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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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由岐の反対

「え?綾子が?」

和は驚いた顔をして綾子を見た。

「マジかよ。あの曲、綾子ちゃんが作ったのか…」

とタケも驚いた。

「…綾子、本当か?」

と由岐は言ったが、綾子は何も言わなかった。

「綾子!」

と由岐が大きな声をあげると綾子はビクッとした。

「おいおい、由岐、綾子ちゃん怖がってるだろ?」

と相川が言うと

「すみません。今俺は綾子と話をしてるんです」

と由岐が言うと楽屋中は静まりかえった。

「綾子、俺は相川さんと会ったという話さえも聞いてないぞ」

と由岐が言うと

「ごめんなさい」

と綾子は言った。

「和は知ってたのか?」

と由岐が聞くと

「なっちゃんにも言ってない」

と綾子は言った。

「…一人で考えて答えが出るような話じゃないだろ?」

と由岐がため息をつくと

「ごめんなさい」

と綾子が謝った。

「相川さん。ギターの子は首を縦にふらないって言ってましたよね?」

と由岐は相川に聞いた。

「あ…まあ」

と相川が言うと

「じゃあ話は早いです。ギターは他の子を探して下さい」

と由岐は言った。

「は?何を言ってるんだ?」

と相川が驚いた顔をすると、由岐は相川を真っ直ぐ見て

「昨日の音源聞いた感想を言うとボーカルも音域広いし歌も上手い。ドラムもテクニックも安定感もある。ベースは相川さんが見つけてきた子なら才能あるんだろうし、綾子がいなくても充分やっていけると思います。綾子は諦めて下さい」

と言った。

相川はため息をついて

「綾子ちゃんは何か言いたい事ある?」

と綾子に聞いた。

「いえ…」

と綾子が俯いて言うと

「そっか…。じゃあ、今日はもうこの話はやめよう」

と相川はため息をついた。

「すみません」

と由岐が頭を下げると

「俺はこうゆう雰囲気嫌いなの知ってるだろ?もう話は終わりだ!そうだ。今日はお前たちの祝いに店を予約してんだ。今からみんなで行くぞ」

と相川が笑うと

「やった!よし!朝まで飲むぞ!」

とタケが言った。

「お前はいつも飲み過ぎて絡むからイヤなんだよな」

とカンジが言うと

「バカ。俺はわざと酔ったふりして盛り上げてるんだよ」

とタケは笑った。

先ほどまでの怒っていたのが嘘のような顔をした由岐が

「綾子も来るだろ?」

と言った。

「え?行ってもいいの?」

と綾子が怯えた顔で言うと

「和も喜ぶし、もう高校生じゃないんだから来ればいいだろ?母さんには俺が言っておくから」

と由岐は綾子の頭を撫でた。

タケとカンジは顔を合わせて笑うと

「じゃあ、君たちも一緒においでよ。もちろん、未成年はアルコール禁止だけどね」

とカンジが言うと

「いいんですか?」

と誠が言った。

「遠慮する事ないよ。まぁ、渉はナゴミの本性見て失望するかも知れないけどね」

とカンジが言うと

「そういえば、綾子ちゃんはボレロの中で一番好きなのがユキらしいよ。和、残念だったな」

とタケが言うと

「え?本当?」

と和は綾子に聞いた。

「それは…結構前に友達に聞かれた時にナゴミって言えなくて…」

と綾子が言うと

「言えないって何で?…やっぱり抱かれたい男より彼氏にしたい男の方が上なの?」

と和は綾子に聞いた。

「仕方ないだろ。誰が見たって俺の方が上なんだから。我慢しろ」

と由岐が笑うと

「お前に言われたくないよ」

と和はふて腐れた顔をした。

「お…俺はナゴミさんが一番ですよ!」

と渉が顔を赤くして言うと

「だってよ。良かったな」

と由岐は和の肩をポンと叩いた。


綾子たちはボレロのメンバーとは別々に武道館を出て相川が予約した店に向かった。

相川が用意してくれたワゴン車の中で

「いや…今日はいろんな事がありすぎた」

と渉が言うと

「ナゴミさんと綾子ちゃんがね…」

と誠が言った。

「それもだけど、ユキさんと綾子がってのも驚いたよ」

と隼人が言った。

「綾子、もう秘密は無い?言うなら今だぞ。俺たち今なら何を聞いても驚かないから」

と渉が言うと

「うーん…。私がギター始めたきっかけは相川さんにお教えてもらった事ぐらいかな?あとは…」

と綾子が言うと

「本当?綾子ちゃん、相川さんにギター教えてもらったの?」

と誠が言った。

「うん。中学の頃、お兄ちゃんとなっちゃんについてスタジオに遊びに行ってた時に教えてもらったよ」

と綾子が言うと

「うらやましいな…」

と誠は言った。

「そういえばさ、綾子はなっちゃんが好きだったんだよな。なのに何でナゴミさんと付き合ってるの?」

と隼人聞いた。

「え?」

と綾子が何を言ってるんだろうと言う顔をすると

「うそ。綾子ちゃん、ナゴミさんと付き合う前好きな人いたの?」

と誠が聞いた。

「いたんだよ。スゲェ怪しい人。綾子にべったりでさ、髪の毛で顔隠れてるし俺たち不審者かと思って本気で心配してたもん」

と隼人が言うと

「めっちゃ綾子の事が好きで、綾子が着けてるそのネックレスをオリジナルで作って渡してきたり…って言うかナゴミさんと付き合ってるのにそんなの着けてていいの?ヤバいだろ?」

と渉が心配すると

「大丈夫だよ。これはお守りだから外さないの」

と綾子は言った。

「でも、デザインカッコいいよな。俺も欲しい。今度頼んでよ」

と誠が言うと

「あー、ダメダメ。俺も言ったんだけど綾子と自分だけの世界に2つだけなんだって。あの不審者にそんな事言われたら俺なら警察に連絡しちゃうかも」

と渉が言うと

「見掛けで判断するのは悪いけど、確かに怖いわ。とりあえずナゴミさんにバレないように気を付けろよ」

綾子は、何で和とナゴミが同じ人だと気付かないのか不思議だったけど、不審者とまで言われてる人が憧れのナゴミだと知って渉と隼人ががっかりするのは可哀想だと思い黙っていたが、助手席に座る相川は笑いを堪えるのに必死だった。


相川がボレロのために用意した居酒屋に入ると、まだボレロのメンバーが来てなかったので、話題は和から由岐へと変わった。

「綾子さ、ユキが好きとか言ってたけどユキさんと兄妹だったとはな…」

と渉が言うと

「でも、言われてみたらちょっと似てるような気がするよな」

と隼人は綾子の顔を見た。

「黙っててごめんね。お兄ちゃんの事を知られると、みんなの私を見る目が変わると思って…」

と綾子が言うと

「まぁ、ユキの妹って目で見て近付いてくる奴もいるだろうしな…」

と隼人は言った。

「でもさ、あの時のユキさん、冷静に話をしていたけどスゴい怖かった」

と誠が言うと

「だよな。それまでニコニコ話をしてくれてたのに突然な…」

と渉が言うと

「まぁ、それだけ綾子ちゃんの事を心配してるってことだよ」

と相川は言った。

「でも、綾子の意見も聞いてやればいいのに」

と渉が言うと

「まぁ、それはそうなんだけど…。由岐だけじゃなくてボレロのメンバーは綾子ちゃんを妹みたいに可愛がってるから音楽やることには反対するって俺は思ってたよ」

と相川は言った。

「何で反対するんですか?」

と誠が聞くと

「アイツも今じゃあれだけのビッグアーティストになったけど、そこに辿り着くまではツラい思いも悔しい思いもたくさんしたし、人間の汚さや醜さや欲深さも見てきたんだよ。この世界の表だけじゃ無くて陰の部分も知ってるから綾子ちゃんを入れたく無いんだよ」

と言った。

渉たちが黙っていると

「ま、この話は終わりだ。アイツら遅いな。先に注文しておくか?何頼む?遠慮なんてしなくていいからな。何でも頼めよ。アイツらも俺が出すって言ったら遠慮しないから。だいたいアイツらの方が稼いでんだから奢れって感じだよ」

と笑いながら相川は綾子たちにメニューを渡した。



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