ナゴミと和
「すみません。遅くなりました」
と言って村上が部屋に入ってくるのに続いてボレロのメンバーも部屋に入ってきた。
「お、もう注文してくれてたんだ。腹へった。早く食おう」
とカンジが言うと
「あれ?君たちそんな端っこに座ってないでもっと前に座りなよ。ほら、相川さんの隣空いてるよ」
とタケが言うと
「いや、俺たちはこっちで大丈夫ですから」
と誠が謙遜して言った。
「ま、おじさんの隣は嫌だよな」
とタケが笑うと
「誰がおじさんだって?俺はまだ30前だぞ。俺がおじさんなら村上さんなんてどうすんだ?じいさんか?」
と相川は笑った。
ボレロのメンバーは上座に座ったが、和は隣に座っているのが綾子じゃなくて隼人なのが気に入らなくて
「君…えっと名前…」
と隼人に言った。
「隼人です」
と隼人が何を言われるのだろうと緊張しながらこたえると
「隼人ね。隼人と綾子は座るところ交換出来るかな?」
と和は言ったので
「あ!気付かないですみませんでした」
と隼人は慌てて立ち上がった。
「隼人、交換しなくていいから」
と綾子が言うと
「いや、ほらやっぱりナゴミさんの隣は綾子の方がいいから」
と隼人は言った。
「隼人も良いって言ってるんだから、ほらこっちに座りなよ」
と和は綾子の手を引っ張り隣に座らせた。
「ごめんね、隼人。和はいつでも綾子ちゃんの側にいたいヤツだからさ」
とカンジが言うと
「そうそう。綾子ちゃんに会えない日が続くと帰りたいって騒ぐし、本当にワガママ」
とタケは笑った。
「だって綾子が足りなくなるんだもん。仕方ないだろ?」
と和が言うと
「前から思ってたけど足りなくってどうゆう意味なんだよ?」
とみんなが笑ってる姿を見ていた誠が和の着けているネックレスが綾子が着けているネックレスが同じ事に気付いて
「あれ?そのネックレス…」
と言った。
「あ、これ?これね。俺がデザインして知り合いに作ってもらったんだよ。天使の羽根とクロスには誕生石のガーネット。ラッキーチャームって感じでいつもつけてるんだよ」
と和が言うと
「カッコいいデザインですね」
と誠の隣に座ってる渉は言ったが、ネックレスを見て
「ん?」
と言った。
「何?どうしたの?」
と和が聞くと
「これって綾子の着けてるのとスゴく似てると言うか…」
と渉は言った。
「そりゃそうだよ。綾子とペアだもん」
と和は言った。
「え!」
と渉たちが驚いてると
「そりゃそうだよね。あのナゴミが自分でデザインしたペアのネックレスを彼女にプレゼントするとか、そんなロマンチックなことイメージに無いもんね」
たカンジが言うと
「いや…そうゆう訳じゃなくて…」
と隼人は言った。
「…あの、もしかしてナゴミさんって僕と会ったことあります?」
と渉が恐る恐る聞くと
「あー、もう忘れてるんだろうなって思ったから聞かなかったけど、前に綾子とファミレスで勉強してた時でしょ?覚えてるよ。その前にも綾子を送ってくれた時と、確か隼人も一緒の時も会ったよね?」
と和は笑ったが、隣に座ってる綾子はため息をついた。
「え?って事は綾子が好きだったなっちゃんがナゴミさんで…でも、あの人がナゴミさんが同じって事は…」
「どう考えても同じ人とは思えないけど…」
と渉と隼人が青ざめて呟いてると
「何ブツブツ言ってるんだよ」
と誠が言った。
「うるさい。ちょっと待て!今、頭を整理するから。綾子の兄貴となっちゃんは同じ仕事してて、綾子の兄貴はユキさんでナゴミさんと同じバンドやってて…」
と隼人が考えてると
「綾子、隼人どうしたんだ?」
と由岐が心配そうに言った。
「あ…。あのね。前に会った事があったんだけど…」
と綾子が言いづらそうにしてると
「ほら、俺が不審者で村上さんがヤバい仕事してる人って綾子の友達が話してたって話あっただろ?あれだよ」
と和は笑った。
「あのときはすみませんでした!」
と渉と隼人が床に頭をつけて土下座すると
「そんな事しなくていいよ。俺、気にしてないから」
と和は言った。
「そうだよ。二人とも頭あげなよ。休みの時の和は本当になーんにも気にしない格好でいるから仕方ないんだよ」
とタケが言うと
「そうそう。前髪で顔隠れててそれで前見えるのか?って感じなのに眼鏡かけて、眼鏡してる意味あるのか?って思うような格好。それにボレロのメンバーなのか?ってぐらいオーラないしバカだし」
と由岐が言った。
「バカは関係ないだろ?だいたい休みの日は気を抜きたいんだよ。オマエらだって似てるって言われるだけで本人だとバレた事無いだろ?」
と和が言うと
「でも、オマエは似てるとさえ言われないどころか不審者って…」
とタケは爆笑した。
「ま、もう本当にいいから。二人とも頭あげなよ。じゃないと、向こうにいる裏社会を牛耳ってる怖い人に何されるか分かんない」
とカンジが笑うと
「そうだぞ。サッサと頭上げないと俺が飲んでる酒も不味くなるだろ?海に沈めるぞ」
とドスの効いた声で言ったあと
「どう?迫力あるか?」
と村上も笑った。
その後、ボレロのメンバーと綾子たちはそれぞれのメンバーとの出会いや好きな音楽、今日の武道館の話やくだらない話までしてボレロのメンバーが気さくな事もあり渉たちも緊張がほぐれて楽しい時間を過ごしていたが、お酒に弱い和はすっかり酔ってしまい、テーブルの隅の方で綾子に膝枕してもらい寝ていた。
「俺、和が綾子ちゃんに膝枕して欲しいって言ってるの何万回も聞いてるけど、本当に膝枕してるとは思わなかった」
とタケが驚いてると
「俺も仕事早く終わらせたい為の冗談だと思ってた」
と村上も言った。
「親友が妹に膝枕してもらってるのこうやって目の当たりにするって兄貴としてどうなの?」
とカンジが由岐に聞くと
「いや、別に。いつもの事だから見慣れてるし」
と由岐は言った。
「いつもの事ってアイツ酔ってなくても膝枕したもらってるの?」
とカンジが驚くと
「あぁ。綾子の部屋に来ると昔からいつもだよ。多分、アイツの家でもじゃない?」
と由岐は言った。
「マジ?スゲェな。それなのに今まで付き合って無かったとか信じらんないな。どう考えてもお互い好きじゃなかったら膝枕なんてしないだろ?」
とタケが言うと
「前に綾子が言ってたんですけど、和さんは甘える場所が無いから昔から知ってる自分に甘えてるだけで、妹としてしか見られてないって」
と渉が言った。
「…確かにアイツが素のままで甘えれる女って他に無いかもな」
とカンジが言うと
「そうだな。今まで噂になった女はいたけど皆ボレロのナゴミに寄って来るヤツだから、こんな姿を見せて無かったみたいだし。まぁ、女と遊ぶの面倒になったって去年の年末には最後の1人も縁切ったみたいだけど」
とタケも言った。
「和さんはどうして綾子には甘える事が出来るんですか?普通、好きな女の前だと格好つけたいんじゃないんですか?」
と隼人が言うと
「確かに、そうなんだけど。アイツの両親はスゲェいい人なんだけど、いつも仕事で忙しくて和はガキの頃から1人で家にいることが多くて、忙しい親に迷惑かけれないって思って甘えたいのをずっと我慢してたんだよ。和はいい子だね、和はしっかりしてるねって言われて、ずっと誰も気付かなかったのに寂しい時は私に甘えていいからねって小学生の綾子が中学生の和に言ったんだよ。和さ、その時綾子と俺の前でボロボロ泣いて。それから綾子の部屋にちょくちょく来るようになって。それがいつから好きになったのか分からないけど、高校入った頃には俺に綾子が可愛いんだけど俺ロリコンなのかな?って聞いて来るようになって…。俺はバカな事を言ってるなぐらいにしか思ってなくて、綾子が二十歳になるまで手を出すなよって言ったんだけど、まさか本当に待ってるとは思って無かったよ」
と由岐は言ったあと
「逆に綾子が何で和を好きなのか俺は全然分からん」
と由岐はため息をついた。
「さ、




