表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
114/356

二人の評判

次の週、飯田がfateのミニライブにゲスト出演するためにテレビ局に入ると片岡が挨拶にきた。

「直樹くん、おはようございます」

声と表情から片岡が浮かれてるのに気付いた飯田は

「おはよう。どうしたの?いいことあった?」

と聞いた。

「えっ?別に何も無いけど」

と片岡が言うと

「そう?何か嬉しいことでもあったのかと思った」

と飯田は笑った。

「嬉しいことですか?それなら今日のfateのライブが嬉しいことですよ!」

と片岡は笑顔で言ったあと

「早めに来てこそっとリハーサル見たけど真剣にリハーサルしてる姿がまた格好良くて…。fateのライブを最前列で見れるなんて夢見たいですよ」

と言った。

「…本当にスゴい好きなんだね。ナゴミさんと綾子さんってそんなにスゴいの?」

と飯田が聞くと

「スゴいどころじゃ無いですよ!ナゴミさんは普段にも増して色っぽくて格好いいけど私は綾子さんの方が好きですね。綾子さん、普段でも綺麗だけだけどステージに上がるとまるで別人みたいで…。綾子さんの本当の魅力はライブ見ないと分からないんですよ!」

と片岡は興奮ぎみに言った。

「そんなに好きなんだ」

と飯田が言うと

「はい、大好きです。もちろんナゴミさんも好きですし、二人の長年の夢が叶ってこうやって一緒にステージに立つなんてファンとしても嬉しいんです」

と片岡は言った。

「長年の夢?」

と飯田が聞くと

「二人ともお互いの才能を認めあっていてナゴミさんは綾子さんがデビューした時からいつか綾子さんの作った曲を歌いたいって思ってきて、綾子さんはナゴミさんの歌唱力に見合う曲を作れるようになりたいってずっと思ってきて…。けど夫婦が一緒に組むことでファンが離れて行ってボレロやSperanzaの活動に影響を与えたら困るって…。だから、去年まで絶対に一緒の仕事は受けなかったし今もだけど表立って二人が夫婦だってことは言わないんですよ。ファンは全然気にしてないし逆に理想の夫婦だって言ってるのに…」

と片岡が話してると

「ナゴミさんと綾子さんって夫婦なの?」

と飯田は驚いた顔をした。

「そうですよ。幼なじみの初恋同士で…結婚してからも本当に仲が良くて才能を認めあってて…。まるでマンガの世界みたいな理想的な夫婦ですよ」

と片岡が言うと

「へぇ…。でもさ、結構そうゆうのって表向きだけで本当は仮面夫婦だったとかって話しあるじゃない?」

と飯田は言った。

「あの二人はそんな事ありません!冗談でも言わないで下さい!」

と片岡がムッとして言ってると

「ごめんごめん。冗談が過ぎたね。ほらあの二人って人を引き付ける魅力があるでしょ?そんなスーパーマンみたいな二人が夫婦で仲が良いって聞いたら独り身の俺としては羨ましくて…」

と飯田が言ってるとドアをノックする音が聞こえた。

飯田のマネージャーがドアを開けると和と綾子と結城が立っていた。

「リハーサルが終わって戻ったら飯田さんが楽屋入りしてると聞いたのでご挨拶に…」

と結城が言うと

「いやぁ…。こちらから挨拶に向かわなきゃらないところをわざわざお越し頂いて…。さ、どうぞどうぞ」

と片岡のマネージャーが楽屋に招き入れると

「本日はよろしくお願いします」

と綾子が頭を下げた。

「飯田さんにも楽しんでもらえるようなライブにしたいと思うのでよろしくお願いします」

と和も頭を下げると

「そんな!こちらこそ、挨拶にうかがわずすみませんでした」

と飯田は言った。

「そんな事はありませんよ。仕事とはいえ飯田さんも片岡さんもライブを観てくれるお客さまですから。私たちの仕事は観客の皆さんを楽しませることですからね」

と結城が言うと

「綾子さん、さっきリハーサル見に行ったときにAngle featherをやってたけど今日演奏するの?」

と片岡は聞いた。

「うん。ディレクターさんがあの曲が好きらしくて演奏して欲しいって頼まれてね」

と綾子が言うと

「1週間前に突然言われたから急いでサポートメンバーにも連絡して…。とりあえず聴かせれるレベルまでにはなんとかなったって感じだけどね」

と和が苦笑いしながら言った。

和たちが話をしている様子を見ている飯田は、確かにナゴミは俳優やモデルをやっても良いんじゃないかってぐらい格好いいし自分に自信があるから態度も堂々としている…。綾子はメイクをしてなくても確かに綺麗な顔立ちしてるけど、華奢な身体をしてるし表情だって柔らかい。ハードロックやオルタナやってるイメージもそんな曲を作るイメージも、そして何よりギター弾くイメージが無い…。

それにおしどり夫婦って言うけど、おしどりと言うよりも日本の昔ながらの夫婦って感じだろう。亭主関白で妻が何も言わず三歩下がって後ろを付いていく…それがおしどり夫婦って事か?など飯田がいろいろ考えていると

「飯田さん?」

と和に声をかけられて我に返った。

「えっ?はいっ」

と飯田が言うと

「準備がありますんで俺たちそろそろ戻りますね」

と和は言った。

「はいっ。ライブ楽しみにしてます」

と飯田が言うと

「こちらこそ、楽しませてもらいます」

と和が笑う横で綾子が優しく微笑んで軽く頭を下げ

ると、飯田は一瞬ドキッとした。


和たちと片岡が居なくなりマネージャーとヘアメイクのスタッフと楽屋にいる飯田が

「ドキッってなんだよ…」

と呟いたのでマネージャーは

「ん?何?」

と聞いた。

「いや、独り言。…あのさ、綾子ってどこに魅力あんの?」

と飯田が聞くと

「綾子?」

とマネージャーは聞き返した。

「ほら、ひろみちゃんも西岡さんも綾子の事をべた褒めするじゃん?確かに綺麗な顔してるし華奢だし守ってあげたくなるような感じに見えるけど…。そこが良いの?」

と飯田が聞くと

「僕は綾子の作る曲も好きだし何よりもライブで見る綾子が大好きだね。あとは、ライブとライブ以外でのギャップかな?普段は優しくて暖かい雰囲気を持ってるけど仕事になると芯が強くて妥協を許さない真面目さもある人らしくてさ。それはナゴミも同じらしいけど」

とマネージャーは言った。

「そうなの?ナゴミは自信家で俺が一番って感じに見えるけど…」

と飯田が言うと

「それは飯田さんがまだナゴミさんの事をよく知らないからですよ」

とスタッフは言った。

「じゃ、丹野さんは知ってるの?」

と飯田が聞くと

「昔、SperanzaのヘアメイクのアシスタントしてたときにSperanzaの楽屋に和さんが来たことが何度もあるんで」

とスタッフが言うと

「Speranza?」

と飯田が聞き返すと

「綾子さんが所属してるバンドですよ。4人組のバンドで和さんが所属しているボレロと同じぐらい海外でも人気あって…確か1月まで綾子さんはSperanzaのワールドツアーで海外と日本を行ったり来たりしてたはずですよ」

とスタッフは言った。

「へぇ…。ヨーロッパの方ではクールジャパンって言葉をよく聞くけどその波は音楽にも来てるんですね」

と飯田が言うと

「いえいえ、僕がアシスタントやっていた10年前には既に海外でライブやってましたからね。あの頃は、Speranzaのおかげであちこちに連れてってもらいましたよ」

とスタッフは懐かしそうに言った。

「そうなんだ…。ナゴミは大物ってオーラをかもしだしているけど、綾子は癒し系女子って感じだから、そんな大物だなんて想像出来ないですね」

と飯田が言うと

「普段の綾子さんはその通りだし恥ずかしがりやな女性なんだけどステージに立つと別人ですからね。そのギャップに業界人も惚れ込むんですよ」

とスタッフは笑った。

「へぇ…。綾子って興味深いですね」

と飯田が呟くと

「飯田さん!綾子さんはダメですよ。本当、ヤバいですから」

とスタッフは慌てて言った。

「えっ?何が?」

と飯田が聞くと

「飯田さんは海外生活が長くて恋愛にオープンなのは知ってるけど綾子さんだけは冗談でもやめてた方がいいですよ。…って言うか冗談で近付いていい人じゃないですから」

とスタッフは言った。

「何言ってるんですか。俺は癒し系よりも知的で芯の強い女が好きですから」

と飯田が笑うと

「そうゆう人が綾子にはまるんだって…」

とスタッフは呟いた。


飯田はなぜこんなにもfate…綾子の事が気になるのか考えていた。

さっき優しく微笑まれて一瞬ドキッとしたけど…って何でドキッとしたんだ?あんなの愛想笑いだって分かってるし微笑まれてドキッとするなんて小中学生でもあるまいし…。多分、まわりの人間が綾子をバカみたいに褒めるから洗脳されかけているんだ。

最近映画のPRで忙しいし冷静さを失ってるだけだと飯田は自分に言い聞かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ