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お隣のふにゃふにゃ王子様  作者: まあちゃん
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皆の憧れ

金曜日の朝、綾子の友人達は昨日見たMステージの話で盛り上がっていた。

「ボレロがテレビ出るなんてレアだよね」

「マジ、俺録画して何度も見直したよ。新曲マジヤバいよ」

「本当、ナゴミもいつもに増して色っぽいし…」

「男の俺でも抱かれてもいいかなって思ったもん」

友人達が盛り上がっているなか綾子が

「そんなにナゴミってカッコいい?」

とボソッと言った瞬間、友人達は綾子の方を見た。

「前から思ってたけど、綾子はボレロ好きじゃないの?」

と香住が聞いた。

「いや、曲は好きだよ。でもナゴミは…」

「嘘!あのナゴミが好きじゃないとか、信じらんない!じゃあさ、綾子は誰が良いの?」

と香住は机にボレロが表紙になってる雑誌を置いた。

「誰って…」

と綾子はボレロの4人が載ってる表紙を見ながら考えて

「この人かな?」

とドラムスのユキを指差した。

「へえ、綾子の好みはユキかぁ。顔は可愛いけどドラム叩くと激しいみたいなギャップあるのが好きなんだ」

と雅司が驚くと

「それじゃナゴミが良いなんて思わないよな。ナゴミって年齢不詳だし、いるだけで色艶があって常にフェロモン全開って雰囲気だもんな」

と渉も言った。

「私、ナゴミになら遊ばれてもいいなぁ」

と香住がうっとりした顔で言うと

「バーカ、ナゴミはお前なんて相手にしないよ。今噂になってるのモデルのカンナだろ?」

と雅司が笑った。

「ちょっと妄想するくらいいいじゃない。現実ではどうせ私たちみたいな庶民は相手にされないの分かってるわよ」

と香住は雅司に怒った。

「ナゴミねぇ…」

綾子はボレロの記事を読みながら呟いた。

こんな男のどこがいいんだろう?

記事に書いてる事も嘘だか本当だか分からない。

カッコいい事言ってポーズとってるけどこれがナゴミの本当の姿だって皆信じてるんだろうか?

『俺ってマジで好きな女の前だと甘えん坊になっちゃうんですよね』

ナゴミのコメントを見て綾子は吹き出してしまった。

「何これ?こんな事言って恥ずかしくないの?」

と綾子が笑うと

「何いってるのよ!こうゆうギャップがいいんじゃない!私の前だけで甘えん坊になってってキュンキュンしちゃうよ」

と香住は言った。

「そう?そうゆうもんなの?」

と綾子は呆れた顔をして言った。


放課後、綾子は軽音楽部の部室でギターを弾いていた。

「綾子、曲作ってるの?」

と香住がジュースを差し出した。

綾子は香住に礼を言ってジュースを飲むと

「今度、対バンでライブするからそれまでに新曲作ろうって渉達と話をしててさ。で、ちょっと考えてたんだけどなかなかフレーズが浮かばなくて…」

と綾子はギターを置いた。

「綾子の曲って、ナゴミの作る曲に似てるよね?」

と香住が言うと綾子は驚いた顔をした。

「似てるかな?」

と綾子が言うと

「うん。似てる。スゴい激しい曲を作っても悲しい曲を作っても何か心に残るって言うか…。鳥肌立つような曲だよね」

と香住は言った。

「お世辞でもありがとう」

と綾子が照れた顔で言うと

「出来ればさ、渉じゃなくてナゴミに綾子の曲を唄って欲しいなぁ」

と香住は言った。

「はぁ?それは無理でしょ?あんな有名人が私の曲なんて唄わないよ」

と綾子は笑った。

「だから、これは夢なの。綾子の曲をナゴミが唄う。二人が同じステージに立って私はそれを舞台袖から見てて、ステージから袖に戻ったナゴミがお前のために唄ったんだよって私に言うのよ」

と香住は妄想の世界に入っていた。

綾子は呆れた顔をしながら、ギターを持って思い付いたメロディーを奏でてみた。

部室の前に渉とバンド仲間の健太と隼人が立っていたが、綾子が楽しそうにギターを奏でていたのでドアを開けずにそのメロディーを聞いていた。

「綾子、めちゃめちゃいい曲出来てきたんじゃない?」

と3人は顔を合わせて喜んだ。


学校を出た綾子達はファミレスで今度のライブでやる曲を決めたり、いつもの事ながらボレロの話等をして店を出た。

「じゃ、私電車だから」

と綾子が帰ろうとすると渉が

「俺、送ってくよ」

と綾子に声をかけた。

「え?いいよ」

と綾子が言うと

「まぁまぁ、夜道に女子高生一人は危ないし渉に送ってもらえよ」

と隼人がニヤニヤして言った。

「でも…」

と綾子が躊躇していると渉は綾子のギターを持って

「ほら、行くぞ」

と言って駅に向かって歩き出した。


綾子達は、ライブの話をしながら歩いていた。

「綾子ってさ。ライブの時って人が変わるよな」

「そう?」

「そう?って言うか自覚無いの?作る曲もだけどいつもはクールな綾子な綾子からは想像できないくらい激しいよな」

「そうかな?全然自覚無いんだけど…。って言うか、ライブって楽しいって言うのしか無いんだよね。だからきっと演奏もめちゃめちゃなのかもしれないし」

と綾子は笑った。

「いやいや、そうゆう思いっきり弾けてる綾子がメンバーにいるから、俺たちも楽しめてる訳だし…今度のライブ楽しみだな」

と渉は笑った。

「そうだね。とりあえず新しい曲も出来たし明日からは 練習頑張ろうね」

と綾子が言うと

「あのさ…」

と渉が綾子の事を真っ直ぐ見た。

「あのさ、俺…」

と渉が言うと突然後ろから男がやって来て

「あーや、遅いよ。心配しただろ」

と綾子の首に腕を回した。

「あ、ちょっと…何よ。なっちゃん離して」

と綾子が男の腕を振り払おうとすると

「えー、何で?久しぶりに会ったのに。あーや、腹減ったよ」

とまるで渉の事が目に入ってないかのような様子で言った。

「…」

渉は綾子に抱きつきてるボサボサ頭で眼鏡をかけスエットを着たいかにもひ弱そうなダサい男を見て呆然とした。

「…あの、綾子の彼氏?」

「違うよ。この人ただのお隣さん」

「あーや、帰ろう。じゃないと」

とベッタリくっついてる男に綾子は

「分かったわよ」

と言ったあと、渉からギターを受け取り

「渉、送ってくれてありがとう。じゃ、また明日ね」

と行って男の手を引っ張って歩いて行った。

その様子を呆然と見ていた渉は

「え?あれって綾子の彼氏?」

と呟いた。

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