この空ろ
この空ろ
人を愛せと 教わりました
至極全うな社会の中で
この空ろを気づかれないように
どうにか やって来たのです
人は好きです 好きなだけです
愛し愛され 育った筈なのです
けれど どうして愛を返せましょうか
きっと この空ろは臆病で 高慢で
分け与えることが出来ないのです
何も入って無いのですから
この先もきっと ひとりで生きるのです
凍えるような恐怖の中で
それでも誰も いらないのです
誰かを想うことが出来ないので
煩わしさと嫌悪を吐き出し
また ひとりが良いのです
寂しさよりも
この空ろには 辛いのです