表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
144/356

札幌で感じたこと 5

「そんなに大変な世界なんですか?」

と奏が聞くと

「大変だと思うよ。特に今はまるくなったけど相川さんはかなり厳しい人だったみたいだし」

と和樹は言った。

「そうか?俺、厳しかったかな?」

と相川は奏太に聞くと

「はい、厳しかったです」

と奏太は即答でこたえた。

「そうかな?そんなに厳しいこと言ってなかったと思うけど」

と相川が言うと

「俺、Speranzaから話を聞く限りでは相川さんは鬼だと思ってました」

と和樹は笑った。

「鬼?俺が?」

と相川が驚いた顔をすると

「打ち上げとかで話を聞くと曲を作っても歌詞書いても毎回作り直しさせられて一回でOK出ることはまず無いって言うしライブも見に来たら怒られてばかりだって言うし…そう言えば、フェスとかで一緒になることがあの頃多くて、他のバンドと話をしたりと楽しくやってるのに相川さんが来てるってなると本番前も本番後も借りてきた猫みたいにみんなおとなしくなって…。やっぱり相川さんって人は鬼なんだなって思ってましたよ」

と和樹は笑った。

「Speranzaってそんな感じだったの?俺はボレロがインディーズの頃に対バンしたりしてたけど、そこまでひどく無かったよ。和なんてあの頃からワガママ言いたい放題。休み欲しいだ、早く打ち上げ行きたいだ、綾子に会いたいだって相川さんがいようといないといっつも言ってたし」

と直則が笑ってると奏は

「何か…すみませんでした」

と謝った。

「いやいや、謝ることじゃないんだよ。初めは何言ってるんだコイツって思ってたけど和はやるときにやる男だし、そうやって自分が言うことでダラダラしそうな後片付けとかもパッパと終わらせようとしてたわけだしね。…けど、綾子綾子っていっつも言ってたから、仲間内では綾子ってどんな女なんだってスゴい話題になってたよ」

と直則が笑うと

「それ、俺もあった。確か、意見が2つに分かれてたんだよね?俺は守ってあげたい系派だったね」

と和樹は笑った。

「守ってあげたい系派?」

と奏が聞くと

「そう。か弱い感じで俺が守ってあげなきゃって感じのいかにも女の子って子。和のまわりにはキレイな子が多かったから逆にそうゆう子に本気で惚れるのかなって思ってた」

と和樹は言った。

「俺は、ボンドガールみたいなセクシー派だったな。和樹の言うように和のまわりには女が常にいたけど、付き合ってる感じだと思ってもすぐに別れるし付き合ってるっぽい子がいても綾子綾子ってうるさいしさ。だから、ボンキュッボンのセクシーな女で男に困らない感じの女だから、和が他の女と遊んでも気にならないって言うか手のひらで泳がせてるような女だと思ってた」

と直則が言うと

「それがさ、びっくりだよね」

と和樹は笑った。

「Speranzaのギターだよって言われた時に、確かに名前は綾子だしキレイだけど…ってね」

と直則が言うと

「ジーンズ履いて機材運んでるわ、男と一緒に大声で笑ってるわ、酒豪だわ」

と和樹は笑った。

「ボンキュッボンじゃないし、手のひらで泳がせるイメージもないし…本当にこの綾子があの綾子なの?ってみんな思ったよな」

と直則が笑ってると

「期待を裏切るようなこの綾子でごめんね」

とドアのところで綾子が言った。

「あっ、綾子」

と直則と和樹がヤバいって顔をすると綾子と和は楽屋に入ってきてソファーに座ったが、和は必死に笑いを堪えていた。

「でも、この綾子が一番良いと思うよ。なぁ?」

と直則が言うと

「そうだよ。この綾子だから男だけじゃなくて女のファンもたくさんいるわけだし…って言うか、和笑うなよ。だいたいお前が原因だろ?」

と和樹は言った。

「俺?俺が何か言ったか?」

と和が言うと

「だって綾子は世界一だって言ってたからみんないろいろ想像するじゃん」

と和樹は言った。

「そうだよ。それに話はそこで終わりじゃなくて続きがあるから。そりゃ、か弱くないしボンキュッボンじゃないけど、男の中でも負けじと頑張ってるの見ると守ってあげたくなるし実際男にもモテてたしさ。俺たちの想像もあながち間違って無かったってことさ」

と直則が言うと

「そんな取って付けたみたいにフォローしなくてもいいよ。守ってあげたいなんて言われなかったしモテなかったし」

と綾子は言った。

「それはさ、環境が悪いよ。Speranzaのメンバーが常にがっちりガードしてるんだもん。綾子は無理ですよとか綾子にはスッゴい彼氏いますからって真顔で言ってまわりを牽制するからさ。スッゴい彼氏ってどんなだよ?ってそれまた話題になってさ」

と和樹が言うと

「そうそう、めちゃくちゃ怖い系の奴か金持ちじゃないか?って話題になって綾子に聞いたら、優しい人としか言わないしさ」

と直則は言った。

「私、そんな事言った?」

と綾子が聞くと

「言ってたよ。それでさ、具体的なところが出てきてないじゃん!スゲェ話を聞きたいのに優しい奴なんてそこら辺にいっぱいいるだろ?俺だって女には優しいよってみんなでブーブー言ってたら、出てきた彼氏が和だろ?スッゴい彼氏なんて騙されたって誰もが思ったよな」

と直則は笑った。

「それは勝手にそうゆう奴が彼氏だって思い込んでただけだろ?」

と和が言うと

「でもさ、スッゴい彼氏だって言われたら期待するだろ?本当、和と綾子には振り回されたよ」

と和樹は笑った。

その後もメンバーたちが楽しそうに昔話をしているのを見てSperanzaやボレロのメンバーが特別子どもっぽいのかと思っていたけど、fateのメンバーの様子を見てると自分が学校で友だちと話をしているのとあまり変わらない感じがするし大人になっても人間ってそれほど変わらないのかな?それとも普通の仕事じゃないと言うか特殊な仕事をしている人たちだからこうゆう感じなのかな?と奏が考えていると

「奏、これお前の分の昼飯。勝手に持ってきたけど食べれるか?」

と相川が奏の前に食事の乗ったトレイを置いた。

「あ…わざわざすみません」

と奏は言うと

「父さんたちは食べたんですか?」

と相川に聞いた。

すると和が側にきて

「綾子、奏と一緒にご飯食べたら?美味しそうだよ」

と言うと綾子側にきて

「本当だ。私ももらってこよう」

と言って楽屋を出て行った。

「…父さんは食べたの?」

と奏が聞くと

「俺?俺は一番先に食べたから大丈夫だよ」

と和は机に置いてある飴を1つ口に入れた。

綾子が戻ってきて、奏と綾子と相川が昼食を食べていると

「奏、相川さんから写メ送ってもらったけど函館楽しかった?」

と綾子が聞いた。

「うん。楽しかったよ。スゴい美味い寿司屋に連れてってくれて。それに、相川さん…」

と奏は言って相川をチラッと見て

「その写メ撮ってもらうように女子大生に声かけて来いって俺に言ってさ。写メ撮ってもらったら相川さん、その人たちに一緒にご飯食べようって誘って…」

と言ってると

「ブホォッ」

と相川はむせた。

「うわっ、相川さんそんな事させたんですか?」

と奏太が笑うと

「違うって。これには理由があって」

と相川は慌てて言った。

「どんな理由ですか?」

と和樹が言うと

「奏が彼女いないどころかナンパしたことも無いっていうからさ。何事も経験が必要だろ?」

と相川は言った。

「そんな事言って、本当は奏君をだしに使っただけじゃないんですか?」

と奏太が言うと

「そんな事無いって。奏だってノリノリだったし」

と相川が言ったので奏は驚いた顔をした。

「あー、絶対嘘だ。奏君、自分のせいにされて驚いてますよ。奏君、相川さんはどんな感じだった?」

と和樹が聞くと

「あっ…」

と奏は言葉に困って相川をチラッと見た。

その様子に気付いた和樹が

「相川さんのことは気にしなくていいから。本当の事いいなよ」

と言うと

「道産子ギャルと知り合いになれるチャンスだから声かけて来いって言って…。で、寿司屋に言ったら30代に見えるって言われてめちゃくちゃ機嫌良くして本当は50だよって言って」

と奏が言うと

「何でサバ読むのに上に読むんですか?」

と和は笑った。

「何となく?若いって言われたいじゃん」

と相川が言うと

「意味わかんないですよ。で、奏君続きは?」

と和樹が笑うと

「職業聞かれて公務員で霞が関勤務だって言ったらそんな刺青入ってる公務員いないって言われたのに東京では公務員でも刺青普通だよって嘘ついて」

と奏は言った。

「何それ?何で公務員なんですか?一番遠い仕事でしょ?」

と直則が聞くと

「ほら、公務員って安定してるし真面目そうだしウケが言いかな?って思ってさ」

と相川は言った。

「相川さんがそんなこと言う人だったなんて知りませんでした」

と綾子が少し引いた目で言うと

「聞いた話だと、相川さんキャバクラとか行くとスゴいらしいよ。超エロオヤジで飯行こうとか連絡先教えろとかしつこくて一緒にいる奴が恥ずかしくなるって。いくら奢りでも相川さんとは女の子いるところに行きたくないって思うらしいよ」

と奏太が笑ったので

「えっ?相川さん、東京じゃあんなこと出来ないって言ってたじゃないですか?」

と奏は言った。

「相川さん、うちの息子に変な影響与えないで下さいよ。本当困ります」

と和が言うと

「変な影響なんて与えてないよ。女の子と仲良くなる方法を教えてやってるだけだよ」

と相川は言った。

「生意気な口聞いて悪いですけど、それ本当に迷惑ですから」

と和が言うと

「本当ですよ。やめて下さいね」

と綾子も言った。

「分かったよ。…ったく、余計なことを言って。奏、明日からはコンビニ飯しか食わせないからな」

と相川が言うと

「そりゃひどいわ。奏君、せっかく北海道来たんだし俺が少し小遣いあげるから1人ででも美味いもん食いなよ」

と和樹は言った。

「あ…でも」

と奏は困った顔をしてるとメンバーが突然笑い出したので奏は驚いた顔をした。

「奏、全部冗談言ってるだけだから。コンビニ飯なんて食わせないしそんな真面目に心配しなくていいから」

と相川が言うと

「奏君、真面目なんだな。和の息子とは思えないよ。その真面目さは綾子似か?」

と和樹が笑い

「いやいや綾子じゃないだろ?多分、由岐じゃないか?」

と直則も笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ