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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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結城と佐藤と相川

楽屋に戻った綾子は伊藤に髪を乾かしてもらいながら

「あれ?奏は?」

と山下に聞いた。

「奏君?結城さんもいないし結城さんと一緒じゃなかな?」

と山下が言うと相川が

「じゃ、俺ちょっと見てくるよ」

と楽屋を出た。

相川が隣のトレーニングルームを覗くと奏は結城と佐藤と話をしていた。

「こんなに若い子をfateのツアーに同行させるってよっぽど可愛がってるかよっぽど優秀なスタッフなんですね」

と佐藤が言うと

「そうですね。とても可愛いですし優秀ですね」

と結城が笑ったので佐藤は驚いた顔をした。

「結城さんがそんなに誉めるなんて珍しいですね」

と佐藤が言うと

「そうですか?でもね、本当に今回は彼がいて良かったって思ったんですよ」

と結城は言った。

「へぇ、例えば?」

と佐藤が興味深そうに聞くと

「彼はスゴい癒し系でしてね。彼がいることでメンバーの機嫌がとても良くて。直則は彼とゲームするのが楽しいみたいだし、和樹は彼にベースを誉められて上機嫌だし、蒼太は弟を見てるかのような優しい目で彼を見てて…彼の存在が癒しですね」

と結城は笑ったあと

「特に彼が癒しだと感じたのは和ですね」

と言った。

「ナゴミ君?」

と佐藤が聞くと

「これはオフレコでお願いしたいんですが、札幌入りしてから和はとても機嫌が悪くて…」

と結城は苦笑いをした。

「そうなんですか?さっきのインタビューではそんな事を全然感じなかったですけど。もしかして、綾子ちゃんがらみで機嫌損ねたんですか」

と佐藤が聞くと

「まぁ、最終的にはそれが引き金になってしまったんですけど…。彼がいることでスゴく機嫌良くなって。僕たちじゃどうにも出来ない事を彼は意図も簡単にやってのけて、本当に存在自体に助けられましたよ」

と結城は言った。

「スゴいですね。マネージャーの鏡みたいな人ですね。えっと…」

と佐藤が奏を何と呼んでいいか迷ってると

「若狭です。若狭奏」

と結城は言った。

「若狭君ね…」

と言って佐藤は奏の顔を一瞬まじまじとみたあと笑顔で

「若狭君、結城さんの下は厳しくて大変だと思うけど、この人の下に付くってスゴい事なんだよ。期待してるから頑張ってね」

と右手を奏に差し出した。

「はい、ありがとうございます」

と奏が嬉しそうな顔で手を握り返していると

「奏こんなところにいたのか?」

と相川が部屋に入ってきて言った。

「相川さん」

と奏が驚いた顔をすると

「楽屋に戻って来ないから心配されてるぞ」

と相川は言った。

「はい、すみません。今戻ります」

と奏は言うと

「じゃ、すみません。僕戻ります」

と佐藤に頭を下げて部屋を出ていった。

佐藤は奏の後ろ姿を見ながら

「そっくりですね」

と言った。

「えっ?」

と結城が驚いた顔をすると

「大丈夫ですよ。綾子ちゃんが昔ユキ君の妹って言うのを隠したがってた理由も知ってますし彼も同じでしょ?誰にも言いませんよ」

と佐藤は笑った。

「すみません。ありがとうございます」

と結城が頭を下げると

「でも、綾子ちゃんに本当そっくりですね」

と佐藤は言った。

「綾子ですか?」

と相川が以外な言葉に聞き返すと

「顔はナゴミ君似だし若いのに妙な色気を感じさせるのもナゴミ君ゆずりだけど、あの瞳の中に隠された力強さやそれに反して持ってる空気がとても柔らかいのは綾子ちゃんの若い頃にそっくりですよ」

と佐藤は言ったあと

「でも、柔らかな空気は普段のナゴミ君にも共通するかな?」

と笑った。

「そうですね」

と相川が笑うと

「いずれ彼もミュージシャンに?」

と佐藤は聞いた。

「そうですね。僕としては今すぐうちと契約だけでもしてもらいたいぐらいなんですけど」

と結城が言うと

「奏はまだ将来について迷ってる状態ですからね」

と相川は言った。

「迷ってる状態?」

と佐藤が聞くと

「彼はもともと司法に進みたいと思ってたみたいで。でも、最近は音楽に携わる仕事にも興味を持ったみたいで進路をどうしようか迷ってるらしいんですよ」

と相川は言った。

「司法ですか…。確かユキ君も法学出身でしたよね?何から何までスゴい家族だな」

と佐藤が感心したように言うと

「俺や和たちは法学勉強しながら楽しくのびのびと音楽をやって大学卒業までにどうするか決めれば良いんじゃないかと思ってるんですけど…」

と相川は笑ったが結城は真剣な顔で

「そんな事を言ってたら、あっという間に他の事務所に持っていかれるぞ」

と言った。

相川と佐藤はその真剣な顔に驚いていると

「相川、ステージ袖にいた奏君の顔を見たか?」

と結城は聞いた。

「いえ…見てません」

と相川がこたえると

「ステージを見つめるあの子の目はナゴミなんかよりずっと鋭い目をしてて纏ってた空気は綾子なんかよりずっと大きくて…。あの子はステージに立つとナゴミや綾子なんて問題にならないぐらい輝くぞ」

と結城は言ったあと

「奏君から聞いたけど、彼はバンドやっててギター弾きながら歌ってるそうじゃないか。そのうえ、曲も自分で作ってるって。まだ下手でライブやったことが無いって言ってたけど、ライブに出始めたら上手い下手に関わらず一気に注目されるぞ」

と言った。

「…」

相川がなんて言っていいか困ってると

「相川、おまえ奏君を育てろ」

と結城は言った。

「えっ?でも、奏はまだ自分がどうゆう進路に進むか迷ってるんですよ。それなのに育てるとか…。俺としては奏には自分の将来は自分で決めて欲しいし」

と相川が言うと

「言い方が悪かった。もしも、将来的に奏君が司法の仕事に就くとしたらそれはそれで仕方ないけど、あの子を他の事務所には絶対に渡したくないんだよ。すぐにデビューさせるとかそんな無理な事は言ってない。あの子が音楽に興味を持ってるならお前の下でアシスタントでも何でもいいからやらせてお前の持ってるもの知ってること全てあの子に教え込んで欲しいんだよ」

と結城は言った。

「…」

相川が結城の真剣さに驚いていると

「…高校生だしバンドだって音楽だって楽しんでやりたいだろう。勉強だって大事だから奏君のしたいようにさせてやっていい。けど、とりあえずは他と契約出来ないようにうちと契約は結ばせたい」

と結城は言った。

「何で奏にそこまで…」

と相川が聞くと

「逆に俺は何でお前が奏君の魅力に気付かないか不思議だよ。あまりにも近くに居すぎるからか?」

と結城は言った。

「それは…」

と相川が言うと

「それに彼を見てたらわかる。いずれあの子は両親と同じ道を選ぶ。だから、デビューするわけでもないのに今から契約することもお前に育てろって言うことも今は無意味なことに思えるかもしれないけど、結果的にはとても意味のあることになるから。俺を信じろ」

と結城は笑った。

「佐藤さんはどう思います?」

と相川が聞くと

「売れると思うよ。ミュージシャンじゃなくても彼は売れるよ」

と佐藤は言ったあと

「あのルックスですしスカウトもいろんなところからされてるんじゃないんですか?」

と言った。

「相川、そうゆう話を聞いたことあるか?」

と結城が聞くと

「さあ?どうですかね。奏とはそうゆう話はしたことが無いのでわかりませんが…」

と相川が言ってると佐伯がやって来て

「結城さん、和さんと綾子さんも移動の準備終わってますけど…そろそろ車楽屋の前に入れて良いですか?」

と聞いた。

「あっ、すまんすまん。今、行く」

と佐伯に言ったあと

「佐藤さん、長々すみませんでした」

と頭を下げて佐伯とともに部屋を出て行った。

「じゃ、俺もそろそろ戻りますね」

と相川も出ようとすると

「相川さん」

と佐藤は相川の事を引き留めて

「結城さんはかなり気に入ってるみたいだけど綾子ちゃんの息子って実際どうなの?」

と聞いた。

「実際って…どうゆう意味での実際ですか?」

と相川が聞くと

「ミュージシャンになる気あるのかな?」

と佐藤は聞いた。

「奏は歌も上手いし磨けば光ると思いますけど、本人は表に出ることには興味を持ってないみたいで」

と相川が言うと

「じゃ、何を目指してるの?」

と佐藤は聞いた。

「奏は作曲やアレンジとか…俺がやってるような仕事に興味があるみたいで…。でも、堅実な生活をしたいって気持ちもあるみたいで進路を法学にしようか音大で作曲を勉強しようか迷ってるみたいなんですよ」

と相川が言うと

「法学と音楽じゃ全然世界が違いますもんね。…でも、音大に行かなくても作曲なんて学べるんじゃないですか?結城さんが言ってたことと同じになるけど、相川さんの下について勉強すれば音大よりも実践的に学べると思いますし、法学学びながら音楽はできるけど音大行きながら法律の勉強はなかな出来ませんからね」

と佐藤は言ったあと

「…契約を結ぶって結城さんは本気なんでしょうけど、奏君はどう思いますかね。それにナゴミ君と綾子ちゃんは簡単には首を縦に振らないような気がするな」

と言った。

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