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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
190/356

大阪で 2

リハーサルが終わりメンバーと楽屋に戻る途中、前を歩いてる結城と奏に気付いた和は

「奏!」

と声をかけた。

「父さん」

と振り向いた奏に近付き

「今来たの?」

と和は聞いた。

「リハーサルやってる途中からだよ。客席の端で結城さんと見てたんだ」

と奏が言うと

「客席?全然気付かなかった。来たなら声かけてくれれば良かったのに…」

と和は言った。


楽屋に入ると直則が

「奏君は夏休み何してたの?」

と聞いた。

「夏休みですか?部活したり友だちと夏フェス行ったり祭りにも行って来ました」

と奏が言うと

「いいな。夏祭りか…。グループデート的な感じ?」

と和樹が聞くと

「いえ、男ばかりです」

と奏は恥ずかしそうに言った。

「マジ?まぁ、それはそれで楽しいだろうけど…。女の子いた方が華があって楽しいのに。女の子は現地調達したの?」

と和樹が言うと

「現地調達とか…和樹、遠回しに言わずにナンパって言えば良いじゃん」

と直則は笑った。

「そう?じゃあさ、ナンパしたの?」

と和樹が聞くと

「はい。友だちと一緒にやってみました」

と奏がこたえたので和と綾子は驚いた顔をして

「やったの?」

と聞いた。

「うん。友だちが男4人じゃ寂しいって言うから4人組の女の子に声かけたんだけど…」

と奏が言うと

「で?どうだったの?」

と綾子は聞き和は

「可愛い子だったのか?」

と聞いた。

「可愛いかどうかはわかんないけど、友だちが声かけたら散々渋った挙げ句にやっぱり無理だとか言ってさ…。何かムカついて帰ってきた」

と奏が言うと

「失敗したんだ」

と和は残念そうに言った。

「もう二度とナンパなんてしないって思ったよ」

と奏が言うと

「何で?よっぽど酷いこと言われた?」

と和樹は聞いた。

「酷いことは言われて無いんですけど、知らない人に声かけるのも嫌ですし、断られるとダメージ大きいですし…」

と奏が言うと

「ナンパはね、ゲームみたいなもんなんだよ。断られるのが当たり前、10人声かけて1人でも引っ掛かればOKみたいなさ。軽い気持ちでいかないと。あとさ、声をかけるにもコツがあって」

と和樹が話してるのを綾子は遮って

「かずくん、余計なことを教えなくていいから」

と言った。

「本当だよ。俺と綾子の息子はナンパなんてしなくてもモテるんだし、そんなの教える必要ないから」

と和も言うと

「うわっ、親バカだ。自分の息子はモテるから必要ないだって」

と和樹は笑った。

「そうだよ。必要ないから」

と和が言うと

「確かに、奏君は必要ないかもしれませんね。それに今の子ってあんまりしないって聞いたことありますよ」

と奏太は言った。

「そうなの?」

と和樹が聞くと

「はい。恋人よりも友だちと遊んだり自分のために時間を使いたいって思うらしくて、彼女いらないって思う子もいるみたいですよ」

と奏太は言った。

「へぇ…。そんな感じなの?」

と直則が聞くと

「確かに友だちとかでも彼女優先にしないのが原因でケンカしたり別れちゃうのとかいるし、そうゆうのって面倒だし彼女に気を使うぐらいなら他に時間を使いたいって思いますね」

と奏は言った。

「…そうなんだ。何か時代の差を感じるな」

と直則が感心したように言うと

「でもさ、それって時代とかじゃないんじゃない?」

と和は言った。

「そう?」

と直則が聞くと

「ほら、Speranzaってそんな感じじゃん。彼女いるって話あんまり聞かないよな?」

と和は綾子に聞いた。

「確かにね。良い男ばかりなのにもったいないよね?」

と綾子が笑うと

「良い男だからこそ、無理に作る必要ないって思ってんじゃない?作ろうと思えばいつでも出来るだろうし。…羨ましいよな」

と奏太は言った。


その後、夕食を食べたメンバーは衣装に着替えたり伊藤にヘアメイクをしてもらったりといつもながらの本番前の時間を過ごしていた。

「奏、アクセサリー選んでよ」

とヘアメイクを終えた和がアクセサリーボックスを持ってきて言うと

「また?母さんに選んでもらえばいいじゃん」

と奏は言った。

「綾子?ダメダメ。綾子は18時まで休憩中だから」

と和が言うと

「休憩中?」

と奏は聞いた。

「そう。毎日毎日働いて疲れてるから仮眠取ってるの。だから、綾子の衣装置いてある部屋は行ったらダメだよ」

と和がアクセサリーボックスを開いて言うと

「でも、昨日は休みだってんでしょ?」

と奏は聞いた。

「休みなのはのりちゃんたちだけ。俺と綾子は仕事だよ。取材に撮影にお食事会にって夜まで仕事…」

と和がため息をつくと

「そんなに仕事ばっかりなの?」

と奏は驚いた顔をした。

「そうだよ。可哀想だと思うだろ?結城さん、優しそうな顔してるけどどんどん仕事入れて俺たちを休ませないようにする鬼畜なんだよ」

と和が結城に聞こえるようにわざと言うと

「鬼畜だって?そりゃ無いだろ。fateのために身を削って働いてるのに」

と結城は言った。

「結城さんも身を削ってるかもしれないけど、俺たちだって身を削ってますよ。だいたい、昨日の食事会は予定に入ってなかったじゃないですか」

と和がピアスを手に取りながら言うと

「仕方ないだろ。向こうもわざわざ席を準備してくれてたんだし…。それに、お前たちが疲れてるってわかってるから二次会の誘いは断ったんだし…」

と結城は言った。

「当たり前ですよ。ライブあるのに二次会まで付き合ってらんないですよ。綾子なんて移動中はいっつも寝てるし今朝なんてギリギリまで起きなかったし…疲れがどんどん溜まってく一方ですよ」

と和は言うと

「fateにSperanzaにってスケジュール詰め込み過ぎですよ。こう言うと綾子は怒るけど、どんなに男と対等に仕事出来るって言っても綾子は女なんですよ。いくら頑張っても体力的には男と同じにはなれないんですから」

と言った。

「わかってるよ。山下、綾子のスケジュールってどうなってる?」

と結城が山下に聞くと

「近いところでは9月3日4日と休みですよ」

と言った。

「あれ?4日にレコーディング入ってなかった?」

と和がピアスを着けながら聞くと

「時間も無いし綾子に倒れられても困りますんで、主題歌分のレコーディングは綾子抜きで進めてもらって綾子はギター録りだけ参加ってことになったんですよ」

と山下は言った。

「よく、綾子が納得したね」

と和が聞くと

「実は綾子から提案してきたんですよ」

と山下は言った。

「綾子が?」

和が驚くと

「はい。もともと渉と誠を中心に進めて行くことは決まってたんですけど、急遽主題歌に決まって大慌てになっちゃいまして間に合わないと綾子も思ったみたいで…。二人は綾子と隼人の帰りを待つって言ってたんで初めのうちは綾子も従っていたんですけど、さすがに福岡行く前に終ってるのがドラムだけだと待つなんて言ってられる状況じゃないんで…」

と山下は言った。

「確かにな…。まぁ、綾子を待つって言ったときにそれで良しとした北原や相川さんもどうかと思うけど」

と和がため息をつくと

「和さんがスタジオ来た日、綾子と隼人が北原さんと相川さんに怒ってたんですよ。4人のスケジュール合わせてなんて言ってたら間に合わないと思ったから二人で進めてもらってそれに従うって提案したけど待つと言われたらこっちは待たせてる方だし強く言えない。隼人はツアー終わったからレコーディングに専念出来るけど、綾子はまだ半分以上残ってるし待つと言われても正直困るし、そうゆうのをキチンと判断して北原さんや相川さんが指示してくれないと困るって」

と山下は言った。

「…母さんと隼人君が相川さんに怒るなんて信じられない」

と奏が呟いてると

「そりゃ怒りたくもなるわな…。あっ…だからあの日スタジオに来いって相川さん言ったんだ」

と和は呆れたように言ったあと

「そろそろ18時だし綾子起こしてきたら?俺もあっち使いたいし」

と山下に言った。


山下が楽屋を出ると和はその場で肩のストレッチを始めながら

「奏、今日はどこで見るの?」

と聞いた。

「今日は、石井さんに機材席って言われてるんで…」

と奏が言うと

「機材席か。じゃ、俺たちより先に行かなきゃなんないね」

と和は言ったあと

「綾子がステージ上がる前に変身する姿見れなくて残念だね」

と笑った。

「そうだね。…でも、結城さんが明日はまたステージ袖で一緒に見ようって言ってくれたから」

と奏が言うと

「そっか。まぁ、機材席で見る経験もなかなか出来ないし楽しんでおいで。…でも、仕事の邪魔だけは絶対にしないでおとなしく見てろよ」

と和は言った。


開演の20分ぐらい前になると石井が楽屋に奏を呼びきて、奏は石井と一緒に客席の後ろの方にある機材席に行くと

「奏君、ちょっと見づらいかも知れないけどそこの椅子に座っててね」

と言うと石井は機材席に座ってるスタッフと話を始めていたので、奏は椅子に座り会場を見渡した。

スタッフに誘導され次々と入ってくる観客…。

既に観客席に入り隣に立ってる人と話をしている観客…。

2階席で飲み物を飲みながら話をしている観客…。

今まで、自分もあの中にいた1人だったから気付かなかったけど、ライブの始まる前の時間てこうゆう風に過ごしているんだ…と奏が思ってると、石井がマイクに向かって何か言った出した次の瞬間、雷にも似た床響く音とともに会場は真っ暗になり観客から悲鳴のような歓声が起きた。

その後、和の作曲した曲に合わせてステージにかかってる幕が赤色と青色と交互に照らされ始めるとfateの登場を待ちきれない観客は音楽に合わせて身体を揺らしてる。

「…」

奏が石井を見ると、石井は時計とステージを交互に見ながら次々とマイクで指示を出している。

和の作った曲が終わると会場は真っ暗になり観客からは大きな歓声が沸き起こった。

大歓声の中で石井がマイクに向かい何かを言ってる次の瞬間に直則のシンバルを合図に和と綾子のツインギターで始まるspiritの演奏が始まった。

その後続けて3曲演奏していると

「次、ナゴミのMC入るぞ」

と石井がマイクに向かって言ってるのが聞こえた。

石井が言った通り、3曲目の演奏が終わると真っ暗なステージ上ではナゴミが一筋のライトに照らされ今日初めてのMCが始まった。

「ようこそ。初めまして、fateです。大阪、3日目だけど今日も元気だね。…」

とナゴミが話してる間も石井は時計を見ながら次々とスタッフやメンバーに指示を出していた。

「ナゴミのMC残り1分」

と石井が言うと話をしていたナゴミが

「今夜も最高に気持ち良いところに一緒に行きたいなって思うんで、そろそろ曲に戻ろうか?準備は良い?」

と観客に聞くと観客からは歓声が起きたが石井は

「ナゴミ、15秒」

と指示を出した。

和が観客の歓声にニヤッと微笑むと

「じゃ、始めようか?」

と言うと同時に和を照らしていたスポットライトが消えて次の曲の演奏が始まった。

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