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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
131/356

Ikoka公演で

和と綾子は埼玉にあるアリーナでIkokaのメンバーとリハーサルをしていた。

「和、この曲はもっとセクシーに歌った方が良いよ?」

とクリスが言ったので

「セクシーに?」

と和が聞き返すと

「そう。君の魅力を出すにはもっとセクシーにした方が良いよ」

とクリスは笑顔で言った。

一方、綾子は

「綾子、遠慮は要らないよ。このギターセッションは日米対決だよ。僕を飲み込む勢いで来ないと僕としても張り合いが無いし、僕は震え上がってしまうような綾子のギターを楽しみにしていたんだからね」

とジョージに言われて

「Ok、もう一度やっても良い?」

と綾子が真剣な目をして言うと

「そうそう、そのゾクゾクするような瞳でやらないと。リハーサルだからって手を抜いたらダメだよ」

とジョージは言った。


開演時間になると、アリーナには次々と観客が入ってきて開演10分前にもなると、アリーナはライブを待ちきれないファンの熱気で熱くなってきていた。

スタンド席に設けられた関係者席に着いた飯田は、既に来ていた由岐と相川を見つけて

「お久しぶりです」

と頭を下げた。

「久しぶり」

と由岐が言うと

「今日はチケットありがとうございました」

と飯田は嬉しそうに頭を下げて隣の席に座った。

「いや、クリスがチケットくれたからさ。そう言えばファンだって言ってたなと思って」

と由岐が言うと

「えっ!クリスから?早坂さん、知り合いなんですか?」

と飯田が驚いた顔をすると

「俺って言うよりも和と綾子が親交があってさ。Ikokaが来日したり、こっちがニューヨークとかに行った時に会ったりとか…和は連絡取り合ったりもしてるみたいだし仲良いみたいだよ」

と由岐は言った。

「スゴいな…」

と飯田が驚いた顔をしていたが、由岐と相川の間に座って相川と話をしている奏を見て

「あの…彼は後輩ですか?」

と由岐に聞いた。

「彼?ああ、こいつね」

と由岐が言うと

「はい。若いけどかなりのイケメンですね。モデルとかでもいけそうですけど、やっぱり音楽やってるんですか?」

と飯田は聞いた。

「音楽?…まぁ、高校の友達とはやってるみたいだけど趣味程度で芸能界には興味無いんじゃないかな?」

と由岐が言うと

「こんなイケメンもったいないな…。じゃ、どうゆう知り合いなんですか?」

と飯田は聞いた。

「どうゆうって…。本人はおおっぴらに言いたくないみたいだけど、俺の甥っ子だよ」

と由岐は言った。

「甥っ子…」

と飯田が意味がわからないと言う顔をしていると

「奏、ちょっと」

と由岐は隣に座ってる奏に声をかけた。

「何?由岐ちゃん?」

と奏が言ったのを見て飯田が

「由岐ちゃん?」

とまたしても驚いた顔をしていると

「こちら、俳優の飯田直樹さん。ほら、エンドレスに出演してる」

と由岐は言った。

「あっ…はじめまして、若狭奏です。いつも叔父がお世話になってます。それから母も…」

と奏が頭を下げると

「飯田直樹です。こちらこそ早坂さんには大変お世話になってます」

と飯田も言ったが、母もって誰の事だ?と一瞬考えていると

「そう言えば、直樹が綾子にlineすると和が焼きもちやいてふて腐れてさ。和が直樹に会ったら綾子にlineするの止めろって言ってくれって頼まれたんだよ」

と由岐は言った。

「えっ!和さんが焼きもちですか?俺、そんなつもりは…綾子さんは姉さんみたいな感じで慕ってるだけで。和さんに誤解されてるなんて困ったな」

と飯田が言うと

「和の焼きもちは普通じゃないからな。…奏、昨日も和がふて腐れてたんだろ?」

と由岐は言った。

「うん。…飯田さんには申し訳ないけど、うちの親父は本当に普通じゃないから。母さんがなだめて何とか機嫌治ったけど」

と奏が言うと

「親父?…君は和さんの息子なの?」

と飯田は言ったが奏は少し嫌な顔をした。

「直樹、こいつさ、二人の子どもだって言われるの本当に嫌がるんだよ。昔から嫌な思いをしてきたからさ」

と由岐が言うと

「どうして?あんなスゴい二人なのに」

と飯田は言った。

「そりゃスゴい二人だけど、それとこいつは関係ないからね。奏は一般人だから、普通に暮らしたいんだよ」

と由岐が言うと

「…確かにそうかも知れませんね。親の職業と子どもは関係無いですからね…そんな事にも気付かないでごめんね。…って言うよりも俺はこんな大きな子がいるって事に驚いたんですけど。君、いくつなの?」

と飯田は言った。

「僕は16歳です。…それから、別に悪気があるって訳じゃないとわかりますから謝ってもらわなくても結構ですよ」

と奏が言うと

「ずいぶんとしっかりした16歳ですね。それにかなりのイケメンだし…モテるでしょ?彼女とかいるの?」

と飯田は言った。

「いえ、彼女はいませんしモテもしませんよ」

と奏が言うと

「そんなら事無いだろ?お前さ、その身長にその顔だよ。街歩いてたらスカウトだってされるだろ?」

と相川は笑った。

「そうなのか?…奏、芸能界は甘い世界じゃ無いから軽い気持ちで入ったらダメだぞ」

と由岐が言うと

「綾子さんと一緒の時も思ったんですけど早坂さんって身内の事になると人が変わりますよね?スゴい心配性だし」

と飯田は笑った。

「そうか?…そうかもな。特に奏は目の中に入れても痛くないほど可愛いからな」

と由岐が奏の頭を撫でると

「由岐ちゃんやめてよ。本当、父さんより父親みたいだし親バカだよね」

と奏は言った。

「和は嫁バカだから。俺が代わりに親バカになってやってるんだよ」

と由岐が言うと

「じゃ、俺は孫バカだな。奏の言うことなら何でも聞いてしまいそうになるもんな」

と相川は笑っていると、アリーナの照明が落ちるとの同時に大歓声が上がりステージが照らされた。


大ファンのIkokaのステージを飯田は我を忘れて観ていた。

やっぱり迫力が違う、存在感が違う、曲が最高に格好いい。

飯田が夢中になって観ているとステージが真っ暗になった。

少しの間を置いてギターソロが聴こえてきた。

「いよいよか…」

と由岐が言ったので

「何がですか?」

と飯田が由岐の方を見てるとステージの左側にスポットライトが照されてジョージがギターを弾いていた。

ジョージの演奏に観客が歓声を上げていると、ジョージの演奏が終わると同時にスポットライトがまた1つ照されて綾子のギターソロが始まった。

「えっ!」

と観客の誰もが驚いていると、二人は交互にギターを弾きその演奏は徐々に激しくなり、まるでギター対決でもしているかのようにお互いを挑発するような演奏になってきた。

挑発的に笑いながら演奏する二人の姿がスクリーンに流れているなか、お互いの演奏が終わる度に観客からは二人を煽るような大歓声が起きた。

しばらく二人のギター対決が続いていたが、段々とお互いに演奏をするのを我慢できなくなってきたかのように二人のギターが重なり、最後にはシンバルの音を合図にステージの照明が一気に明るくなりIkokaの中でも昔から代表曲と言われているevening partyの演奏が始まったのと同時にステージ中央にはクリスと並んで立ってるナゴミの姿があったので、観客からはまた驚きの大歓声が上がった。

クリスの艶かしい歌声に負けないナゴミの歌声とセクシーな吐息に観客が歓声を上げるなか、演奏が終わるとクリスは流暢な日本語でMCを始めた。

「今夜は僕たちの長年の友、fateのナゴミと綾子が遊びに来てくれたんだ。特にナゴミには日本語を教えてもらってた時もあるんだよ。ナゴミはとてもセクシーで歌もとても上手い、綾子はとてもキュートなのにギターは最高にクール。僕たちは彼らと一緒にやりたいとずっと思っていてやっと実現したから今日は本当にハッピーだよ。今度は二人がアメリカに来たときに一緒にやりたいね」

とクリスが笑うとナゴミと綾子も笑ったので、観客からは一際大きな歓声が上がった。

その後、2曲セッションしたあと和と綾子はステージを降りた。

その後もIkokaのライブは続いたがあっという間に時間は過ぎてアンコールも終わりアリーナの照明が全て着くとライブは終演した。

ライブの興奮冷め止まぬ飯田の隣で

「Ikoka、やっぱりスゴいな」

と由岐が言うと

「そうだな。でも、和と綾子もかなり良かったぞ。スゴい楽しそうだったし」

と相川は言った。

「確かに。綾子はジョージに飲まれるんじゃないかって思ってたけど心配無かったですね。観客の反応も良かったし。奏はどうだった?」

と由岐が言うと

「俺は…父さんの歌声がエロくて。ちょっと恥ずかしかった」

と奏は言った。

「ハハッ、そうか恥ずかしかったか」

と由岐が言うと

「俺は恥ずかしくてあんな風に歌えないよ」

と奏は言った。

「和は自分の魅せ方も歌の表現力も上手いからね。恥ずかしいなんて言ってたら仕事にならないし、曲の世界に入り込めば恥ずかしいなんて思わないんだよ」

と相川が言うと

「そうですね。でも、和には恥ずかしい事なんてほとんど無いですけどね」

と由岐は笑った。

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