらそのうちさっちゃんも琳もってなってさ」
と言って奏は笑いながら
「琳がさ、今日は俺たちの友情記念日だとか言い出して」
と言った。
『友情記念日?』
とナナが聞くと
「そう。俺たちの友情が一生変わらないって証にみんなで開けるだって」
と言った。
『そうなんだ。でもさ、初めて開ける時って怖いじゃない?なんか友だちと一緒にとかって勢いみたいのないと迷うよね?』
とナナが言うと
「ナナさんが開けた時ってそんな感じだったの?」
と奏は聞いた。
『うちは…変な男に騙されたのがわかった時に何か変わりたいなって思って…あと運命変わるとかって言うから開けちゃった」
とナナが言うと
「そうなんだ」
と奏は言ったが悪いことを聞いてしまったような気がした。
『まあ、ずいぶん前の話だけどね。でもさ開ける時って怖くなかった?』
とナナが聞くと
「めちゃくちゃドキドキして怖かった。でも思ってたより痛くなくてもう終わったの?って感じだった」
と奏はこたえた。
『そうなの?うちはなんまら痛かったけど』
とナナが言うと
「勇次郎と琳は痛い痛いって言ってたけど、俺はそんなには痛くなかったよ。人によって痛さって違うのかな?」
と奏は言った。
『多分そうなんじゃない。でもさ、奏君ってピアスとかしなさそうな感じなのにね』
とナナが言うと
「そう?しないイメージある?」
と奏は聞いた。
『うん。真面目そうな感じするから。高校だって大丈夫なの?』
とナナが聞くと
「うちの高校は何でもアリだからね。ピアスも髪染めるのも自由だし」
と奏は言ったが
『そうなの?…あのさ、こんなこと言っちゃ悪いけど奏君ってあんまり良い高校行ってないの?』
とナナは聞いた。
「何で?」
と奏が聞くと
『そうゆうのがOKとかって…不良がいっぱいなのかなって」
とナナは言った。
「不良?そんなのはいないよ。普通の高校だよ。逆にまわりから見たら勉強ばっかりやってるイメージの高校かな?」
と奏が言うと
『勉強ばっかり?』
とナナは聞いた。
「うん。都立だけど有名な進学校だからね」
と奏が言うと
『有名なんだ』
とナナは言った。
「けど、俺たちは勉強ばっかりしてる訳じゃないけどね」
と奏が笑うと
『そうなんだ。でも、前も言ってたけど私よりはしてるよね』
とナナは言ったあと
『…」ぇ、今度ピアスプレゼントしてあげようか?』
とナナは言った。
「プレゼント?」
と奏が聞くと
『せっかく開けたんだし。ほら、誕生日とか…』
とナナは言ったが
「誕生日、今月終わったよ」
と奏は笑った。
『終わったんだ…じゃあ、ハロウィンはちょっと違うか。…だったらクリスマスとかさ』
とナナが言うと
「クリスマス?」
と奏は言った。
『うん。冬休みにバイト代貯めて東京行こうかなって思ってたからさ。クリスマスには渡せないかもしれないけど冬休み中には…』
とナナが言うと
「…そんなに東京好き?」
と奏は笑った。
『…東京が好きって言うより…奏君に会いたいから…』
とナナが言うと
「えっ…」
と奏は驚いた顔をした。
『行っちゃダメ?』
とナナが言うと
「ダメって言うかさ…」
と奏はこたえに困ってしまっていた。
するスマホからナナの笑い声が聞こえてきて
『奏君、困ってる?引っかかった?』
と言った。
『…ナナさん。切るよ』
と奏がムッとして言うと
『待って待って。ゴメンね。いつも騙されるからやり返しちゃった』
とナナは笑いながら言った。
「やめてよ。そうゆうのさ…。ちょっと勘違いしてどうしたらいいのか迷ったじゃん」
と奏がため息つくと
『…でも、全然会えないのもさ』
とナナは言った。
すると奏は
「付き合ってるのに会わないと変に思われるからネタ必要なの?」
た聞いた。
『いや…うん。…まあ…』
とナナが言うと
「そっか。でもさ、そこまで無理する必要なくない?」
と奏は言ったがナナからの返事は無かったので
「そうだ。俺さ、1月の末に修学旅行で北海道行くんだよ」
と奏は言った。
『修学旅行?』
とナナが聞くと
「うん。係の奴が言ってたけどスキーやスノボ合宿するのがメインだけど最後の方は札幌とか行くらしいしそこで会えば良くない?」
と奏は言った。
『いいの?』
とナナが聞くと
「いいよ、札幌は自由行動みたいだし。その代わり、美味いもの食べれる所に連れてってよ」
と奏は言った。
『うん。任して』
とナナは言うと
『スキーか。行きたいな』
とナナは呟いた。
「ナナさんやるの?」
と奏が聞くと
『うん、スノボするよ。サークルもスノボだし』
とナナは言った。
「サークル?テニスじゃなかった?」
と奏が聞くと
『うちのサークル、夏はテニスで冬はスノボやるのよ』
とナナは言った。
「ふーん。なんかチャラいサークルだね」
と奏が言うと
『そう?楽しいけど』
とナナは言った。
「いいね。サークル楽しそう」
と奏が言うと
『楽しいよ。奏君も大学行ったら絶対入ったらいいよ』
とナナは言った。
「そうだね」
と言うと奏があくびをしたので
『眠い?』
とナナは聞いた。
「ん?ちょっとね。最近、いろいろ考えることが多くて疲れてさ」
と奏が言うと
『考えること?』
とナナは聞いた。
「まぁ、解決はしたんだけど、ホッとしたらなんかさ…」
と奏はもう一度あくびをした。
『明日も学校でしょ?寝た方が良いんじゃない?』
とナナが言うと
「でも、まだ11時だし」
と奏は言った。
『でもさ』
とナナが言うと
「やっぱり寝ようかな…」
と奏はあくびをした。




