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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
14/356

始まりの前

「綾子…顔見せて」

和は泣いてる綾子に言った。

「いや、恥ずかしい」

と言うと綾子に

「恥ずかしがってる綾子の顔が見たい」

と和は言った。

綾子が顔を上げて和を見ると

「すげぇ可愛い…」

と和は綾子にチュッと音をたてるような軽いキスをした。

「!」

と綾子が驚くと、もう一度和はキスをした。

何度も何度もまるで小鳥が餌を食べるような軽くて優しいキスをした和は

「綾子、愛してる」

と言って先ほどとは違いとても長く深いキスをした。

「なっちゃん!ベロチューなんてしないで!」

と綾子が驚くと

「何で?こっちの方が綾子を感じる事が出来るのに…」

と言ってまたキスをした。

ヌルヌルとした和の舌が綾子の口の中で動き回る。

綾子の口の中をなめ回し舌を絡める。

「私、キスの仕方わからなくて…。下手でごめん」

と綾子が言うと

「何でそんな可愛いこと言うの?」

と和は先ほどよりも激しくそしてなぜか優しく感じるようなキスをして

「これから俺が全部教えるから綾子はそんな事気にしなくていいんだよ」

と和は綾子にまたキスをした。


武道館の客席で巨大なステージが組み立てられてるのを由岐、カンジ、タケは眺めていた。

「ついにここまで来たな」

とカンジが言うと

「そうだな…」

と由岐が呟いた。

「そう言えばさ、和の雰囲気変わったよね。あれってやっぱり綾子ちゃんと…」

とタケが言うと

「みたいだよ。隣の部屋に俺がいるってのも忘れてるだか知らんけど、妹と和の声がさ…」

と由岐が嘆いた。

「あ、それ分かるかも。俺も姉ちゃんと妹いるけど、あの人らのそうゆうのって絶対に聞きたくないよね」

とカンジが言った。

「何が聞きたくないんだよ」

と和がやって来て言った。

「和!お前、何か唇腫れてない?」

とタケがわざとらしく言うと

「え?マジ?うわ、やべぇ。やり過ぎたかな?」

と和は慌てた。

「何々、何をやり過ぎたの?」

とタケがニヤニヤすると

「え…いやさ、由岐の前では…」

と和は気まずそうに言った。

「別に今さら。昨日、一晩中イチャついてる声聞かされたし」

と由岐が言うと

「マジ?聞くなよそんなの!」

と和は怒った。

「俺だってお前と綾子のなんて聞きたくないよ。隣の部屋に俺がいるって分かってやれよ」

と由岐はため息をついた。

「まぁまぁ。で、ずっと好きだった綾子ちゃんとの一夜は?向こうは初めてなんだし優しくしてやったんだろ?」

とタケが言うと

「いや、愛しい気持ちが爆発して…何度も何度も朝になるまで…」

と和は言った。

「マジ?お前、大人なんだから手加減してやれよ。女は初めて初めて痛いって言うしさ」

とタケが言うと

「え?俺キスしかしてないよ」

と和は言った。

「え?」

とタケだけで無くて由岐も驚くと

「そんな、やっと綾子に好きだって言われて付き合えるようになったのに、そんな初めからヤったりしたら引かれるだろ?」

と和は言った。

「マジ?」

とタケが言うと

「俺は綾子にそうゆうこと無理やりしたくないの。じっくりゆっくりでいいんだよ」

と和は言った。

「お前、カッコいい事言ってるけど付き合い始めた日に朝までずっとキスしてるとか…やってることゆっくりじゃないじゃん!」

とタケが笑うと

「じっくりゆっくりって事は綾子が30ぐらいになるまでヤんないだな。兄として安心したよ」

と由岐は和の肩を叩いた。

「ちょ…それは無理だよ。兄さん!」

と和がふざけると

「何が兄さんだよ。ふざけんな」

と由岐は和の頭を叩いた。

「何、じゃれあってんだよ」

と相川が和たちの側に来た。

「あ、相川さん」

と和が言うと

「ついにここまで来たな。お前たちここの会場を満席してライブしたいって言ってたもんな」

と相川は感慨深けに言った。

「はい。やっと夢が叶いました」

と由岐が言うと

「夢か…」

と相川は嬉しそうな顔をした。

「相川さん。良いことあったんですか?」

と由岐が尋ねると

「まぁね。俺も新しい夢が出来たから」

と相川は笑ったあと

「そう言えば、和はその後綾子ちゃんとどうなったの?」

と和に聞いた。

「え?あ…」

と恥ずかしそうにしてる和の横に座ってるタケが

「やっと付き合い始めたみたいですよ」

と言った。

「マジ?そりゃ良かったな。お前、長い間片思いしてたもんな…。でも、調子に乗って綾子ちゃん壊すような事はしないでくれよ」

と相川は嬉しそうに言ってから

「良い恋愛すると表現力も伸びるし良い歌が作れるからな。これからますます楽しみだな」

と言って鼻歌を歌った。

「その曲?相川さんが作ったんですか?」

と由岐が言うと

「いや、俺が今スゴい気に入ってる子達が作った曲。ボレロ以来、久々に身震いするような子達に会ったよ」

と相川は言って

「ライブ音源だから音は悪いけど、ちょっと感想聞かせてよ」

と言った。


相川はPA席に行くとalienの音源が入ったメモリースティックをスタッフに渡した。

渡した音源が始まると

「すげぇ歓声だな」

とカンジが言ったが、その後alienの演奏が始まると、4人とも何も言わずその音に耳を傾けていた。

一曲目が終わる頃、相川が

「どう?」

と4人に聞いた。

「これって素人なんですか?」

と聞くタケに

「そうだよ。まだ18のガキどもだよ」

と相川は言った。

「すげぇな…。特にギター。ヤバイよ」

とカンジが言うと

「曲は相川さんが作ったんですか?」

と由岐が聞いた。

「俺じゃないよ。ギターの子が全部作ってるらしい」

と相川が言うと

「18の素人でこれだけの曲作るって、どんだけ天才なんだよ…」

と由岐は身震いをした。

「和は?どう思う?」

と何も言わず目を閉じてる和に相川は聞いた。

「18の俺にはこんな曲作れなかった。心底悔しい」

と和が呟くと

「そうゆうと思ったよ」

と相川は笑った。


会場を出て車で移動しているボレロのメンバーは、相川の持ってきたalienの曲の話をしていた。

「18の素人であれだけの曲を作って演奏するってスゴいよな」

とタケが言うと

「ギターは別格だけどボーカルの声もいいしドラムも安定してる。強いて言えばベースがちょっとって感じだけど、これから伸びるでしょ?」

とカンジが言った。

「明日、ライブ後に楽屋に挨拶に連れてくるって言ってたけどさ。どんな奴なんだろうね。楽しみ」

とタケが言うと

「俺は会いたくないなぁ。あんなスゴい曲作る才能があるなんて考えただけで怖いよ」

と和が言ったあと

「ねぇ、村上さん。何で今日はホテルに泊まらなきゃいけないの?家に帰りたいよ」

と和が言うと

「ダメだ。今日は近くのホテルでゆっくり寝て明日に備えろ」

と村上は笑った。


ホテルに入った和は綾子に電話をかけようか、それともlineだけしようか迷っていた。

明日の準備で遅くなったし、もう綾子は寝てるかもしれない。

けど、声だけでも聞きたい。

「どうしよう…」

と和が迷っているとスマホが鳴ったので和は慌てて出た。

「もしもし…」

『もしもし、なっちゃん?』

スマホの向こうから綾子の声が聞こえた。

『お兄ちゃんからホテルに着いたってline来たら、なっちゃんに電話してみたんだけど…もう寝るの?』

と綾子は聞いた。

「いや、まだ寝ないよ。綾子は寝ないの?」

『もう少ししたら寝ようと思ってたけど、なっちゃんの声聞きたくて』

「…」

和はその場でキュン死してしまうのではないかと思うくらい嬉しかった。

『なっちゃん?』

「あ、俺も綾子の声聞きたかった」

『本当に?』

「…嘘」

『え?』

「声だけじゃ足りない。綾子に会いたい。会って膝枕してもらって…キスしたい」

と和は言った。

『…』

綾子が黙ってると

「あー、明日の事を考えると緊張するなぁ」

と和は言った。

『ついに武道館だね』

と綾子が言うと

「うん。武道館いっぱいに俺たちの演奏を聴きにくる人がいるって考えると夢みたいだよ」

と和は嬉しそうに言った。


次の日、綾子は渉たちと駅で待ち合わせして武道館に向かった。

「スゴい人だね…」

と綾子が言うと

「本当。みんなボレロ観に来たんだよな」

と誠が言った。

「俺、ボレロの武道館ライブ観れるなんて夢みたいだよ」

と渉が言うと

「そうだよな。1分で完売したんだろ?そんなライブ観れるなんてあの人に感謝だな」

と隼人は言った。

「…ところでさ、あの人の話…考えた?」

と渉が綾子たちに聞くと

「俺は…誠とも何度か話したんだけど、やってみたいって思った」

と隼人は言った。

「そっか、俺もこんなチャンス二度とないと思うしやりたい」

と渉も言った。

何も言わない綾子を見て

「綾子ちゃんは?」

と誠は聞いた。

「私は…まだ考えてる途中。やりたい気持ちもあるけど、でもやっていける自信無いし、親に余計な心配かけたくないし…」

と綾子は言った。

「そんなさ、難しく考える必要ないんじゃない?要はやってみたいか?やってみたくないか?じゃダメなの?成功する自信なんて俺たち誰も無いと思うよ」

と誠が言うと

「そうだよ。そりゃ俺だって親に反対されると思うよ。でも、反対されたらいつか認めてもらえるように頑張ろうって思えばいいんじゃない?あの人だって大学と両立して良いって言ってるんだし」

と渉が言った。

「…」

綾子が黙って考えてると

「まぁ、綾子ちゃんには綾子ちゃんの事情があるかもしれないから無理は言えないけど、前にも言ったけど俺は綾子ちゃんと一緒にやりたい」

と誠は言った。

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