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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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叶わぬ想い 2

相川は俊太郎と飯田に和と綾子が結婚する前に起きた出来事を話してるのを二人は黙って聞いた。

俊太郎は初めて聞かされた二人の話に

「そんな事があったなんて…」

と困惑の表情を浮かべた。

「ナゴミさんと綾子さんもツラかったと思いますけど、俺からしたら誠さんが一番ツラかったんじゃないかと思うんですけど」

と飯田が言うと

「確かに、誠は二人が別れた原因も綾子の妊娠も知っていながら側にいて、綾子が泣いてるのも見てたしどんどん痩せていくのも見てたツラかったと思うよ。綾子が好きだって気持ちが溢れただけじゃなくて、どんどん変わってく綾子を見てるのがツラくて本当に綾子を支えてやりたいと思ったから結婚しようって言ったと思うしね」

と相川は言った。

「…」

飯田が黙って何かを考えてると

「和にあんな事を言ったのも綾子の為だしね。誠と綾子が出会った頃に綾子がどうして好きでもない人と寝る事が出来るのか?って誠に聞いた事があったみたいで、その時の綾子の悲しそうな顔がずっと心に引っ掛かっていたみたいでさ。綾子はさ、本当に弱音を吐かない子だったんだよ。グッと堪えて笑ってる子で…。本当は言いたい事もたくさんあるけど言わないって言うか自分が我慢すればいいんだって考えてる子でさ。だから、誠は口に出さない事の方が重要だって事に気付いて言葉に出来ない気持ちを汲み取ってやれよって和に言ったんだ。そうゆうのに気付いてやれないなら結婚なんてしないで綾子を手離せって」

と相川は言った。

「綾子さんのために言ったんですよね」

と飯田が言うと

「 そうだね。和も誠に言われて気付いた事がたくさんあって綾子に甘えてた自分を反省して、それまで以上に綾子を支えていく決心をしたみたいだし、綾子のちょっとした変化にも気付くようになったよ。今でもあの二人が円満なのは誠のおかげかもしれないな」

と相川は言ったあと

「で、それから和と誠はお互いに憎まれ口を叩き合うような関係になったって話」

と笑った。

「誠さんは幸せなんですかね」

と飯田が聞くと

「幸せだと思うよ。…と言うか誠も今の立場に満足してるって言ってるしね」

と相川は言った。

「そうゆう愛の形もあるんですね」

と飯田が呟くと

「ん?そうだね。付き合うとか抱き合うとかそうゆう事は出来なくても、同じ時間を共有して一緒に笑って泣いて相手の幸せを自分の幸せと同じように喜ぶ…。そうゆう愛しかたもあるんだよ」

と相川は言ったあと

「だからさ、誠は可哀想なんかじゃないんだよ」

と笑った。

「でも、誠もよく和さんに綾子を泣かせるななんて言えましたね。アイツだって綾子と出会う前はかなり女癖悪くて取っ替え引っ替えだったのに」

と俊太郎が言うと

「えっ?誠さんが?」

と飯田は信じられないと言う顔をした。

「まぁ、高校生の頃の話だけど次々と違う女連れて歩いて…」

と俊太郎が言うと

「らいしな。そうゆうのは和と似てるよな。和の場合は由岐が綾子と付き合うのを許さなかったから、性欲処理って言うか寂しさを埋める為って言うか…あとは綾子の気を引くためにってバカな発想持ってたからな」

と相川は言った。

「綾子さんの気を引くために他の女と遊んだ?」

と飯田が意味が分からないと言う顔をすると

「和はさ、綾子に他の女と遊ばないで自分だけを見てって言って欲しかったんだよ。綾子が自分の事を好きだって言えば由岐だって二人が付き合うのを許すだろうって思ってさ。けどさ、俊太郎なら分かるだろうけど綾子は恋愛に本当に疎いやつだからさ…。和が自分の事を好きだってこれっぽっちも思って無かったんだよ」

と相川は笑った。

「綾子は和さんしか見えてないから気付かないと思ってたけど、違ったんですか?」

と俊太郎が驚いた顔をすると

「違う違う。和なんて綾子に会いたいからって最終の新幹線で一人だけ地方から帰ってきたり、仕事の合間にもまめに連絡したり、あのネックレスだってライブが成功するお守りなんて言って渡したみたいだけど普通は自分のデザインしたネックレスを何とも思ってない女とペアで持ったりしないだろ?それから和はその頃から綾子に膝枕してもらってたみたいだし…和は綾子は特別だって他の女とは違うって言うのも言ってきたし綾子がいれば他は何もいらないとまで言ってたんだよ。でも、綾子は全然気付かないで」

と相川はため息をついた。

「何か綾子が恋愛に疎いって言うのが納得出来た気がします。普通なら気付きますよね?」

と俊太郎が言うと

「だよな。だいたいさ、俺もボレロのメンバーもとっくに二人が付き合ってると思ってたし、由岐が20まで付き合ったらダメだって言うから付き合ってないって言ったら由岐が驚いてさ」

と相川は笑ったあと

「和は真面目な奴だから由岐との約束を律儀に守ってて。で、2年前倒しで綾子が18の時に綾子に交際を申し込んで付き合い始めたって訳さ」

とグラスに入ってるアルコールをグイッと飲んだ。

「何か…綾子さんもナゴミさんもイメージと全然違うって言うか…。ナゴミさんが綾子さんにベタ惚れって言うのも早坂さんとの約束を律儀に守ってたって言うのも意外だし、綾子さんが恋愛に疎いって言うのも…。どう考えても自分でモテる方だって分かるでしょ?」

と飯田が言うと

「綾子はさ、由岐と和に囲まれて育ったんだよ。あんなイケメンで頭良くて音楽も出来てって完璧人間が2人も側にいたら、自分は二人に比べて劣ってるって思うのが普通だよ。実際、自分に音楽の才能あると思って無かったみたいだし…」

と相川は笑った。

「高校の時にあれだけモテて劣ってると思うのかな?」

と俊太郎が言うと

「そんなにモテてた?」

と相川は聞いた。

「そりゃもう、綾子に玉砕した奴は数えきれないほどですよ。噂では100人は越えてるって…。それにあれだけalienが人気あったのに才能あると思わないなんて…。本当に不思議な奴らだよ」

と俊太郎が笑うと

「さっき、俊太郎さんと話をしてたときも思ったんですけど、alienてそんなにスゴかったんですか?」

と飯田は聞いた。

「スゴかったよ。俺は誠に誘われて見た行ったんだけど、あいつらの演奏が始まった瞬間持ってたグラスを落としそうになったからね。名前の通り化け物だって思ったし絶対に欲しいと思ったよ」

と相川が言うと

「化け物ですか?」

と飯田は言った。

「そ、化け物。あと、あいつらのライブの動画がアップされてたんだけど再生回数が半年ちょっとで16万回越えるほどだったしね。事務所と契約を結ぶ頃には他の事務所も躍起になってあいつらを探しててね。ジェネシスに先を越されたって悔しがってたよ」

と相川は自慢気に言うと

「自分で言うのもなんだけど、俺は運が良い男だよ。ボレロとSperanzaを誰よりも早く見つけられたんだからさ」

と笑った。

「それは綾子たちも同じじゃないですか?前に綾子と話した時に言ってましたけど、綾子はジェネシスじゃなければ契約しなかったって言ってましたよ。きっと相川さんが見つけなければ、綾子はプロにはなって無かったって」

と俊太郎が言うと

「嬉しい事を言ってくれるな…。でも俺は本当なら綾子には普通の幸せがあったのに悪いことをしたなって気持ちもあるんだよ」

と相川は言った。

「普通の幸せ?」

と俊太郎が言うと

「例えばだけど…和も綾子も子どもはたくさん欲しかったからもっと子どもを産んだり、子どもが具合悪い時には側で看病したり…。そうゆう事を綾子は出来ないからさ。昔、子どもがインフルエンザになった時、感染すると仕事に支障をきたすから綾子はホテルに寝泊まりしてたんだ。平気そうな顔して仕事してたけど陰で泣いてたよ。きっと、子どもがツラい時に側にいてあげれないことを悔やんでたんだろうな。それに仕事で何日も家を空ける事もしょっちゅうだし、綾子は自分の事を母親失格だって言ってたよ」

と相川は言った。

「母親失格なんて…綾子はどんなに遅く帰っても必ず朝はメシも弁当作って奏の事を送り出したりしてるって和さんが言ってましたよ。それってスゴい事じゃないんですか?」

と俊太郎が言うと

「そうなんだけど、綾子は和と奏のために家庭の事をもっとしっかりやりたいって常に思ってるからね。けど、自分の意思とは反対にどうしても仕事優先の生活になっちゃうし、辞めたいって簡単に言える立場じゃないのも理解してるから本当に可哀想な事をしてるって思うよ」

と相川は言ったあと

「でも、綾子にそれを言って本当に辞めたいって言われたら困るから言わないけどね」

と笑った。





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