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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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17歳の誕生日 3

「何これ…」

とタケが驚いた顔をすると

「スタジオと地方の予定ばかり…。ちょっと待てよ、移動日もスタジオ?…スタジオの日は全部終わりが24時過ぎてる…。お前たちも見てみろよ」

とカンジは誠と渉に言った。

誠と渉もパソコンの画面を見て

「えっ?何これ…」

と画面を食い入るように見ると

「…オフ日が2日?」

と誠は言い渉は綾子を見て

「これって、もしかして綾子のスケジュール?」

と驚いた顔をした。

「マジかよ。地方ってライブない日も取材や撮影入ってたんだ…。移動日以外休みないじゃん。って言うかさ、何で言わないんだよ。これじゃ休む暇ないじゃん」

とカンジが言うと

「って言うかさ、何でこんなにスタジオ入ってるの?綾子って今はfateメインでやってるんじゃないの?」

とタケは聞いた。

「俺もそう思っていたんだけど…」

と和が言うと

「今回は仕方ないんだよ。ドラマの主題歌決まってたから時間も無くて」

と相川は言った。

「仕方ないって…。よそのバンドに口出しするの悪いけどSperanzaってオファー来たら何でも受けるの?こんなスケジュールこなさいとならないオファーなら村上さんは受けないと思うよ」

とタケが言うと

「だよな。これはひどいよ。よく綾子倒れなかったよ」

とカンジも言った。

「倒れなかったんじゃなくて、倒れさせなかったんですよね?結城さん」

と和が言うと

「倒れさせなかった?」

と相川は意味がわからないと言った顔をしたので

「結城さん、相川さんにツアー中の話はしてなかったんですか?」

と和が聞くと

「いや…。綾子が黙ってて欲しいって山下に頼んでたらしいから」

と結城は言った。

すると和はため息をついて

「綾子、黙ってるのは間違いじゃないか?スケジュールに隙間があれば休む暇なくレコーディング入れられて、挙げ句に点滴打ちに行きながらライブやってきたって正直に言った方がいいんじゃない」

と聞いた。

「えっ、点滴ですか?」

と北原が驚いた顔をして結城を見ると

「ああ。福岡と大阪は何度か点滴しに病院行かせたよ。綾子は時間見つけると5分でも10分でも寝てる感じだったし顔色も悪くてフラフラしてたからな。こっちとしても綾子に倒れられたら困るから」

と結城が言った。

「俺たちのせいですね…」

と渉が言うと

「お前たちのせいじゃないだろ?お前たちは言われた通りの仕事してたんだし。さっき隼人と綾子と話をしてスケジュールの組み方が間違ってたとしか俺は思えないんだけど…」

と和は聞いた。

「俺も和さんの言う通りスケジュールがおかしいと思います。時間がないのはわかるけど予定が変更になることが多くてオフが何度も潰れたし…。いい加減休ませてくれよって何度も思いました」

と隼人が言うと

「私もそれは思った。こんなんでツアーに戻って体力持つのか不安になったし、何でこんな無茶苦茶なオファー受けたんだろうってずっと疑問だった」

と綾子は言った。

「すまない…」

と北原が言うと

「ついでに言わせてもらうと、誠と渉に全部任せるって決まって誠と渉も任せておけって言ってくれたのに、北原さんと相川さんが何で4人にこだわったのか未だに理解出来ません。俺と綾子は二人に任せておけば大丈夫だとわかってるから任せるって言ったのに…。これって誠と渉にも失礼じゃないですか?」

と隼人は言った。

「それは俺たちの力不足が原因だから」

と渉が言うと

「本当にそう思うか?だったら任せておけなんて口先だけのことを言うなよ」

と隼人は言った。

「口先だけって…」

と誠が言うと

「だってそうだろ?自信ないくせに任せておけなんてさ。俺や綾子ならそんな無責任なこと言わない」

と隼人は言った。

「そりゃ俺たちだって、お前らがツアー出て忙しいの知ってるし…。今までも忙しいメンバーがいたら残りのメンバーでフォローしあって作ってきたから今度は俺と渉でやろうと思ってたよ。けどさ、タイアップついてるし4人揃ってやった方がいいんじゃないかって言われたら何も言えなくなるし…やっぱり俺たちじゃ無理なのかって思うよ」

と誠が言うと

「俺は、今まで綾子に助けられた分、今度は俺が助ける番だと思ったけど4人揃ってと言われたら自分の実力を過信してたのかな?俺はいつまでたっ綾子に助けられるばかりで助けてやれないんだなって思った」

と渉も言った。

「そんなつもりは無いんだ。ただ、4人揃うと短期間でもいろんなアイデアが出るだろうし、綾子がいれば作業が進むの早いから」

と相川が言うと

「いろんなアイデアって…。そりゃ4人いたらいろんなアイデア出ますよ。けど、そのアイデアを誰がまとめるんですか?綾子がいると作業が進むって言うのも俺たちがスタジオ入れない時でも相川さんとスタジオ籠ってしてたからでしょ?今まで綾子はSperanza以外では表に出て活動してこなかったからレコーディングに集中してこれただけですよね?…誠の言う通り俺たちは忙しいメンバーの分を余裕のあるメンバーがフォローする形で今までやってきたつもりですよ。それをなぜ今回変えたのか俺たちは理解出来ません」

と隼人は言った。

「…」

相川が黙っていると

「相川と北原は渉と誠に任せるべきだったな。それからfateのマネージャーとして言わせてもらうとこの時期のレコーディングは大迷惑だよ。新曲出すのはもともと決まってたから仕方ないにしろ迷惑。お前たちはfateの来年のスケジュール知ってるのか?」

と結城は聞いた。

「来年は2月からレコーディングが入ってます」

と相川が言うと

「その後は?」

と結城は聞いた。

「その後は…ツアーですか?」

と相川が言うと

「お前には直接関係ないから知らなくても仕方ないか」

と結城はため息をついて

「北原は知ってるか?」

と聞いた。

「すみません。来年までは把握してません」

と北原が言うと

「把握してない?じゃ、来年の綾子の動きがわからないのか?それでSperanzaのスケジュール立てれるのか?…ってことはもしかしてボレロとSperanzaはメンバーなのに和と綾子のスケジュール知らないのか?」

と結城は聞いた。

「…」

「…」

「…」

誠、渉、隼人は黙っていたが

「俺たちは村上さんから聞いてます。アルバムレコーディングしたあとは国内ツアーやりながら海外でプロモーション活動して、そのあとワールドツアーに出るんですよね?20ヵ公演ぐらいでしたっけ」

とタケが言うと

「帰ってきたら凱旋ライブもあるんですよね?由岐も和も俺たちからしたら夢のまた夢のようなことをどんどん現実にしてって本当羨ましいです」

とカンジは言った。

「だったらカンジもやる?」

と和が言うと

「変われるなら変わりたいよ」

とカンジは笑い

「スゴいですね…」

と誠は驚いた顔をした。

「クリスのツアーに同行するのも来年に向けたプロモーション活動を兼ねてるし、fateは本当に大事な時期なんだよ。それを理解してくれると俺は嬉しいだけど」

と結城が言うと

「今まで綾子にはずっとフォローしてもらってきたし、俺たちで出来ることがあるなら何でもしますよ…ね、北原さん?」

と誠はジロッと北原を見た。

「も…もちろんだよ。それから…綾子と隼人には今本当に申し訳なかった。とりあえず9月10月のスケジュールは早急に見直しすから」

と北原が言うと

「ってことで、話は終わりかな?」

とカンジは言った。

「終わりでしょ。せっかく奏の誕生日なのにこれ以上仕事の話って言うのもさ。パーッと楽しくやろうぜ」

とタケが言うと先ほどまでのムッとした顔が嘘のように笑いながら

「お前が言うなよ」

と和は言った。

「細かいこと気にするなって。奏、話終わったからこっち来てゲームの続きやろうぜ」

とがタケ言うと

「じゃそろそろ俺たちは帰ろうか?」

と結城は北原に言った。

「また事務所戻るんですか?」

と和が聞くと

「いや、戻りはしないけど」

と結城はこたえた。

「じゃ、まだ良いじゃないですか。料理もバカほどあって食べきれないし…なあ?」

と和が綾子に聞くと

「そうですよ。お祝いまでもらったのに追い返すようなこと出来ませんよ。北原さんも食べてって」

と綾子は言った。


奏たちがリビングに戻りタケたちとゲームを再開すると和と綾子はキッチンに立ちグラスを洗っていた。

すると、2人に気付いた北原が

「綾子、洗い物なら俺がするよ」

とキッチンに来て言うと

「大丈夫ですよ。座ってて下さい」

と綾子は言った。

「でも、和さんと綾子に洗い物なんてさせれないよ」

と北原が言うと

「北原、今日はマネージャーじゃなくてお客さんなんだから。…向こうで遊んでて」

と和は言った。

「でも…」

と北原が言うと和は

「いいから。せっかくの綾子と2人の時間邪魔しないで」

と笑った。

「はい…」

と北原が言ってると結城もやって来て

「何か手伝うことある?」

と聞いてきた。

「何で2人とも同じこと言うかな。向こうで遊んでて下さいよ」

と和が笑うと

「いや、和と綾子が働いてるのに何もしないのも悪いしさ…。で、何すればいい?」

と結城は聞いた。

「もう終わりますから大丈夫ですよ」

と綾子が洗い終わったグラスを和に渡してると

「俺が拭こうか?」

と結城は言った。

「本当、大丈夫ですから。仕事じゃないんだし気使わなくていいですよ」

と和が言うと

「そうだ。せっかくSperanzaとfateのマネージャー揃ってるんだし、ついでにボレロのマネージャーも呼びません?」

と綾子は言った。

「村上さん?」

と和が言うと

「うん。全然会ってないし元気かな?」

と綾子は言った。

「俺も全然会ってないな…。あの人今、何やってるんだろ?」

と和が言うと

「ちょっと前まで新入社員の教育してましたけど、お盆明けからはデスクワークしてますよ」

と北原は言った。

「教育?村上さんが?」

と和が驚くと

「はい。村上さんはマネージャー志望の子たちの憧れですからね」

と北原が言うと

「憧れ?あんな怖い顔した人が?」

と和は言った。

「顔は関係ないでしょ。…じゃ、村上さん仕事中なのかな?」

と綾子が聞くと

「最近はサラリーマンぶって土日祝日と休み取ってるから仕事はしてないんじゃない?」

と結城は言った。

「こっちが汗水流して働いてる時に涼しい部屋で仕事してる上に土日祝日休みとか…どんだけ恵まれてるんだよ。結城さん、村上さんに連絡して今すぐ来させて!楽ばかりするなって説教してやるから」

と和が言うと

「だな。俺だって休み無しに働いてるのに…一言言ってやりたくなってきた」

と言うと結城はスマホを取りだした。



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