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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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記者会見

「あの二人…特に綾子は苦しいとか追い込まれたりとか境地に立った時にとんでもない曲を作るからな。ほら、清雅の曲を作った時もそうだったろ?」

と相川が言うと

「確かに…」

と清雅は言った。

「エンドレスの曲…heavenだってそうだろ?綾子が悩みまくって和とも揉めて限界にきてから作り上げた曲だ。もちろん、綾子だけの能力じゃあの曲は作れないし和の感性が加わって仕上がった曲だけど。…でも、俺が今日一番良かったのはアンコールの一曲目だな」

と相川は言った。

「あの曲ですか?」

と誠が言うと

「俺はあの曲を生で聴ける日が来るなんて思ってなかったからいろんなことを思い出して本当に泣けたよ」

と相川は言った。

「あの曲って、感謝の気持ちって言ってましたけど…」

と誠が聞くと

「あの曲は17年前に綾子が和をイメージして作った…そして和を救った曲だよ」

と相川が言ったので誠たちは17年前…と少し考えてから、あの頃の出来事を思いだしハッとした顔をした。

「そうか…。あの曲があのとき作った曲だったんだ」

とタケが言うと

「確かに、こんな曲だったかもしれない」

と由岐は当時を思い出して涙を浮かべた。

「和さんのイメージそのままの可愛い曲でしたね…」

と渉も泣きそうになってると、他のメンバーも当時を思い出して切ない気持ちになり泣きそうになった。

「『愛の形』と対になってる曲があの曲だったのか…」

と清雅が言うと

「対称的な曲だし、ミュージシャンのナゴミのイメージじゃないよな」

と相川が目頭を拭って笑った。


「本日は長い時間お付き合い頂きありがとうございます。これから、fateの新曲発表会見を始めたいと思います」

と言うとステージ上の司会者の挨拶で記者会見が始まった。

「それではfateのお二人に登場して頂きます」

と司会者が言うと舞台袖からライブとはまた違って黒を基調とした衣装で現れた二人はたくさんのフラッシュの光を浴びながら、センターに準備された椅子の前に立った。

スタッフにマイクを渡された二人はお互いの顔を見合わせてから

「本日は長い時間お付き合い頂きありがとうございます。また、皆様にはご挨拶が遅れましたこと大変申し訳ありませんでした」

と和が言うと二人は深々と頭を下げた。

二人が頭を上げると

「えー、では二人には着席して頂きまして早々ではありますが質疑応答に移りたいと思います。時間も限られてますので、事前にお願いしていた通り質疑はお一人様一度と言うことになりますことをご了承下さい」

と司会者は言うと

「では、質疑のあるかた挙手をお願いします」

と言った。

一斉に手が上がるなか司会者は一人のアナウンサーを指名した。

マイクを受け取ったアナウンサーが

「○○テレビアナウンサー大田です。この度fateをお二人で組まれましたが、お二人で組むことはいつ頃から考えていたのでしょうか?また、なぜこの時期にユニット結成したのでしょうか?」

と質問をすると和が

「二人で一緒にやりたいと言うのは僕の中では綾子の曲を初めて聴いた時から思ってました。でも、お互いに忙しいこともありましたし当時は交際をしてましたし今は結婚もしてますし勝手な思い込みかもしれませんが二人でユニットを組むことを面白く思わない人がいるんじゃないかとか、ユニットを組むことでボレロやSperanzaの活動に悪い影響を与えてしまうのではないかと思っていました。そして、今この時期にユニットを結成したかと言うと、昨年のイベントでボレロとSperanzaが対バンしたのがきっかけです。一緒のステージに立って今まで心に秘めてた思いが一気に爆発したと言うか…もう20年以上待ったし、ワガママを言ってもいいんじゃないかと思いユニットを結成しました」

と言った。

「私もいつかは自分の作った曲をナゴミさんに歌ってもらいたいと言う気持ちはずっと持っていたので、ナゴミさんからユニットの話を頂いた時はやっと認められるようになったんだと喜んだのですが」

と綾子は言ったあと

「それは単なる自惚れで、まだまだナゴミさんの隣に立って恥ずかしくないミュージシャンにはなれてないので、これからますます努力と勉強を重ねて1日も早くナゴミさんに追い付きたいと思います」

と恥ずかしそうに言った。

2階席から見てるタケが

「綾子、本当にストイックだな」

と呟いた。

司会者が次の質問者を決めると

「△△テレビアナウンサーの双木です。今日までfateの存在を公表しなかったのはなぜでしょうか?」

とアナウンサーは聞いた。

「それはいくつか答えがあるのですが、まずは僕も綾子も個別の仕事がありますし特に綾子はワールドツアーを回ってる最中です。限られた時間の中でfateの活動で何を優先させるか考えた時に今日のライブが2ヶ月ほど前から決まってましたし、僕たちはミュージシャンなので表に出しても恥ずかしくないステージを作りたいと言う思いが強く、申し訳ありませんが自分たちのことを公表して取材を受ける時間があるのならその時間を少しでも練習にあてたいと言う気持ちがありました。そしてもう1つ、僕や綾子の名前を出さないでどれだけの人にfateと言うユニットの作る音楽に興味を示してもらえるか確かめたかったという考えもありました」

と和は話した。

その後も次々と質疑応答は続いたが、前もってプライベートな質問は答えないことを約束されてたのでそういった質問は一切出なかった。

「では、最後の質問になります」

と司会者が言うとまだ質問をしてないマスコミが一斉に挙手をした。

「はい、ではこちらの方」

と司会者が言うとマイクを受け取った人が

「Lets it編集部の木村です。fateは海外進出もすでに計画してるとの話を伺っていますが、具体的にはどのような戦略を立てているのでしょうか?また、今後の活動の仕方などもこたえれる範囲でおこたえ頂ければありがたいのですが」

と言った。

すると今度は綾子から話を始めた。

「海外進出については、まだ詳しい話はしてないので何ともこたえようがないのですが。私個人としては有難いことに大きいハコはfateじゃなくても出来る環境がありますので、fateでは原点回帰と言うか…今日のライブもそうですがお客さんの反応をもっと近くで感じられるようなライブハウスでの活動をしたいですね」

と綾子は言った。

「僕としては、もしかしたら英語詞を歌うから海外進出とか言われてるのかもと思ったりもするのですが、日本語は曖昧なニュアンスでも伝わることがあってとても魅力があるのですが、逆に英語に訳すとこうゆう意味じゃ無いんだけどって思うことも多くて…。だったら英語詞で歌った方がいろんな人に伝えたい事がはっきり伝わるのかな?って思ったりして…。それに学生の人たちとかが僕の作った英語詞を自分で訳してみたりして英語にふれる機会が少しでも増えてくれればいいなって思いもあります。海外進出については、特に意識はしてませんがもしも地球の裏側に僕たちの音楽を聴きたいと言う人がいたら、ぜひその人のところに出向いて演奏したいですね。それから今後の活動についてはサポートしてくれるメンバーたちのスケジュールも関係するので何とも言えません。彼らはとても才能のあるミュージシャンですから次々とスケジュールが埋まっていきます。彼ら無しではfateは動けないので今後の活動を左右するのは彼らのスケジュールの隙間にどう入り込めるかで決まりますね」

と和が笑うと

「そうだね。うまく隙間を狙っていかないとね」

と綾子も笑った。

「えー、それでは本日の会見はこれで終了とさせて頂きます。このあとは、写真撮影となりますのでカメラマンの方は前の方へお願いします」

と司会者が言うと和と綾子は椅子から立ち上がり、二人で何かを話していたが、その表情はミュージシャンのナゴミと綾子のままで普段の顔とはまるで違った。


2階席から写真撮影の現場を見てる奏が

「まるで別人みたいですね…」

と呟くと隣に座ってる直則が

「そうか?俺が知ってる二人はあのままの二人だけどね」

と言った。

「あのまま…ですか?」

と奏が聞くと

「うん、多分ボレロやSperanzaのメンバーの方が詳しいとは思うけど、仕事モードの時の二人はいつもあんな感じだよ。どうやったらこんなに切り替えれるのか不思議だけど二人は一瞬にしてオンとオフのスイッチが切り替えれるからね」

と直則は笑いながら

「和と綾子は天才と言われるけど、スイッチの入れ替え方も天才だよ」

と言った。


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