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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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海辺の話

コインロッカーから荷物を取りだした奏たちは、コンビニ袋を下げて海辺の公園へやってきてベンチに腰かけていた。

「ごめんね。どこの店にも入れなくて…」

とさっちゃんが言うと

「仕方ないよ。高校生なんだし。それに夜景がなんまらキレイだし」

とナナはスマホで写真を撮りながら言った。

「なんまら…?」

とさっちゃんが聞くと

「あー、スゴいとか超とかそんな感じの北海道弁。…東京じゃ言わないよね?」

とナナは笑った。

「さっちゃん、腹減ったよ。おにぎりちょうだい」

と奏が言うとさっちゃんはコンビニ袋からおにぎりを取り出して

「腹減った腹減ったってうるさいよ。どんだけ成長期なんだよ。…お前、太るぞ」

とさっちゃんは奏におにぎりを渡した。

すると奏はおにぎりを剥きながら

「大丈夫。俺ん家の家系は太んないから」

と奏は言った。

「確かに、じいちゃんばあちゃん見ても太ってないもんな」

とさっちゃんが言うと

「じいちゃんばあちゃん?」

とナナは聞いた。

「奏って親が忙しいからじいちゃんばあちゃんの家にいること多くて、俺たちもばあちゃん家に遊びに行くこと多いんだよ。奏の家よりばあちゃん家に行く方が多いよな? 」

とさっちゃんが言うと

「そうだね。ばあちゃん、友だち連れてこいってうるさいしね」

と奏はおにぎりを食べながら 言った。

「へぇ…。奏君っておばちゃん子なんだ…」

とナナが言うと

「おばちゃん子って言うか…。ばあちゃんたちに育てられたみたいなもんだから」

と奏は言ったあと、余計なことを言ってしまったと言うことに気付き

「でも、ばあちゃん家が隣だから自由に行き来してたってだけで育児放棄されてた訳じゃないから」

と笑った。

「育児放棄って…そんなこと誰も思わないよ」

とユイナが笑うと

「そうだよ。誰も思わないよ」

とさっちゃんも笑い

「だよな。だいたい奏の誕生日が祝日ってだけでもスゴいよな?」

と琳は言った。

「…祝日じゃないから」

と奏が言うと

「祝日って何?」

とナナは聞いた。

「奏の誕生日には奏の両親と一緒に仕事してる人たちも必ず仕事休んで奏の家で盛大に誕生日祝うんだよ。だから、奏の誕生日は祝日ってわけ」

と琳が言うと

「盛大にって何するの?」

とユイナは驚いた顔をした。

「飲んで騒いでるだけだし…。今年だって飲みながらゲームしてただけだし」

と奏が言うと

「そう言えば、俺たちが帰ったあとって何してたの?ずっとゲーム?」

と勇次郎が聞くと

「何だろ?俺途中で部屋に戻ったからよくわかんないけど…朝起きたら家中が酒くさいし死体みたいにそこら辺にみんなゴロゴロと転がってた…」

と奏は言った。

「死体みたいにって…。でも、渉さん仕事あるからって飲んで無かっ…」

と勇次郎が言ってる途中でマズイと言う顔をすると

「わたるさんて営業だから、酒くさくして仕事出来ないし休みの前しか飲まないって言ってたもんな。営業って大変そうだよな。俺はやりたくないな…」

とさっちゃんが言った。

「だよな…。俺も営業は無理だな」

と琳が笑うと

「…ふーん。うちのお父さんも営業だけど接待だなんだっていっつも飲んでるよ。なんか、違うんだね」

とユイナは言った。

「あー、そう…だね。もしかしてカッコつけて言ってるだけで本当は飲んでるのかも」

と琳が笑うと

「わたるって言えばさ、今日ね私たちの席の近くにSperanzaのメンバーと佐藤俊太郎と飯田直樹いたんだよ」

とユイナは言った。

「佐藤俊太郎と飯田直樹も?」

と勇次郎が驚いた顔をすると

「そうなの。ライブの後に私たちの前を通って行ったんだけど、なんまらカッコよくてさ。やっぱり芸能人は違うよね?Speranzaはスゴい仲よさそうに笑いながら話してたし、佐藤俊太郎と飯田直樹はスラッと背が高くて顔がスゴい小さいの!ねぇ、実物見たことある?」

とユイナが聞くと

「…そんな近くで見たことないよな。やっぱりカッコいいんだ。俺も会ってみたいな」

とさっちゃんは笑った。

「奏君はある?」

とユイナが聞くと

「えっ!俺?何で?」

と奏は驚いた顔をした。

「ほら、相川さんが音楽関係の仕事してるって言ってたじゃない?相川さんのつてで会わせてもらったりしないの?」

とユイナが聞くと奏は

「残念ながら無いよ」

と笑ったが、琳たちは奏の顔が一瞬だけ曇ったのを見逃さなかった。

「そっか。…でも本当カッコよかった。まぁ、ナゴミのカッコよさには負けるけど」

とユイナは笑いながらコンビニの袋に手を入れたが

「あれ?おにぎり無い…」

と言った。

「嘘。奏、お前おにぎり何個食ったんだよ」

と琳が聞くと

「えっ?4つ。食べたかった?」

と奏は言った。

「4つ?お前、食い過ぎ。どんだけ腹減ってたんだよ」

とさっちゃんが言うと

「いいよ、いいよ。それより喉渇いちゃった。飲み物もう少し買ってくれば良かった」

とユイナは言った。

「奏、来るとき自販機あったろ?お前買ってこいよ」

とさっちゃんが言うと

「何で俺が?」

と奏は言った。

「何でって。お前おにぎり食っちまったんだろ?お詫びに買ってこいよ」

とさっちゃんが言うと

「えー」

と奏は言ったが

「いいから行ってこいよ。俺、炭酸」

とさっちゃんは言った。

「…パシりかよ。琳、一緒に行こうぜ」

と奏が言うと

「俺?何で、一人で行けよ」

と琳は言ったが

「いいから、一緒に行こうぜ」

と言って奏は琳の肩に腕を回して一緒に歩いて行った。

「仲良いんだね」

とナナが奏たちがじゃれあいながら歩いてる後ろ姿を見ながら笑うと

「そうだね…」

と勇次郎は言ったあと

「ナナちゃんは奏の何が気に入ってるの?」

と何気なく聞いた。

「えっ…そんな。私は別に何も」

とナナが言うと

「ナナ、せっかくだし奏君のこと聞いてちゃったら。今日を逃したら偶然会えるなんてこと無いんだよ」

とユイナは言った。

「そうだよ。俺たちが教えれることなら何でもこたえるよ」

と勇次郎が言うと

「…そっか。…そうだよね。じゃ、奏君て本当に彼女いないの?あんなにカッコいいのに」

とナナは聞いた。

「いないよ。…あんなにカッコいいのにって思うでしょ?でも、アイツは自分の顔好きじゃ無いんだよ」

と勇次郎が言うと

「好きじゃないの?」

とユイナは聞いた。

「うん。今日、整列待ちしてた時のこと覚えてる?」

と勇次郎が聞くと

「あっ…。ナゴミが…って言われたやつ?」

とナナは聞き返した。

「そう。あれって今日に限ったことじゃ無いんだよ。奏は、昔から親に連れられてボレロやSperanzaのライブにも行ってたらしいんだけど他人のそら似とは言えナゴミに似てるじゃない?それで毎回注目されて…息子と間違えられて写真とかも遠慮なしに撮られたりしてたらしいんだ。それが嫌で嫌で仕方ないらしくてさ」

と勇次郎が言うと

「確かに…。今日のだって何か遠巻きに見られて怖かったよね」

とナナは言った。

「でしょ?自分は関係ないのに注目されてあること無いこと言われて…。普通ならナゴミに似てる顔って自慢なのかも知れないけど奏にとっては嬉しくないことばかりなんだよ。だから、女の子に告られてもどうせナゴミと似てる顔で寄って来てるんだろ?って思って付き合わないんじゃないかな?」

と勇次郎が言うと

「でも、実際そう思っちゃうと思うよ。だって、話したこともないのに好きだって言うのは外見だけ見て勝手に理想作り上げて寄って来てる訳だし」

とさっちゃんは言ったあと

「ごめん、ナナちゃんがそうだって言ってる訳じゃないからね」

と言った。

「ううん。大丈夫だよ」

とナナが笑うと

「あと奏のことって…なんだろ?あっ、ギターめちゃくちゃ上手いよ」

とさっちゃんが言うと

「ギター?」

とユイナは聞いた。

「うん。俺たち4人でバンドやってるんだけど、奏は本当に上手い。あと、 歌も上手いしピアノも上手いし曲も作るんだけどプロみたいな曲作るよ」

と勇次郎が言うと

「スゴい。ライブとかやってるの?」

とユイナは聞いた。

「ライブはやってないけど…。今度、文化祭でやるよ」

と勇次郎が言うと

「文化祭?奏君が作った曲やるの?」

とユイナは聞いたが

「あー、文化祭はSperanzaの曲。奏の作る曲はレベル高過ぎて俺たちじゃ難しくて…」

と勇次郎は苦笑いをした。

「へぇ…。さっちゃんと勇次郎君は何をやってるの?」

とナナが聞くと

「俺がベースで勇次郎がドラム。琳がギターで奏がボーカルとギター」

とさっちゃんは言った。

「イケメンバンドだし、人気出るだろうね」

とユイナが言うと

「奏が半端なく上手いからね。また奏のファン増えるよ」

とさっちゃんは笑った。

「そんなにスゴいんだ…」

とナナが聞くと

「奏の歌聞いたら、ナゴミより奏の方が良いって言っちゃうかもよ」

とさっちゃんは笑った。

「奏は両親譲りで何でも出来るもんな。運動も出来るし勉強も出来るし音楽も出来るし美術も上手いし…。あれで天狗にならないのが不思議だよ」

とさっちゃんが笑うと

「何を取っても勝てないよな。あっ…ゲームだけは勝てるかな?」

と勇次郎は笑った。

「そうなんだ。スゴいね」

とナナが笑ってるとジュースを両手に持って帰ってきた奏と琳が

「めちゃくちゃ腕冷たいんだけど。早く取って」

と言った。

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