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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
24/356

直前

武道館ライブ決定から5カ月。

Speranzaはホールツアーが終わると同時に、シングル曲の製作をしたりと忙しく過ごしていた。

Speranzaの人気が出れば出るほど嬉しいことに仕事は増える。

大学との両立が難しいと感じた綾子たちは大学を辞めようかと悩んだが、篠田や社長から

「それは契約違反になるからダメだ。大学に通大変なら少し仕事を減らそう」

と言われ、雑誌の取材やテレビラジオの仕事はセーブして新曲製作と武道館ライブに向けたリハーサルを中心に活動していた。

マスコミへの露出が減ったのがマイナスに動くどころか、音楽で勝負したいからマスコミにはあまり露出しないバンドと囁かれて逆にファンが増えた。


武道館ライブを明日に控えた日、前日リハーサルの為に武道館入りしたSperanzaのメンバーは3年前、相川に連れられてきた時に座ってた最後尾の席に座って、たくさんのスタッフが動き回ってるステージを眺めていた。

「俺たちもあのステージに立てるんだな」

と渉が呟くと

「そうだな。夢みたいで実感沸かないな」

と誠が言った。

「そういえば俺、健人にチケット送ったんだ。多分無理だって言ってたのに昨日連絡きて明日帰ってきてライブ見に来るって」

と隼人が言った。

「マジ?会いたいな」

と渉が言うと

「残念だけど、明日来て明後日にはもうフランスに戻るんだって」

と隼人は言った。

「健人も向こうで頑張ってるだな」

と渉が言うと

「あとは誰にチケット渡したの?」

と誠が聞いた。

「俺は家族と従兄弟。友達は自分たちでチケット取ったらしくて…。アリーナ席取ったんだって」

と渉が言うと

「俺は健人と家族。俺んち兄弟3人いるから恥ずかしいんだよね」

と隼人が言った。

「へえ、やっぱり家族は呼ぶよね?4人の家族集まるのって初めてじゃない?どんな感じなんだろう。綾子も両親呼んだんだろう?」

と渉が聞くと

「うん。大学の友達は誠のファンだから早々と先行でチケット取ったらしいから、香住と香住の彼氏呼んだ」

と綾子が言うと

「え?香住のやつ彼氏いるの?」

と渉が驚いて聞いた。

「うん。いるよ。香住が働いてる美容院の先輩だって」

と綾子が言うと

「マジ?なんだよ。アイツに彼氏いて俺がいないなんて負けた感じするわ…」

と渉はため息ついた。

「まぁ、彼女作る暇ないくらい忙しかったし…。俺たち皆いないだろ?さすがにファンに手は出せないし」

と誠が言うと

「そりゃそうだけど…。あー、彼女欲しいわ」

と渉は言った。

「そういえば、由岐さんや和さんは呼ばなかったの?仕事?」

と隼人が聞くと

「なっちゃんたちはは社長と来るみたい。何でも、後輩の晴れ姿を見て祝うのが事務所の方針らしくて、清雅さんも来るみたい」

と綾子が言うと

「マジ?ヤベエ。めっちゃ緊張するわ」

と渉が言うと

「俺は兄弟呼ばなきゃよかったかも。同じ関係者席に座るの恥ずかしいわ」

と隼人が嘆いた。

「でもさ、あのステージから見える景色ってどんな景色なんだろうなってずっと思ってたけどやっぱり見れるとなると嬉しい反面、夢が叶ったら次はどうしようって思っちゃうね」

綾子は言った。

「次はどうしようって?そんなの決まってるだろ。アリーナ、ドーム、アジア、世界…俺たちには追いかける先輩が近くにいるんだし、先輩が見た景色を俺たちも見に行くって長い旅はまだ1つ目が叶っただけたろ?」

と隼人が笑うと

「そうだよな。まずは明日のステージ。3年前、和さんが泣いた景色を俺たちも見て泣けるほど感動出来たらいいな」

と渉は言った。


次の日、Speranzaが武道館入りをしたのは午前中だったのにも関わらず、一番に会場入りをしようとするファンの子が既に武道館前に来ていた。

「ねえ、篠田さん。19時開演だけど、開場って何時から?」

と隼人が聞くと

「開場は17時だよ」

と篠田は言った。

「マジ?スゴいな。まだ6時間もあるのに待っててくれてるんだ…」

と隼人が言うと

「でも嬉しいよな」

と誠が言った。


会場に入ると、Speranzaのメンバーはすぐに最終リハーサルを行うため、完成した大きなステージに立った。

昨日までは無かったアリーナ席にずらっと椅子が並べられてる見て

「こんなに人が入るの?」

と綾子は心配そうに言った。

「大丈夫、これでも席が足りないぐらいだよ。本当はこの会場に来る何倍もの人が来たかったんだから」

と相川は言った。

リハーサルは昨日のうちにメインとなる部分は済ませていたので、細かい部分の調整と昨日も心配の残った初披露の新曲を重点的に行われたが、メンバースタッフ全員が納得するまで繰り返し行われたので予想よりも時間がかかった。


ボレロや清雅を含めジェネシスに所属するミュージシャンは音楽だけじゃなくて、ステージにも力を入れている。

『ライブはエンターテイメント。見る人を楽しませて感動させなきゃならない、魅せるステージを作る』

その方針に反れることなくSperanzaもホールツアーからは映像を使ったり照明を工夫したりといろんな事に挑戦してきた。

本当はもっとスゴい事をしたいと皆思っているけど、その会場毎に制約があるのでその制約の中で出来る精一杯の事をやってきた。

そして、今日も武道館で出来る最大限の事をやろうとメンバースタッフ全員が準備してきた。

だからこそ、リハーサルにも力が入るのは仕方ない事だった。

もちろん最高のステージがあっても、そこに立つミュージシャンがステージに負けては意味がない。

最高のステージで存在感を増す為にメンバーはヘアメイクや衣装にも力を入れていた。

綾子は楽屋に戻ると軽くご飯を食べ終えるとすぐにメイクをして2人がかりで髪を細かく編み込みながらエクステをつけていた。

「スゴいな…。今日のメイクも気合い入ってるけど…頭皮丸見え…」

と渉が言うと

「頭皮って…。でも、伊藤さん気合い入ってるね」

と隼人がSperanzaのヘアメイクを担当している伊藤に言うと

「そりゃもちろんだよ。前から綾子はこうゆうヘアメイクが似合うと思ってたんだよね。でも、衣装の長間さんと話して武道館でやろうって決めてたから」

と言った。

「まぁ、今までも綾子は中性的なキレイカッコいいイメージでやってきたけど、今回はエクステインパクトでかいよ」

と渉が言うと

「だろ?よし、あとは衣装着替えてから三つ編みを1つに結べば終わり。他のメンバーも2人に分かれて準備するから飯食った奴からこっち来て。綾子は衣装着替えたら声かけて」

と伊藤は言った。


綾子は衣装の長間とともに別室に行き着替えをしていた。

長間はSperanzaのスタッフとしデビュー当時から一緒にいて唯一綾子と同性と言うとこもあり、綾子が信頼して何でも話せるお姉さん的な存在の人だった。

「綾子、カッコいいね」

と長間が言うと

「でも、ちょっと髪が引っ張られてるみたいで頭皮痛いんだよ」

と綾子は言った。

「あー、私もコーンロウした時痛かったからわかるかも。でも、ステージまでは時間あるし、慣れてくれば痛くなくなるから。ちょっと我慢だね」

と長間は綾子に衣装を見せると

「あれ?この前打ち合わせしたのとちょっと違うね」

と綾子は言った。

「実は、あの衣装だと私も伊東さんもなんかちょっと納得いかなくて二人で相談してパンツ、キャミ、ジャケットは黒だけど、ちょっと透け感ある白のワンピースを差し色にしてあとは楽屋でアクセサリー合わせて、中性的なイメージにしようかって話になったんだけど…どう?」

と長間は綾子に聞いた。

「うーん。私は前の衣装も良かったけど、このヘアメイクなら今見せてくれてる衣装の方が良いかもって気もする。でも、着こなせるかちょっと不安…」

と綾子が言うと

「大丈夫だと思うけど、綾子が着てみてダメだって思ったら打ち合わせしたときの衣装に変更しよ」

と長間は言った。


綾子が伊東と長間が選んだ服を着て楽屋に戻ると、ヘアメイクを終えて長間が来るのを待ってた渉と隼人と誠は

「綾子すげえ」

と私はため息にも似た声をあげると

「まるで別人だな。カッコいいって女に言って良いのか分かんないけど超カッコいい」

と隼人は言った。

「そう?大丈夫?」

と綾子が心配そうに聞くと

「今日、会場に来る男も女も間違いなく全員綾子に惚れるよ」

と誠は言った。

「何言ってるの。あんたたちだって今まで見たこと無いくらいカッコいいわよ。さ、早く着替えて今度は綾子を驚かすわよ」

と長間が言うと

「そうだぞ。今日はお前たちだけじゃ無くて俺たちにも特別な日なんだから、俺も長間さんも気合いはいってるからな。今まで誰も見たことのないスペシャルなSperanzaに仕上げたからお前たちも胸はってステージに立てよ」

と伊東は言った。

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