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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
211/356

誠の話

公園を出て大きな通りに出ると帰る方向が同じ同士でタクシーに乗り次々と帰っていった。

「主役が一番最後まで残って見送るって、なんなんだよ。誰も遠慮しないのな」

と和が言うと

「そんなこと言っても次は俺と飯田さん乗りますからね」

と誠は言った。

「はあ?ここは譲るだろ。俺は明日、奏とデートなんだし早く帰りたいんだよ」

と和が言うと

「大丈夫ですよ。和さんが寝坊したら俺が代わりに行きますから」

と誠は笑った。

「お前はちょくちょく行ってるだろ?俺はこの機会を逃すと次がいつになるかわかんないんだよ」

と和が言うと

「そうですよね?奏も和さんと行くより俺と行った方が楽しいだろうし」

と誠は言った。

「お前さ…見送ってやるから歩いて帰れ。本当、ムカつく」

と和が言うと

「はいはい、帰りますよ。でも、飯田さんはタクシーに乗って帰りたいって顔してるし歩かせるのは…。でも、俺が歩いて帰るって言ったら飯田さんも歩かなきゃならなくなるし」

と誠は言った。

「うるさいな…わかったよ。お前たちが先に乗れよ」

と和がムッとした顔で言うと

「ナゴミさん!」

と飯田は和に声をかけた。

「…何?また、さっきと同じ展開?勘弁して、もう帰らせてよ」

と和がため息をつくと

「なっちゃん、そんな言い方無いでしょ?」

と綾子は言った。

すると飯田は拳をギュッと握り

「…和さん、すみません。俺、綾子さんが好きでした」

と頭を下げた。

「でしたってことは過去形だと思って良いの?」

と和が聞くと

「はい。…いや…まだ気持ちの整理はキチンとついてないけど、今までは綾子さんが好きでしたが今は綾子さんとナゴミさんの夫婦が好きです。いつか、俺も結婚して家庭を持ったら二人みたいな夫婦になりたいです」

と言って飯田は和を真っ直ぐ見て言った。

「お…俺たち?」

と和が驚いた顔をすると

「飯田さん、悪いこと言わないからやめときな」

と誠は言った。

「どうゆう意味よ」

と綾子が言うと

「そうだよ。俺たちは理想のカップルにも選ばれたことがあるんだぞ」

と和は言った。

「それって何十年前の話ですか。…だいたい、こんな旦那さんと上手くやっていけるのなんて変わり者の綾子ぐらいだよ」

と誠が言うと

「おい、こんな旦那さんってどうゆうことだよ」

と和は言った。

「そうよ。変わり者ってどうゆうことよ」

と綾子も言うと

「どう考えても変わり者でしょ。和さんみたいな面倒くさい人のどこ良いの?」

と誠は聞いた。

「それは…」

と綾子が言うと

「えっ、何ですぐ出てこないの?」

と和は言った。

「なっちゃんは頭良いし英語ペラペラだし歌上手いし…それから…ほら…」

と綾子が言葉に困ってると

「それだけ?もっとあるでしょ。カッコいいとか優しいとか頼りがいあるとか…」

と和は言ったが

「それ、自分で言っちゃダメでしょ。じゃあさ、綾子から見て俺の良いところってどこ?」

と誠は綾子に聞いた。

「誠?…誠は…ベースが上手くて……あとは…」

と綾子が困ってると

「なんだよ。誠はベースが上手いだけか。やっぱり俺の方が上だな」

と和は笑った。

「ベースだけって…。綾子、明後日から覚えておけよ」

と誠が言うと

「そうやって脅すのはどうかと思うよ」

と和は笑った。


その後一台のタクシーが止まり

「和さん、先にどうぞ」

と誠が言うと

「いいよ、乗ってけよ」

と和は言った。

「でも、今日は奏とデートするんでしょ?少しでも寝ておいた方が…ほら、綾子乗りな」

と誠が綾子を押すと

「えっ…」

と言いながら背中を押され綾子がタクシーに乗ったのに続いて和も誠に背中を押されて綾子の隣に座った。

タクシーの自動ドアが閉まろうとしたとき、飯田は扉を押さえ

「綾子さん、今日はいろいろ話を聞いてくれて本当にありがとうございました。ナゴミさんも、いろいろと本当に申し訳ありませんでした」

と頭を下げた。

すると和は

「今度からは節度を持って連絡しろよ。あんまりしつこくline送ってきたらブロックさせるからな」

と言葉とは裏腹に優しく飯田の肩を優しく叩いて言った。

「はい。ありがとうございます」

と飯田が顔を上げるとタクシーの自動ドアが閉まると同時に動きだし誠と飯田の前から遠ざかっていった。

「良かったね。和さんの許しが出て」

と誠が言うと

「はい」

と飯田は嬉しそうに言ったあと

「俺、綾子さんに告白してフラれちゃったんです。でも、なんかスゴくスッキリしました」

と言った。

「そっか…。諦められそう?」

と誠が聞くと

「はい。あそこまではっきり言われたら諦めつきますね」

と飯田は笑った。

「そんなキツいこと言われたの?」

と誠が聞くと

「そんなキツくはないですけど…。もし、ナゴミさんがいなかったら俺にもチャンスありましたかって聞いたら迷う暇もなくチャンスは無いって言われました」

と飯田は笑った。

「マジ?はっきり言うな…」

と誠が驚くと

「はい。ナゴミさんがいなかったらギターも音楽もやってなかったから今の自分はいない。俺と出会うことも無かったしチャンスは無いって」

と飯田は笑った。

「…確かに」

と誠が言うと

「…ちなみにですけど、誠さんはどうですか?綾子さんが音楽やってなかったら出会うことは無かったですか?」

と飯田は聞いた。

「俺?俺は街で見かけたのが最初だからね。隼人と同じ高校の制服着てたから隼人に探り入れたら…」

と誠は話ながらハッとしてから

「あれ?俺も和さんがいなかったら今の自分はいなかったかも…」

と笑った。

「誠さんも?」

と飯田が聞くと

「うん。俺、バンドやってたけどそんなに真剣にやって無かったんだよ。半分はモテるため」

と誠は笑った。

「モテるためですか?」

と飯田が聞くと

「そう。俺、当時は女の子大好きでさ。あの頃は日々遊びまくりヤりまくり」

と誠は笑った。

「…そう…なんです…か?」

と意外だと言う顔をすると

「意外でしょ?けど、綾子と出会って女遊びやめて音楽を真剣にやるようになってプロ目指して」

と誠は言ったあと話を続けた。

「当時は綾子の好きな人が和さんだって知らなかったんだけど、綾子に好きな人ってどんな人って聞いたらスゴい才能がある人だって言っててさ。…けど、女遊びが激しいみたいなことも言ってて自分は妹ぐらいにしか思われてなくていつもからかわれてばかりいるとも言っててさ」

と言った。

「誠さんが出会った頃はまだ二人は付き合ってなったんですか?」

と飯田が聞くと

「うん。付き合ってないどころか綾子は片思いしてると思ってたみたいだよ」

と誠は言った。

「へぇ…。だから、何度も諦めようと思ったのか…」

と飯田が言うと

「えっ?なにそれ」

と誠は聞いた。

「さっき話をした時に綾子さん付き合い始めるまで何度も諦めようと思ったけど諦められなかったって言ってたから」

と飯田が言うと

「…そうなんだ。全然知らなかった。でも考えてみたらそうだよな。相手は人気ロックミュージシャンのナゴミだし自分なんて無理だって思うよな」

と誠は言ったあと

「それを知ってたらさっさと告ってたのに」

と言った。

「そうなんですか?」

と飯田が聞くと

「そうだよ。俺は見たこともない綾子の片思い相手に勝ったら告白しようと思いベースも練習したし曲作りも始めたからね。それに綾子を悲しませるようなことはしたくないから女とも縁切ったし」

と誠は言った。

「こんなこと聞いたら悪いのかもしれないですけど、見たこともない相手に勝つってどうやったら勝てるんですか?」

と飯田が聞くと

「綾子は高校生離れした曲を作ってたしギターも誰よりも上手かったから、きっと相手の男も相当な奴なんだろうなって思ってて。でも、さすがにプロじゃないだろうと思ってたから自分がプロになったら勝てるんじゃないかって思ってたよ」

と誠は言ったあと

「それがさ、相川さんに連れられてボレロの楽屋に行ったら和さんと綾子は手を繋いで現れるわ、ボレロのメンバーも相川さんもやっと二人が付き合い始めたって喜んでるわ、綾子は相川さんにスカウトされたことを黙ってたことがバレて由岐さんに怒鳴られるわ…。憧れのボレロに会えただけでも心臓飛び出そうなぐらい緊張してたのに、綾子の秘密がどんどん浮き彫りになって俺も誠も隼人も思考がストップしたね」

と笑った。

「ですよね」

と飯田も笑うと

「それにさ、綾子なんて和さんと一緒にいるとき今まで見たこと無いようなスゲェ可愛い顔してたんだよ。なんて言うの?恋する女の子って言うの?もうさ、絶対無理って思ってめちゃくちゃ泣きそうになったよ」

と誠は笑ったあと

「綾子がSperanzaに加入した日、相川さんが俺に言ったんだよ。お前は和も羨ましがるような絆を綾子と築くことが出来るんだって」

と言った。

「羨ましがるような絆ですか?」

と飯田が聞くと

「そう。Speranzaにはこれからいろんな事が待ってる。泣きたくなることも、逃げたしたくなるようなこともあるって。それを4人で泣いたり笑ったりしながら乗り越えてSperanzaは強い絆で結ばれる。それは和には絶対に手に入れることの出来ない絆だって」

と誠は言った。

「…」

飯田が誠を見つめていると

「実際、俺たちは悔し泣きしたこともケンカしたこともたくさんあったし手を取って喜ぶ出来事もあったしバカみたいにくだらないことで大笑いしたこともあった。…そうやって俺は和さんの持ってない綾子との絆を手に入れたんだ」

と誠は笑った。

「そうゆうのって良いですよね」

と飯田が言うと

「うん。良いよ。和さんもそれは認めて信頼してくれてるからSperanzaで活動してるときに心配なこととかあると綾子のこと頼むなって言ってきたり綾子の様子見ててって頼んできたり…。強い絆を手に入れても俺は綾子の一番にはなれないけど綾子の一番大切な人に信頼されてる。それがスゴい嬉しいんだ」

と誠は言ったあと

「ついでに俺が綾子を諦められない理由教えて上げようか?」

と言った。

「聞いちゃって大丈夫なんですか?」

と飯田が聞くと

「いいよ。俺が好きになった綾子は和さんが大好きな綾子。初めて会った時から綾子の中には和さんがいたから、俺は和さんの存在を含めて綾子が好きなんだ。そりゃ、二人が仲良くしてる姿見て突然ツラくなる時もあるけど、基本的に綾子と和さんのバカップル大好きなんだ。…何かわかりづらい言い方しちゃったかな?それじゃ、諦められない理由にならないかな?」

と誠は言った。

「いえ、わかりますよ…。和さんいての綾子さんってことですよね?」

と飯田が聞くと

「まあ、そんな感じ」

と誠は笑った。

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