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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
207/356

打ち上げの席で 1

「クシュッ」

と綾子がくしゃみをすると

「寒い?風邪ひいた?」

と隣に座る和はティッシュを綾子に渡しながら聞いた。

「ん…風邪じゃないと思うけど。誰か噂してるのかな」

と綾子が言うと

「奏君じゃない?今日、来てたじゃん。それも真ん前…」

と奏太が笑うと

「だよな。一瞬目が点になったよ。まさか、あんな前にいるなんて思ってなかったからさ」

と和樹も笑った。

「奏君て和君の息子だったっけ?いくつになったの?」

と長野が聞くと

「ついこの前17になったよ」

と和は言った。

「17?和君てそんな大きい子いるの?綾子ちゃん、ずいぶん若い時に産んだね」

と及川は驚いた顔をした。

「若いって言っても22の時ですよ」

と綾子が言うと

「22か…。俺が22の時なんて結婚とか子どもと遠い先の話みたいな感じだったのにな…」

と長野はしみじみと言った。

「ですよね。私26だけど結婚なんてまだ考えられないし出産も…。休業して戻った時に仕事が今と同じようにあるって保証もないし…。綾子さん、そうゆうの怖くなかったですか?」

とひろみが聞くと

「もともと22で結婚するのは決めてたからね。仕事なくなったらなっちゃんに稼いでもらえばいいかなって思ってたし…」

と綾子は笑った。

「そっか…。ですよね。和さんの稼ぎがれば綾子さん働かなくて良いぐらいですもんね」

とひろみが笑うと

「私の場合、音楽は仕事と言うよりライフワークに近いからね」

と綾子も笑った。

「だって。和君、そろそろ綾子ちゃんに楽させてあげなよ」

と及川が笑うと和は大皿に入ったサラダを小皿に取り綾子の前に置きながら

「それはさ、向こうに座ってる人たちとSperanzaに言ってよ。俺だって楽させてあげたいけど綾子のことを離してくれないんだもん」

と言った。

「俺たちですか?」

と隼人が聞くと

「そうだろ?綾子綾子って、俺から綾子を奪おうとして…」

と和が言うと

「何言ってるんですか?仕事なんだから仕方ないでしょ?だいたい、仕事もプライベートもって四六時中一緒にいて、たまには離れたいなとか思わないんですか?」

と誠は聞いた。

「思わないよ」

と和が当たり前だと言わんばかりの顔をすると

「和さんはそうでしょうけど綾子は…ねぇ」

と誠が言うと

「確かにね。和は良いだろうけど綾子はね。毎日毎日朝から晩まで…寝ても覚めてもベタベタされてたら嫌になんない?他のメンバーだって嫌だろ? 」

とタケは笑った。

「そう思うでしょ?けどね、そうでも無いんだよ。移動の車も絶対に同じの乗らないし、楽屋や打ち上げでもイチャイチャしたりとか全然しないんだよ。逆に今日の方が珍しいもの見てるなって感じで」

と直則が言うと

「そうなんですよ。イチャイチャしてたのはゲネプロのあとに行ったファミレスぐらいで、あとはケンカしてるのかな?とか実は仲良し夫婦のフリしてたのかな?ってこっちが心配になるぐらいで…」

と奏太も言った。

「マジ?本当は仲悪いの?」

とタケが聞くと

「そんなことないよ。俺たちがイチャイチャしてたら東京の奥さんや彼女恋しくなったり頭にきたりするでしょ?それで東京帰るって言われたら困るからし自粛してたんだよ。俺だって一応、いろいろ考えてるんだよ」

と和は言った。

「だったら今日も自粛したら?とりあえず隣に座るのやめろ」

とカンジが言うと

「ツアー終わったんだし、みんな家に帰れるんだから今日はいいんだよ」

と和は綾子の肩に腕をまわし顔を寄せて笑った。

「和君、綾子ちゃん嫌そうな顔してるよ」

と及川が笑うと

「そんなこと無いよな?」

と和は綾子を見て笑ったので綾子も和を見てニコッと笑った。

「うわぁ…出たよ、バカップル!家でやれよ」

とタケが言うと

「家でもやってるよ。あのね、スキンシップってすごい大事なんだよ。肌と肌が触れ合うことでオキシトニンってホルモンが分泌されて、それは信頼感と安心感を与えるものでストレスの減少にもなるんだよ」

と和は綾子に回してる腕を離し言った。

「それってお母さんと赤ちゃんじゃなかった?」

と及川が聞くと

「それもあるけど、恋愛とかでも効果的なんだって」

と和は言った。

「へぇ。じゃ、和が昔から言ってる綾子が癒しだって言うのも理由があるんだ」

とタケが言うと

「そうそう」

と和は笑った。

「じゃ、俺も最近ストレス溜まってるしストレス発散に綾子に甘えさせてもらおうかな」

と和の逆隣で綾子の隣に座ってる奏太が言うと

「はっ?なんで突然、誠じゃなくて奏太出てくるわけ?」

と和は言った。

「だって隣に座ってるし…」

と奏太が言うと

「だったら和樹も隣だろ?和樹に甘えろよ。…ったく、酔っぱらい黙って飲んでろよ」

と和は笑った。


それからも話は続いていたが最終日と言うこともありスタッフなどが注ぎにくるアルコールをなかなか断れなかった和は睡魔に襲われ綾子の膝に頭を乗せると、みんなに冷やかされながらも眠ってしまった。

「幸せそうな寝顔しちゃって…」

と及川が笑うと

「本当ですね。よっぽど気持ち良いんでしょうね」

とひろみも笑った。

「綾子に手伝ってもらいながらも今日は頑張って飲んでたしな。ここまで起きてられたのが奇跡だよ」

とカンジが笑うと

「実はさ、和君が酒飲んでるの初めて見たんだよね。飲んでも全然変わらないじゃないって思ってたんだけど突然寝ちゃうからビックリしたよ」

と長野も笑った。

「今日は最終日だからさすがに飲まんと場をシラケさせるって言って結城さんに肝臓に効くってCMやってるやつをもらって飲んできたから。そのおかげで頑張れたんじゃないんですかね」

と直則が笑うと

「準備万端で来たんだ。でも結局アルコールに負けて最後は寝ちゃうんだな」

とカンジは笑った。

「でも、本当いい顔で寝てますよね?ちょっと顔つねってやりたくなりません?」

と誠が和の顔に手を伸ばすと

「やめなよ。可哀想でしょ」

と綾子は誠の手を叩いた。

「冗談だよ。何も叩くこと無いだろ?」

と誠が言うと

「嘘だ。絶対つねる気満々だったでしょ?一応、なっちゃんは顔も商売道具なんだからやめてよね」

と綾子は言った。

その後も誠と綾子がなんだかんだと言い合っているのを見ていた飯田が

「二人、仲良いですね。ナゴミさんが見たら怒りそうですね」

と俊太郎に言うと

「まあね。でもさ、ほら綾子の左手見てみろ」

と俊太郎は向かい側に座ってる綾子を見て言った。

「えっ、なんですか?」

と飯田が綾子の左手を見ると

「ほら、和さんの手を綾子が握ってるだろ?さりげなく握っちゃってるけど、あーやって和と綾子はいつも繋がってるんだよ。あの中には誰も入り込めないんだよな」

と俊太郎は言った。

「確かに…」

と飯田が和の手の甲に自分の手を重ねてる綾子を見て呟いていると

「だからさ、綾子はやめておきなよ。お前じゃ絶対に無理だから」

と俊太郎は笑った。

「だから、本当そんな気全然ないですから」

と飯田がグイッとグラスに入ったアルコールを飲んでると

「でもさ、綾子はやっぱりキレイで可愛いだよな」

と俊太郎は言った。

「人のこと言っておいて、本当は俊太郎さんの方が好きなんじゃないんですか?」

と飯田が言うと

「だってさ、あの顔…。あんな顔で見られたら好きになっちゃうと思うよ」

と俊太郎は綾子を見て言った。

飯田が綾子たちを見ると、膝の上で寝返りをうち腰に腕を回して抱きついた和を綾子はとても愛しそうな顔で見ながら髪を撫でていた。

「綾子はさ、和さんと違ってあんまり目立つような愛情表現はしないけど、俺たちを見てる目と和さんを見てる目って全然違うんだよ」

と俊太郎は言ってると綾子とのじゃれあいが終わった誠が側にお酌をしに来た。

「何、楽しそうに話してるんですか?」

と酒を注ぎながら誠が聞くと

「和さんと綾子っていっつも目がハートになってるって話をしてたんだよ」

と俊太郎は笑った。

「ハート?まぁ、バカップルですからね」

と誠が笑うと

「こんなこと言っちゃ悪いけど、誠はよく頑張ってるよ」

と俊太郎は言った。

「…何ですか、突然」

と誠が驚いた顔をすると

「綾子の事だよ。プライベートは和さん仕事は誠って感じだったのに、今じゃどっちも和さんに持ってかれちゃったのにさ」

と俊太郎は言った。

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